更新日:2023/10/12(公開日:2021/05/14)
帳票、書類の電子化
健康診断結果・健診データを電子化する理由やメリット、注意点や電子化の方法
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健診データを電子化する動きが広まっています。病院・従業員を雇用している企業・健康保険組合・各自治体などでは、電子化するシステムを取り入れるところが増えています。健診データを電子化すれば、様々なメリットが得られるため、電子化していない企業・病院・健康保険組合・自治体などは導入を検討してみてはいかがでしょうか。ここでは、健診データを電子化する理由と注意点について深堀していきます。
- 厚生労働省も健康診断結果・健診データの電子化を奨励している
- 押印の必要性などの問題もあり電子化が進んでいなかったが、法令の改正で状況が変わった
- 人事課の業務負担軽減やコラボヘルスの実現などの観点からも電子化が望まれる
- 健康診断結果・健診データの電子化は内製のほか外部に委託する方法もある
- 外部に委託する際はセキュリティに関する確認も必要
健康診断結果・健診データの電子化・データ化が推進されている理由
健診診断結果・健診データを紙で保存しているケースは見られますが、さまざまな要素から電子化が推進されています。健康診断結果・健診データの電子化がなぜ求められるのか解説します。
厚生労働省が健診データの電子化を推奨している
健診データを電子化する理由としては、厚生労働省が自治体や健康保険組合に対して結果を電子化して保管するように求めていることが挙げられます。健診を受けた人が関心を持って健康づくりに臨めるように、結果を電子化していつでも見られるようにしようという動きが広がっているのです。厚生労働省はマイナンバーで管理するマイナポータルで、健診データを閲覧できるようにと計画を進めています。
現行では紙で管理している健診データを電子化すれば、患者本人のみならず、保険指導実施者や医師にも経年データを見てもらえるようになります。患者が居住地を移しても、加入する保険組合を変えてもデータを引継げるため、いつでもどこでもデータを活用した指導や診察ができるようになって大変便利です。
電子化の推奨は高齢化が進んで、医療体制がひっ迫するのを懸念している
厚生労働省が健診データの電子化を推し進めるのには、日本の高齢化が進み過ぎているということが背景にあります。経済産業省が平成28年3月に公表したデータによると、2050年には65歳以上の人口は全体の40%に到達すると見られています。国民医療費は、2014年の段階で約40兆円と国家予算をかなり圧迫している状態にもかかわらず、2050年には20兆円もアップし約60兆円に達する見通しです。つまり、病院にかかる人は今後どんどん増えていく一方なので、少しでも病院にかからずに済むようにと、予防や健康管理に対する取り組みを強化しているのです。
日本の病院は、諸外国に比べて病院が分散している
健診データを電子化すると、病院間のデータのやり取りが楽に行えるようになります。現在は紙での保管が主流なため、病院間で患者のデータのやり取りをするときは、一度ディスクや紙にデータを移さなくてはならず手間がかかります。しかし、どの病院からも患者の情報にアクセスできるようになれば、わざわざデータを移す必要がなくなるでしょう。患者が移したデータを持参し忘れるリスクもなくなるため、業務が滞る心配をしなくて済むようになります。
日本の病院は諸外国に比べると、病院が分散しているといわれています。病院が分散していると、それだけ病院間のデータのやり取りをする機会が多くなるという側面があります。電子化を図れば、どの病院との連携もスムーズに行えるようになるので、従来よりも一人あたりの患者にかける時間を短縮できるようになるでしょう。
日本の病院は、病床数に対して治療できる患者数が少ない
健診データを電子化することで、治療者数が増やせる可能性があります。というのも、実は日本の病院は諸外国に比べると、病床数が多いのにもかかわらず、実際に治療できる患者数は少ないといわれているのです。日本の病床数と治療できる患者数の間に乖離があるのは、病院が分散しすぎているからだと考えられています。
