戸建住宅・賃貸集合住宅などの新築・リフォーム、不動産の仲介・賃貸管理ほか幅広い事業を展開するパナソニック ホームズ株式会社様。同社のコールセンター業務を担うCS本部総合コンタクトセンターにおいて、修理受付時の電話応対品質を向上させるため「モバイルウェブ」のWebアンケートを活用されています。「モバイルウェブでのアンケートに切り替えて、お客様の本音が見えてきた」と話す同センター所長の甲斐氏、コールセンターの実務を請け負う株式会社 エプコの管理者である亀濱氏と白倉氏に、導入の経緯やその成果についてお伺いしました。
架電による電話応対品質のアンケートは、オペレーターが直接話を聞くことになるためお客様の本音を引き出しにくかった。
繁忙期は受電対応を優先するためアンケート架電は中止するなど、回答の回収率が安定しなかった。
電話で聞いた話を手入力して集計するため、工数がかさんでいた。
Webアンケートに変更したことで、お客様が率直な意見を回答してくれるようになった。
SMSで送付することにより回答率が上がり、フリーコメントも想定以上に記載してもらえた。
システムから簡単に素早く正確な集計ができ、オペレーターの工数削減につながった。
― まずは貴社の事業内容と甲斐様、亀濱様、白倉様が所属する部署の業務内容について教えてください。
甲斐氏: パナソニック ホームズは、1963年に創業した、住宅メーカーです。2023年8月に創業60周年を迎え、新築請負を中心に土地活用、リフォーム、街づくりへと事業を展開させしています。当社のコールセンター業務を担うCS本部総合コンタクトセンターは沖縄県那覇市にあり、全国のオーナー様からのご相談を全て受け付ける窓口となっています。私はそこでデータ集計や、実際にお客様対応を行っていただいている株式会社 エプコさんとの業務連携などを担当しています。エプコさんは、さまざまな企業のコールセンター業務を代行されており、亀濱さんと白倉さんは当社ブースの管理者になります。
― モバイルウェブによるWebアンケート導入に向けた課題、きっかけはどのようなものだったのでしょうか?
甲斐氏: コンタクトセンターにかかってくるお電話の大半は、修理やメンテナンスのご相談です。お電話で状況を確認後、修理業者を手配して直していただく流れになっています。実際に修理が完了したら、これまではあらためてお客様に架電し、コンタクトセンターの応対満足度を測るアンケートを実施していました。
ところが、この方法ですとオペレーターが直接話をお伺いするため、お客様も率直な意見は言いづらいようで、本音を引き出しにくいという課題がありました。また、なかなか電話がつながらず、何度も再架電が必要になってしまうケースも多く見られました。
亀濱氏: アンケートの目的は、コンタクトセンターの業務品質の改善につなげていくことでした。しかし、回答いただけた場合でも、改善につながるようなある種マイナスのコメントはほぼもらうことができず、PDCAの流れが構築できなかったのです。
また、コンタクトセンターの窓口はかなり繁閑差が激しく、月ごとにアンケートのための架電数が安定しないことも課題の一つでした。多いときでも月に400件ほどで、お電話がつながらない場合は3回まで再架電をするのですが、1回目に出ていただけないとほぼつながらず……といった状況です。お問い合わせいただくお客様の受電対応を優先するため、繁忙期にはアンケートの架電自体を中止することもありました。
甲斐氏: そうした課題を解消できればと考えていたところ、NTTコム オンラインさんから提案をいただきました。実は、モバイルウェブのWebアンケートを導入する前に、SMS送信サービスの「空電プッシュ」を利用したWebへの誘導施策を始めていました。お問い合わせの受電にオペレーターがすぐ対応できない場合、ガイダンスによる選択肢をお伝えし、Webからの問い合わせを希望されたお客様に該当ページのアドレスをSMS送信するといった取り組みを行っていたのです。その流れもあり、WebフォームとSMSを活用した施策の第2弾として、モバイルウェブでアンケートフォームを構築し、空電プッシュで送信する方法に切り替えることにしました。
― 導入へ至る上で、一番のポイントとなった点を教えてください。
亀濱氏: NTTコム オンラインの営業担当者さんから説明いただいた際、Webアンケートフォーム自体をモバイルウェブのサービス内で用意でき、先に使っていた空電プッシュと連携して送付できると伺いました。アンケートフォームの構築からSMSによる送信、回答の集計までを一気通貫でできる点は、利便性を考えると非常に良かったと考えています。
― 現在、モバイルウェブはどのような流れで活用されていますか?
白倉氏: 前月に修理を完了したお客様のデータを、月の初めに集め、その中で連絡先を携帯電話に指定されているお客様、問題なく修理が実施されたお客様といった形で整理します。精査した電話番号のデータを空電プッシュに読み込ませる形で、同月の半ば頃にWebアンケートの依頼をSMSで一斉送信しています。
甲斐氏: アンケートフォームは、当社からお聞きしたい質問項目とどういったアンケートにしたいかをNTTコム オンラインの担当者さんにお伝えして相談しながら作っていきました。
― モバイルウェブを導入したことでの効果やメリットについてお聞かせください。
甲斐氏: Webアンケートの場合、お客様のご都合に合わせたタイミングで回答が可能です。これまで架電時につながらないケースや、受電状況によってアンケート自体を中止していたことなどを鑑みると、ひと月に回収できる回答数は増えています。
中部エリアのみでの試行段階の結果にはなりますが、第1回のWebアンケートは306件送付して84件回収できました。その内送った当日にご回答いただけたものが66件。有効回答数の80%に上り、レスポンスの早さに驚きました。また、架電でヒアリングを行ったときよりも、応対への満足度は低い傾向が確認されていますが、この点はむしろ、課題となっていたお客様の「本音」が現れてきた結果によるものと捉えています。フリーコメントでも、本音を聞き出せていると感じる内容が増えましたね。
白倉氏: 思いのほかコメントを書いてくれる方が多く、改善につなげられるポイントをたくさん拾えていると感じています。私たちの対応に関わる声のみならず、修理を手配した後の流れや、業者さんについてもコメントをくださる方がいらっしゃいました。
加えて、集計工数面でのメリットも生まれています。これまではお電話で聞いた話をオペレーターが手入力し、そのデータを集計する手間がありました。モバイルウェブでのアンケートに切り替えてからは内容を精査するのも1名で済みますし、簡単に素早く正確な集計結果をまとめられています。その分、集計に関わっていた担当者がお問い合わせの対応に回ることができ、受電率の向上にも寄与しているのではないでしょうか。
亀濱氏: お客様の声をきちんと拾えているところは一番のメリットですね。まだ検証中ですが、現状でひと月あたり1.6人分の工数削減が見込まれています。その分のオペレーターを受電業務にシフトすることで、受電率を100%に上げていくようにしたいと考えています。
― 今後のモバイルウェブのご活用方法について考えられていることがあれば教えてください。
甲斐氏: 今後は、オペレーターの対応品質に関する回答と、それ以外の作業に関するコメントを明確にするため、設問を増やしてもう少し中部エリアで検証する予定です。2024年1月頃からWebアンケートを全国展開できればと考えています。