アクティブユーザーの定義とは?重要性や向上させるポイントを解説

目次

自社の商品やサービスが顧客にどの程度活用されているのかを把握し改善点に対応することは、事業成長において欠かせない取り組みです。施策の効果測定に活用できる指標の一つに「アクティブユーザー」があります。アクティブユーザー数から、顧客の定着率やエンゲージメントを把握することが可能です。

本記事では、アクティブユーザーの定義やその重要性、アクティブユーザーを増やすためのポイントなどについて解説します。アクティブユーザーを指標として活用したい企業の担当者さまは、ぜひ参考にしてください。

記事の要約
  • アクティブユーザー(AU)とは、ある期間内にWebサイトやアプリにアクセスし、なんらかの行動を起こしたユーザーのこと
  • アクティブユーザー数の計測期間「DAU」「WAU」「MAU」は、サイトやアプリの性質によって使い分けることが重要
  • アクティブユーザーの把握により「リピーターの数を把握できる」「施策の成果を確認できる」「LTVの向上に寄与する」などのメリットがある

アクティブユーザーの定義とは?

「アクティブユーザー(AU)」とは、管理者が設定した期間内にWebサイトやアプリなどにアクセスし、利用したユーザーを指します。期間内であれば、同一ユーザーが何度訪れても1AUとしてカウントされます。アクティブユーザー数の計測により、自社サービスを利用しているユーザー数を把握することが可能です。

また、アクティブユーザー数から顧客のエンゲージメントや定着率などのインサイトを得ることもできます。特に顧客の継続利用を前提としたSaaS事業が増加する現代において、アクティブユーザー数は売上に係る重要な指標といえます。

アクティブユーザーとユニークユーザーの違い

アクティブユーザーと混同しやすい指標に「ユニークユーザー(UU)」があります。どちらもユーザー数を計測する指標ですが、両者の違いは集計期間を設定しているか、いないかです。アクティブユーザーが特定の集計期間を設定しているのに対し、ユニークユーザーは期間を設定していません。

また、アクティブユーザーは実際にサイトやアプリを使用したユーザー数を表すのに対し、ユニークユーザーはサイトやアプリへ訪問しただけのユーザーをカウントするのも特徴です。そのため、アクティブユーザーはエンゲージメントの指標、ユニークユーザーは集客の指標ともされています。

アクティブユーザー数の計測期間

アクティブユーザー数の計測期間は、サイトやアプリの性質によっても異なります。例えば、毎日使用するSNSであれば1日あたりの動向を把握するのが望ましい一方、保険や銀行、旅行といったサービスでは月ごとや季節ごとのユーザー数をモニターするほうが適切です。以下は、主なアクティブユーザー数の計測期間です。

計測期間 定義 主なサービス
DAU 1日あたりのアクティブユーザー数(特定の日に何人のユーザーが訪れたかを見る指標) SNSアプリ、ニュースアプリ、ビジネスチャットなど
WAU 1週間あたりのアクティブユーザー数(週間に何人のユーザーが訪れたかを見る指標) 情報配信サービス、ニュースアプリなど
MAU 1ヶ月あたりのアクティブユーザー数(月間に何人のユーザーが訪れたかを見る指標) ホテル予約、バンキングアプリなど

3つの中でよく使われているのがDAUとMAUで、これらはユーザーの定着率を算出するためにも活用できます。また、継続率も確認できることから、企業にとって大切な指標の一つといえます。

アクティブ率の計算式

アクティブユーザー数は大切な指標ですが、ユーザーの実際の利用状況が把握できるものではありません。例えばあるアプリのDAUが400の場合、実際にアプリをダウンロードしたユーザー数が4,000であれば、1割のユーザーしかアプリを利用していなかったことになります。

そこで重要になるのが「アクティブ率」です。アクティブ率とは特定の期間にサイトやアプリなどのサービスを利用したユーザーの割合を指し、実際にそれらのサービスが日常的に使用されているかを測る指標です。以下では、アクティブ率として用いられる「MAU/DL数」と「DAU/MAU」について解説します。

MAU/DL数

「MAU/DL数」は、月間のアクティブユーザー数をダウンロード数で割ったものです。

(計算式)
MAU/DL数 = 月間のアクティブユーザー数 ÷ サービス登録者数(アプリダウンロード数など)

この指標によりサービスを導入したユーザーが実際にどれくらいサービスを利用しているかを計測でき、利用が定着しているユーザー数を把握することが可能です。MAU/DL数が低い場合、オンボーディングや使いやすさなどに問題があるケースが考えられます。

