モバイルアプリを成功に導く分析方法とは?重要指標・KPIも解説

目次

モバイルアプリ市場における競争が激化する時代、十分な成果を得るためには精緻なアプリ分析が欠かせません。

本記事では、ビジネス成功のカギとなるアプリ分析の手法や重要な指標であるKPIの詳細について解説します。また、分析ツールのメリットや実際に分析ツールを導入して成功した事例なども紹介します。

重要な指標や成功事例を理解しておけば、モバイルアプリを成功に導くための具体的なステップ・道筋が、より明確になります。

アプリ開発やマーケティングにおいて最適な戦略を見つける手助けとなる情報を掲載していますので、ぜひ参考にしてください。

記事の要約
  • カスタマージャーニーに沿ったマーケティング、各フェーズごとの施策・分析が必要
  • モバイルアプリ分析では「新規ユーザー獲得に関する分析」「アプリにおける顧客行動の分析」「プッシュ通知やメールの分析」が重要
  • モバイルアプリ分析において重要な指標・KPIを押さえておく必要がある
  • 多角的な分析を可能にするためには、適切な分析ツールの導入が有効

アプリ分析で理解しておくべきマーケティングの全体像

マーケティングの全体像

まずは、アプリ分析におけるマーケティングの全体像を大まかに理解しておきましょう。マーケティングの施策はカスタマージャーニーの流れに応じて実施しますが、大まかには顧客がアプリをダウンロードする前後で分かれているとも言えます。

一般的にはダウンロードに至るまでは、ユーザー獲得を目的とした施策を行い、ダウンロード後では、継続利用促進やロイヤルカスタマーの拡大を目的とする施策を行います。

より具体的には、①興味・関心を持つ ②比較・検討する ③ダウンロード・利用するというカスタマージャーニーにおいて、① ②のフェーズでは、広告やPRなどのプロモーション、②のフェーズではASO(アプリストア最適化)対策、③のフェーズでは、アプリ内メッセージやプッシュ通知、そして、ユーザーの利用状況を把握するためにアプリ内の行動分析を行います。

このように、一連の施策を各フェーズごとに分析していくことが重要です。

モバイルアプリにおける分析の重要性

モバイルアプリでは、データを収集・分析することで、アプリの有用性やマーケティングの成果を適切に評価・改善し、ビジネスの効率を高められるようになります。

具体的には、ユーザーの行動データをアプリの改善に役立てることができる、施策の反応を正確に把握できる、セグメントごとにパーソナライズしたサービスを提供できる、といったメリットがあります。

日々ローンチされる多くのアプリと差別化するためにも、分析と改善は必須です。多くのデータを定量化・視覚化し、スピード感を持ってPDCAを回せば、高い競合優位性を得ることができます。

苦労してアプリをローンチしても、分析をせずに放置しておいてはユーザーの拡大およびLTVの向上は期待できません。損失を防ぎ最大限の利益を得ることを目指して、定期的な分析に取り組みたいものです。

モバイルアプリのマーケティングで分析するべき要素

モバイルアプリのマーケティングで分析するべき要素は主に3つあります。

  • 新規ユーザー獲得に関する分析
    新規ユーザーはどの広告から流入したか、最も効率のいいトラフィック源はどこかなど
  • アプリにおける顧客行動の分析
    ユーザーはどんな時にどのようにアプリを使用しているか、ダウンロード後にアプリを使用し続けているユーザーはどれくらいいるかなど
  • プッシュ通知やメールの分析
    どのプッシュ通知がリテンションやセッション数などに対して成果を上げているか、開封率の高いメッセージはどれかなど

以下、具体的に解説していきます。

新規ユーザー獲得に関する分析

反応の良いユーザー層の行動パターンや嗜好をはじめ、新規ユーザーの獲得に伴うコスト、ユーザーの流入経路、CVR(コンバージョン率)の高い広告フォーマット、効率の良い流入源やROI(投資収益率)の高いチャネルなどを特定・分析します。

