2021/07/27

営業活動に変革をもたらすDX(デジタルトランスフォーメーション)とは?導入のメリットや成功事例も紹介

IT技術の進化に伴い、営業における「DX(デジタルトランスフォーメーション)」の実現が求められています。しかし、DXとデジタル化とは何が違うのか、アフターコロナではどのような変革が求められるのかなど、今ひとつわからないと感じている営業職の方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、営業職が理解しておくべきDXの基本、メリット、導入事例などを紹介します。

DXとは

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、企業が情報技術を活用して新たな価値を創出し、自社のビジネスをより良い方向へと変革することです。「デジタル化」が、単に情報技術やITサービスの導入を指すのに対し、「DX」は”デジタル技術を活用した変革”を指し示します。

DXの定義

DXの概念を初めて提唱したのは、スウェーデンの情報科学者エリック・ストルターマン教授です。2004年、教授はDXについて「進化した情報技術が人々の生活の隅々にまで浸透することで、人間の暮らしがあらゆる面でよい方向に変革する」と定義しました。いわば、世界の趨向を指摘したものです。

一般的に、現在のDXは、より積極的な視点から定義されています。たとえば、経済産業省の定義は、次の通りです。

「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」

(参考:経済産業省「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX 推進ガイドライン)

営業における課題とDX

テレアポや飛び込みなどの「足で稼ぐ営業」は非効率的であり、属人性の強さや無駄の多さに問題を感じている人も多いでしょう。この課題を情報技術で解決するためデジタルツールを導入する企業は増えていますが、今ひとつ成果を出せていないケースも多いようです。

営業におけるDXの第一歩は、「情報技術を活用した業務の効率化、最適化」です。しかし、それだけではなく、DXでは「顧客に新たな価値を提供すること」が重要です。

たとえばAmazonやGoogleは、情報技術の活用により人々に新しい生活をもたらしました。そして、AmazonはBtoB通販に、Googleは金融サービスに参入するなど、さらなる新しい展開を視野に入れています。DXではこのように、社会やマーケットの動きに合わせた柔軟な変革が求められます。

DXを行う理由・メリット

営業活動にDXを取り入れると、さまざまなメリットがあります。ここでは3つのポイントを紹介します。

アフターコロナ時代の優位性確保

新型コロナウイルス感染症の拡大は、対面での営業を困難にしました。この時期に急遽オンライン会議ツールを導入した企業も多いでしょう。withコロナ時代では、事業回復に向けた取り組みという側面が目立っていたDXですが、アフターコロナ時代には、ニューノーマルへ向けた優位性の確保につながります。

そのためには、情報技術を対面営業の”代替”として使用するのではなく、”新たな価値を生むために活用する”という視点が重要です。

生産性の向上

DXを営業活動に取り入れることで、生産性の向上が期待できます。たとえば、オンライン商談には、移動時間や交通費、出張の労力を削減できるというメリットがあります。営業拠点を少なくできれば、オフィス費用の削減にもつながります。

また、SFA(Sales Force Automation/セールス・フォース・オートメーション)やCRM(Customer Relationship Management/カスタマー・リレーションシップ・マネージメント)ツールを活用すれば、営業プロセスや進捗を可視化することができます。営業活動を見える化することで、課題の明確化や優れた営業のノウハウ共有になり、効率的な営業活動につなげることができます。

マネジメントの効率化

DXによりツールを活用すれば、営業案件の動きや営業活動の記録を容易に把握、共有できます。定量的なデータから、社員一人ひとりの傾向や長所・短所を把握することも可能で、マネジメントの効率化につながります。

また、オンライン商談を積極的に活用すれば、管理職が同行することなく、自席で商談に同席したり、録画した会話をあとから確認したりできます。このため、指導する機会を増やす効果も期待できます。

DX化により変革する営業活動のフェーズ

営業活動にDXを取り入れるとどのような変化が起きるのか、フェーズごとに具体例を挙げて説明します。

リード獲得

リード獲得の方法と言えば、かつては飛び込み営業やテレアポなど、属人的に足で稼ぐ方法が主流でした。しかし、これらの方法は、多くの時間とコストが必要で、社員の負担が大きいという欠点があります。

DXを取り入れると、リード獲得の方法は、メールやWebコンテンツなどデジタルチャネル使った戦略に変化します。一度にたくさんの相手にアプローチできるため、効率的です。また、返信や問い合わせのあった、確度の高い見込み顧客に焦点を絞り込むことが可能になります。

顧客育成

顧客育成とは、見込み客を購買する状態へと育成することです。既存顧客をリピーターに育成することも指します。顧客育成の決め手は、いかに相手に響く提案ができるかです。

このフェーズでは、オンライン商談や相手の課題感にあったメール配信が有効です。距離を問わないオンライン商談の導入は、提案の質やスピードの向上につながります。また、見込み客を業種や関心度などでグルーピングし、配信コンテンツを分けることで、より見込み客の課題にあった情報を届けることができます。