病院が分散しているのはいつでも通いやすいというメリットがある半面、一つあたりの病院の戦力がそがれてしまうというデメリットを持ち合わせています。病院がたくさんあればあるほど、医療従事者が分散してしまうため、一つの病院で対処できる患者数には限界があるのです。健診データの電子化できれば、本来は省けたはずの検査にかけていた時間と人員を他の治療に回せるので、より治療に専念できるようになります。
健康診断結果や健診データの電子化・データ化が進まない理由
健康診断結果や健診データの電子化・データ化が推奨されつつも、なかなか進まないという現状があります。なぜ進まないのか、理由を解説します。
健康診断の結果が紙で送付されるから
紙媒体での情報提供が、健康診断結果や健診データの電子化・データ化が進まない一因です。
これまで多くの健診クリニックなどでは個人情報保護の観点から、健康診断結果や健診データを紙媒体で受診者に渡してきました。健診結果には多くの個人情報が含まれているため、企業が内容を見るには、健康情報管理に関するガイドラインに基づいて従業員の了承を得る必要があります。企業ごとに個人情報に関するガイドラインが異なっているため、健診クリニックとしては対応が難しく、紙での送付を続けているという現状がありました。しかし近年では、企業側から自社の個人情報に関する規定を伝えて依頼することで、電子データで送信されるケースも増えてきています。
法律のハードルがあった
電子化が進まなかったもう1つの理由が、法律によるものです。労働安全衛生規則により、健康診断個人票を作成する際、産業医の押印が必要とされてきました。この場合、パソコン上で健康診断書を作成しても、プリントアウトして押印を取得し、再び、電磁記録しなければなりません。
しかし、健康診断結果や検診データの電子化が進まないという理由から、2020年8月の法改正により、産業医の押印および署名、電子署名が不要になり、記名のみでよいことになりました。電子化へのハードルが下がったことで、電子化の流れが進んでいます。
経理における電子化について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
経理は電子化が進まない?経理部門の電子化と課題
健康診断結果や健診データを電子化・データ化する5つのメリット
健康診断結果や健診データを電子化するメリットを、産業医側の業務効率や人事担当者の利便性等の面から5つ紹介します。
1|病院や産業医側の業務効率がアップする
健診データの電子化は、病院に勤める医師だけでなく、企業で働く産業医にとっても事務作業時間が減らせるというメリットがあります。健診結果を紙やエクセルで管理する必要がなくなるため、浮いた時間で産業保険業務に取り組むことができます。産業医が従業員の体調の変化にもいち早く気づけるように、健診データの電子化は導入しておくのがおすすめです。
2|感染症が起きたときの患者の受け入れがしやすくなる
健診データを電子化すれば、患者の健康状態を直ぐに確かめられるようになるので、感染症が起きたときの患者の受け入れがしやすくなります。新型コロナウイルスのような感染症が起こったとき、重症化している患者が自分の容態を伝えるのは難しいといえます。病気を持っていないかなど、様々な検査をしなくてはならないので、一人の患者に対して看護師をはじめとした多くの人員を割かなければなりません。しかし、搬送されて来た時点で患者の既往歴を含めた健康状態がチェックできれば、検査にかける時間を短くすることができるうえに、的確な指示を出せるようになるでしょう。
3|人事担当者のテレワークを推進できる
健康診断結果や健診データの電子化・データ化により、人事業務の負担を軽減し、テレワークを推進することも可能です。
人事業務は紙の書類を扱う場合が多く、テレワークの推進を阻害する原因になってきました。紙の書類を自宅に持ち帰るわけにはいかず、わずかな作業でもオフィスにいかなければなりません。しかし、健康診断結果などを紙媒体から電子化に切り替えることで、わざわざオフィスに行く必要がなくなります。クラウド上でデータを管理することで、どこでも業務ができ、テレワーク推進も可能です。健康診断結果のデータ統合や管理も容易になり、業務負担が軽減するとも考えられます。
4|利用者側の利便性が向上する
