KSF・CSF(重要成功要因)とは?KPIとの関係や有効なフレームワークを解説

目次

近年、企業におけるプロジェクト推進のためにKPIの設定が有効なことは知られていますが、事業の成功を精緻に追求するには、KPIの設定だけでは不十分なケースも少なくありません。 そこでこの記事では、経営戦略を立てる上で欠かせないKSF・CSF(重要成功要因)の概要について解説します。さらに、適切なKSF・CSFを設定するための有効なフレームワークについても紹介します。

今回ご紹介するフレームワークは、顧客分析ツールによる顧客理解、データ分析の結果に基づいた判断と併せて実践することで効果を発揮します。データに基づいた事業戦略を検討しKSF・CSFに着目している方は、ぜひご一読ください。

記事の要約
  • KSF・CSFを設定し対処することで、事業戦略の効率化、リスクの最小化と成果の最大化を図ることができる
  • KSF・CSFは業界やビジネスモデルによって異なり、自社に適したKSF・CSFを設定することが重要
  • KSF・CSFを抽出するために有効な4つのフレームワークがある
  • 顧客分析ツールの活用など、適切なKSF・CSFを設定するためのポイントがある

KSF・CSF(重要成功要因)とは?

KSFは Key Success Factor の略称で、日本語では「重要成功要因」と呼ばれます。CSFは Critical Success Factor の略称で、こちらも同様の意味を持つため、ここからは基本的にKSFという言い方で解説を進めていきます。

KSFを設定し適切に対処すると、事業戦略の効率化やプロジェクトにおける一貫性を担保し、リスクの最小化と成果の最大化を図ることができます。

KSFを正確に把握するためには、市場調査や競合分析、顧客インタビューなどによる情報収集が必要です。

KSFの具体例

KSFは、製造業、サービス業、テクノロジー業界など、その企業が属する業界や、サブスクリプションかマーケットプレイスかといったビジネスモデルによって異なります。そのためKSFを設定する前に、まずそうした自社の状況を考慮した上で、自社に適した設定を目指す必要はあります。

具体例として、下記に業界別のKSFの具体例とその理由をいくつか紹介します。

  KSF 理由
カフェ業界 美味しさ・ボリュームを両立するメニューと、ゆっくりと長居できる店内設計 丁寧で細やかなフルサービスを提供するという自社の強味を活かすため
コンビニ業界 商品やサービスの種類の豊富さ 利便性が高いコンビニでは、本来は買う予定がなかった商品の購入につながるため
携帯電話業界 端末代金0円など、スピード感を重視した顧客獲得の戦略 一度契約した携帯会社を使い続ける顧客が多いため
紙おむつ業界 価格を下げること 消耗品であることからできるだけ費用を抑えたいという顧客の心理に応えるため

KSFとその他指標との違い・関係性

ここからは、KSFとその他の指標の概要や、違いと関係性について解説します。KSF、CSF、KFS、KPI、KGIと様々な指標があるため、混乱しないように基本的な知識として押さえておくとよいでしょう。

1|KSF・CSFとKFSは同じ意味を指す

冒頭ですでに解説したとおり、KSF・CSFは同様の指標、すなわち「重要成功要因」を指します。これらに加えて、KFSという指標もありますが、Key Fuctor for Successの略称で、こちらもKSF・CSFと同様の意味を持ちます。KSF・CSF・KFSは「重要成功要因」としてセットで覚えておくと便利です。

2|KSFとKPI・KGIの違いと関係性

KPIはKey Performance Indicatorの略称で、日本語で「重要業績評価指数」と訳されます。KSFが組織や事業の成功に不可欠な要因を指すのに対し、KPIは、組織や事業のパフォーマンスを評価するための指標です。つまり、KPIはKSFを定量化したもの。具体的で測定可能な成果や目標に関連し、事業の達成度合いや進捗を定量的に計測するために使用されます。

KGIはKey Goal Indicatorの略称で、最終的な経営目標を指します。このKGIを達成するために必要な成功因子がKSFです。

したがって、KGIというゴールに対して、KSFで何をすればよいのかを定め、そしてKPIで目標数値を可視化したりプロジェクトの成果を明らかにしたりする、というような関係性が成立しています。

