データ仮想化

データ仮想化とは

データ仮想化は、複数の多様なデータソース間の橋渡しとして機能し、意思決定に必要な重要なデータを1つの仮想データレイヤーに統合することで、分析を始めとしたデータの利活用を促進する技術です。

データの仮想化は、最新のデータレイヤーを提供します。このデータレイヤーを使用すると、飛躍的な速度とコスト効率で様々なデータセットにアクセスし、組み合わせ、変換し、提供することができます。データ仮想化テクノロジーにより、ユーザーは、従来のデータベース、ビッグデータソース、クラウドおよびIoTシステムを含む企業全体に保存されているデータに、わずかな物理的なデータウェアハウスと抽出/変換/ロード (ETL) の時間およびコストで迅速にアクセスできるようになります。

データ仮想化は幅広い分析に適用することができます。例えば、ビジュアルアナリティクスや予測分析、ストリーミング分析等が挙げられます。データ仮想化であれば即座にデータを更新し、最新のデータを用いて分析に活用することができます。
また、データ仮想化のガバナンスとセキュリティ管理機能により、データ利用者はセキュアで一貫性のある高品質なデータを利用することができます。さらにデータ仮想化の変換機能により、システム向けに構成されたデータを、ビジネス利用に適したデータサービスに変換することができます。これらのデータサービスはセルフサービスで利用できるビジネスディレクトリによって簡単に検索して活用できます。

データ仮想化は、1つのプロジェクトからグローバル企業の全社利用規模まで対応可能なスケーラブルなソフトウェアであり、多種多様な基幹業務、数百のプロジェクト、数千のユーザーにも対応することが可能です。

データ仮想化のメリット

ビジネスバリュー獲得の高速化

分析アプリケーションにデータを迅速に提供し、変更が生じた際にも即時に対応可能なため、ユーザーはより大きなビジネスバリューを得ることができます。

ビジネスインサイトの向上

ETLよりも少ない労力で、最新のデータに容易にアクセスすることが可能になります。

開発コスト削減

再利用可能なデータサービスとインタラクティブな開発および検証環境により、データサービスの品質を向上させつつ新規プロジェクトでは同様の作業を省略することができます。

データ管理用のインフラコスト削減

インフラコストおよびソフトウェアライセンス数が削減されます。それに伴いサポートおよびメンテナンスコストも削減されます。

データ仮想化のユーザーメリット

データの仮想化により、ユーザーはビジネス利用に適した最新のデータを容易に検索し入手することができます。
データは必要なときに必要な場所で利用できるようになります。データの仮想化を利用することで、いままで扱ったことのない全く新しいデータソースからも、必要なデータセットをユーザーに提供することができます。
これにより、ユーザーは信頼できるデータを得ることができ、データの追跡ではなく分析に時間を費やすことが可能になります。

データの仮想化は、ユーザーが利用する複数の分析ツールに対応するための幅広い機能を提供しています。
データ仮想化はあらゆるデータ構造とフォーマットに対応し、多様な分析要望および幅広いスキルを持つユーザに対応します。その結果、IT部門はビジネス部門からのあらゆる要求へ迅速に対応し、優れたデータセキュリティを維持し、クラウド上にデータを配置したり、ガバナンスとコンプライアンスに関わる要件を満たすことができるのです。

データ仮想化に対応するデータソース例

  • パッケージアプリケーション
  • データウェアハウス
  • クラウドデータ
  • RDB
  • データレイク
  • Webサービス
  • Excel
  • ビッグデータ
  • IoTデータ
  • フラットファイル
  • XMLドキュメント

データ仮想化に対応するシステム例

  • Oracle
  • DB2
  • Excel
  • Spark
  • SQL Server
  • Hive
  • フラットファイル
  • Drill
  • Teradata
  • Impala
  • Amazon Redshift
  • REST
  • Netezza
  • Sharepoint
  • Google Big Query
  • OData

データ仮想化の4つの主要機能

ビジネス要求にスピーディーに対応するための4つのコンポーネント

アジャイルな設計/開発機能

データの探索、データ間の隠れた関係性の発見、ビューやデータサービスの設計、検証および必要に応じた修正が可能です。
これらの機能により、複雑で手間のかかる伴う作業を自動化し、解決のための時間が短縮され、再利用率が向上します。

高性能ランタイム

アプリケーションからのリクエストに対して、クエリを最適化してから実行し、適切な形式で結果を返します。
この機能により、無駄な複製を防ぎ、最新のデータを最適なパフォーマンスで利用できるようになります。

