休眠顧客を掘り起こす5つの方法とは?具体的な手順や例文も紹介

目次

ビジネスの成長において、休眠顧客の再活性化が重要な課題となっています。そこでこの記事では、休眠顧客を効果的に呼び戻すための5つの実践的な方法をご紹介します。

さらに、休眠に至った原因別のメールの例文紹介や、休眠顧客の掘り起こしを行う具体的なフロー・手順についても解説します。

今回ご紹介する方法はデータの分析結果に基づいた判断と併せて実践することで、さらに効果を発揮します。顧客の過去の行動やフィードバックを活用することが、魅力的なキャンペーン提案や情報提供を可能にするからです。

休眠顧客を再び引き込む戦略を検討している方はぜひ、ご一読ください。顧客とのつながりを再構築する一助となれば幸いです。

記事の要約
  • 休眠顧客の掘り起こしは新規顧客獲得よりもコストがかからない
  • メールマーケティングをはじめ、休眠顧客の掘り起こしのために効果的な方法がある
  • 休眠に至った原因ごとに、より適切なアプローチやビジネスメールの文章がある
  • 休眠顧客の堀り起こしは綿密なフローに沿って行う必要がある
  • 休眠顧客の掘り起こしでは適切なデータ分析が重要になる

休眠顧客とは「一定期間取り引きがない顧客」を指す

休眠顧客とは、過去に取り引きや問い合わせがあった顧客のうち、ある時点から現在に至るまでの一定期間、一切のやり取りがない顧客を指します。

例えば、問い合わせはあったものの、それ以降何もアクションがない顧客や、初回購入にはいたったものの1回限りの購入で終わってしまっている顧客、あるいは複数回取り引きが続いていたが、直近の取り引きはない顧客などが当てはまります。

このような休眠顧客に働きかけて、再び継続顧客へと育成していくことを「掘り起こし」といいます。

休眠顧客の掘り起こしを行うメリット

休眠顧客の掘り起こしを行うメリットとして、見込み顧客への働きかけや新規顧客獲得よりもかかるコストが少ないということが挙げられます。

休眠顧客は以前に企業と取り引きの経験があるため、商品・サービスに対する知見と理解を持っています。そのため適切な働きかけを行えば効率よく成約へつなげることができ、継続顧客へと復帰してもらえる可能性が大きいのです。

しかしこのメリットを引き出すためには、休眠顧客が休眠に至ってしまった理由をきちんと押さえる必要があります。取り引きを止めているのには何らかの理由があるため、まずはそこに焦点を当てて明確にすることが重要となります。

休眠顧客の掘り起こしは新規顧客獲得が頭打ちになってから

新規顧客獲得よりもコストがかからないという点が魅力的な休眠顧客の掘り起こしですが、注意事項もあります。

それは、そもそもマーケティングにおいて休眠顧客の掘り起こしは最優先事項ではないということです。全体の顧客数が足りていなければ、まずは新規顧客獲得や一般顧客との関係構築を優先する必要があります。

また、休眠顧客の掘り起こしの難点として、一度休眠した顧客を復帰させるのは難しいという側面があります。上手に施策を講じることができなければ成果は出ず、必要のないアプローチを繰り返すと、かえって悪い印象を持たれるリスクもあります。

以上のような理由から、休眠顧客の掘り起こしはWeb広告やコンテンツマーケティングの効果が頭打ちになったタイミングで検討するのが基本とされています。

休眠顧客の掘り起こしに効果的な5つの方法

ここからは休眠顧客の掘り起こしに役立つ方法を5つ紹介します。休眠顧客とのコミュニケーションを活性化し、新たなビジネス機会を見出すためにぜひ参考にしてください。

1|メールマーケティングを行う

メールマーケティングとは、その名の通りメールを通じてコミュニケーションを図り、集客へとつなげるマーケティング手法です。

テンプレ作成により効率化しやすい点や、効果が測定しやすいこと、手軽に実施できることが利点ですが、メールに気づいてもらえない場合や反応してもらえない場合も多いため、確かな成果は見込めない方法です。

また、全ての休眠顧客に一斉送信するメルマガは効果的な施策とはいえません。有効なのは購買意欲の向上が期待できるステップメールや、顧客に適した内容のメールを配信するセグメントメールなどです。