DAU/MAU

「DAU/MAU」は月間のアクティブユーザー数のうち、特定の日にサービスを利用したユーザー数を表したものです。

(計算式)
DAU/MAU = (1日のアクティブユーザー数 ÷ 月間のアクティブユーザー数)× 100

DAU/MAUが80%の場合、ユーザーが毎月平均24日間サービスを利用している計算になります(1ヶ月30日の場合)。また、DAU/MAUが高いサービスは知人へのシェアやアプリ内課金の機会が増えるなど、企業の収益拡大につながる可能性が高いといえるでしょう。DAU/MAUの計測を長期的に実施することで、サービス改善の施策を打ち出すことも可能です。

DAU/MAUの数値が低い場合、ユーザーがサービスに満足しておらず、ユーザー離れが起こる可能性もあります。

アクティブユーザー数・率はなぜ重要なのか

続いて、アクティブユーザー数・率が重要な理由について見ていきましょう。

ユーザー数の現状を正確に把握できる

なかには、サイトのPV数やセッション数を重点的にチェックしている企業もあるでしょう。PV数とはユーザーがページを閲覧した回数を、セッション数とは特定の期間内にサイトを訪れたユーザーの訪問回数を示す指標です。

これらの指標は特定のユーザーが何度もアクセスすることで増加していくため、ユーザー数の現状を正確に把握できないといった問題が出てきます。例えば、PV数が増えている場合でも、実際には限られたユーザーが繰り返しアクセスしているだけということもあり得ます。

一方のアクティブユーザー数は重複が除かれた数値であるため、正確な数値を把握することが可能です。

リピーターの数を把握できる

アクティブユーザー数の推移を確認することで、リピーター数の把握もできます。SaaS系のサービスにおいては、リピーターの獲得が特に重要です。企業はリピーターの推移を確認し、数値を改善していく必要があります。リピーターの数が順調に増加していれば、適切な施策を実施できていると考えてよいでしょう。

解約率が上がっている場合は施策がユーザーのニーズとずれているか、サービスの問題に気づけていない可能性があります。リピーターの推移を確認しながら柔軟な対応を取り、効果的な施策につなげていくことが重要です。

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施策の成果を確認できる

ユーザーがアプリなどをダウンロードしたり、アカウントを作成したりしても、継続的に利用するとは限りません。アクティブユーザーの推移などを見ながら、ユーザーにアプリの利用を促すための対策を講じることが必要です。効果の薄い施策を続けてしまうと、ユーザーの大幅な減少も起こり得ます。

例えば、Meta社がリリースしたSNS「Threads」はリリース当初ピーク時には約4,400万人のアクティブユーザーがいたものの、1ヶ月後には約800万人までに減少しました。サービスはダウンロードするだけでなく、定期的に利用してもらうことが大切です。

サービスを利用してもらうためには、ユーザーに有益な情報の提供や効果的なサポートの実施など、リテンションマーケティングを行う必要もあります。施策を行いつつアクティブユーザーやアクティブ率を確認し、軌道修正しながらより効果的な施策を展開していくことが望ましいでしょう。

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LTVの向上に寄与する

LTV(顧客生涯価値:ライフタイムバリュー)とは、特定の顧客が企業にどれだけの利益をもたらしてくれるかを示す指標です。一般的に、LTVが高いほど企業に対する顧客の愛着が強いと考えられています。LTVの向上はロイヤルカスタマーの創出やマーケティングコストの削減を意味するため、重要な指標として継続的に確認する必要があります。

また、ARPDAU(average revenue per daily active user)により、アクティブユーザーが1日にどれくらいの収益を生み出しているかを測定することも可能です。

(計算式)
ARPDAU = 1日の売上 ÷ 1日のアクティブユーザー数

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アクティブユーザーを増やすためには?