顧客分析

DXによるツールの活用は、顧客分析にも効率化をもたらします。Excelでの管理と違い、複数の人で作業したり、リアルタイムに情報を分析・共有したりすることができます。蓄積されたデータをAIが分析してくれるツールもあります。

顧客分析を行うツールとして適しているのがSFA(Sales Force Automation/セールス・フォース・オートメーション)です。SFAは、科学的かつ自動的に、営業活動を支援します。たとえば、どのような商談が受注される割合が高いのかSFAで分析することで、売上の拡大が期待できます。

営業のDX事例

DXを導入して営業の仕組みを根本から変えることに成功した、国内外の3つの事例を紹介します。

国内IT企業:富士通の事例

富士通は、DXを推進する立場から営業の役割を見直し、営業職を撤廃しました。代わりに、顧客を直接サポートするビジネスプロデューサー職を設置し、インサイドセールスを行う部署が商談や社内調整をバックアップしています。

富士通のような変革には、最新システムを活用した社内連携が欠かせません。担当者には商品やサービスの知識だけでなく、解決力やコミュニケーションスキルが必要です。

海外製造業:テスラの事例

テスラは、2019年、一部の店舗を閉鎖し、オンラインでの車の販売にシフトしていくことを発表しました。車のオンライン販売は、これまでの常識を覆す変革でした。試乗できないデメリットについては、一定の期間または走行距離内であれば、全額返金するという対応をとっています。

テスラの事例は反発のリスクも大きく、実際に店舗の閉鎖は、当初の発表より縮小された経緯があります。しかし、顧客の課題の範囲によっては、応用可能な方法と言えるでしょう。

海外IT企業:マイクロソフトの事例

WindowsやOfficeシリーズで知られるマイクロソフトは、競争上の優位性を確立する戦略として、クラウドを基盤としたビジネスモデルをスタートさせました。Office365のクラウドサービスは利用のしやすさからユーザー数を伸ばし、2014年から2019年の5年間で、収益は約1.3倍となりました。

マイクロソフトのようにビジネスモデルを大きく変革させるには、戦略とビジョン、変化への期待値が高い社風が必要です。

DX営業を成功させるポイント

営業においてDXを成功に導くには、意識すべきポイントがあります。ここでは4つのポイントを紹介します。

顧客の状況や課題を把握する

まずは顧客の状況や課題を把握することがポイントです。顧客との接点のどこをデジタル化すべきか、十分検討しましょう。DX化では、自社の営業活動ばかりに注目しがちですが、DXとは、「自社の営業活動」と「顧客の購買行動」の全体の最適化を実現することです。

顧客の状況や課題を把握する最適な方法は、実際の顧客にヒアリングすることです。時間はかかりますが、自社の思わぬ価値や長所・短所を知る機会になります。

営業プロセスを再構築する

営業においては、特に「足で稼ぐ」固定概念を捨てることが必要不可欠です。変化を受け入れ、従来の成功体験に執着するのはやめましょう。そのうえで、営業プロセスを、デジタルツールの活用を前提としたものへと、再構築を行います。

既存のプロセスにツールを組みこむやり方では、大きな成功は期待できません。ツールができることと、どう使いたいのかをしっかり洗い出し、再設計する営業プロセスに取り入れましょう。

DX人材によるチームをつくる

DXを成功に導くには、人材も重要です。DX専任の人材を、抜擢もしくは採用しましょう。ただし、チームの全員がDXの知識がある社員である必要はありません。

ITスキルやDXの知識がある人だけでなく、マーケティング部門と連携し、顧客のニーズを把握しているメンバーも入れましょう。また、営業のDX化に対する理想やビジョンを持っている、営業企画・営業推進部門の社員もメンバーにします。現場を理解する社員の起用がポイントです。

自社に合うツールを選ぶ

DXを推進するツールは複数あります。その中から、自社の課題と目的にあったデジタルツールを選ぶのがポイントです。いくつかのツールを比較検討し、実際に使う人の意見に耳を傾けましょう。

必ず、全体設計をしてからツールを選びます。全体の設計や企画をせずにツールの選定や導入を行ってしまうのは、失敗のもとです。

これからの時代を生き抜くために必要なDX。目的にあったツールで促進を

ニューノーマルなこれからの時代への備えとして、戦略的なDX導入プランを立てることは、避けて通れません。デジタルを駆使し、社会の変化に柔軟に対応できる営業部門なら、変革期を生き抜くこともできるでしょう。

自社にあったツールを選び、ぜひ変革への一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

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