特に効率の良い流入源やROIの高いチャネルの特定は、新規ユーザー獲得に不可欠です。包括的な分析結果をマーケティングに反映させ、リアルタイムで調整を行いながら全体のROIを高めることで、持続的なビジネス成功に向けた戦略の展開が可能になります。

効果的な分析方法

新規ユーザー獲得に関する分析では、アトリビューション分析が重要な役割を果たします。

アトリビューション分析とは、広告ごとに設定されたコンバージョンを達成するまでにユーザーが接触した各チャネルの貢献度を計測する手法です。

アトリビューション分析を可能にするツールを導入することで、特定のチャネルがユーザー獲得に与える影響を詳細に把握できます。例えば貢献度の高いチャネルを特定すれば、有効な広告戦略の立案やキャンペーンの最適化が可能です。

さらに、アプリの起動回数、ゲームの進行状況、アプリ内課金などのイベント情報を加味してアトリビューション分析に組み合わせることで、より包括的な洞察を得ることができ、効果的な広告費の予算配分を実現しやすくなります。

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アトリビューションツールを選ぶ際のポイント

アトリビューション分析を可能にするツールを選ぶ際は、コストや機能性だけではなく、使いやすさやサポート体制などの要素も考慮して、総合的に判断しましょう。

使いやすさにおいては、UIやダッシュボードを確認すると良いでしょう。チームの誰もが迅速かつ効果的にツールを使用できることが重要です。

サポート体制においては、トラブルシューティングや問題解決のためのサポートが充実しているかどうかが重要です。

アプリにおける顧客行動の分析

アプリ内で蓄積された詳細な顧客の行動データを用いて、傾向の抽出や仮説の構築を行います。例えば、ユーザーのアプリの利用方法や使っている機能、継続利用しているユーザーの行動や利用の多い時刻、アプリ利用が特に多いユーザーの特徴などを分析します。

使用時刻の分析は、ターゲットユーザーがアプリを利用する時間帯を把握し、それに合わせたキャンペーンやプッシュ通知の最適化に役立ちます。

アプリ利用が特に多いユーザーの特徴分析は、重要な顧客セグメントの特定につながり、効果的なターゲティング戦略の構築が可能になります。

ユーザー行動分析とは?8つのフレームワークと具体的な手法を解説

効果的な分析方法

顧客行動の分析には、専用の行動分析ツールの導入が効果的です。行動分析ツールの有用性は多岐にわたり、ビジネスにおいて重要な意思決定の基盤となっています。

主な有用性として、CV(コンバージョン)に至る顧客セグメントの把握、離脱原因の特定、ロイヤルカスタマーに至るまでの過程や特徴の把握が挙げられます。そしてこれらの有用性により、次のようなメリットが期待できます。

CVに至る顧客セグメントを把握できると、注力すべき顧客セグメントが明確になり、どの機能やコンテンツを強化することが効果的であるかを理解でき、マーケティング戦略やカスタマーエクスペリエンスの最適化に活用できます。

また、ユーザーの離脱原因を特定すると、改善が必要なフェーズを識別し、改善を図ることができます。

ロイヤルカスタマーに至るまでの過程や特徴を把握すれば、適切なKPIの設定やそれを基にした戦略的なアプローチが可能となり、最上位の顧客層の獲得と維持に効果的です。

さらに、行動分析ツールは、必要なデータを組み合わせてグラフやレポートなどの形で視覚化することで複雑なiデータを理解しやすくし、迅速な意思決定をサポートしてくれます。

以上のような利点により、行動分析ツールは企業が顧客との関係を最適化するために不可欠なツールとなっています。

行動分析ツールを選ぶ際のポイント

行動分析ツールの選定の際は、次のポイントに留意することが重要です。

まずは、直感的な操作が可能かどうか確認しましょう。使いやすさはツールの有効活用に直結するため、ユーザビリティが高く、操作がスムーズであることが求められます。

次に、対応するチャネルが十分かどうかも重要です。ツールがサポートするチャネルが広範であれば、多岐にわたるデータを網羅的に分析できます。

さらに、多くのツールとAPI連携できるかも注目すべき要素でしょう。拡張性が高ければ、現状のシステムを活かしたシームレスなデータ活用が可能です。

機能面では、分析機能の数や多様性がポイントです。例えば、フロー分析やファネル分析、リテンション分析など多角的なアプローチが可能かどうかを確認しましょう。

プッシュ通知・メッセージの分析

ここで言うメッセージとは、アプリ内メッセージやメール、SMSなど、様々な形態でユーザーに情報を伝達する手段を指します。

こうしたメッセージの分析においては、まず、成果を上げているプッシュ通知・メッセージを特定することが重要です。分析対象としては、送信したメッセージの開封率や、送信した割引クーポンの実際の利用率などが含まれます。

