私たちはTIBCOを利用して、あらゆる情報を統合し関連付け、お客様の行動を把握し、業務状況を管理し、重大な事象を未然に防いでいます。

Head of Demand Management,
Floriana Chiarello氏

企業情報
  • Aeroporti di Roma
  • 年間約5,000万人の利用客を持つ、イタリア最大の空港管理会社
問題
  • 利用者満足度の低下
  • 顧客体験向上のための空港オペレーション全体の把握と整流化
導入製品
  • TIBCO Spotfire®(ビジュアルアナリティクスソフトウェア)
  • TIBCO® Streaming(ストリーミング分析プラットフォーム)
  • TIBCO® Data Science(データサイエンスプラットフォーム)
  • TIBCO® Messaging(メッセージングプラットフォーム)
  • TIBCO Cloud™ Integration(インテグレーションプラットフォーム)
  • TIBCO BusinessEvents®(イベントプロセッシングソフトウェア)
導入効果
  • 空港オペレーション全体の把握・整流化・自動化に成功
  • 顧客満足度の劇的な向上に成功
  • 国際空港評議会から過去4年連続でヨーロッパで最も優れた空港に選出
  • 第三者機関より、対COVID-19の安全性評価で世界の空港で初の5つ星を獲得
  • 高品質の乗客体験を提供し続けながら、日々の運営コストを約40%削減に成功

Aeroporti di Roma、DXで顧客満足度の向上に成功

顧客行動データの完全な統合・相関・可視化を実現

現在、空港は単なる旅の足がかりにとどまらない存在になりつつあります。空港はショッピング、レストラン、エンターテイメント、ビジネスセンター、その他さまざまなサービスを提供しており、空港自体が目的地であると考えられています。実際、今日の空港は、自治体レベルの公共施設、郵便局、金融サービス、医療施設、警備拠点、衛生サービスなどを備えた小都市のようなものです。

これらのサービスは、ただでさえダイナミックな環境である上、さらにロジスティクス面の問題が加わっています。乗客のあらゆる体験を向上させるためには、空港オペレーション全体を1つのビューとして統合する必要があります。しかし、これは簡単なことではありません。世界中の空港は、収益の増加、新たな航空会社の誘致、好意的な旅先としての位置づけを最終目標として、これらを達成する方法を模索しています。

ローマの2大空港を運営するAeroporti di Romaは、この難題に立ち向かいました。空港のエコシステム全体にわたって、旅行者の体験を結びつけることに成功し、事後対応型から事前対応型のオペレーションへと転換を図りました。革新的なプラットフォームを活用することで、収益機会の創出と空港の拡張を実現し、継続的な成功を収めています。

すべての道とエアラインはローマに通ず

今日では、ほとんどの航空会社、そしてローマに向かうすべての乗客が、このAeroporti di Romaが運営する空港のゲートを通過しています。

Aeroporti di Romaはイタリア最大の空港管理会社です。同社は、首都ローマにあるレオナルド・ダ・ヴィンチ空港(フィウミチーノ空港/FCO)と小規模なジョヴァン・バティスタ・パスティネ空港(チャンピーノ空港/CIA)を管轄し、ハンドラーや警察、小売店従業員など4万人以上の従業員を抱えています。毎年、140社の航空会社がAeroporti di Romaの運営空港を利用し、約5,000万人の乗客が利用しています。また、駐車場の管理や空港内の小売店の運営も行っており、旅行客のエンド・ツー・エンドの旅行体験において、広範な責任を担っています。

輸送の変革を起こすための契機

空港業界は、地理的な境界があるにもかかわらず、依然として厳しい競争下にあります。空港の満足度ランキング・調査は最優先事項です。調査によると、空港での体験に満足した乗客は、より頻繁に旅行し、ショッピングや食事、その他の収益を生むサービスにお金を費やす可能性が高いことが分かっています。

対して、空港で良い体験ができなかった乗客は、ソーシャルメディアのチャンネルやレビューサイトで声を上げることが多いようです。彼らは、空港の欠点について航空会社の責任として追及し(逆も然り)、航空会社とホストである空港の間に摩擦を生じさせることがあります。そして、特にフライトの遅延やキャンセルは、旅行を開始する前から旅行を台無しにする可能性があります。フライトの中断は、顧客のネガティブな体験を助長するだけでなく、保険金や立ち往生した乗客を対応するために必要な時間などにより、航空会社に大きな経済的な悪影響を与えます。

