2021/05/18

領収書の電子化

領収書は再発行不可の場合もある!紛失時の対策方法とは?

領収書は取引した商品やサービスの代金を受け取った証明として発行されるものであり、基本的には7年間保管する必要があります。ただ、取引の度に増えていく領収書はときには破損したり、紛失したりする場合がないとはいえません。そこで、この記事では「万が一、領収書を紛失したときに再発行は可能なのかどうか」「領収書紛失時の対策方法」について紹介します。

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領収書が必要になるときとは?発行義務はあるのか?

領収書は取引の代金を受け取った証拠として発行をすることで、支払った側と受け取った側の間にトラブルが起きないようにする役割があります。そのため、代金を支払った側から領収書の発行を求められたときには必ず発行をしなければなりません。

領収書が必要になるときとは

企業の場合は「従業員が業務において立て替えた経費の立替分の精算」、個人の場合は「発生経費の向上」や「医療費控除」の際に領収書が必要です。法人税申告、確定申告、税務調査にも必要になるため、領収書には保管義務があります。

領収書の「再発行」については義務がない

求められた際に必ず発行しなければならない義務があるならば、「再発行を求められたときにもそうしなければならないのでは」と考えられがちです。しかし、再発行についての義務はないため、代金を受け取った側には拒否する権利もあります。

領収書の再発行ができないのはどのようなとき?

領収書の再発行を依頼しても拒否される場合があります。以下のケースでは再発行が難しいため、注意が必要です。

元の領収書が手元にある場合

これは紛失と偽り、領収書の再発行を依頼して経費の水増しをするケースがあるからです。取引企業がそういった行いをして行政処分を受けた場合、領収書の再発行をした企業も共犯と疑われる可能性がないとはいえません。そのような危険性をなくすためにも、領収書の再発行を気軽にすることができないのです。

取引金額が5万円以上の領収書の場合

領収書は印紙税の対象となっており、金額が5万円以上になっているものに関しては収入印紙を貼らなければなりません。再発行をする場合も、5万円以上であれば収入印紙が必要です。そのため、再発行を拒否される場合もあります。

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領収書の再発行ができないときの2つの対策方法

領収書を依頼されても簡単に同じものを再発行をすることはできません。しかし、領収書の代わりになる対策を行うことが可能です。

購入証明書・支払証明書の発行

領収書の再発行には簡単に応じることができませんが、「購入証明書(販売証明書)」「支払証明書」で対応することができます。これらの証明書には日付や金額、取引内容、購入元・支払先のほか、領収書の紛失についても記載し、領収書の代替えにすることが可能です。ただ、証明書の発行は有料の場合が少なくありません。金額については、あらかじめ確認をしておくと安心です。

銀行口座やクレジットカードの支払い情報

商品やサービスの代金を支払った際に銀行引き落としやクレジットカードの利用をしていれば、その利用明細が領収書の代替えになります。公式な記録になるため、税務調査の際にも有効です。

ほかの方法では対応できない場合には、再発行を検討しなければなりません。領収書が破損した場合はそちらを持参や送付することで、再発行が可能となるケースもあります。

請求書の再発行を依頼された!どのような点に注意すべき?

発行をした領収書に不備があったことが原因で再発行を求められた場合は、謝罪とともにできるだけ早く再発行をしなければなりません。取引先のミスによる再発行の依頼は、経費の架空計上や不正使用防止のために基本的には拒否とし、あらかじめ領収書にもその旨を記載しておくようにします。それでも領収書の再発行を依頼され、実行する場合はあらためて「原則として領収書の再発行は行っていない」「今回のみ」と念押しをしておくことが重要です。領収書の再発行をする際には以下のことに注意しましょう。

領収書の代替えになるものを用意しておく

領収書の再発行は原則として拒否、あくまでも最後の手段と考え、まずは購入証明書や支払証明書の発行を提案します。どちらも取引をした日付や金額、取引内容などがわかるため、領収書の役割を十分に果たすことが可能だからです。提案した代替え案から取引先が実行しやすいものを選択できるように、複数の案を用意しておくほうが良いでしょう。