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3|KSFとNSMとの違いと関係性

国内ではそれほど広く普及していませんが、海外で企業が成長戦略を構築する上で重要な指標の1つとなっているのがNSMです。North Star Metric(ノーススターメトリック)の略称で、直訳すると「北極星指標」、つまり北極星が方位を探すときに目印となるように、KSFよりもさらに俯瞰的な視点からの成功因子を指しており、長期的な成長を導き出すために活用されます。

実はKSFやKPIには、部署ごとに設定・タスク化されるケースにおいては、KGIを達成するための重要なポイントを見失う恐れがあるという側面があります。

そこで活躍するのがNSMです。ゴールとプロセスのつなぎ目となり、各部署が全体感を持って業務を進めるための指標として働きます。

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KSF・CSFの設定に有効な4つのフレームワーク 

KSF・CSFを抽出・設定するにあたっては、環境分析のフレームワークを活用することが効果的です。そこで、ここからはKSF・CSFの設定に有効な4つのフレームワークを紹介します。

1|5F分析

「5F分析」は、競合各社や業界全体の状況と収益構造を明らかにして、その中で自社の利益の上げやすさを分析するフレームワークです。マイケル・ポーターによって提唱されました。

業界の収益は①競合他社の脅威②新規参入の脅威③代替品の脅威④売り手の交渉力⑤買い手の交渉力という5つの力(Forces)、もしくは要因によって左右されるという考えを基本としています。

このフレームワークを活用することで、業界全体の状況を分析して俯瞰し、競争のカギを発見することができます。

Forces 分析対象
①競合他社の脅威 ・競合他社の数、ブランド力、資金力
・業界全体の規模、成長率
②新規参入の脅威 ・市場の新規参入の障壁の高さ
・参入にコストがかかるか
・政府や法律による規制の有無
③代替品の脅威 ・価格性能比において勝る製品の可能性
・代替品に乗り換えるスイッチングコスト
④売り手の交渉力 ・供給業者の数、市場の寡占度
・供給業者の売上の市場への依存性
⑤買い手の交渉力 ・買い手の数
・製品差別化が進んでいるか否か
・スイッチングコスト

2|バリューチェーン分析

バリューチェーン分析は、企業が競争力を獲得して維持するために不可欠なフレームワークです。

商品をつくるための原材料調達から市場での流通・販売までの流れを「バリューチェーン(価値の連鎖)」として捉え、各工程ごとに分析を行います。ビジネス活動を全体的に理解して業務効率化を図ったり、競合他社を分析して自社の競争優位性を把握したりする際に活用されています。

また、バリューチェーン分析では、製品やサービスを顧客に提供する一連の流れに直接的に関わる「主活動」と、その主活動を支える人事・労務管理などの「支援活動」に事業活動に大別します。

構造を細かく捉えて分析することで自社の強みを客観視したり、各事業活動のコストを可視化することで無駄なコストの圧縮や経営資源の分配を可能にするなどのメリットが得られます。

3|PEST分析

PEST分析とは、「Politics(政治)」「Economy(経済)」「Society(社会)」「Technology(技術)」の4つの外部環境を対象とした分析で、自社を取り巻く外部環境が現在もしくは将来的にどのような影響を及ぼすかを予測することに役立ちます。

PEST分析は主に経営戦略、マーケティング戦略などを含む事業戦略を策定する際に使用されます。特に新たな事業を立ち上げる際は、自社の現状だけでなく、外部環境に関する情報をよく把握する必要があるため、有効なフレームワークです。

外部環境 影響予測
Politics(政治) 政府の政策、法律の規制、税制の変化、
外交関係の動向など
Economy(経済) 経済指標、景気動向、インフレ率、
経済成長率、失業率など
Society(社会) 人口動態、世帯数、文化、社会的トレンド、
世論の意識や価値観など
Technology(技術) 技術の進歩、イノベーション、特許、
デジタル化の進展など

4|SWOT分析

SWOT分析は、自社の内部環境と外部環境を「Strength(強み)」、「Weakness(弱み)」、「Opportunity(機会)」、「Threat(脅威)」の4つの要素に整理して分析するフレームワークです。

既存の事業の改善点や注力すべき点を導き出したり、新規事業の将来的なリスクなどを発見することで、効果的な経営・マーケティング戦略を立案することを目的としています。

  プラスの要因 マイナスの要因
内部環境 Strength(強み)
自社や自社商品の
長所や得意分野など
Weakness(弱み)
自社や自社商品の
短所や苦手な点など
外部環境 Opportunity(機会)
社会や市場の変化などにより、
自社にとってプラス
に働く要素
Threat(脅威)
社会や市場の変化などにより、
自社に悪影響を及ぼす
と考えられる要素

