2020/12/18

帳票、書類の電子化

知っておきたい受領書のアレコレ!電子化は必要?

企業の中には、取引をする度に増えていく受領書に保管・管理に悩んでいる場合もあります。しかし、受領書は企業同士の取引では多くの場合、発行しなければならないものなのでなくすことはできません。そこで、この記事では「役割」「検収書との違い」など受領書の詳細、今後電子化をする必要があるのかなどについて紹介します。

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受領書は信頼の証

こちらでは、受領書の「役割」や似ているといわれている「検収書との違い」について紹介します。

受領書は注文品を受け取った証明

一般的に、企業の取引では商品の見積もりを出し、納得できれば発注します。商品が納品された後、受け取った証として発行するのが「受領書」です。取引先が受領書を受け取り、確認後に請求書を発行、入金確認後に領収書を発行・送付という流れになります。受領書を確認すれば、発注した側も納品した側も「どのような商品を購入したのか」「購入数はどれくらいだったのか」などを一目で知ることができるのです。

しかし、受領書は必ず発行しなければならないものではありません。そのため、企業によっては、発行していない場合もあります。昔からのつきあいがある企業同士であれば発注書や納品書などもなく、電話1本でやりとりが完了するケースも少なくありません。そのような場合、いざというとき、商品購入に関する書類がないことから大きな問題に発展することもあるので注意が必要です。受領書があれば、「確かに商品を受け取った」という証明になり、発行した側も受け取った側も安心・信頼を得ることができます。

受領書と検収書の違い

あくまでも商品の受け取りをした証である「受領書」と間違われるのが「検収書」です。検収書は受け取った商品が注文した通りのものであるのかを確認し、問題がなかったことを報告するための書類となっています。つまり、届いた商品に関して、それ以降何かクレームを入れることができなくなるのです。そのため、検収書の発行をする前に必ず「届いた商品に間違いはないか」「商品が機能通り動いているか」などを確認しなければなりません。

受領書と同じく、発行に関して法律的な義務はありませんが、検収書には売上の計上基準になる役割があります。そのため、特に、検収基準で計上される場合は、検収書に記載されている日付が重要です。また、届けた商品に関するトラブルやクレーム防止の意味でも有効となります。受領書は「商品を受け取った」ことを証明するものなので、商品の品質に関わる検収書とはその点に違いがあるのです。また、受領書は商品を納品後に発行しますが、検収書は納品され、検品した後に発行されます。

ちなみに、振込をした場合に受け取る受領書に関しては、領収書の代わりにすることができます。これは、お金を支払ったことを受領書が証明できるからです。しかし、発注をした商品が納品された際に発行する受領書は「商品」を受け取ったという書類であり、領収書とは別ものとなっています。発行されたのが商品の受領書であった場合は、領収書は代金を支払った後に別途発行されます。領収書には宛名、金額、但し書きや発行者名・住所・連絡先が記載され、必要に応じて印紙が貼られているのが一般的です。受領書のように商品名や数量など細かなことまでは記載せず、「商品代として」など簡単な書き方をされています。

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受領書の作成が必要な場合・不要な場合

こちらでは、「受領書が必要な場合・不要な場合について」「保管義務」について紹介します。

「納品した・しない問題」の際に必須

受領書は、注文を受けた商品が納品されたことを取引先が報告した書類です。取引において起こるトラブルには「送ったはずの商品が届いていない」というものです。しかし、日付やサイン(あるいは、押印)がある受領書を受け取っていれば、取引先が確実に商品を受け取ったことは証明されているため、相手側の社内トラブルの可能性を伝えることができます。受領書とともに納品書があれば、さらに証拠としての効力がアップするでしょう。基本的に、取引先とのやりとりはどのようなものでも書類を発行しておくほうが安心です。

受領書を発行しないのは事前に決めていた場合

前述したように、取引上でトラブルが起こさないために受領書の発行をしないケースは非常に少ないです。しかし、例外として、事前に取引先と話し合って取り決めていた場合には、発行されないことがあります。業種にもよりますが、自社で受領書の発行が必要な場合は事前に確認をしておくほうが良いでしょう。

受領書は保管義務がある

原則として、発行した受領書は7年間保管しなければなりません。受領書を見れば取引が成立したことがわかるので、「信憑書類」の1つになります。税務調査がある際には見せる必要があるので、紛失防止のために保管場所を1カ所に決めておくほうが安心です。

受領書を電子化すれば保管場所は不要になる

発行した受領書は電子化しておくと、大量に保管されている中から探しだす必要がなくなるので業務の効率化につながります。電子化された受領書は、必要なときに検索するだけで目的のものをすぐ探しだせるようになるからです。電子化した後は紙で保管する必要がなくなるので、それまで保管用にしていたスペースをほかの目的のために使用することができるようになります。ただし、電子化後に受領書を破棄できるのは「税理士など専門家が確認した後」と決められているため、確認されるまでは保管しておかなくてはなりません。

受領書を電子化するメリットとして、バックアップをしっかり行うことで紛失する可能性が低くなる点があります。受領書は納品した商品の金額によって印紙が必要となるため、紛失すると取引先に迷惑となります。もちろん、紛失しないことが前提ではありますが、人的ミスを100%防ぐことは難しいため、できるだけミスを減らす策の1つとして考慮するのも良いでしょう。電子化するためには税務署の承認を受ける必要があり、電子化保存をはじめる3カ月前までに申請をしなければなりません。申請書は国税庁のホームページから入手することができます。