お客様の満足度を向上させるためには、空港のオペレーションを整流化し、スムーズな旅を実現することが必要です。保安検査場での待ち時間が長ければ長いほど、乗客の不満は募り、搭乗までの食事や買い物の時間も減ってしまいます。空港での体験を最適化することは、ビジネスチャンス、乗客の満足度、空港の拡張などに雪だるま式に効果を発揮するのです。

しかし、2010年代半ばになると、Aeroporti di Romaの利用者満足度は低下していました。国際空港評議会(Airports Council International)が2013年に発行したレポートでは、Aeroporti di Romaは5点満点中3.31点と、競合空港が提供する体験の質より低いものでした。第三者機関によるランキングは、新たな航空会社や小売業者を誘致する上で影響力があり、Aeroporti di Romaがエンドツーエンドの旅行者体験を変革するための戦略を必要としていることを示す重要な指標となりました。

リアルタイムデータ収集の複雑性

多くの人は、空港のオペレーションと旅行者の旅のあらゆる側面に、豊富でダイナミックなリアルタイムのデータが浸透していることを過小評価しています。フライト、ゲート、スケジュール、そしてゲート係員の調整、セキュリティスタッフの管理、乗客の流入と業務用施設へのアクセスの調整、天候の乱れへの対応、駐車場と空港内交通システムの円滑な運営、チェックインスタッフ、物流、手荷物、セキュリティサービスの同期化などが必要です。このような業務を可能な限り遅滞なく遂行するためには、何千人もの従業員と、旅行者の移動中に収集されるリアルタイムデータへの洞察が必要となります。

さらに、今日の乗客は、予約、発券、チェックイン、フライト状況やゲート変更の通知、手荷物追跡、さまざまな空港アメニティの案内など、すべてにおいて携帯電話でアクセスできる、デジタルでつながった旅行体験を求めています。これらのイベントをすべて把握し、管理し、最適化する能力は、複雑で相互依存的なデータ統合、統一、分析の課題を提示します。空港と航空会社は協力して、利用可能なすべてのデータの価値を活用し、乗客の体験を積極的に管理し、旅行を負担の少ない楽しいものにし、収益の増加につなげる必要があります。

旅行港から旅客ファーストのスマートシティへの変革

Aeroporti di Romaは、膨大なデータをインサイトシステムで管理し、テクノロジー、ビジネスプロセス、人材を連携させて、エコシステム全体で革新的、効率的、高品質なサービスを提供する必要がありました。TIBCO Connected Intelligenceプラットフォームは、この変革を実現するために選ばれました。

TIBCOを選択することは、喫緊のニーズを解決するだけでなく、新たな目標や問題が出てきたときに、空港とともに適応し成長できる拡張性のあるプラットフォームを手に入れることだと、企業のリーダーたちは考えていました。

Aeroporti di Romaは、TIBCOを中核とした空港オペレーション計画を立ち上げ、オペレーションデータを一元化し、そのエコシステム全体で発生するすべての事象を把握できるようにしました。バックエンドシステムを統合し、インタラクティブなビジュアルアナリティクスダッシュボードを通じてリアルタイムデータのパワーを最大化し、関係者全員がより迅速でより優れた意思決定を下せるようになりました。さらに、予測されたKPIは、空港が現在のパフォーマンスに基づいて将来の傾向を判断するのに役立ちます。

何千ものデータソースを接続し、リアルタイムデータの価値を引き出すことは、グループにとって革命的なことでした。

Head of Demand ManagementであるFloriana Chiarello氏は、「私たちはTIBCOを利用して、あらゆる情報を統合し、関連付け、顧客行動を理解し、オペレーションの状況を管理し、重大な事故防止に努めています」と述べています。「この計画は、コントロールルームで使用されている主要ソリューションであり、これはTIBCO Connected Intelligenceプラットフォームによってサポートされています。航空会社、ハンドラー、セキュリティ、航空管制、地上管制、施設など、すべての関係者のすべての情報を関連付け、エアサイドとランドサイド両方のプロセスをより良く管理することができます」

