2022/07/12

帳票、書類の電子化

コロナ禍で注目を集める電子化のメリットや方法とは

新型コロナウイルスのまん延によって多くの企業が業務のデジタル化を進めることとなりました。また、2022年の電子帳簿保存法の改正では電子取引の情報の電子保存化が義務化されました。そうした社会情勢の中で大きな注目を集めているのが書類や帳簿の電子化、ペーパーレス化です。そこで今回は、書類や帳簿の電子化のメリットとデメリット、電子化する方法や手順などについて詳しく解説します。

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コロナ禍で企業のデジタル化は促進された?

中小企業庁が発表した2021年版・中小企業白書によると、業務のデジタル化に対する優先順位が高い、と回答した企業はコロナ禍以前は全体の45.6%であったのに対し、コロナ禍以後は61.6%まで増加しました。新型コロナウイルスの流行によってこれまでの働き方のままではいけない、と感じている企業が半数以上になっていることが分かります。また、株式会社SmartHRが行った調査によると、コロナ禍以前の2019年度とコロナ禍以後の2021年度ではおよそ20%の企業が実際に人事・労務業務のデジタル化を行ったとされています。さらに業務手法がデジタル化した人のうちの64%がその変化を好意的に受け取っているようです。旧態依然とした企業に勤めている人の中には、コロナ禍の最中、押印や自署のために出勤しなければならなかったことに不満を感じた、という人も多いのではないでしょうか。

もちろん、こうした動きは一時的なトレンドにすぎない、という考え方もあります。その一方、コロナ禍がきっかけとなってより多くの企業のデジタル化が進むだろう、という意見もあります。なぜなら、コロナ禍があろうとなかろうと、リモートワークや時短勤務、クラウドソーシングによる人材確保といった多様な働き方に対する企業への社会的な要請は強まっていくことが予想されるからです。そうした要請にこたえるためには、業務のデジタル化は必須の条件だともいえます。

書類の電子化は経理や人事・労務といったあらゆる企業に共通する業務のデジタル化です。そう考えると、多くの企業にとってデジタル化はまず書類の電子化やペーパーレス化というかたちで行われることになるでしょう。

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電子化のメリットとデメリット

いくら世間で企業のデジタル化(とそのための書類や帳簿の電子化)が注目を集めているといっても、実際に導入を検討する際にはそのメリットとデメリットをしっかり把握しておかなければなりません。そこで、ここからは書類や帳簿の電子化を行う際のメリットとデメリットについてそれぞれ解説します。

電子化のメリット

書類や帳簿の電子化がもたらすメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。

業務の効率化

電子化のメリットとしてまず挙げられるのは業務の効率化です。書類や帳簿を電子化するには多くの手間がかかる、と思っている人も多いのではないでしょうか。確かに、最初に書類や帳簿を電子化する作業にはそれなりの手間がかかるでしょう。しかし、既に電子化の業務フローを構築した後になると、電子化した方がむしろ手間はかからなくなります。パソコンがあればいつでもどこでも会計や書類整理などの業務ができるようになるためです。

また、電子で情報を保存すると必要な情報を探しやすくなります。パソコン上に必要な情報を打ち込むだけで必要な書類や帳簿を探し出すことができるからです。このことも電子化することによる業務効率化のひとつの例だといえるでしょう。

経費の削減

紙媒体の書類や帳簿はそれらをファイリングする必要があります。また、そうしてファイリングした書類を保管するためのスペースも用意しなければなりません。場合によってはそのためにわざわざ倉庫を借りているケースもあるでしょう。しかし、データを電子化すればファイリング業務も書類の保管スペースも必要なくなります。さらに、インク代や紙代、ファイル代もかかりません。

さまざまなリスクの低下

書類や帳簿を電子情報で保存する際には、データの流出を防ぐためにさまざまなセキュリティ対策を講じなければなりません。そのことを逆に考えると、データの漏洩、紛失のリスクを低下させることができる、ということです。電子データであれば紙媒体のように誤って書類や帳簿を処分してしまったり、何らかの事故や災害によって書類や帳簿が紛失、焼失してしまうこともありません。