健診データの電子化のメリットとしては、利用者側にとっても利便性が良いことが挙げられます。電子化された健診データなら、利用者はいつでもスマホやパソコンから情報をチェックできるようになります。万が一、利用者が健診データの載っている紙を紛失してしまっても、病院側からデータを取得できるため、再度検査する手間がありません。利用者は自分の好きなタイミングで、時間をかけずに病院を受診できるようになるでしょう。
さらに、電子化されたデータは、厚生労働省が定めた保存期間を過ぎても、必要に応じてデータを残すことができるので大変便利です。というのも、マイナポータルの電子データの運用が本格的に開始された際には、期限が切れる前に利用者が個別でダウンロードできるようになる予定だからです。体に何か異変が起きたときに、過去の健診データが参考になるケースも多いので、適切な治療を受けるためにも健診データを残すのは大切だといえます。
5|コラボヘルスを実現できる
健診データを電子化することでコラボヘルスの実現も可能です。コラボヘルスとは従業員と事業者が連携して関与しながら、良好な職場環境を実現し、病気の予防や健康づくりを効率良く実行することを指します。
コラボヘルスを実現するには、健康経営とデータヘルスを推進することも重要です。健康経営とは経営的な視点から従業員の健康管理を考えて実践することで、経済産業省が奨励しています。データヘルスは厚生労働省が推進し、健診結果やレセプトなどの情報を電子化して分析することで、従業員の健康状態に即した保健事業を行うというものです。
健康経営とデータヘルスを相乗的に取り入れ、コラボヘルスを推進することで、従業員の健康を維持し労働生産性の低下を防止できると考えられています。
健康診断結果、健診データを電子化する注意点
健康診断結果・健診データを電子化するときには、いくつか注意しなければならない点があります。ここからは、健診データを電子化するうえで気を付けたいポイントを紹介していきます。
個人情報保護法
企業や病院が電子化した健診データを取得および提供するときは、個人情報保護法に気をつけなければなりません。平成27年に個人情報保護法が改正されて以降、個人に不利益が生じたり、不当な差別を受けたりしないようにと、個人情報の扱い方が大きく変わりました。病歴・身体障害・健康診断結果・診療記録などは、本人の同意を得ない場合は第三者への提供が禁止となったのです。一般的な個人情報はオプトアウトといって本人への通知、あるいは本人が第三者へ情報を提供したと容易に知りえる状態では、情報の取得や提供を認めています。ところが、健診データに関しては、他の病院や企業へ情報の提供・取得をする際には、あらかじめ個人の同意を得る必要があるので注意が必要です。
個人情報保護法に関するガイドライン
個人情報保護法に関するガイドラインによると、オプトアウトを禁止している健康診断の結果としては、予防や早期発見を目的として行われた健康診査が挙げられています。他にも、健康診断・特定健康診査・健康測定・遺伝子検査・人間ドック・ストレスチェックなどが該当します。対して、健康診断を受診したという事実、身長・体重・血圧・脈拍・体温などのデータを、診療事業や業務とは関係ない方法で知りえた場合は該当されません。
とはいえ、健康診断を受診した事実は提供できるものの、結果に基づく指導・診療・調剤についてはオプトアウトが禁止されているので注意が必要です。同ガイドラインでは、健康の保持に努める必要がある者に対して、医師や保健師が指導を行った内容の提供は独断でできないと決められています。また、服薬履歴・薬手帳に記載された情報・病院を受診した事実・保険指導を受けた事実もオプトアウトが禁止されています。厚生労働省は、職場で健康情報のデータを扱う際には、産業医や保健師が情報の加工をして、不当な差別や偏見を生むデータを伏せるよう促しています。もし、該当する項目を職場で利用したい場合は、個人に了解を得たうえでデータを取得する必要があるので気をつけましょう。
バックアップの保存
個人情報を扱ううえで、災害時にデータが紛失しないようにバックアップしておくことは欠かせません。バックアップの保存先を別の場所に設けておくと、万が一管理していたデータが閲覧できなくなったり、なくなったりしたときも復元させられるでしょう。自社だけで管理するとなると、電子化した健診データ保存するためのサーバーを立てるところから始めなければならないので、外部に委託する方が楽だといえます。外部に委託すると面倒なシステムの構築を全て任せられるため、電子化への移行もスムーズにできます。ただし、外部へシステム構築を依頼するときは、データをバックアップしておけるかどうかも含めて確かめる必要があります。日本は地震や台風などの自然災害が多い国なので、有事の際の対策はしっかりと講じておくべきでしょう。