導線分析により旅行疲れを軽減

このプラットフォームは、空港全体のサービスの整流化と自動化を支援します。乗客がターミナル内を移動する際、Wi-Fi対応の携帯電話から匿名化されたデータを収集・分析することで、空港は人流を改善することができます。店舗やトイレ、水飲み場などをどこに増設するかは、単にスペースの問題だけではありません。これらの設備を最適に配置することにより、乗客の快適性を最大限に高め、空港に足を踏み入れた瞬間から飛行機に搭乗するまでのシームレスな移動の実現に繋がります。

Chiarello氏は、「お客様のニーズをより深く理解し、様々なエリアでの滞在時間を改善するために、乗客の導線分析に力を入れています」と説明します。「私たちはTIBCOを活用して、乗客のヒートマップやバブルマップを作成し、人数や密度、典型的な乗客の動線を表示させています」

乗客の行動をリアルタイムに把握することで、Aeroporti di Romaは、長蛇の列の解消や、空港内の無料Wi-Fiを利用して近隣のショッピングや食事を案内するプッシュ通知を可能にするなど、顧客の利便性を向上させることができます。また、搭乗者の動きをゲートまで分析し、フライトデータと関連付けたり、店舗で提示される搭乗券情報と比較したりすることも可能です。「相関するデータを分析することで、予測分析や傾向を調査し、将来の改善点を見出すことができます」とChiarello氏は述べています。

APIでエコシステム全体の情報を把握

空港オペレーション計画により、空港スタッフは重要な情報に基づき行動し、第三者である空港パートナーは運行状況を常に把握することができます。TIBCOのプラットフォームを経由するAPIを使用して、レストランや小売店、その他のサービスプロバイダーは、オペレーションに影響を与える可能性のあるデータをリアルタイムで取得しています。

例えば、鉄道会社のTrenitaliaは、Aeroporti di Romaのフライト情報をリアルタイムで利用しています。ローマ市街地から空港へ向かうこの鉄道では、リアルタイムでフライト情報やその他の空港情報を社内スクリーンに表示し、乗客に変更を知らせます。これにより、乗客のフラストレーションを軽減し、彼らに物事をコントロールできているという感覚を与えることができます。これらの警告は顧客満足度の向上と相関することが判明しています。

また、市のタクシー協会との提携により、空港の外で待機しているタクシーの待機状況をいつでも確認できます。これは、空港と市のタクシー協会との提携によるもので、モバイルアプリケーションにタクシーの台数や位置が表示されます。タクシードライバーはどこで彼らが必要とされているかを確認できるため、お客様をお待たせすることはありません。また、電車やリムジンバスにもこのような工夫が施されており、空港への行き帰りの足が確保されています。

Aeroporti di RomaのCIOであるEmiliano Sorrenti氏は、「すべては測定されていなければならず、最終的にすべてはデータに基づく」と述べています。

顧客満足度が急上昇

TIBCOを活用した変革の結果、同社の顧客満足度は劇的に向上し、ビジネスが加速しています。新たな効率化に支えられ、運営空港は巨大な新しい搭乗エリアを増設し、さらに年間600万人以上の旅客に対応できるようになりました。その革新的な搭乗・降機設備は世界最大の航空機に対応し、イタリアや世界の最高級品を揃えた高級ショッピングギャラリーや、高級レストランやカジュアルダイニングを備えた素晴らしいレストラン群を備えています。

業界が注目しています。Aeroporti di Romaは、今や同クラスの空港の中でトップクラスに位置付けられています。国際空港評議会から過去4年連続でヨーロッパで最も優れた空港に選ばれ、同団体の「空港サービスの質(Airport Service Quality)」指数では5段階中3.31から4.47に上昇し、35%の大幅増を達成しました。また、業界団体のSkytraxは、Aeroporti di Romaを過去2年連続で4つ星空港に選定しています。

Aeroporti di Romaが高い評価を得ているのは、空港が単なる移動手段ではなく、旅の一部であることを理解しているスタッフがいるからです。最適化されたオペレーションは、新しくユニークな顧客体験の土台となります。Sorrenti氏は、「空港に行くたびに、その体験を思い起こさせる何かがあるはずです。そのため、ショッピングや素敵なレストラン、最高レベルのケア、またはサンタ・チェチーリア音楽院の音楽家やマエストロ・パッパーノ(非常に有名なピアノ奏者)の演出といったユニークなものまで、体験を通じて旅客に小さなギフトを送るように心がけています。また、ローマの歴史的な美術館と提携して、彫像やモザイク画を展示することもあります」と述べています。