休眠顧客は自社への興味が薄れているということを念頭に置き、反応がない場合は内容やアプローチの方法を変えましょう。

ステップメールとは?メリットや作り方、企業の成功事例を紹介

2|電話(テレアポ)を行う

電話を使ったマーケティング手法は、かかるコストが少なく、短時間で結果が分かり効率的である点が特徴です。直接顧客と話ができるため、顧客の悩みや商品・サービスに対する不満などをヒアリングしながらその場で適切な提案ができ、成果につながりやすいといえるでしょう。

一方で、顧客が電話に出るとは限らない、顧客によってはネガティブな印象を持たれるなどの課題もあります。また、何度もアプローチをするとクレームにつながる恐れもあるので、顧客の絞り込みを行い慎重に実施する必要があります。メールなどほかの方法と併用してもよいでしょう。

3|DM(ダイレクトメール)を送る

DM(ダイレクトメール)は、休眠顧客に向けてはがきやカタログなどを送る手法です。メール配信と比べて開封率が高い、さまざまな形で情報を届けられる、掲載できる情報量が多いといった利点があります。

特に開封率に関しては、一般社団法人日本ダイレクトメール協会の調査によると、自分宛のDMの閲読率は75%と高いことが判明しています。一方、メール配信に関しては、BENCHMARKの調査において日本の平均開封率は37.42%であるという結果が出ています。

誕生日月に割引クーポンとメッセージを同封する、購買履歴に基づいたおすすめ商品を紹介するなど、顧客ごとに適した内容のDMを送るとより効果が高まるでしょう。

デメリットとしては配送料金や制作費などのコストがかかること、顧客にアプローチするまでのリードタイムが長いという点が挙げられます。

※1 出典:一般社団法人 日本ダイレクトメール協会研究開発委員会編|「DMメディア実態調査2022」調査報告書要約版

※2 出典:BENCHMARK|平均メール開封率・クリック率レポート (2022年度版) 業種別・地域別(国別)の最新情報

4|MAツールを活用する

MA(マーケティングオートメーション)ツールとは、マーケティング全般の業務を自動化できるツールのことです。MAツールを活用すれば、リード管理、メール配信、分析業務の自動化、顧客の行動データをコミュニケーションに活かせるなどのメリットが得られます。

具体的な活用例

  • 休眠顧客のセグメンテーション
  • メールのパーソナライズや配信の自動化
  • ABテストの実施・キャンペーンに反応した休眠顧客に対するフォローアップの自動化
  • キャンペーンの効果測定

ツールによって機能は異なるので、導入を検討する際は、自動化したい業務を考えたうえで必要な機能を備えたツールの選定を行う必要があります。また、MAを活用するための環境の整備も同時に行いましょう。

データ活用でサービスのグロースをお手伝い、MA活用の課題・お悩みにお応えする無料相談会はこちら

5|飛び込み営業を行う

飛び込み営業は顧客を訪問して直接営業を行う昔から行われている手法です。対面で話ができるためより多くの情報を得られる、話をきちんと聞いてもらいやすいなどの利点がありますが、BtoCは受け入れられにくく、基本的にBtoB向けの手法です。

飛び込み営業を成功させるには、下記に挙げるようなコツがあります。

  • 事前に調査しておき提案をカスタマイズしておく
  • 視覚的な第一印象に気を配る
  • 相手の話を引き出す姿勢を大切にする
  • 付加価値を提示する
  • 営業先にとって適切なタイミングを見極める
  • フォローアップアクションまで計画する

担当者のスキルによって大きく成果が異なり、スキルの低い担当者の場合はネガティブな印象を持たれる可能性があるので人選は慎重に行いましょう。飛び込み営業は、時間と労力がかかる方法なので事前の情報収集や絞り込みをきちんと行うことも大切です。

休眠顧客へのアプローチ方法と例文を原因別に解説

この章では、休眠顧客へのアプローチ方法とメールの例文を休眠に至った原因別に解説します。休眠した原因・理由は主に「商品・サービスへの不満」「価格への不満」「顧客の環境変化」「商品・サービスが忘れられていたこと」に分類できます。

商品・サービスへの不満が原因のケース

商品やサービスの仕様変更、リニューアルを機に顧客が休眠に至った場合、なぜリニューアルしたのか、どこが改善されたのかなどについて理解が十分ではなかった可能性があります。

