パナソニック株式会社の社内カンパニーとして、照明器具、電設資材などを製造・販売しているパナソニック株式会社 エレクトリックワークス社様。
CX向上を目的に商品別フリーダイヤルを新設し、認知拡大および利用促進のため、モバイルウェブのビジュアルIVRを導入されました。「従来のフリーダイヤルにお電話いただいたお客様に、タイムリーに新しい商品別フリーダイヤル番号をお伝えし、すべてのお客様にご利用いただきたい」、そんな想いと目的で、現在もビジュアルIVRをコミュニケーション手段として活用していると言います。導入前に抱えていた課題や詳しい活用方法などについて、同社CSセンター 顧客ネットワーキング企画部の三好氏にお話を伺いました。
CX向上のため新しい商品別フリーダイヤルを設けたが、思うように切替が進まなかった
新しい商品別フリーダイヤルの認知拡大と利用促進のための最適な手段を探していた
お電話いただいたお客様にタイムリーにビジュアルIVRページ(新しい商品別フリーダイヤル掲載および電話帳登録変更方法ご案内ページ)のURLをSMS送信している
導入前50%であった切替率が導入後4ヶ月で72%(上昇率:+145%)にアップした
― 貴社の概要についてお教えください。
三好氏:
パナソニックグループは、2022年4月に持株会社制へと移行しました。当社はパナソニックホールディングス(株)傘下のパナソニック株式会社の5カンパニーのうちの1つであるエレクトリックワークス社です。「いい今日と、いい未来を電気設備から。」を事業スローガンとし、住宅照明やオフィス・施設用照明などの照明器具、配線器具や分電盤などの電設資材、家庭用燃料電池「エネファーム」などを製造・販売しています。
直近では、甲子園球場の照明設備なども担当させていただきました。最近は、製造・販売だけでなく、照明の演出プランの設計・ご提案などにも力を入れております。コンタクトセンターにお電話でお問合せいただくお客様は、約70%が法人のお客様であり、30%が個人のお客様です。法人のお客様をメインにビジネスを展開しています。
― 三好様が所属されている部署について、お教えください。
三好氏: 全社直轄部門のCSセンターは、パナソニック株式会社エレクトリックワークス社が扱う商品のご相談受付窓口であるコンタクトセンターを企画・管理するセクションです。コンタクトセンター拠点は、大阪府門真市のパナソニックオフィス内にあり、電話、Eメール、チャットボット、FAQなどオムニチャネルのセンターを約350席で運営しています。お電話でのお問合せ件数は、年間約70万件です。パナソニック製品をご愛用いただくお客様とのコミュニケーションを通じて、CX/CS向上および事業貢献を両立し、プロフィットセンターとしてビジネス貢献することがミッションです。その中でも私が所属する顧客ネットワーキング企画部は、コンタクトセンター向けの新規システムソリューション導入および利活用(DX推進)により、CXと生産性向上の両立(最適化)を実現することが主な役割となります。
― 2022年1月に、商品別フリーダイヤルを新設されたとお聞きしました。これが、のちにビジュアルIVR導入につながったとのこと。まずは、商品別フリーダイヤルを新設された理由についてお聞かせいただけますか?
三好氏: 当社が扱う商品は非常に多岐に渡り、商品カテゴリー毎にお問合せ対応できるようコンタクトセンター体制を構築し、運営しています。従来は、フリーダイヤルを一本化していたため、どうしてもオペレーターに接続するまで音声案内ガイダンス(以下、IVR)が長くなっていました。お客様から「短くしてほしい」とご要望をいただくこともあり、「接続までの時間を短縮したい」「お客様をお待たせしないようにしたい」と考えるようになりました。そこで、新たに商品別フリーダイヤルを設けることで、IVRガイダンスを大幅に短縮し、オペレーターに接続までの時間を短くするため、商品別フリーダイヤルを新設しました。
― 新設した商品別フリーダイヤルには、どのような課題があって、空電プッシュとモバイルウェブ ビジュアルIVRを導入されることになったのでしょうか?