Aeroporti di Romaでは、あらゆる場所で顧客満足度を測定し、体験やタッチポイントが有意義に機能していることを確認しています。「私たちは、物事がうまくいっていることを確認、またはうまくいっていないものがあればそれを特定し、妥当な時間枠内で修正できるように常にデータと統合に立ち戻っています」とSorrenti氏は付け加えています。

未来の空港

新型コロナウイルス(COVID-19)の大流行で旅行者が激減した際、Aeroporti di Romaのデータドリブン型オペレーションはより要性なものとなりました。Aeroporti di Romaは、最も安全な空港のひとつとなることに重点を移していますが、シームレスで手間のかからない旅行という顧客のニーズは依然として念頭に置いています。Sorrenti氏は、「かつて特定のエリアの収容人数を最大化するために使用されていたセンサーを、ソーシャルディスタンスの監視に使用しています。また、ヘルメットにサーマルスキャナーを搭載し、スタッフが空港内を歩いて温度をチェックできるようにしています」と述べています。

こうした努力もあり、新たなCOVID-19の症例は報告されていません。乗客は喜んでおり、Skytraxのような業界団体も、空港に5つ星のCOVID-19安全性評価を与えました。また、このような評価を受けたのは世界の空港でAeroporti di Romaが初となります。

パンデミックの経済的影響を管理する他の多くの企業と同様に、収益性を高めるためにコスト削減は最重要事項です。TIBCOの導入により、同空港では、安全性、顧客満足度、オペレーション効率を最大化するために、どのエリアをオープンし、どのエリアをクローズすべきかを分析することができました。これらの分析により、Aeroporti di Romaは、高品質の乗客体験を提供し続けながら、日々の運営コストを約40%削減することに成功しました。

パンデミックを乗り切ることに加え、最近、国連から同社のサステナビリティへの取り組みが評価されました。Aeroporti di Romaは、環境に配慮した建築手法として世界最高水準の”L.E.E.D. Gold certification”に基づいて、新たなインフラを構築しています。Sorrenti氏は次のように述べています。「新たな建築フェーズにおける、私たちの数々の取り組みが、ローマ空港をサステナブルでエコフレンドリーな空港として位置づけることに貢献しています」

TIBCOによって実現

優れたパフォーマンスを発揮するのは偶然ではありません。完璧を追求する継続的かつ持続的なイノベーションがAeroporti di Romaの成功の鍵なのです。そしてそれはTIBCOによって実現されました。旅行のエコシステムをより完全に理解した上で、同社は、今後数年間で旅行が回復し始めるのに合わせて、イノベーションを起こす計画を持っているのです。

「デジタル機器を使って、旅行体験をパーソナライズし、成果を出したい。また、デジタルバックエンドプロジェクトに投資して、空港のエコシステムに対するサービスを向上させ、効率を高め、運営コストを削減し続けたい」とChiarello氏は言います。

パンデミックを念頭に、Sorrenti氏はこのように付け加えています。「私の個人的な希望は、最高レベルの安全を維持しながら、空港が乗客と新たなレベルの親密さを作り出すことができるようになることです」

TIBCOの導入により、Aeroporti di Romaは、お客様との親密な関係と卓越したオペレーションに焦点を当て、旅行体験の水準を高め続けることができるようになったのです。今後ますます多くの乗客がローマを発着するようになり、その旅に喜びを感じ続けることは間違いないでしょう。

導入製品

  • Spotfire®
    組織全体でのデータ分析・活用を実現するオールインワンのデータ分析ソフトウェア
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  • Spotfire® Streaming
    ストリーミング処理アプリケーションを迅速に構築・デプロイ・運用できるプラットフォーム
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  • Spotfire® Data Science
    エンドツーエンドで機械学習のライフサイクルをカバーする、データサイエンスプラットフォーム
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  • TIBCO Cloud™
    Integration
    あらゆるビジネスアプリケーションを容易かつ迅速に連携するアプリケーション統合スイート
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