多様な働き方に対応できる

書類や帳簿が紙だった場合、業務を行う上で時間や場所の制約が生まれます。その紙がある場所にいる必要があるからです。しかし、書類や帳簿を電子化すればその必要はなくなります。その結果、テレワークや時短業務などさまざまな働き方に対応できるようになるでしょう。

環境への配慮

電子化によって紙の使用量を減らすことは、環境破壊の防止、持続可能な社会への取り組みにもつながります。そのため、そうした取り組みを行っていることで環境問題やSDGsに積極的な企業であるという社会的な評価を得られるでしょう。

帳簿電子化のデメリット

電子化には多くのメリットがある一方、デメリットもあります。ここからは書類や帳簿を電子化するとどのようなデメリットがあるのか、解説します。

システムを導入するための手間やコストがかかる

帳簿や書類を電子化して保存する際には、そのためのシステムを導入しなければなりません。前述した「訂正や削除の記録が残るシステム」です。その導入コストや維持管理費がかかることになります。そうしたコストをできるだけ抑えるためには、自社にとって必要な機能は何か、どの書類や帳簿を電子化するのか、といったことをあらかじめしっかりと検討しておくことが大切です。

システムの使い方をマスターする必要がある

せっかくシステムを導入しても、社内にそれを使いこなせる人材がいなければ意味がありません。ただシステムを導入するだけでなく、そのシステムを扱う社員が運用法や運用ルールを理解しておかなければならないでしょう。また、電子化してシステムを導入することによって変化する業務フローについてもあらかじめ考えておく必要があります。

場合によっては閲覧性が悪くなることもある

書類や帳簿を電子化することで、それらが閲覧しにくくなるケースがあります。たとえば、スマートフォンのように画面の小さい端末で閲覧しなければならない場合には、上下左右に画面を移動しなければ全体像がつかめない、ということになるかもしれません。図面などの書類の場合、電子化するよりも紙のままで保存した方が使いやすいでしょう。

どのような書類を電子化すべきか

書類や帳簿を電子化するといっても、そのすべてを電子化する必要はありません。業務の効率化というメリットを活かすためには、あらかじめどの書類や帳簿を電子化するのかを選定しておくことが大切です。ここでは、選定の際に重視するべき3つのポイントについて詳しく解説します。

活用頻度が高い書類

契約書や申込書類は社内業務において特に活用頻度が高い書類です。そうした書類は電子化することで場所や時間にとらわれずに参照できるようになるでしょう。また、メールでこれらの書類を送信できるようにもなります。押印や郵送の手間が省けるだけでなく、収入印紙代の削減にもなります。

利用者数が多い書類

マニュアル類や報告書類といった利用者数が多い書類も、電子化することで多くのメリットを得られるでしょう。電子化すれば、たとえ膨大な量のマニュアルであっても体系的に保存できます。その中から必要なマニュアルを検索することも容易になります。

また、押印が必要な稟議書や検品書、見積書なども電子化した方はメリットが多いでしょう。電子化すればパソコンやスマートフォンで申請や回覧、決済までのプロセスを行えます。わざわざ押印のために出社しなければならない、といった事態も防げます。

対応速度が求められる書類

顧客や取引先に自社の商品やサービスを知ってもらう際に効果的なのがカタログ類です。こうした書類を電子化しておけば、問い合わせがあった際にすぐメールなどで送ることができるでしょう。

電子化の方法

書類や帳簿を電子化する際はどういった方法があるのでしょうか。その主なものをいくつか紹介します。

スキャニング

もっともスタンダードな方法は書類や帳簿のスキャニングです。最新の複合機を使用すれば、複数の書類を一度にスキャンできるだけでなく、スキャンした情報を指定フォルダに保存することもできます。さらに自動で文字をデータ化(OCR)できるものもあります。社内に元々スキャン機能のあるコピー機や複合機があるのであれば、それを使って書類や帳簿を電子化するのがもっとも低コストの方法となるでしょう。

