Spotfireのおかげで、私たちは新たな分析手法やプラクティスを取り入れることができました。拠点や組織を横断した情報共有が格段にスムーズになり、まさに次の時代に向けた準備が整ったと感じています。
Data and Analytics Subject Matter Expert/Guillaume Deschamps 氏
STマイクロエレクトロニクスは、自動車、産業機器、パーソナルデバイスなどに向けて、半導体や関連テクノロジー、デバイス、そしてソリューションを開発・製造するグローバル企業です。半導体製造プロセスは極めて複雑なため、同社のエンジニアリングチームは、生産に関する課題や問題に日常的に取り組んできました。そうした課題の一つひとつを解決するには、関係各所の合意を得ながら、スピーディーな対応が不可欠でした。こうした迅速な問題解決を全社的に支援するためには、高度な分析ソリューションを大規模に導入する必要があると認識していました。
分析ソリューションの導入には、インタラクティブなレポート作成の効率化、データガバナンスの向上、そして同社が掲げる「ビッグデータ主導の製造」への進化をサポートし、オペレーションのパフォーマンスを向上させる狙いがありました。当初は内製ツールを開発したものの、メンテナンス性や使いやすさ、データガバナンスの面で課題が生じました。そこで同社は、自社のニーズを満たし、パフォーマンス、インタラクティブ性、拡張性という目標を達成できるソリューションを選定するため、市場の分析ソリューションの評価を開始しました。
慎重な選定プロセスの末、STマイクロエレクトロニクスはSpotfireの採用を決定し、世界12拠点の工場に導入しました。その内訳は、ウエハー製造を担当する前工程の7施設と、チップの切断、組み立て、パッケージングを行う後工程の5拠点です。同社は、このSpotfireの導入こそが、「ビッグデータ主導の製造」へと移行する上で重要な鍵になったと評価しています。
STマイクロエレクトロニクスのデータ&アナリティクス部門のエキスパートであるGuillaume Deschamps氏は次のように述べています。「Spotfireのおかげで、私たちは新たな分析手法やプラクティスを取り入れることができました。拠点や組織を横断した情報共有が格段にスムーズになり、まさに次の時代に向けた準備が整ったと感じています。」
この変革を機に、同社の全製造拠点において、ナレッジ共有と分析ガバナンスが大幅に強化されたと述べています。Spotfireは製造データクラウドに接続され、分析結果を可視化する中核的な基盤として、この改革を支えています。
データ分析ソリューションマネージャーを務めるFranck Dupont氏は、「Spotfireのおかげで、各エンジニアリングチームが現場レベルで独自の分析を行えるようになりました。これにより、製造上の問題に直面した際の対応が格段に速くなり、業務効率の向上に直結しています」と語っています。
Spotfireの採用後、STマイクロエレクトロニクスのチームはデータ分析の目標を達成し、全社規模での高度な分析基盤の導入を完了させました。
また、この導入プロジェクトはIT部門が全面的に支援し、主に次の3つの大きな成果へと繋がりました。
半導体製造は、それ自体がデータ集約型のプロセスです。データ処理が製造の根幹をなすこの業界において、STマイクロエレクトロニクスは、IT部門が24時間365日体制でサポートする、独自のビジネス主導型分析プラットフォームを構築しました 。このプラットフォーム上でSpotfireを活用することにより、データは事業全体でアクセス可能になると同時に、厳格なガバナンスの下で管理されています。
この取り組みは、数えきれないほどのメリットをもたらしており、その効果の全容は、まだ評価が始まったばかりです。一例を挙げると、STマイクロエレクトロニクスはSpotfireを用いて、従来の視覚的パフォーマンス監視(VPM)プロセスをデジタル化し、インタラクティブな視覚的パフォーマンス監視(iVPM)へと変革しました。製造クリーンルーム内では、巨大なタッチスクリーンに表示されたSpotfireのダッシュボードを使って、チームリーダーに安全情報や設備状況、次のシフトの生産優先事項などを日々簡単に共有しています。Spotfireは過去のデータとリアルタイムデータを可視化することで、現場が状況を瞬時に把握し、次にとるべきアクションの指針を与えてくれます。
Spotfireが持つインタラクティブ性と高速な分析処理は、これまで同社に不足していた組織全体での分析活用を大きく後押ししました。現在、同社はよりデータドリブンな意思決定を行えるようになっています。さらに、拠点や組織を横断した情報共有が容易になったことで、意思決定の迅速化やエンドユーザーへのサービスレベル向上にも繋がりました。こうした成果と並行して、STマイクロエレクトロニクスは「ビッグデータ製造」を推進する取り組みの一環として、AI(人工知能)や機械学習ツールの導入も進めています。
内製ツールからの移行には、一定の学習期間が必要であったことは認めつつも、Spotfireのユースケースはメンテナンス性に優れており、サポートチームの日々の業務負荷を軽減する効果があったと評価しています。その効果は数字にも明確に表れており、。導入からわずか3年足らずでアクティブユーザーは5,000人を超え、実に150%もの増加を達成しました。
このソリューションが、STマイクロエレクトロニクスのグローバル組織全体でこれほどまでに広く受け入れられた事実は、同社が分析の価値を深く理解し、その活用を推進していることの証しと言えるでしょう。