ANA X株式会社様

GoToトラベルの問い合わせで旅行事業のコンタクトセンターが逼迫。
SMS送信 × ビジュアルIVRで“旅情感”のある顧客体験を

ANAグループの顧客関連事業を担うANA X株式会社。ANAマイレージクラブの顧客データを活用したさまざまな事業を展開する同社が、コンタクトセンターを通じてユーザーへの新たな価値提供を実現するために導入したのが、当社が提供する「モバイルウェブ」のビジュアルIVRでした。ここでは導入の経緯やその後の活用ぶりについて、同社カスタマーコミュニケーション部の古池氏、谷氏にお話を伺いました。

ANA X株式会社 カスタマーコミュニケーション部 古池 亮介氏
ANA X株式会社 カスタマーコミュニケーション部 谷 芹茄氏

約150名のコミュニケーターが在籍。ANAグループ旅行事業で顧客との
タッチポイントを担う大規模コンタクトセンター

― はじめに、貴社の事業内容についてお聞かせください。

古池氏 : お客様のライフタイムバリュー向上を目的として、航空販促や旅行事業、ふるさと納税やA-styleなどのEC事業、保険やANA Payなどの金融・決済事業を展開しています。
旅行事業は元々、ANAセールス(現ANAあきんど)が担っていましたが、2021年4月1日に旅行事業をANA Xに移管し、プラットフォーム事業会社として新たなスタートを切りました。

― さまざまな事業を展開するなかコンタクトセンターも運営されていますよね。その役割について教えてください。

古池氏 : 我々が所属しているカスタマーコミュニケーション部では、旅行事業に特化したコンタクトセンターを運営しています。センターには約150名のコミュニケーターが在籍。平常時で月に4万件ほどのお問い合わせを受けております。
新規のご予約や予約したツアー内容の変更や解約、飛行機の欠航や遅延に伴う対応など、旅行事業におけるお客様とのタッチポイントを担っています。

コロナ禍によるGoToトラベルの開始・一時停止で入電が爆発的に増加。
緊急対応が迫られるなか「短納期」「費用面」「一元サポート」が
モバイルウェブ導入の決め手に

― モバイルウェブを導入いただくまで、コンタクトセンターにはどのような課題がありましたか?

古池氏 : お客様に新しい価値を提供する“未来のコンタクトセンター像”を思い描くとき、電話やメールといった従来型の仕組みでは限界があると感じていました。
有人対応を基本としていると、対応の質やレスポンスのスピードが担当者ごとにバラついてしまいますし、着信増加によるコンタクトセンターの逼迫状況が品質に影響する恐れがあります。
私たちは着信減を目指しているのではなく、わざわざ電話をかけなくてもお客様自身で問題を解決していただける状態を目指し、以前からさまざまなソリューションの導入を検討していました。
そうした中、新型コロナウイルスの影響でGoToトラベルに関する問い合わせが爆発的に増え、緊急で問題を解決する必要が出てきたのです。

― GoToトラベルに関する問い合わせとはどのような内容だったのでしょうか?また、そのときのコンタクトセンターの状況についても教えてください。

谷氏 : GoToトラベルの開始や一時停止に伴い、既に予約したツアーのキャンセルや返金の方法、地域共通クーポンの扱いなど、ほぼ同じ内容の問い合わせが立て続けに入る状況になりました。FAQやAIチャットボットも用意し、ウェブサイトにもお知らせとして情報を掲載していましたが、問い合わせが減少する傾向はありませんでした。
その結果、コンタクトセンターは長時間、電話が繋がらないという状態になり、お客様にはご不便をおかけしてしまいました。同時に現場のコミュニケーターは鳴り止まない電話に休みなく対応し続け、疲弊した状態が続いてしまいました。
この状況を解消するためには、入電したお客様にSMSを自動送信し、ビジュアルIVRでFAQやウェブサイトに掲載した情報を最短ルートで案内する仕組みが良いのではないかと考えました。

― モバイルウェブを選定いただいた理由を教えていただけますか?

