2022/10/26

リモート商談とは?導入のメリットとツールを選ぶポイント

リモート商談は、オンライン上で画面越しに顧客とやり取りする商談スタイルです。新型コロナウイルス感染症の拡大や働き方改革などの影響もあり、対面での営業や商談の機会が減った現在、最適な対応策として多くの企業から注目を集めています。

この記事では、リモート商談のメリットや注意点、使用するツールの選び方などについて詳しく解説します。リモート商談を取り入れ、効果的に運用するためのポイントも紹介するため、テレワークや在宅勤務に伴う商談のリモート化を検討している方はぜひお役立てください。

リモート商談とは

リモート商談とは、名前の通り遠隔で行う商談のことです。相手と直接対面することなく、ビデオ通話を利用してオンライン上で取引先や見込み客と商談を実施します。インターネット接続とパソコンやタブレット、スマホなどのツールがあれば、自宅やサテライトといったオフィス外でも商談を行うことが可能です。

似た意味の言葉に「オンライン商談」がありますが、実際の内容はリモート商談とほぼ同じです。

リモート商談が注目される背景

近年リモート商談が注目されている背景には、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う対策の実施や、働き方改革の推進の2点があります。それぞれの要因とリモート商談の関係性を踏まえて、詳しく解説します。

新型コロナウイルス感染症の拡大

新型コロナウイルスの拡大は、取引先との関係や社内業務など広範囲に影響を及ぼしています。感染防止のために他人との接触を避けなければならず、自宅でのテレワークへ切り替えた企業も少なくありません。

テレワーク実施にあたって、自宅でもオフィスで働くのと同様に業務を行える環境づくりが必要でした。その一環として浸透したオンラインでの会議システムやコミュニケーションツールは、社外の人との商談にもそのまま活用できます。

オンライン上で必要なやり取りができるリモート商談は非接触のため、自社と顧客双方の安全を確保する目的も満たしています。

働き方改革の推進

オンライン商談のニーズが高まっているもう1つの理由として、働き方改革による働き方の多様化が挙げられます。業務効率化や生産性の向上を目指して掲げられた働き方改革により、オフィスに出社せず、自宅勤務やリモートワークが浸透しました。

その際に、オンラインコミュニケーションツールを用いて必要な対応ができる仕組みが整えられてきました。結果、従来は社員が顧客の元へ直接出向いて行っていた商談やミーティングも、各自がオンライン上で規定の時間に集まる形式へと変化しています。

加えて、リモート商談は社員の移動時間や体力の消費を抑えられるため、残業時間やコストの削減にもつながるでしょう。

リモート商談導入のメリット

リモート商談を導入するにあたって、得られるメリットは多岐に渡ります。リモート商談を行う社員だけでなく、企業全体や顧客にとって良い影響が考えられます。

リモート商談を導入する主な7つのメリットを紹介しますので、既存の手法と比較しながら検討するためにお役立てください。

業務効率化につながる

リモート商談を導入することで、従来かかっていた移動時間を丸ごと削減でき、業務効率化につながります。従来の商談形式では、顧客のオフィスまで出向く必要がありましたが、リモート商談では移動が不要になるため、空いた時間を有効活用できます。

うまくスケジュールすれば、複数の商談を連続して実施できて効率的です。商談の準備にかけられる時間も増えるため、精神的にも余裕を持って商談に望めるでしょう。

また、リモート商談では資料を画面共有してプレゼンテーションを行うことが可能です。デジタルデータは簡単に修正や更新ができ、必要な人へ共有ができるため商談の効率化に役立ちます。

加えて、ビデオ通話など画面上の対話になると無駄な話が減る傾向があります。対面の場合、世間話で多くの時間が取られてしまう場合もありましたが、リモート商談だと比較的ストレートに本題に入りやすく、商談の効率化につながるでしょう。

コスト削減につながる

リモート商談では、顧客の元への移動がなくなるため、交通費や宿泊費などのコスト削減が可能です。

営業社員が商談の場まで移動するのにかかる交通費は、飛行機や新幹線、タクシーを乗り継いで遠方まで行くとなると少額では収まらず、回数が増えれば金額は積み上がっていきます。