このようなケースには、商品・サービスの正しい活用方法やメリットを再度訴求する他、アンケートを行うといったアプローチが有効です。アンケートを取る際は、結果を改善に役立てたい旨をきちんと書面に記載するとよいでしょう。

例文

  • 「商品改善のため、ご意見をお伺いいたします」
  • 「サービス利用に関してご不便な点はございませんでしたでしょうか」

価格への不満が原因のケース

価格への不満では、特に値上げを機に不満を感じたことが休眠の原因となっている恐れがあります。

このような場合、不満の対象はあくまでも価格であり、商品・サービスには不満を持っていなかった可能性が高いです。

結局は商品・サービスと価格のバランスに課題があるということなので、その点を解消できる提案が有効です。割引クーポンやお得な料金プランの提示など、価格の面でメリットを感じてもらえる内容にする必要があります。

例文

  • 「ご愛顧いただいたお客様にお得な割引クーポンをご用意しました」
  • 「期間限定の特別プランをご案内いたします」

顧客の環境変化が原因のケース

商品やサービスそのものへの不満ではなく、年齢や好み、住環境など、顧客自身の変化が休眠の原因となることもあります。

このケースでは関連商品や類似サービスを提案し、購入・利用を再検討してもらう機会をつくる必要があります。その際、モニターや無料トライアルなどで訴求し、顧客のニーズを確認するとよいでしょう。

環境変化の内容やニーズの仮説を立ててアプローチし、反応がなければ内容を変えて何度かアプローチを試みることも大切です。

例文

  • 「新商品の無料トライアルのご案内です」
  • 「限定〇名様!〇代向けのプランが新登場しました」

忘れられていたことが原因のケース

単純に商品・サービスについて忘れられていることが休眠の原因というケースもあります。

この場合、顧客の記憶にアプローチをするのが何より肝心です。顧客が以前購入した履歴に言及する内容や購入商品の画像などの提示、商品の活用事例やアイデア集などを提案することなど、さまざまな方法があります。ただし、思い出してもらうことが目的なので、積極的な売り込みはしないことがポイントです。

例文

  • 「〇〇のご購入ありがとうございました。今回は活用の事例集をお送りします」
  • 「ポイントの有効期限が迫っているのでお知らせいたします」

休眠顧客の掘り起こしを行うフロー

ここからは休眠顧客の掘り起こしを行うフローを解説します。フローは大まかに5段階に分けられます。1つ1つステップを踏み着実に実践することが掘り起こしを成功させるうえで重要です。

1|休眠顧客を定義する

休眠顧客とは一定期間取り引きがない顧客を指すということについては、既に冒頭で解説しましたが、その「一定期間」の詳細な定義は、商品やサービスにより異なります。

自社における休眠顧客をより明確に定義するには、顧客からの反応がなくなったタイミングをデータから見つけ出す必要があります。つまり、過去の利用頻度や利用金額、休眠期間などの顧客データを収集・管理し、それらの情報を把握することで、どのような休眠顧客であるかをより明確にするのです。

また、休眠期間が明らかに長ければ一般顧客へ復帰する可能性は低いのでリストから外しておくとよいでしょう。ただし、新たなトレンドや変化に対応してビジネスの柔軟性を保つため、定期的なリストの再評価は必要です。

2|休眠顧客のデータから理解を深める

顧客に合わせた適切なアプローチをするためには、休眠顧客のデータを分析し、利用履歴や休眠期間、休眠した理由などを調査する必要があります。

ただしデータ量が不足していたり誤ったデータ分析をしてしまった場合、見当違いな施策を行う恐れがあります。そこでデータ分析のスキルを持った人材や機能性の高いツールの活用も重要となります。

ユーザー行動分析とは?8つのフレームワークと具体的な手法を解説

休眠するまでの利用履歴

これまでのデータから利用回数や利用頻度、1回あたりの利用額などを確認します。利用頻度や利用額が多い場合、本来は優良顧客である可能性があります。優先的にアプローチすることでマーケティングの効率化が期待できるのでマークしておきましょう。一方、1度購入しただけの顧客や利用額が少ない顧客は復帰する可能性が低いので、アプローチの対象から外すのが一般的です。