代行サービス

もしも社内にコピー機や複合機がない、スキャニングしたい書類が多すぎて社内のリソースでは間に合わない、書類や帳簿をスキャニングしている時間の余裕がない、というのであれば、代行サービスを利用するとよいでしょう。代行サービスに書類を送ると、後日スキャンデータが納品されるので便利です。サービス業者の中にはスキャニングの代行だけでなく、データ入力を行ってくれる会社もあります。

また、代行サービス業者の中には書類の紛失を防ぐために専用便を用いた書類の輸送を行っていたり、個人情報保護士や文書情報管理士といった資格を持つスタッフによる書類の電子化を行っていたりするところもあります。外部に委託するのはセキュリティ面で不安があるという場合はそういった業者を選ぶとよいでしょう。

クラウドサービス

クラウドサービスの中には文書管理システムのクラウドサービスもあります。文書登録機能や検索機能だけでなく、保管ルールの策定やファイルのバージョン管理、データの廃棄に関する制御などの機能も兼ね備えているサービスが多いので、電子化による効率化や生産性の向上といったメリットをより享受できるでしょう。

電子化の手順

代行サービスに委託せずに自社で書類や帳簿をスキャニングして電子化する場合、具体的にどういった手順を踏んでいけばよいのでしょうか。

まず行うべきは、どの書類や帳簿をスキャニングするのかの選定です。書類や帳簿の中には電子化した方がよいものとそうでないものがあります。何でもかんでも電子化したところで余計なコストと手間がかかるだけです。電子化のデメリットのひとつである導入時のコストを下げるためにも、あらかじめしっかりと電子化する書類や帳簿の選定を行うことが大切です。

選定を終えたら、次に電子化する文書の量を調べます。合計で一体何枚スキャニングしなければならないのか、ということです。全体量を知ることでスケジュール計画を立てることができます。あらかじめ計画を立てることで、より効率よく作業を行うことができるでしょう。

次に、原稿の状態調査を行います。電子化する書類の大きさはどれくらいなのか、どのような状態で保管されているのか、といったことです。ホチキス留めされている場合や製本されている場合には、ホチキスを外したり製本をばらしたりする作業が余分に必要となります。

原稿の状態調査を終えたら、データの仕様を決めます。たとえば、スキャニングサイズです。多くの場合は実寸でデータを取り込むことになるでしょう。しかし、中には閲覧しやすくするために大きさを変える必要があるものもあるかもしれません。また、解像度や諧調、ファイル形式も最初に決めておきます。というのは、そのことによってファイルサイズの大きさが決まるからです。あまりファイルサイズが大きくなりすぎると、電子化後に使いづらくなります。

そのほか、あらかじめファイル名やファイルの階層(ディレクトリ)、属性について統一ルールを決めておきます。行き当たりばったりでそれらを決めると、後で検索しづらくなってしまうからです。電子化したことで逆に情報を探しにくくなってしまっては意味がありません。

また、画像データから文字を抽出してテキストデータにするOCR処理を行うかどうかを決めます。OCR処理を行うことによって全文検索が可能になります。ただし、必ずしもすべての書類や帳簿に全文検索が適しているわけではありません。基本的にはディレクトリやファイル名、属性データによる検索の方が使いやすいでしょう。

原稿の調査や仕様の策定を終えたら、実際にスキャンを実施していきます。また、必要に応じたシステムやツールを導入するのもこの段階です。

自社に合った方法で電子化を導入しよう!

書類や帳簿の電子化には多くのメリットがある一方、いくつかのデメリットもあります。自社で電子化を行う際には、あらかじめしっかりとした計画を立てて行いましょう。それだけの時間的余裕や社内リソースがない、豊富な経験や実績のあるプロに書類や帳簿の電子化を任せたい、という場合は代行サービスに委託するのがおすすめです。

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