ライオン株式会社様

ソーシャルリスクへのアラートだけでなく、
トレンド分析や業界動向、社員の勉強会などにも
情報が活かされている

国内外に拠点を構える生活用品メーカー、ライオン株式会社。同社のお客様センターに、ソーシャルメディア上に広がるお客様の声を聞くため導入されたのが、24時間365日体制での監視体制と経験豊富なコンサルタントによる「ソーシャルリスニングサービス」でした。
ここではその経緯と導入後の活用ぶりについて、統括・リスク対応チームの鶴見氏、小林氏、潮木氏にうかがいました。

ライオン株式会社 お客様センター 統括・リスク対応チーム
リーダー 鶴見 雅彦 氏(中央)
小林 直樹 氏(右)
潮木 久美子 氏(左)

「お客様の声」の全体像をつかむためにソーシャルメディアは欠かせない

― はじめに、貴社の事業と皆様のご所属先についてお聞かせいただけますか。

鶴見氏 : ライオン株式会社は創業以来約130年続く生活用品メーカーです。「より良い習慣づくりで、人々の毎日に貢献する」というパーパスを掲げています。
人々の毎日に貢献するには、まずお客様にライオン製品の価値を認めていただき、その上で選んでいただかなければなりません。
我々が所属する「お客様センター」は、そのためにお客様の声へ真摯に耳を傾け、製品情報や生活情報を提供し、得られた情報を社内にもフィードバックして製品・サービスの向上に反映するといった役割を担っています。

― お客様センターでは、従来、どのような課題を抱えていらしたのでしょうか。

鶴見氏 : お客様の声といえば、従来はお電話やメールで直接頂戴するものが主流でしたが、近年は若い世代の方を中心に、ソーシャルメディア上などで情報発信をされる方も増えています。お客様の声の全体像をつかむには、やはりソーシャルメディア上の情報もしっかり聞いていくべきだということで、まず他社のいわゆる検索システムを使って調査を始めました。
ところが、検索システムでは1つ1つの声を拾うことはできるのですが、全体を俯瞰するといいますか、「こういう声がこのくらいある」といったボリューム感、全体的な潮流を捉えることはできませんでした。
また、ソーシャルメディアでは声が上がるタイミングも重要ですが、社内で24時間の監視体制を組むのは難しいという課題もありました。そもそも、起きている事象のリスクの高さを判断するスキルも、当時の社内体制だけでは十分とはいえなかったのです。

グローバルもローカルも含めて俯瞰できるパートナーが必要だった

― 「ソーシャルリスニングサービス」導入のきっかけはどのようなことだったのですか。

鶴見氏 : 先に挙げた課題を解決するには、社内だけで取り組むのではなく、専門的な知見を持って一緒に取り組んでもらえるパートナーが必要だと考えました。

潮木氏 : それも、グローバル拠点を含めて俯瞰しながら見られるパートナーということで、NTTコム オンライン様とテスト運用に入らせていただきました。グローバルもローカルメディアも隔たりなくご相談できましたし、監視技術、例えばAIのアルゴリズムなどを活用していただきつつ、それだけに頼らず目視も大切にしてくださるところは重要なポイントでした。
目視を重視する理由のひとつが、我々の社名「ライオン」です。ご存じの通り動物の名前を示す一般名詞で、同名の企業も多数あります。ですから、例えば「ライオン」をキーワードとして検索したときに、こちらが必要しない情報がとても多くなるのです。NTTコム オンライン様はテストの際、そういった点の大変さなどもすぐ理解して一緒に考えてくださったので、とても身近に感じられたのが印象に残っています。

― ソーシャルリスニングサービスはどのように利用していらっしゃるのですか。

鶴見氏 : まず、ソーシャルメディア上の弊社や製品に関連する動きを24時間体制で監視していただいています。重要な案件があった場合は、我々統括・リスク対応チームに通知をいただき、適宜対応するといったフローで運用しています。

潮木氏 : 具体的には、担当者に優先順位をつけておき、まず全員にメールで通知して、誰からも反応がなければまず最優先の担当者へNTTコム オンラインの監視センターから電話をかけ、それがつながらなければ次の担当者へ電話を……という流れです。当初はまず会社メールとskypeによる通知をいただいていたのですが、営業時間外に緊急対応の連絡が入る可能性もあるということで、試行錯誤しながらこの形になりました。