特に営業の人数が多い企業では、リモート商談の導入によって交通費が削減できるため、大幅なコストカットが見込めるでしょう。

また、以前は商談に持参していた紙の資料も、リモート商談ではデジタルデータを活用できるので、ペーパーレスが実現します。資料やカタログをオンライン上で表示できるため、お互いが見やすい上、印刷コストの削減にもつながります。

スピーディーな対応で商談までつなげやすくなる

リモート商談の導入は、最初のコンタクトから商談のアポイントまでの時間を短縮するのにも役立ちます。対面式の商談では、オフィスに行って商談を行うために相手の都合を伺い、スケジュールを擦り合わせる必要がありました。また、アポイントを取るのに手間取り、商談まで数週間以上かかるケースも見られます。

一方、リモート商談であれば、出張や業務など参加者が異なる場所にいても参加できます。従来よりスピーディに日程調整でき、短期間で商談に移ることが可能です。

また、会場を手配する必要もなくなるため、会議室が埋まっていて商談が実施できないといった状況も避けられるでしょう。

商談機会が増える

リモート商談は、遠方の顧客とオンライン上でやり取りできるため、商談の機会が増えます。インターネット環境さえあれば、どんな場所でも相手とやり取りが可能です。距離という制限を受けないため、商圏が広がるでしょう。

従来は直接対面することが難しかった遠方の企業や海外の企業などともスムーズに商談を実施することが可能です。結果として、効率的な契約数や売上の向上が期待でき、事業拡大にもつながるでしょう。

ビジネスにおいて、商談が成立するかどうかはタイミングも大きく関係しています。天気や交通機関のトラブルなどの影響を受けないリモート商談なら、大切な機会損失のリスクも減るでしょう。

感染症のリスクを抑えることができる

リモート商談の導入は、感染症対策としても有効です。画面越しでのやり取りのため、人と接触せずに対応できるため、感染症のリスクを抑えることができます。従来のように対面式での商談では、移動中の接触による感染の懸念もありましたが、移動のないリモート面談は心配無用です。

顧客はもちろん、自社の社員の健康を守れる上、商談によって契約や売上の増加という機会も得られるでしょう。

働き方の選択肢が増える

リモート商談の導入と実施に伴い、適切な環境を整備することで、リモートワークなど働き方の選択肢が増えるでしょう。社員が自宅やサテライトオフィスなどから働けるようになると、通勤や移動にかかる時間やコストを削減でき、生産性向上や業務効率化につながります。

また、移動時のストレスも軽減され、社員の満足度やモチベーションの向上も期待できます。さらに、自由な働き方が実現すれば、より多くの優秀な人材を確保できるため、企業の発展や事業拡大につながるでしょう。

ノウハウの共有がしやすくなる

リモート商談の様子を録音・録画しておけば、優秀な社員のノウハウを共有できます。リモート商談で使用するツールの多くは、録音や録画の機能を備えており、商談の会話や様子を保存することが可能です。

実績やスキルがある社員の商談を社内で共有することで、現場での実用的なノウハウやスキルの共有が実現します。具体的なアプローチのやり方や伝え方、失敗例のフィードバックなど、実例を通して学べるため、経験の浅い社員のスキルアップに活かせるでしょう。

リモート商談の様子をリアルタイムで映し出し、バーチャルで現場を体験するという使い方も可能です。

リモート商談の注意点

リモート面談には多くのメリットがありますが、一方で注意点も存在します。デメリットや注意点を知ることは、リモート面談の導入を決める上で重要です。同時に、事前に注意点への対策を取り入れることができれば、より安定したリモート商談を運営できます。

リモート商談を導入する際に気をつけたい注意点について詳しく見ていきましょう。

表情や感情が伝わりにくい

リモート商談は画面越しでのやり取りのため、表情や身振り手振りが伝わりにくい傾向があります。画面に映る範囲は限られており、対面時に伝わるような微妙な感情の理解は行き届きにくいでしょう。