谷氏 : 緊急対応が求められるなか、4社のビジュアルIVRを比較検討した結果、納期が一番短いサービスがモバイルウェブでした。これが一番の決め手になりましたね。実質、制作開始から2週間以内でリリースできました。
また、費用面でも導入しやすいことや、フリーダイヤル・ナビダイヤル、SMSの設定まで一元的にサポートしてもらえることも魅力でした。

コンタクトセンターの時間外対応にも寄与。
“旅情感”のある自己解決で顧客の体験価値向上を実現

― 現在のモバイルウェブの活用方法について教えてください。

谷氏 : “よくある質問”を集約させたサポートページとしてビジュアルIVRを活用しています。お客様はコンタクトセンターに問い合わせ後、自動送信されたSMSのメッセージからビジュアルIVRのURLにアクセスすることで、GoToトラベルの専用ページや、FAQの中でも閲覧数の多いページなど、求める情報に最短ルートでたどり着くことができます。
ビジュアルIVRに掲載するコンテンツは問い合わせ内容のトレンドやGoToトラベルの状況の変化などに合わせてタイムリーに更新できます。編集も簡単にできますので、コミュニケーターがお客様の困りごとを現場でいち早く察知して内容を変更できます。

― 導入後の効果はいかがでしたか?

谷氏 : 2021年の2月8日にリリースしましたが、そのときはGoToトラベルが完全に停止している時期で、旅行需要の低迷によりコンタクトセンターへの問い合わせも激減していました。そのため、導入による数値的な効果測定はできていない状況です。
ただ、SMSの送信実績から、コンタクトセンターの営業時間外のアクセスが多いことがわかりました。これはつまり、お客様が夜間でも翌営業日を待たずして悩みを解決できるようになったということ。GoToトラベルのような有事対応だけでなく、24時間365日、お客様がエフォートレスに活用できる仕組みとして、モバイルウェブには大きな可能性を感じています。

― 最後に、今後のモバイルウェブの活用や事業における展望などを教えていただけますか?

古池氏 : モバイルウェブの導入により、コミュニケーターが介入せずにお客様の自己解決を手助けできる仕組みができたということは非常に大きな価値だと思います。以前からFAQやチャットボットなどさまざまな方法で情報発信をしていましたが、情報が散らばっており、お客様を迷子にさせてしまっていました。SMSを入り口として、ビジュアルIVRで必要な情報への交通整理を行い、お客様が最短距離で問題の解決ができることが理想です。また、今後は旅の情報も織り交ぜながら、問題解決だけでないデジタル領域の“旅”へご案内する…そんな当社らしい、旅情感のある顧客体験を提供できればと考えています。
また、モバイルウェブは汎用性の高いサービスですので、今後は旅行事業にとどまらず、さまざまな事業での活用が期待できます。NTTコム オンラインさんにはモバイルウェブの他にもコンタクトセンターに合いそうなソリューションがいろいろありますので、我々のビジョンにアジャストしながら活用していきたいと考えています。

課題

  • お客様に新たな価値を提供する“未来のコンタクトセンター”を目指すうえで、電話やメールといった従来型の仕組みに限界を感じていた。
  • GoToトラベルの開始・一時停止で入電が爆発的に増加しコンタクトセンターが逼迫し、電話対応に替わる別の手段でお客様の問題解決をサポートする必要があった。

効果

  • 旅行需要の低迷により問い合わせ自体が減ったため数値的な効果は測定できていないが、窓口の時間外対応として有効に機能している。
  • SMS送信 × ビジュアルIVRは、お客様が求める情報に最短ルートで誘導できる理想的な仕組みとして、かつ“旅情感”のある顧客体験を実現できる。

お客様プロフィール

ANA X株式会社様

https://www.ana-x.co.jp/

ANAマイレージクラブを顧客基盤とし、旅行事業、航空販促事業、ライフサービス事業(EC事業、金融・決済事業、マイル提携)、ソリューション事業を展開。ANAグループのプラットフォームへの基盤づくりを推進。