これらのデータを分析により把握することで、ユーザーへのコンテンツ提供が利用促進につながっているかを確認し、今後のキャンペーン告知において成功体験を活かしたり、メッセージの内容や送信タイミングをより効率的に調整したりできます。

効果的な分析方法

アプリにおけるメッセージの分析は、モバイルマーケティングオートメーションとも呼ばれます。また、1つのソフトウェアでプッシュ通知やメッセージのタスク・プロセスなどマーケティング活動を一元管理する概念・ツールも指します。

一般的にWebとモバイルではユーザーは異なり、その行動パターンも異なることが多いということが認識されています。そのため、モバイルに最適化した施策を展開するには適切なツールを採用することが重要です。

正確で効果的なツールを導入することで、ユーザーの離脱防止や離脱ユーザーの呼び戻しのために効果的な戦略を展開することができます。

具体的には、メッセージの活用によって効果的なオンボーディング(顧客がサービスや製品を初めて使う際の第一歩の段階)や機能説明、アップセル(顧客の単価を向上させる取り組み)やプロモーションの提供を行うなどが可能です。

モバイルアプリの分析で押さえておきたい指標・KPI

ここからは、モバイルアプリの分析で知っておきたい指標・KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)について解説します。

KPIを設定することで目標までの達成度合いを定量的に計測して進捗状況を把握でき、マーケティング活動を活性化できます。

KPIの意味や効果とは?参考例や設定方法・グロースにつなげるポイントを解説

CPA

CPAは、Cost Per ActionまたはCost per Acquisitionの略で、顧客獲得単価を指し、広告を出稿してどれだけ顧客を獲得できたかという指標です。

モバイルアプリ分析の文脈では、広告を出稿してユーザーが特定のアクションを実行した場合やアプリをダウンロードした場合を目安に、どのメディアや広告タイプが最も効果的であるかを計測することができます。これにより広告の媒体やターゲットを細分化して効果的に出稿することができるようになります。

アプリストア内のインプレッション

アプリストア内のインプレッションとは、アプリの露出度合いを示す指標です。アプリがユーザーによって見られたり、検索結果に表示されたりするとその回数がカウントされます。

この指標は、自社のアプリがアプリストアで見つかりやすくなるように最適化するための取り組みであるASO(App Store Optimization:アプリストア最適化)対策の効果を測るために活用されます。

インプレッションが高くともダウンロードに至る割合が低い場合は、アプリページのタイトル、アイコンなどを改良することでダウンロードの増加を図ることが可能です

ダウンロード(DL)・インストール数

あらかじめアプリのダウンロード・インストール数を確認してASO対策を行うことで、その結果の推移を見ながらより適切なASO対策を行うことが可能になります。

また、分析ツールの使用により、どのチャネルや広告経由でアプリをインストールしたかを把握することも可能です。

広告出稿時のインストール数と、オーガニック(ユーザーがアプリを検索して見つけ自発的にダウンロードした場合)のインストール数は分けて計測します。

MAU・DAU

MAU(Monthly Active Users)は1ヵ月間のアクティブユーザー数、DAU(Daily Active Users)は1日のアクティブユーザー数を示します。

これらはアプリの健全性や成長を測るために使用され、ユーザーエンゲージメントにおいて重要な指標です。

また、MAUとDAUの比較からユーザー行動の変化やトレンドを把握できます。両方の変動を継続的に分析することで、アプリの改善や戦略の調整に役立つでしょう。

ARPU・ARPPU・ARPA

ARPU(Average Revenue Per User)は、ユーザー1人あたりの平均売上を示し、ARPPU(Average Revenue Per Paying User)は課金ユーザー1人あたりの平均売上を表します。