また、オフィスやチームの雰囲気を感じることがオンラインでは難しく、若干ドライな商談の進め方となる可能性は否めません。さらに、オンラインでのやり取りに不慣れだと、相手が目の前にいないと感情を込めにくい場合もあります。

正確に情報が伝わりにくい状況を考慮し、対面での商談よりも大きめにリアクションを返しましょう。少しオーバーな反応により、感情や表情をわかりやすく伝えられます。また、画質を安定させるために、通信環境を整えておくことも重要です。商談の性質に合わせて対応を変えられると理想的でしょう。

すぐに実物を見せることができない

製品の実物をその場で見せられない点は、リモート面談の弱点といえます。実物を間近で見てもらうことで、魅力や特徴が伝わりやすい商材もありますが、物理的なやり取りができないオンライン上だけではアピールしにくいでしょう。

対策としては、商談前に先方宛にサンプルを送付しておく方法があります。商談の日時までに相手方の手元に届くように送り、実物を見てもらいながら画面越しに説明することが可能です。配送の手間はかかるものの、オンラインにおけるデメリットを解消でき、成約率の向上にもつながるでしょう。

ツールの操作に慣れるまで時間がかかる

リモート商談用にツールを導入する場合、操作に慣れるまでに時間を要する可能性があります。通常リモート商談では、ビデオ通話機能や画面共有機能などを搭載したオンラインツールを使います。導入したばかりで不慣れなうちは、操作を理解していないなどで思い通りに使えない場合も出てくるでしょう。

社内のやり取りではなく、リモート商談という場において、手際が悪いと印象が悪くなる可能性があります。「対面であれば成功したかもしれない」と反省することのないよう、操作が簡単ですぐに覚えられるツールを選びましょう。

ネットワーク環境に影響される

リモート商談はインターネット回線を使用するため、ネットワーク環境が不安定だと影響が出てしまいます。通信状況によっては音声や映像が途切れる、接続が切れるといったトラブルが起き、スムーズに商談が進まない可能性があります。

中には電話回線を使用するツールもありますが、現在はインターネット通信を使うものが主流です。企業の業務用無線LANにより、安定した通信環境を確保できるでしょう。自宅からテレワークで参加する場合でも、有線LANを使って回避するなどの対策が必要です。

リモート商談導入のポイント

メリットとデメリットについて理解できたところで、次はリモート商談導入の際のポイントについて解説します。自社に適したリモート商談を実施するために、ぜひチェックしてください。

必要な機器やネットワークを準備する

リモート商談に使用するパソコンやモバイル端末、ネットワーク環境を準備します。ビデオ通話では、ノートパソコンに内蔵されているカメラやマイク、スマホのカメラでも画質や性能は十分ですが、フォーカスを替えられない、画面が小さいなどの不便な点もあります。ビデオ通話に使う外付け用Webカメラやマイクなど、必要な機器を一式揃えておきましょう。

特に、ネットワーク環境はリモート商談の成功を左右する重要なポイントであり、オフィスや自宅など勤務場所ごとに整備する必要があります。現在のインターネット通信の速度が十分か確認し、必要であれば業務用の高速通信回線を導入しましょう。

在宅勤務の場合、企業側が整備費用を部分的に補助するなど、快適なインターネット通信が使えるようサポートすることも大切です。

目的にあったツールを導入する

リモート商談に使用するツールは、それぞれ使える機能や特性が異なるため、目的に合わせて選ぶことが大切です。ビデオ通話機能に加えて、想定する使い方ができるツールを導入しましょう。

具体的な機能例としては、画面録画や録音、資料共有・ダウンロード、スクリプト用メモ、複数人参加機能などが挙げられます。こうしたツールは、相手側もダウンロードが必要なケースが多いですが、中にはブラウザ版があり、ダウンロード不要ですぐに使用できるものも増えています。

テレワークの浸透とともに、オンラインコミュニケーションツールやWeb会議システムが多数登場しているため、リモート商談用に特化したツールを新しく導入することも検討しましょう。

情報の共有を徹底する

リモート商談を含め、リモートワークで業務を進める際には、チーム全体で情報共有をこまめに行い、お互いの状況を把握しておくことが大切です。離れて仕事をするため、部署全体や個人の行動が把握しづらく、作業の進捗や問題対処などに影響する可能性があります。