三好氏: 最大の課題が、法人のお客様が多いためか「なかなか新しいフリーダイヤルに切り替えてもらえず、利用数が伸びていかなかった」こと。新しいフリーダイヤル番号を記載したカードを作成し、営業本部を通じて取引先様に配布するなど、認知拡大と利用を促進したのですが、導入から半年経過したあとも従来のフリーダイヤルにお電話いただく件数が多い状態が続いていました。
「従来のフリーダイヤルにお電話いただいたお客様に、タイムリーに新しいフリーダイヤルをお伝えし、ご負担をお掛けすることなく、スムーズに移行していただく方法はないか」と熟考した結果、ビジュアルIVR導入に至りました。
― ビジュアルIVRに着目されたのですね。ビジュアルIVRを導入された決め手についてお聞かせください。
三好氏:
まず、NTTコム オンラインのビジュアルIVRは、従来のフリーダイヤルにお電話いただいたお客様に対して、ショートメッセージサービス(以下、SMS)を利用し、タイムリーにビジュアルIVRページ(新しい商品別フリーダイヤルを記載したページ)をご案内することが可能である点です。先ほど申し上げたように、タイムリーに新しいフリーダイヤルをお知らせし、お客様にご負担をお掛けすることなく、利用を促進することができます。また、導入検討時にお問合せいただくお客様は、リピーターが70%存在していることがデータから分かっていました。シミュレーションの結果、リピーターのお客様が多いことで、大きな導入効果を期待できると考えました。但し、新しいフリーダイヤル番号をご案内しただけでは、認知にすぎません。ビジュアルIVR導入の目的は、認知の先にある利用です。すべてのお客様に新しいフリーダイヤルをご利用いただき、従来と比べてエフォートレスに問題解決ができる顧客体験をしていただくことが最終ゴールです。そのゴールを見据えたときに、ビジュアルIVRでは、新しいフリーダイヤルの記載だけでなく、電話帳登録変更方法を記載したページを設けたいと考えました。法人のお客様が多い点から、従来のフリーダイヤル番号を携帯に電話帳登録しているお客様が多く存在すると想定していました。NTTコムオンライン様にご相談の結果、電話帳登録変更ページを設けることができることになり、これなら利用促進の手段にもなると感じました。ビジュアルIVRに記載の電話番号からワンタップで発信操作ができる点もお客様にとって利便性が高いと考えました。
最後に、当社側で簡単かつスピーディーにビジュアルIVRページを改修できることです。今回は、「新しいフリーダイヤルの認知拡大および利用促進のための手段」を目的に導入しましたが、次のステップとして、お電話いただいたお客様に、FAQ、チャットボットなどの他チャネルをご案内する手段として利用することを検討しています。最近多くのコンタクトセンターでの利用されている方法と同じく、最適なチャネルへの誘導手段として活用することです。導入後は当然トライ&エラーが伴うものであり、弊社側でビジュアルIVRページをスピーディーに改修できることが欠かせない条件でした。次なる活用方法として、コンタクトセンターのコストとCXの両立(最適化)のためにビジュアルIVRを更に利活用していくことも見据え、導入を決定しました。
― どのように活用されているのでしょうか?詳しい活用の流れをお聞かせください。
三好氏:
法人のお客様と個人のお客様で少し運用フローを変えています。法人のお客様については、従来のフリーダイヤルにお電話いただいたお客様に対し、IVRにて①「新しいフリーダイヤルをパナソニックホームページにてご案内しています」、②「従来のフリーダイヤルは、2022年12月末で終了します」③、「後日、新しいフリーダイヤル番号をSMSでご案内します」という3点をお伝えしています。その後、オペレーターに接続し、一旦お電話にてお問合せを受け付けます。原則、お電話いただいた翌日に「前日に従来のフリーダイヤルに携帯電話よりお電話いただいたお客様」に、SMS送信サービス「空電プッシュ」を使い、ビジュアルIVRページ(新しい商品別フリーダイヤルを記載したページ)のURLを一斉送信する、というフローで運用しています。
個人のお客様については、新しいフリーダイヤルをご案内するまでのフローは同じなのですが、IVRにて「新しいフリーダイヤル番号をSMSにて送信しても良いですか?」とお伺いし、ご希望のお客様に、タイムリーにビジュアルIVRページURLを記載したSMSを送信しています。
― ①翌日一斉にSMSを送信するパターンと、②ご希望をお伺いした上でタイムリーにSMSを送信するパターンの2種類の活用方法を試されているのですね。
三好氏: はい、効果検証目的として、2パターンの方法で運用を開始しました。お客様の反応は企業側が想定していたとおりにならないことも多く、日々データをトラッキングして、高速PDCAを回すことが重要だと考えています。現時点では、①の場合、携帯電話よりお電話いただいたお客様全員にSMSを送信するため、相対的に送信件数が多くなり、効果的であると感じています。②のご希望を伺った上で送信するパターンの場合は、SMS送信数が30件/日程度と少なくなりますので、当然ながら、SMS送信をご希望のお客様だけに送るわけですから、送信数が限定的になります。
とはいえ、SMSを送信した方は、確実性高くビジュアルIVRページにアクセスし、新しいフリーダイヤルを利用してくれる点は、メリットです。現在、どちらのパターンが切り替えに貢献しているかを分析していますが、その他の方法も含めて、更に効果的な結果が得られるアクション検討を進めています。
― ビジュアルIVRを導入したことにより、どのような変化があったかお聞かせください。当初の目標どおり、新しいフリーダイヤルへの切り替えは進んでおりますでしょうか?
三好氏: KPIとして、従来のフリーダイヤル問合せ件数+新しいフリーダイヤル問合せ件数を分母、新しいフリーダイヤル問合せ件数を分子として、「FD切替率」を日々モニターしています。導入から約4ヶ月が経過いたしましたが、法人のお客様の切替率は、50%→72%(+145%)まで上昇し、目標を上回る結果が出ています。また来年1月には、更なる切り替え促進を図るべく、新しいフロー構築による新規アクションを計画しています。これまでにない新しい仕掛けを導入予定です。引き続きビジュアルIVRの利活用により、CX最大化を実現していきたいと考えています。同時に最適なチャネル提案手段を目的とした利用も検討を続け、新しいフリーダイヤルへの100%切り替えが完了したあとも、ビジュアルIVRの活用を継続いたします。