格付け調査で高い評価を得ている(※)資生堂の国内事業を統括する資生堂ジャパン株式会社様。2023年3月、お問い合わせ窓口の電話応対に関する顧客アンケート調査を行う目的でモバイルウェブを導入されました。「導入によって、紙や音声IVRでアンケートを行っていたときより大幅に効率よく生の声を集められるようになった」「回収率5割超、フリーアンサーの回答率8割という大きな成果が得られている」。こう語るのはコンシューマー対応室 室長の一木氏、同室に所属する籾山氏、上島氏。お客様対応に関わる3名様に、詳しいお話をお伺いしました。
※HDI-Japan主催「HDI格付けベンチマーク」2023年【化粧品メーカー業界】の格付け結果を発表
お客様からの、よりリアルな生の声を集めたいと考えていた
紙やIVRで顧客アンケート調査を行っていたが、十分な回答を集められていなかった
紙やIVRでのアンケートでは、郵送やデータの入力・集計などの手間がかかってしまっていた
アンケートの回収率が5割を超え、フリーアンサーの回答率については、8割に至った
データ入力・集計の手間を減らすことができた
担当者に対してのパーソナル感のあるコメントに、コミュニケーターのモチベーションアップ、スキルアップに大きく貢献している
― 貴社の概要や、コンシューマー対応室の業務についてお教えください。
一木氏: 当社は、化粧品事業だけでなく、レストラン事業や医薬品事業をはじめとする、資生堂の中で、さまざまな国内事業を統括するリージョンヘッドクォーター(地域本社)です。
私どもが所属するコンシューマーセンターは、お客様からのお問い合わせに対応するセクションです。主に、資生堂商品やコーポレートに関するお問い合わせ、グループ会社が販売する商品についてのお問い合わせ対応などを行っております。
― どのようなお問い合わせを受けることが多いのでしょうか? 具体的な内容や、対応チャンネルについてお聞かせください。
一木氏: 問い合わせで多いのは、「この化粧品はどうやって使ったらよいか」といった商品の使い方や、「新しい商品が出たけれど、自分に合っているか」といった商品に関するお問い合わせです。ほかにも、「使っている化粧品に〇〇の成分が入っているか教えてほしい」「CMに出ているタレントさんが使っているあのアイテムの色が知りたい」「被災地に支援物資として資生堂の商品を送ってもらえないか」といったご質問やご要望もあり、単純なお問い合わせではなく、多岐に渡る知識や寄り添いが必要な、とても幅広いお問い合わせが寄せられています。店頭で行っている美容相談に近しいより幅広いお申出への対応を、電話やメール、チャットなどで行っています。
― そのようななかで、なぜモバイルウェブを導入されたのでしょうか? 目的やねらいについてお教えください。
上島氏: お問い合わせ対応をするコミュニケーターのさらなるスキルアップやモチベーションアップのため「よりリアルな声を集めたい」と考え、モバイルウェブを使ってアンケート調査を実施しようと考えました。
これまでにも、紙などでアンケート調査を行っていたのですが、紙の場合は郵送や、返ってきたアンケートの入力・集計などの負荷が大きく、なかなか思うような回収や活用ができていない状況でした。その後、お問い合わせいただいた電話でアンケートへのご協力を了承いただいた方にIVRに誘導するという方法でアンケートを取ることにしたのですが、IVRはお客様自身も「今、回答しなくてはならない」といったハードルがありました。誘導するコミュニケーターにとっても、「断られたらどうしよう」と誘導に対する心理的ハードルがかかっていました。
ほかに、外部の専門家の方に電話の応対を聞いてもらい評価をしていただくということも実施しているのですが、こちらは「お客様とは異なる専門的評価」ということで、一般のお客様の評価を得るための、紙や電話とは異なる手段を模索していました。
― モバイルウェブを選ばれた決め手についてお聞かせください。
上島氏: 大きな決め手となったのが、SMS送信サービスの空電プッシュと連動しているところですね。数年前から、お問い合わせ後の補足連絡や時間外対応に空電プッシュを活用しており、「アンケートを空電プッシュで送りたい」「空電プッシュと連動したアンケートサービスを使用したい」と考えていました。
空電プッシュでしたら、スマホを持っている方に、ほぼ確実にアンケートのURLをお届けすることが可能です。到達率や利便性の高さについてはお問い合わせのフォロー業務ですでに実感しておりましたので、空電プッシュと併用して使えるツールを探していました。
それから、もう1点、魅力的だと感じたのが、個別の評価がわかるところです。モバイルウェブのwebアンケートでは、対応ごとの満足度やフリーアンサーが確認できるようになっており、より細かなフィードバックができそうだと感じました。
また、アンケートの設問数や項目内容を、自分たちで自由に変えられるところもよいと思いました。アンケートを行いながら適宜内容をチューニングしたり、顧客アンケートだけでなく他のアンケートに使用したりすることができる。拡張性や柔軟性が高いと感じました。
― 2023年の3月にモバイルウェブを導入されたとのこと。現在は、どのように活用されているのでしょうか?
籾山氏: お問い合わせのお電話の最後にコミュニケーターより「このあと、通知の電話番号へアンケートをお送りしております。お時間のある時で構いませんので、ご協力をお願いいたします。」とお伝えし、コミュニケーターが手動でアンケートのURLが記載されたSMSを送信する、という流れで活用しています。
設問は、コミュニケーターの応対に関する設問4問に加えてフリーで回答できる項目も用意しています。また、項目の一つには窓口の推奨度を評価する項目も入れています。
― なにかアンケートの運用において工夫していらっしゃることはありますか?
籾山氏: テスト期間中にコミュニケーターから「最近は詐欺やスパムのSMSが増えてきて、お客様に警戒されやすい」ということを聞きまして、SMSの文章の最初に担当コミュニケーターの名前を添え、送信先を明確にしました。また、決まった時間に一斉送信するのではなく、「お電話が終わったあと、お客様の心がホットなうちに、すぐSMSアンケートを送る」としているところもポイントなのではないかと思います。こうした工夫をすることで、お客様に安心してご回答いただけていると感じます。
― 導入の効果についてお教えください。
籾山氏: 導入によって、アンケートの回収率が5割超、フリーアンサーの回答率は8割と、想定外の嬉しい結果で私たちも驚いています。しかもフリーアンサーのほとんどが、お褒めの言葉や嬉しいコメントが多く、こうしたコメントについては、タイムリーに、コミュニケーターに共有するようにしています。
木氏: コミュニケーター別や全体の評価シートを作成し、個別・全体にフィードバックするということも実施しました。電話応対の振り返りと、大きなモチベーションアップの要素、スキルアップのフックになっており、モバイルウェブを活用してよかったと実感しています。
今後は、別の目的──例えば、商品の交換対応に関するアンケート調査などへの活用も検討しています。先ほど籾山が申し上げた「SMSの文章の最初に担当コミュニケーターの名前を入れる」「終話したらすぐSMSを送る」といった工夫をはじめ、運用の知見もたまってきましたので、それらを活用して、さまざまな調査に継続的に活用していきたいと思っています。