ARPA(Average Revenue Per Account)はアカウントごとの平均売上を意味します。これらの指標は、マーケティング戦略やユーザー獲得において効果的な判断材料となります。特にARPUやARPPUの改善は顧客ロイヤルティの向上を示し、サービスの成長に寄与します。

リテンション率

リテンション率は、特定の期間内にアプリを再利用するユーザーの割合を示す指標です。高いリテンション率はユーザーの忠誠心や満足度を示し、低い場合はその逆なので改善の余地があります。

また、リテンション率の変動を追跡することで、ユーザーがアプリを長く使用するかどうかを把握しやすくなります。ユーザーエクスペリエンスやマーケティング戦略の評価においても重要な役割を果たします。

リテンションマーケティングの重要性や手法・成功事例を紹介

解約率(チャーンレート)

解約率はその言葉の通り、特定期間におけるユーザーの離脱率を示す指標です。高いチャーンレートは利用者の離脱が多いことを示し、低い場合はユーザーの継続利用が多いことを示します。

これらの分析は離脱の原因を特定することに役立ち、サービス改善やユーザーエンゲージメント向上を図りやすくなります。

離脱ポイントの詳細な調査やフィードバックの収集、ユーザーセグメンテーションなど、より多角的な分析が重要です。

解約率(チャーンレート)分析の重要性や分析・改善の流れと方法を解説

LTV

LTV(Life Time Value)は、ユーザーがアプリを利用する期間における総収益を示す指標です。

アプリ分析では、ユーザーの購買履歴や利用データを統合しLTV算出し、その情報を元に顧客の将来的な価値を評価することができます。これにより、マーケティング戦略やユーザー獲得の際に収益予測を行い、的確な戦略最適化が可能となります。

高いLTVを持つユーザー層に焦点を当て、継続的な価値を提供することがビジネス成功につながります。

LTV向上施策を4つの要素から解説|成功事例や施策実施のポイントも紹介

モバイルアプリを成功に導く分析ツール「Mixpanel」

「Mixpanel」は、ユーザー行動やイベントデータを追跡し、分析するためのプロダクトアナリティクスツールです。モバイルアプリの分析にも対応しており、直感的なダッシュボードでデータを可視化してくれます。

主な分析機能として、インサイト分析、インパクト分析、リテンション分析などが挙げられます。これにより、ユーザー行動の把握や施策の成果を的確に判断することが可能です。また、新機能や施策の効果を評価し、改善点を見つけることにも役立ちます。

柔軟で高度なデータ分析機能を提供するMixpanelは、モバイルアプリ開発やマーケティングに価値ある洞察をもたらすツールです。

導入事例|株式会社 アマデウスコード 様

「株式会社アマデウスコード様」は、著作権フリー楽曲のサブスクリプション型ダウンロードサービス「Evoke Music」を運営するスタートアップ企業です。

詳細なインサイト分析により無料プランを廃止し、14日間の試用期間を導入すると有料プランへのアップグレード数が飛躍的に増加しました。

さらに、Mixpanelのインパクトレポートを活用した新機能の効果検証では、新機能により楽曲ダウンロード数が6倍増加し、アクティブユーザーが急増していることを発見。施策の真の成果を的確に把握し、サービス改善とグロースを達成しています。

導入事例:株式会社アマデウスコード 様

モバイルアプリはツールによる多角的な分析が重要

この記事ではモバイルアプリを成功に導く分析方法、そして分析において重要となる指標・KPIの詳細について解説しました。

また、専用の行動分析ツールの有用性についても紹介しました。戦略的な意思決定や方針の立案を行い、モバイルアプリの有効な開発と改善を実現するには、分析ツールによる多角的・総合的な分析が欠かせません。

リアルタイムにユーザー行動の把握ができ、アプリの改善、ARRPUやLTVなどのKPIの向上を目指すためにも、分析に特化した「Mixpanel」を導入してみてはいかがでしょうか。検討に役立つ資料は以下からダウンロード可能です。

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