柔軟なキャッシュ機能

よく利用されるデータをキャッシュし、アプリケーションのリクエストに応じて、通常の最適化されたクエリをさらにキャッシュを利用して高速に実行し、素早く適切な形式で結果を返します。
この機能により、パフォーマンスが向上され、ネットワークの制約を回避し、24/365の可用性の実現が可能になります。

データを見つけやすくするビジネスディレクトリ

ビジネスディレクトリには、データの検索と分類、利用可能な全てのデータの参照、ディレクトリからのビュー選択、IT部門とビジネスユーザが連携してデータ品質と有効性を向上させるための機能等が含まれます。これらの機能によりビジネスユーザーは多くのデータを利用できるようになります。また、IT部門とビジネス部門の両方の生産性が向上するためデータ仮想化が幅広く受け入れられるようになります。

データ仮想化のユースケース

データアナリティクスにおけるユースケース

  • 物理的なデータ統合のプロトタイピング
  • 分析用のデータアクセスレイヤー/セマンティックレイヤー
  • ロジカルデータウェアハウス
  • データの前処理
  • データコピーに関する規制への対応

データオペレーションにおけるユースケース

  • データアクセス用の抽象化レイヤ/仮想ODS(Operational Data Store)
  • ジストリ型のマスターデータ管理
  • レガシーシステムのマイグレーション
  • アプリケーションデータへのアクセス
  • データコピーに関する規制への対応

新たなデータ活用ニーズにおけるユースケース

  • クラウドデータの共有と活用
  • IoTデータ連携の連携およびエッジデータへのアクセス
  • データハブ
  • データとコンテンツの統合
  • データコピーに関する規制への対応

<業界別>データ仮想化のユースケース

通信/テクノロジー

  • 市場調査サービスの差別化
  • お客様1人あたりの収益の増加
  • 顧客データの仮想データレイクの構築
  • 最先端のイノベーションの実現
  • 請求およびマーケティング用のリアルタイムODSの作成
  • カスタマーケアの最適化
  • 顧客エンタイトルメントの管理
  • カスタマーインサイトの向上

エネルギー

  • エネルギー生産における上流工程の最適化
  • 坑井の維持補修の改善
  • オフショアプラットフォームデータの分析
  • 石油精製所間のプロセスの最適化
  • SAPアプリケーション内のデータ品質の向上

金融

  • 債券のリスク管理
  • トレードにおけるリコンサイルの改善
  • 新規顧客の利用促進
  • 複雑な住宅ローンデータの管理
  • キャッシュマネジメント顧客の利益改善
  • データの民主化を強化

政府

  • 環境保全

ヘルスケア

  • 新製品開発におけるイノベーション促進
  • M&Aでのシナジー効果を加速
  • より効率的な請求分析
  • 患者ケアの改善

製造業

  • グローバルサプライチェーンの最適化
  • 工場や物流の最適化
  • デジタルタライゼーションによる競合他社との差別化
  • 既存IT資産の使用率の向上

データ仮想化を開始するにあたって

データ仮想化の導入における最大価値は、高速な仮想データレイヤーです。
仮想データレイヤーを用いることでロバストなデータ管理やガバナンス確保が可能になるだけではなく、組織内の重要なデータに対してセルフサービスでのアクセスが可能になります。拡張性を確保し、高いコストパフォーマンスでアプリケーションや分析システム上でデータを利用できるようになります。

しかし、ほとんどのケースにおいてデータ仮想化の実装は小規模なものから始まり、その後拡張していきます。
データ仮想化を始めるにあたり一般的な方法は、1つまたは複数のプロジェクトを担当する小規模なチームで実行することです。
小規模なチームは融通が利き、不確実性を受け入れることができるからです。イテレーションを迅速に進め、データプロジェクトを完了させるためには機敏でなくてはなりません。そのためには小規模なチームが最も適しているのです。

次のステップは、構築した仮想データレイヤにプロジェクト用のデータセットを配信することです。
このステップでは、要件の変化、複数のデータソース、データ型の混合、最新のデータ、データウェアハウス外のデータ、物理的に統合するには大きすぎるデータ、ファイアウォール外にあるデータなど、データに関するいくつかの課題に対処します。

また、チームはデータ仮想化によるビジネス価値と導入の難易度に基づいて、データ仮想化を導入するプロジェクトの優先順位を決定する必要があります。
ビジネス価値が高く、導入が容易であるほど、プロジェクトの優先度は高くなります。
アプリケーションレイヤー、ビジネスレイヤー、およびソースレイヤーでさまざまなデータサービスを再利用するためにもデータ仮想化を拡張させ進化させていく必要があります。

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