「再発行」のスタンプを押す

不正使用などを避けるため、再発行をした領収書には「再発行」のスタンプを押しておくことが重要です。スタンプは、できれば赤色のものを使用しましょう。

再発行の依頼を受けたという記録をする

領収書の再発行によるトラブルが起きた場合に備えて、事情を説明できるようにしておくことが大切です。最低限、取引先の情報や再発行の依頼を受けた日付、再発行の理由などの記録は必要になります。

元の領収書がある場合は回収をする

再発行の理由が領収書の破損だった場合、元々作成した領収書が残っています。再発行をする条件として、元の領収書は回収することを伝えておきましょう。回収した領収書は控えとホッチキスなどでまとめ、再発行をした日付や領収書番号、再発行したことを記載し、しっかりと保管します。破損しているとはいえ、元の領収書を回収していない状態はトラブルの原因になりかねません。その際、可能であれば、破損した理由を確認しておくのも良いでしょう。

再発行をする領収書の内容に間違いがないように確認をする

元の領収書の控えの内容をきちんと確認したうえで再発行をします。領収書の内容にミスがあった場合、再び発行をしなければならなくなるからです。同じ内容の領収書を何枚も作成する必要がないように、細心の注意を払いましょう。また、連番で領収書の発行をしている場合は、最初に作成したものと再発行したもの、両方の領収書番号がわかるように記載しておくのがおすすめです。

再発行をした領収書に収入印紙を貼る必要はある?

元々作成した領収書の金額が5万円以上であれば、すでに収入印紙を貼っています。そのため、「再発行をしても収入印紙を貼る必要がないだろう」と思われがちです。しかし、国税庁によると、領収書は金銭を受け取った者がその受領証明をする目的で作成したもので「第17号文書」であり、再発行したものであっても同じく第17号文書にあたります。つまり、再発行をした領収書にも収入印紙は貼らなくてはなりません。

収入印紙の貼り忘れは法律違反

領収書に貼った収入印紙は納税の証なので、金額が5万円以上にも関わらず貼らなかった場合は納税を怠ったとして罪に問われてしまいます。印紙税法違反と呼ばれており、罰金(過怠税)の対象になるのです。罰金は本来貼らなければならなかった収入印紙の金額の3倍です。

収入印紙を貼った領収書には割り印が必要

収入印紙を貼った領収書には、割り印もしなければなりません。これは割り印がない収入印紙は再利用をすることも可能だからです。割り印をする位置の指定はありませんが、必ず収入印紙と領収書本体にまたがった形で押さなければなりません。また、割り印がない領収書は納税した証拠として無効になるので注意が必要です。

再発行分の印紙代についてはあらかじめ領収書に記載を

再発行をした領収書に貼る収入印紙代については受け取った側(再発行を依頼した側)に負担をしてもらったり、折半をしたりすることも可能です。ただ、収入印紙を購入し、領収書に貼るのはあくまでも作成する側というのが国が決めたルールになっています。再発行分の収入印紙代については、最初の領収書を作成時に「再発行をする場合は依頼した側が収入印紙代を負担する」など記載をしておくのがおすすめです。

収入印紙が不要な場合もある

領収書の金額が5万円以上であっても、収入印紙を貼る必要がないケースもあります。作成時に内訳として消費税の金額、あるいは税抜価格と消費税の金額の記載がある場合です。注意点として、金額部分に「(消費税込み)」のようにカッコ書きで税込の金額であると記載しても、内訳に消費税の金額の記載がなければ収入印紙は必要になります。

ほかにもクレジットカードで取引をした場合は信用取引となるため、5万円以上の領収書を発行しても収入印紙は不要です。ただ、クレジットカードが使用されたことを記載しておく必要があります。さらに、電子化された領収書についても収入印紙が不要です。こちらの場合は電子化されていることから、文書の交付ではないとみなされるからです。