作業は進んでいるか、クライアント対応に不安はないか、などこまめな情報共有を意識することが重要です。情報共有の頻度が高いと、コミュニケーションによって社内全体で目的を共有できるため、団結力や高い意識を持って取り組めるでしょう。

また、勤怠管理やコミュニケーション、インターネット費用などの扱いに関して、統一ルールを設定することも有用です。

リモート商談ツール選びのポイント

リモート商談を成功させる上で重要なツール選びのポイントを説明します。テレワークの必要性が高い現在、リモート商談向けのツールが多数ありますが、それぞれのツールで仕様や搭載している機能が異なります。

自社にとって最適なものを導入するためにポイントをチェックしましょう。

機能

リモート商談用のツール選びで最も重要なのが、利用できる機能です。多くのツールで搭載されている代表的な機能としては、下記のようなものがあります。

  • テキストチャット
  • ファイル送信・ダウンロード
  • モバイル対応
  • 録画・録音
  • 社外からの招待
  • 他のツール・アプリとの連携
  • データ収集・解析
  • トークスクリプト表示

自社におけるリモート商談のスタイルに合わせて、どのような機能が必要か検討し、用途にあった機能を持ったツールを選ぶことが大切です。あると便利な機能も含めて、現場で使用する社員にアンケートを取ると良いでしょう。

ビデオトーク > 機能紹介

操作性

操作がわかりやすく、簡単に覚えられるツールを選ぶことも重要です。リモート商談ではツールをスムーズに使いこなせることも成功の秘訣であるため、ツール導入後は早く慣れておく必要があります。

会員登録などの事前設定が不要で、直感的な操作が可能なツールは、デジタル機器が苦手な社員でもすぐに慣れることができるでしょう。また、顧客も招待してリモート商談に使う際にも、お互いが利用しやすく、効率的なやり取りが実現します。

料金

料金体系はツールごとに異なるため、機能を踏まえた上で、自社に適したサービスを選びましょう。多くのツールでは定額課金制を採用しており、利用できる機能や参加可能な人数などにより料金が変動します。

登録人数あるいはアカウント数別の料金プランの場合、必要な人数分だけ契約すればコストを抑えられるでしょう。また、基本料金に文字起こしなどオプション費用を追加していく料金体系では、あとで機能を追加あるいは削減しても最適な料金プランで利用できます。

無料お試し期間があるサービスも多いので、正式な導入前に使用感を確かめたい場合は利用してみましょう。

サポート体制

ツール導入前から運用中まで、サポート体制が整っているかも確認しましょう。

導入する際にうまく初期設定ができないと、リモート商談を実施できません。商談直前に不具合が起きてしまった場合、迅速に解消できなければ顧客の大切な時間を奪ってしまうこととなり、商談成立は遠のいてしまうでしょう。

オンラインチャットや電話で不具合やトラブルを相談できる24時間サポート体制などがあると安心です。

セキュリティ対策

リモート商談では、社外秘の機密情報や個人情報を扱うこともあるため、セキュリティ対策を徹底する必要があります。企業の規模によらず、ビジネスで使われるツールはマルウェアなどのサイバー攻撃のターゲットになりやすい傾向があります。顧客とのやり取りが業務システムから漏えいしてしまうと大問題です。

ツールを選ぶ際には、接続元のIPアドレス制限やセキュリティ認証などを必ずチェックしましょう。過去の脆弱性によるトラブルがなかったか、情報管理方法を徹底しているか、といった点も要チェックです。

リモート商談の導入でビジネスチャンスを増やそう

感染症による影響や働き方の多様化といった要因により、リモート商談のニーズが高まっています。画面越しに顧客とやり取りする非接触型のスタイルは、社員と取引先両方のリスクの回避や、自由度の高い働き方の実現につながるでしょう。

オンラインツールを使ったリモート商談により、見込み客の拡大や成約までの期間短縮といったさまざまなメリットが見込めます。業務効率化や利益向上などの目的達成には、自社に最適なリモート商談ツールを導入することが重要です。

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