休眠している期間

最後の取り引きからどれくらい休眠しているか、その期間を把握しましょう。休眠期間が長い顧客の場合、すでに商品・サービスのことを忘れていたり、他社に乗り換えている可能性が高いとされています。コストパフォーマンスの観点から、休眠期間が長い顧客はアプローチの対象から外す方が無難でしょう。ただし、「長い」と判断すべき期間は商材により異なるので、自社の商材に合った期間を設定し、それを基準に判断する必要があります。

休眠した理由

すでに解説した通り、休眠に至る理由・原因はいくつかに分類できます。大別すると、商品・サービスそのものや価格が理由になっているか、もしくは、顧客自身の環境変化が理由になっているかです。いずれにしろ、顧客に合ったアプローチ方法を検討するために休眠理由の分析は欠かせません。自社の場合はどのような理由で取り引きをストップした顧客が多いのか、詳しい理由や割合などを調査して休眠顧客について理解を深めることが重要です。

3|セグメンテーションを行う

収集した休眠顧客データを分析して顧客への理解を深めるとともに、セグメンテーションを行い、アプローチすべき顧客を絞り込みましょう。例えば次のような分類が可能です。

セグメンテーションの例

  • 1度取り引きがあり、その後の取り引きがない顧客
  • 複数回の取り引きがあるが、直近の取り引きがない顧客
  • これまでの利用が〇回以上の顧客
  • 利用金額累計が〇円以上の顧客

上記に紹介したような購買履歴や購買頻度以外にも、興味のあるカテゴリやオファーに対する反応など、複数の顧客データを組み合わせて複数のセグメントを作成するのも有効です。特に利用金額と利用回数が多い顧客は、商品・サービスに魅力を感じていたと考えられ、アプローチすべき顧客を特定する起点となります。

ユーザーセグメントとは?セグメントの種類や作り方、企業の事例を紹介

4|アプローチ方法を決定する

休眠顧客のデータを分析しセグメンテーションを行ったら、いよいよアプローチ方法を検討・決定します。前述したメールマーケティング・テレアポ・DM・MAツールの活用・飛び込み営業の中からアプローチする方法を決定しましょう。

検討する際は、商品・サービスの特性や自社のリソース、かけられるコストを総合的に考慮し、持続可能で適切な方法を選択することが重要です。

さらに同業他社が類似の手法を用いている場合は、差別化されたアプローチ方法を採用することが競争優位性を確立することにつながります。そのため、競合状況や市場トレンドなども考慮しておくと万全です。

5|効果測定・改善を行う

アプローチ方法を決定して施策を行った後は、効果測定を必ず行うことが大切です。予測よりも効果が出なかった場合は、問題点を洗い出して改善し、再度施策を実行します。

場合によっては、顧客データの分析が十分でなかったことが原因となっていることもあります。再度データを確認して新たな仮説を立てるところからやり直すことも視野に入れましょう。

もしデータ分析が難しい場合は、高度な分析機能を持つ行動データ分析ツールを導入するのも有効な改善方法の1つです。ツールを利用することで緻密で正確なデータを取得し、より効果的な改善施策を展開できるでしょう。

休眠顧客の分析に効果的な「Mixpanel」

NTTコム オンラインが提供しているMixpanelは、多角的な分析機能や外部ツールとの連携機能、データ統合機能を備える行動データ分析ツールです。導入することで休眠に至る原因の分析や、優良顧客に至るまでのジャーニーの特定などが可能になります。

主な分析機能としては、インサイト分析、インパクト分析、リテンション分析などが挙げられます。これにより、ユーザー行動の把握はもちろん、施策の成果を的確に判断することが可能です。柔軟で高度なデータ分析機能を提供するMixpanelは、マーケティングに価値ある洞察をもたらすツールです。

休眠顧客の掘り起こしは適切なデータ分析が重要

この記事では、休眠顧客を掘り起こす方法と手順について解説しました。休眠に至ったのはなぜなのか、優良顧客になる可能性が高いのはどのユーザーなのかといった重要なファクトを明確にして、戦略的な意思決定や方針の立案を行うには、分析ツールによる多角的・総合的な分析が重要な役割を果たします。

ぜひこの機会に、ユーザー行動の正確な理解を可能にする「Mixpanel」の導入を検討してみてはいかがでしょうか。検討に役立つ資料は以下からダウンロード可能です。

無料セミナー・資料ダウンロード