鶴見氏 : これに加えて、祝休日も含めた毎朝、前日の動向がわかる日報をいただいています。そこでどういった案件があったか確認して、通知には至らなくても重要な案件があれば社内に情報共有します。
例えば、コロナウイルスのワクチン接種が盛んに行われていた時期には、「副反応対策でバファリンが欲しいのに、売り切れていて買えない」という声がソーシャルメディア上にどれくらいあるかといった状況や、その推移などを報告し、共有していました。ちなみにこの案件のランクづけ、例えば「この状況であれば静観してよい」、「もっと深掘りしつつ探りたい」、「社内で共有するべき」といった判断基準も、NTTコム オンライン様にコンサルティングいただいたものです。
さらに、国内と海外に分けて、月次の報告会も実施していただいています。弊社に関する内容に限らず業界動向など、広い視点で教えていただけるので、我々にとって重要な場ですね。

― 海外でのソーシャルリスニングにも力を入れていらっしゃるのですね。

鶴見氏 : 我々はグループ会社のグローバルスタンダードを目指しています。そこで、海外ではどのようなことが起きているかを知った上で対応するのと、そういった情報がないまま対応するのではやはり大きく違います。また、海外ではソーシャルメディア上での情報発信が輪をかけて多いということもわかってきましたので、むしろ避けては通れないという感覚ですね。
現在は半年ほどテスト的に運用しているのですが、国別のトレンドやその推移、特徴などといった情報が蓄積できたことで、社内でも注目されるようになり、報告会の参加者も増えてきています。現地駐在員にも好評ですし、我々にとってもメールのやり取りなどではなくリモートでの開催でもあり、その場で一緒に情報共有できる報告会の存在は非常にありがたいですね。

ソーシャルリスクをただ怖がるより、正しい知識を得て活用したい

― 社内でソーシャルリスクに関する勉強会も開催されているそうですね。

鶴見氏 : はい。社員1人1人がそういったリスクをいわゆる「自分ゴト化」できるようにということで、NTTコム オンライン様にもお手伝いいただいて、現在まで5回ほど開催しました。回を重ねるごとに社内の関心が高まっているのを実感していますね。

潮木氏 : 勉強会を始める前に、講習会という形でトライアルをしまして、このときは事業所や研究所の部所長に直接「参加していただけないか」と声をかけて回りました。こういったメンバーが参加してくれれば、きっと各部所の必要な社員に広げていってくれるだろうと。そこで「ソーシャルリスクとはどういうものか」、「炎上とはどういうものか」、「スピード感が重要」、「各部門は何をするべきか」といったところから始めて、実際の相談が持ち込まれればそれにも応じながら、少しずつ広げていったのです。
NTTコム オンライン様には、各業界のソーシャルリスクや、その推移まで本当にリアルに教えていただいていると感じます。例えば今ですと「コロナ禍での変化」や、「ジェンダーに関する認識」など、立場によっては気づきにくいものもありますし、「半年前だったら炎上していなかったのではないか」というように、場面でもどんどん変わっていきますよね。そういったところも常に勉強して、社員のみなさんにフィードバックしたいです。

― 今後、ソーシャルリスニングサービスをどのように活かしていきたいですか。

潮木氏 : 今回勉強させていただく中で、ソーシャルメディアにはリスクばかりではなく、メリットがあることも実感しています。日ごろからお客様との良好な関係を築けていれば、お客様はいわゆる「ファン」として、情報発信に力を貸してくださったり、公式アカウントだけでは伝えられないことを伝えてくださったりする。
私たちにとって、ソーシャルメディアで1人でも多く「ライオンのファン」になってくださる方を増やしていくのは、とても重要なことなのです。そのためにもソーシャルリスクについて学び続け、ファンの方と一緒に新しい「良い習慣」を作っていきたいです。

鶴見氏 : ソーシャルメディアはお客様との双方向のやり取りができる重要な場だと考えています。確かにリスクもありますが、そこは弊社社員がきちんと認識した上で、うまくお客様とコミュニケーションできればいいわけです。ですから、ソーシャルリスニングサービスを通じて、ソーシャルリスクに向き合う社風の醸成や、そのための武器となる知識の蓄積をしていきたいですね。

ソーシャルリスニングサービスが、ソーシャルメディアとポジティブに向き合うための一助となれて大変うれしく存じます。今後もフレッシュな情報と安定したサービスでお役に立てるよう努めてまいります。本日はありがとうございました。

課題

  • お客様の声の全体像をつかむため、ソーシャルメディアを俯瞰で捉えられる体制が必要に。
  • 国内だけでなく、海外も含めたグローバルな体制を整えたい。
  • 担当部所だけでなく社員1人1人に、ソーシャルリスクと向き合うための知見を蓄えたい。

効果

  • 緊急連絡、日報、月次の報告会といった細やかな情報共有で、自社だけでなく業界や社会全般の動向も俯瞰できるように。
  • グローバルの月次報告会は海外ならではの動向を知る場にもなり、参加者も増加傾向。
  • 最新の情報を得られる勉強会が、社員にとってソーシャルリスクを「自分ゴト化」するきっかけに。

お客様プロフィール

ライオン株式会社

https://www.lion.co.jp/