サイン・印鑑なども電子化しよう

受領書を電子化する場合、通常、紙で発行したものに使用しているインクタイプの印鑑を使用することができないため、サインや署名、印鑑などもあらかじめ電子タイプのものを作成しておくとスムーズに業務を進めることができます。電子署名は実印のようなもので、電子証明書やタイムスタンプを使用して改ざん防止ができるため、非常に有効です。電子印鑑は通常、紙で発行した受領書に押印する際に使用している印鑑の印影を画像データ化して作成します。認印にあたるものが電子印鑑であり、比較的社内でやりとりされる書類で使用されるケースが多いです。そのため、取引先とのやりとりで使用するのであれば、電子署名を使用するのが安心でしょう。

失敗しない!受領書の書き方を知っておこう

受領書は取引の証となるものなので、間違いないように正確に記載する必要があります。こちらでは、受領書の書き方について紹介します。

受領書に記載されている内容とは

受領書はエクセル・ワードで作成可能で、物品向け・納品書兼受領書・自営業者向けなどシンプルなものから詳細なものまでさまざまあります。納品書兼受領書は取引先から納品の際に送られるので、その場で注文した商品がすべてそろっているのかを確認し、返送することが可能です。一般的に、受領書に記載されていることは「件名」「発行した日付」「取引先の企業名」「発行元」「受け取った商品の詳細(商品名・単価・数量)」「商品の合計額」「備考」などです。それぞれ、必ず正確に記載し、間違いがないかどうかを確認してから発行しましょう。受領書はインターネットにテンプレートがあるので利用したり、テンプレートを自社専用にカスタマイズしたりして使用することもできます。

件名

「その受領書にはどのような内容について記載されているのか」について、件名を記載します。件名とは、たとえば、「受領書」「物品受領書」など、シンプルでわかりやすいものが良いでしょう。また、通し番号をつけておくこともポイントです。番号をふっておけば、商品を受け取った後に「なかったこと」にはできなくなり、取引先と受領書について照合する際にもわかりやすくなるメリットがあります。

日付

注文した商品が納品された日や受領書の発行日の記載は非常に重要で、取引の証として正確に記載しなければなりません。特に、納品された日は取引の流れの記録が変わってしまうのを避けるために間違えないように気をつけましょう。

宛名と発行者に関する情報

契約・取引に関係している多くの書類同様に、受領書においても宛名・発行者情報は大事なものです。取引先については、「企業名」「担当者の部署」「担当者の氏名」などを記載します。発行者情報は「企業名」「発行した企業の住所」「電話番号など連絡先」「担当者の氏名」です。受領書のこちらの部分には社印もしくは担当者の押印やサインをします。

商品の詳細

受け取ったことを証明する商品についての情報は非常に重要です。受領書に記載する内容は「正確な商品名」「仕入れた数量」「単価」「それぞれの商品の合計金額」などで、すべての商品を記載した下に「小計」「消費税」「全体の合計金額」を記入します。「どのような商品が納品されたのか」を知るために記載するため、この部分を間違えてしまうとトラブルの原因になってしまうので細心の注意をしなければなりません。数量について記載せず、金額のみを記載している受領書では、その商品をどれだけ仕入れたのかについて確認できないので注意しましょう。また、何か付け加えて記載することがあった場合は「備考」欄も作成します。

印紙が必要な場合もある

受領書は「金銭または有価証券の受取書」の1つになるため、5万円以上の商品を取引した場合は印紙を貼る必要があります。合計額が5万円以下の受領書は非課税なので、印紙は不要です。印紙代は5~100万円であれば200円となっています。印紙を貼ったときは、必ず割印をしましょう。割印がない印紙は必要金額分が貼ってあったとしても納税されていないという扱いになってしまうからです。印紙は郵便局やコンビニエンスストアなどで購入できます。コンビニエンスストアはそのお店によって必要な金額の印紙がない場合もあるため、可能であれば郵便局で購入するほうが手間はかかりません。

受領書をどのタイミングで発行するのか

「受領書を発行するタイミングはいつが良いのか」という点に迷う場合もあるのではないでしょうか。受領書を発行する期限は決まっていませんが、納品書兼受領書が発行された場合は、そちらを使用してできるだけ早く返送するほうが良いです。時間をあけてしまうと、納品した商品の確認が正しく行えないこともあります。可能であれば、納品されたタイミングですぐに確認、受領書の発行という流れを作っておくと「納品している・されていない」などトラブルの防止につながりやすいです。

受領書を紛失したときはどうする?

受領書の紛失は避けるべきことですが、万が一、紛失してしまったときは発行した取引先へすぐに連絡し、再発行をしてもらうようにしましょう。再発行をすること自体はすぐにできますが、印紙を貼らなければならないものだった場合は印紙代も再びかかってしまいます。取引先にとっては印紙の費用が2重にかかることになるため、きちんと謝罪をしたうえで再発行の依頼をしたほうが良いです。

受領書を返送する場合の注意点

取引先の担当者に直接手渡すのではなく、郵送などで返送する場合には宛名の「様」や「殿」などを2重線で消してから返送します。返信用封筒が用意されているケースもありますが、その場合も封筒の宛名にある「行」は消し、新たに「御中」を書きましょう。返信用の封筒に企業名ではなく、担当者の個人名が記載されている場合は「様」を書きます。

受領書を電子化することで紛失防止に

受領書は「商品を受け取った」という証で、納品書兼受領書として取引先から発行されたり、自社で発行したりするものです。原則として7年間の保管義務があり、発行のための費用も必要です。電子化をすれば保管スペースや発行のための費用も不要となります。電子化を開始する3カ月前までに税務署に申請する必要はありますが、電子化をして業務の効率化やコストダウンを目指すのも良いのではないでしょうか。

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