ここからは、アクティブユーザーを増やすためのポイントについて解説します。

カスタマーサポートを改善する

顧客の問い合わせに対応する部門「カスタマーサポート」には、自社商品やサービスを利用した顧客の疑問点や不満を拾い上げて解決し顧客満足度を高める、顧客の声をサービス改善に活かすなどの役割があります。また、カスタマーサポートの質を高めることで顧客満足度が向上し、アクティブユーザーの向上にもつながります。

カスタマーサポートの具体的な施策としては、顧客の悩みをスムーズに解決できるFAQサイトの整備やチャットボットの導入などが有効です。有人サポートが必要と判断される場合には、これらからカスタマーサービスへつなぐこともできます。

さらに、顧客同士がつながる場となるカスタマーコミュニティの作成もおすすめです。カスタマーサポートへ問い合わせるよりも早く問題を解決できるケースもあるうえ、カスタマーサポートへの問い合わせ数を減らせるといったメリットもあります。

カスタマーサクセスを改善する

カスタマーサポートは受動的なサポートですが、カスタマーサクセスは能動的に顧客をサポートする施策です。カスタマーサクセスとは「顧客の成功」を意味し、自社の商品やサービスを購入した顧客に能動的に関わり続け、顧客の課題解決を重視するといった考え方です。カスタマーサクセスの実現によりリピーター率を高めることができ、LTVの向上にもつながります。

具体的には、オンボーディングや顧客フォロー、コンテンツ作成などの施策があります。
オンボーディングで顧客が早く商品やサービスを使えるようしっかりとサポートし、定期的に顧客のフォローを行いましょう。継続的に顧客と関わることで、ロイヤルティの醸成や不満の解消につなげられます。

さらに、SNSやWebサイト、動画、メルマガなどのコンテンツ作成も重要です。コンテンツ作成の際には顧客のセグメンテーションを行い、顧客のフェーズに合わせた施策を検討すると効果的です。

顧客の行動データを解析する

アクティブユーザー数の推移を確認することは重要ですが、具体的な課題や継続利用の要因などを把握することは難しいものです。効果的に施策を行うためには顧客の行動データを収集・解析し、データに基づいた意思決定を行う必要があります。

Webサービスやアプリなどの顧客データを詳細に解析する際には、専用のツールが必要です。例えば、コンバージョンの高い顧客・低い顧客のセグメントを比較したり、離脱の原因を特定したりなどに活用できます。自社のシステムや運用中のツールなどの顧客データを統合し、多角的な分析ができるツールが望ましいでしょう。

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アクティブユーザーの増加に寄与する「Mixpanel」

「Mixpanel」はアプリやWebサービスなどの顧客行動データを収集・分析するツールです。必要なデータを視覚化することでユーザーの行動を確認し、パワーユーザーの行動パターンや顧客が休眠に至った原因、リテンションを促進する際の要因の特定などに活用できます。

ユーザーに紐付けたマスターIDにより複数のデータベースを一括管理でき、いままで見えなかった顧客の行動パターンを発見しやすいのも特徴です。すでに利用している他システムとも連携可能で、業務の効率化を促進します。

ユーザーの定着率や解約率などを把握することでリピートユーザーを獲得するための有効な施策を練ることもできるなど、プロダクトの改善やロイヤルカスタマーの育成に役立てることができます。

導入事例|コネヒト株式会社 様

子育てQ&Aアプリ「ママリ」を運営しているコネヒト株式会社 様では、2014年のアプリリリース時からMixpanelを活用されています。以前、同社は以下のような課題をお持ちでした。

  • プレミアム会員獲得のために効果的な施策が必要だった
  • 施策に対するセグメントごとの反応が掴みにくかった
  • ユーザー行動と施策の因果が分からなかった

導入後は以下のような成果を実感されています。

  • 施策の効果を細かく分析でき、プレミアム会員への転換率が大きく上昇した
  • セグメントごとのより効果的な施策が把握できた
  • 施策と効果のつながりが明確になった

高速でPDCAを回すことができる点がアプリ開発に大変役立っているそうです。また、インパクト分析機能を多用して施策のローンチ前後のユーザー反応を可視化し、施策がリテンションにどの程度寄与したか把握できる点も魅力と評価されています。

導入事例|コネヒト株式会社 様

アクティブユーザーはアプリやプロモーションの効果測定に重要な指標

アクティブユーザー数により、ユーザー数の現状やリピーターの数を正確に把握できる、施策の成果を確認できるなどのさまざまなメリットがあります。顧客に商品やサービスを利用し続けてもらうためにはアクティブユーザーの現状を確認し、効果的な施策を展開していくことが必要です。アクティブユーザーの指標をアプリやプロモーションの効果測定に有効活用し、LTVの向上に活かしましょう。

NTTコム オンラインでは、Mixpanelの実装作業やプロダクト指標、ダッシュボード機能開設などに関する説明資料をご用意しています。ぜひダウンロードしてご活用ください。

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