適切なKSF・CSFを設定するためのポイント

ここからは、 適切なKSF・CSFを設定するための3つのポイントについて解説します。下記に挙げたポイントを押さえて、ビジネスの成功に向けてKSF・CSFを効果的に活用することが重要です。

1|適切な設定数を見極める

KSFの設定数は各企業やプロジェクトの規模によって異なり、数個の場合もあれば数十個のKSFを設定する場合もあります。

KSFの設定数を増やしすぎると、「どれが成功要因になるのか」という混乱が生じやすくなるというデメリットがあります。

そのため、適切な設定数を見極めることが重要です。自社のKSFが複数ある場合、それらをリストアップしてそれぞれの重要性を評価し、優先順位を付けて絞り込む必要があります。

2|顧客ニーズの変化に対応する

市場のニーズや顧客行動、競合他社の動向は、時代の流れやトレンドの変化による影響を常に受けており、それに伴ってKSFも変化することがあります。そうした変化に気づかず、重要度の低いKSFをもとにプロジェクトを進めてしまうと、期待したような成果をあげられない恐れがあります。

適切な戦略を立てるためには、この記事で紹介したフレームワークを活用しつつ、定期的にKSFを見直すことで調整を行うことが重要です。

3|顧客分析ツールを活用する

適切なKSFを設定するには、深い顧客理解が必要となります。顧客を理解するためには、データを基にした定量的・定性的な分析を行うことが効果的です。

企業やブランドにとって最も価値のあるロイヤルカスタマーの嗜好や行動、もしくは顧客が離脱したポイントなどを分析して把握することが、自社の強み・弱みを客観的に理解することになり、適切なKSFの設定につながります。

こうした分析を行うには、顧客分析ツールの活用が欠かせません。顧客分析ツールを活用することで、多様なデータを収集・統合したうえでの分析・可視化が可能になり、KSFを設定するための材料が十分に得られます。

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KSF・CSFに重要な顧客理解を促進する「Mixpanel」

NTTコム オンラインが提供しているMixpanelは、多角的な分析機能や外部ツールとの連携機能、データ統合機能を備える行動データ分析ツールです。

導入することで顧客ニーズに関わる様々な分析が可能となり、顧客がどのような要素に価値を置いているのか、自社の製品やサービスがどのような価値を提供すべきなのかなど、事業における重要な見極め・意思決定がスムーズになります。さらに、これらのデータに基づいて適切なKSF・CSFを設定することも可能です。

Mixpanelの主な分析機能として、フロー分析、インパクト分析、ファネル分析などが挙げられます。これにより、ユーザー行動の把握はもちろん、施策の実施後にはその成果を的確に判断することも可能です。

柔軟で高度なデータ分析機能を提供するMixpanelは、プロジェクトの進行において価値ある洞察をもたらすツールです。

1|導入事例|株式会社アカデミー・デュ・ヴァン 様

株式会社アカデミー・デュ・ヴァン様は、東京、大阪、名古屋で本格的なワインスクールを展開する企業です。講座の申し込み数が伸び悩んでおり、その原因が特定できないという課題がありました。そこで、原因の分析や施策の検討に役立つ材料を得るためにMixpanelを導入。

導入以前はExcelなどを用いた手入力の集計で、分析結果を得るまでにも時間がかかっていましたが、現在では「リアルタイムの申し込み数推移を把握できるようになった」、「効果的な施策が明確にわかるようになった」、「迅速に次の打ち手を実施できるようになった」など、多くの変化を実感されています。

導入事例:株式会社アカデミー・デュ・ヴァン 様

適切なKSF・CSFの設定はプロジェクトを成功へ導く

この記事では、KSF・CSFの概要や有効なフレームワーク、そして適切なKSF・CSFを設定するためのポイントについて解説しました。

顧客の行動やフィードバックを理解したうえで、自社や自社商品の強みを客観的に見出し、適切なKSF・CSFを設定することは、効果的な戦略の実践を可能にします。

事業やプロジェクトを成功させるためには、まずは顧客分析ツールを活用して多角的・総合的な分析を行い顧客理解を深めることが不可欠です。

ぜひこの機会に、重要な顧客理解を促進する「Mixpanel」の導入を検討してみてはいかがでしょうか。検討に役立つ資料は以下からダウンロード可能です。

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