多くの日用品や化粧品を取り扱う花王株式会社様。生活者コミュニケーションセンター(コールセンター)の対応について、より広く、より多くのお客様からアンケートを取るために、2023年10月、モバイルウェブを導入しました。「以前は、年1回、はがきでアンケートを取っていましたが、モバイルウェブのWebアンケート機能を活用することで日常的にアンケートが取れるようになりました」。こう話すのは、生活者コミュニケーションセンターに所属する後藤氏。ほかに、坂上氏、高村氏、田中氏の計4名の皆様に、導入の経緯やWebアンケートの魅力、Webアンケートと並行して活用しているビジュアルIVRについてお話しいただきました。
郵送ではアンケート数に限りがあり、一部のお客様にしかアンケートを届けられていなかった
年1回のアンケート送付だったため、リアルタイムで反応を確認することが難しかった
営業時間外にお電話いただいたお客様のお困りごとを、迅速に解決できる方法を充実させたいと考えていた
アンケートの送信数が大幅に増え、お客様の声をより多く集められるようになった
ほぼリアルタイムで、オペレーターの対応に関するお客様の反応がわかるようになったことでより迅速にオペレーターの応対品質向上、モチベーションアップにもつなげられている
営業時間外にお問い合わせ電話をかけてきたお客様に対し、ビジュアルIVRで、お困りごとの解決につながるメニューを案内できるようになった
― まずは皆様が所属する「生活者コミュニケーションセンター」についてお聞かせください。
後藤氏: 生活者コミュニケーションセンターは、花王製品に関するお問い合わせを中心に受け付けているセクションです。単にお客様からのお問い合わせに対応するだけでなく、製品に関する情報の発信や、手洗い・洗濯・スキンケアなどに関する講演活動、社内の各部門にお客様のご意見を届け品質改善に役立ててもらう品質保証活動など、幅広い取り組みを行っているところが特徴です。お客様の声や目線を大切に、社内外に向けて、積極的な働きかけを行っています。
― 2023年10月に、生活者コミュニケーションセンターでモバイルウェブを導入されたとのこと。ご検討の理由や経緯についてお教えください。
坂上氏: 生活者コミュニケーションセンターでは、「お客様の声を製品やサービスの改善に生かす」ことを大切にしています。この思いや理念を軸にして、10年以上前から、はがきでお客様のご意見をお聞きする取り組みを行ってきました。
はがきの場合、センターにお電話をかけてきてくださった方の中から、商品を交換したなどの理由で住所がわかっている方を対象に、年1回はがきをお送りしていました。年間のお問い合わせ電話が約14万件ありますから、そのうちの1.5%程度の限られた方にしかアンケートはがきをお送りできていないということに課題を感じていました。
「もっと広く、多くの方にアンケートをお送りして生の声を集めたい」「リアルタイムでお客様のご意見をお聞きして、スピーディーに業務改善に生かしたい」というような思いから、はがきに代わる新しいお客様アンケートの仕組みを探し始めました。
― モバイルウェブのどのような点が魅力だったのでしょうか。
坂上氏: モバイルウェブのサービス説明を聞いて魅力的だと感じたのが、「お客様の携帯番号さえわかれば、すぐにSMSで、アンケートページのURLをお送りできる」というところ。検討初期は、例えば、「対応終了後にオペレーターがそのまま口頭でアンケートを取る」といったことや、「音声IVRでアンケートを取る」などの手段も考えたのですが、それよりも手軽で手間がかからず、ほしい情報がしっかり取れると思いました。また、オペレーターにとってもお客様にとっても操作や扱いが簡単で、「続けられそう」だと感じたところもポイントですね。日常的に、継続して、多くのアンケートを取りたいと考えていましたので、シンプルに運用できる点にも惹かれました。
― ほかに、なにか決め手になった点はありますか? 検討時によいと思われた点がありましたらお聞かせください。
後藤氏: WebアンケートだけでなくビジュアルIVRが使えると聞いて、とてもいいなと思いました。といいますのも、Webアンケートを導入しようと考えていた時期に、並行して、コールセンターのサービスを拡充しようと検討しておりました。「夜間や休日などオペレーター対応時間外にかかってきたお電話を、自動音声とSMSでビジュアルIVRに誘導し、そこからFAQページなどのWebページをご案内して自己解決につなげていただけるといいね」と話していたところだったのです。
モバイルウェブを導入すれば、Webアンケートが実施できて、さらにビジュアルIVRも利用できる。ひとつのサービスや契約で複数の課題が解決するところにも魅力を感じました。
― 導入後、どのようにモバイルウェブを活用していらっしゃいますか? まずはWebアンケートのご活用方法と、効果やご感想についてお聞かせください。
坂上氏: お問い合わせのお電話に関する対応が終わったあと、お客様に「SMSでアンケートをお送りします」とお伝えし、終話後、すぐにSMSでWebアンケートのURLをお送りしています。アンケートの内容は、オペレーター対応の満足度、対応の推奨度(NPS)、花王の印象を問うようなもの。ほかに、会社や製品についてのご意見も自由記入という形でお聞きしています。
使ってみて便利だと感じているのが、日々の送信数や回収率が確認できるところ。はがきに比べ早く確実に「何件送って、どのぐらい反応があったか」が追えるようになりました。なにより、日々、リアルタイムで、お客様からの生の声がいただけるところがいいですね。また、送信するSMSに、オペレーターごとの情報を付与したWebアンケートのURLを記載できるところもよいと感じています。これによって、アンケート回収後に「この回答は、このオペレーターの対応に関する回答だ」ということがわかるようになり、より効果的なフィードバックができていると実感しています。
高村氏: 実際に現場のオペレーターからも、「自分の対応のどこがよかったのか、よくなかったのがわかり、とても参考になる」「お客様のニーズや喜ばれる対応が把握できるようになってきた」「すぐにお客様の反応がわかり、モチベーションにつながっている。アンケートを見て『また明日も頑張ろう!』と思うことが多くなった」と、前向きな声が挙がっています。
坂上氏: アンケートの送信数は、はがきのときに比べて大幅に増加しました。回収率も5割程度で推移しており、当初の狙い通り、より多くのお客様から、多くのお声をいただけるようになったと感じています。
― ビジュアルIVRについてはいかがでしょう? 活用のフローや効果についてお聞かせください。
後藤氏: まずは営業時間外にかかってきたお電話を、フリーダイアルの仕組みで「固定電話か」「携帯電話か」に振り分けます。携帯の場合のみ、音声ガイダンスで、花王のホームページやAIチャットボットへ誘導するメッセージを流し、お客様のご要望に応じて、SMSでビジュアルIVRのURLをお送りしています。
現在のメニューは、誤飲をしてしまった際などの緊急連絡窓口、製品の取扱店検索、よくある質問をまとめたFAQ、メールでの問い合わせ窓口などで構成しています。まだ運用し始めて半年に満たないですが、メニューをわかりやすくしたり、LINE対応への誘導を検討するなど、より活用していただけるよう工夫をしていきたいと考えています。
― 最後に、今後の展望についてお聞かせください。
田中氏: Webアンケートについては、多くのお客様にアンケートを届け、回収し、応対品質の向上や改善につなげるというサイクルを、いかに早く回すかということを追求したいですね。今後も花王らしく「お客様の声を大切に」、センターのサービスのクオリティを高めていきたいと思っています。