電子化した領収書ならば紛失の心配も不要

前述したように、領収書を発行したとしても電子化されたものであれば文書を交付したことにはならず、収入印紙を貼る必要がありません。電子化をするメリットもさまざまあります。

データ化しているので管理しやすい

領収書は保管義務があるため、取引が多いほど数も増えてしまいます。そういったなかで起きてしまうのが、領収書の紛失です。また、紛失をしていないとしても、大量にある領収書のなかから必要なものを見つける作業は時間も手間もかかります。しかし、電子化していれば管理しやすく、必要情報を入力するだけで探し出すことも可能です。常にバックアップをとることで、より紛失もしにくくなります。

空いたスペースをほかの用途に使用できる

大量の領収書の保管には広いスペースが必要になる場合も多いです。電子化することで保管に使用していたスペースが空くため、ほかの用途に使用できます。

クラウドシステムと連携しやすい

領収書を電子化すれば印刷の必要もなくなるので、クラウドシステムとの連携もしやすくなります。クラウドシステムの導入はコスト削減につながり、作業効率もアップするのがメリットのひとつです。領収書の再発行を依頼されたときにもスムーズに作成できます。

取引先に合わせて領収書を発行できる

領収書を電子化する場合、あらかじめ取引先にも了承を得なければなりません。自社だけではなく、取引先にも対応してもらう必要があるからです。少なくとも電子化をする3、4カ月前には取引先に伝え、了承を得ると同時に準備をはじめてもらいましょう。ただ、取引先のすべてが領収書の電子化を了承するとは限りません。なかには、紙の領収書にこだわる取引先もあるでしょう。そういった場合にも、領収書の内容を電子化していれば、簡単に印刷して送付をすることができます。

領収書の電子化をする際の注意点

領収書の電子化にはメリットが多いですが、注意すべき点もあります。

初期費用がかかる

電子化をするためには専用パッケージの導入も必要になるため、初期費用がかかります。業務内容によってはパッケージでは対応が難しく、既存システムにカスタマイズをすることで対応をしなければならないので、さらに費用が必要です。ただ、初期費用に関しては長い目で見れば無駄な出費にはなりません。考え方次第ではありますが、電子化でスペースの確保や印刷費、郵送費のコスト削減につながります。

パソコンやインターネットトラブルの影響を受けやすい

電子化をするということは、すべてをパソコンなどで管理することになります。パソコンやインターネットはその日の状況によってトラブルが起きるケースも多く、その影響を受けやすいのが注意点です。ただ、クラウド上でデータの管理をしていれば、パソコン自体のトラブルがあったとしても、ほかのパソコンから作業を行うことができます。また、日ごろからメンテナンスやバックアップをこまめに行っていれば、トラブルを未然に防ぐことも可能です。

紙の領収書を破棄する際には第3者によるチェックが必要

紙の領収書を電子化した後、紙の領収書を破棄する場合、勝手に処分することはできません。必ず、税理士など第3者に領収書などデータを確認し、そのうえで破棄をします。これは、紙の領収書から電子化した際に内容を改ざんしていないかどうかを証明するために必要なのです。電子化したデータより紙のデータのほうが重要視される場合もあるため、必要に応じて紙の領収書を残しておくのもひとつの方法といえます。

領収書の再発行がスムーズにしやすい電子化

取引先が領収書を紛失したり、破損したりして、再発行依頼を受ける場合があります。ただ、領収書の再発行は不正使用される可能性があるため、原則として拒否をすることも多いのではないでしょうか。そういった場合に備えて、電子化をするのもひとつの方法です。電子化すると管理がしやすく、領収書の再発行を依頼されたときにもスムーズに作成できます。取引先にも関わることなので、まずは電子化について伝え、了承を得ましょう。

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