セキュリティ対策を講じる
多くの人のデータを扱うことになるので、健診データを電子化する際にはセキュリティ対策に力を入れる必要があります。アクセス制限やログ管理、システム監視体制などしっかりと整えるようにしましょう。もしも、外部にセキュリティ対策も一緒にお願いするなら、実績の有無は確認しておくと安心です。今まで多くのデータを扱ってきた実績のある会社なら、セキュリティ対策もバッチリ行っているので、たくさんのデータを扱う際も心配が少ないといえます。さらに、外部へ委託する際は、同じ業界への導入実績があるかも確かめておくと良いでしょう。医療関係に導入するのか、企業に導入するのかによっても仕様は異なるので、同業種への導入実績があるところに任せた方がスムーズに導入できます。
既存システムと連携できるか
健診データを電子化する際は、既存システムと連携できるかどうかを確認しておくようにしましょう。既存システムとは別のシステムを導入しなければならないとなると、データを電子化するコストだけでなく、新システムの導入コストも上乗せでかかります。限られた予算で電子化を実現するには、既存システムを活かして導入できる方法を模索するのがおすすめです。
健康診断結果や健診データを電子化する方法
健康診断結果や検診データを電子化するには、内製する方法と、外部に委託する方法があります。それぞれのメリットとデメリットを紹介します。
電子化を内製で行う方法
社内のリソースを活用して、自社内で電子化に関する業務を行うことも可能です。もっとも手軽な方法としては、紙の健康診断結果や健診データをスキャンして電子化する方法がありますが、データの集計や整理ができません。
その点、健診クリニックからExcelなどの表計算システムでも扱えるCSVデータをもらえば、手軽にデータの集計や整理などが行えます。社内で使っている表計算システムをそのまま使用するか、CSV形式で書き出せる専用のシステムを導入する方法もあります。
内製のメリット・デメリット
社内で使用している表計算システムを使ってすべてを内製で行えば、あらたなシステムの導入をしなくて済むため、費用を大幅に抑えられます。さらに、外部の業者を通さず、すべて社員で行えば、情報が外部に漏れる可能性が減り、セキュリティリスクを抑えられるでしょう。
デメリットとして、データの入力には健康診断に関する専門知識が必要であり、結局は産業医や保健師のサポートを求めることになります。また、データでの受け渡しはすべての健診クリニックで行っているわけではないこともデメリットです。
電子化を外部委託する方法
人手が足りないなどの理由で、健康診断結果や健診データの電子化を外部委託したいと考えるケースもあるでしょう。
外部委託については、健康診断結果のデータ入力のみを委託する方法と、健康診断に関わる業務をすべて委託する方法があります。データ入力のみを依頼する場合には、紙媒体の診断結果やCSVデータを渡して、電子保存できる状態にしてもらいます。
一方、すべてを委託する場合には、健康診断の日程調整や予約など、健康診断に関することをまとめて外部に委託することも可能です。健診担当者の負担を大幅に減少させることができます。
外部委託のメリット・デメリット
外部委託を選ぶメリットは、社内のリソースをさほど使わずに済む点です。特に、健診担当者の業務負担が軽減されることで、コア業務やコラボヘルスの実現などに時間を多く割くことができるようになります。一部のみの業務委託であれば費用を節約することも可能です。
デメリットには、委託する内容によってはコストが高くなることや、知見の少ない委託先の場合、誤入力をおこしたりセキュリティに問題があったりする可能性があることです。
健康診断や健診データの電子化の委託先を選ぶ際のポイント
では、どうすれば安心できる委託先に依頼ができるのでしょうか。個人情報やセキュリティの面で信頼がおけるか、利便性が高いかなど、委託先を選定する際のポイントを解説します。
個人情報保護法や健康情報管理規定への理解度は高いか
個人情報である健康診断結果を扱うため、委託先が個人情報保護法や健康情報管理規定についてきちんと理解しているかは重要なポイントです。個人情報保護法や健康情報管理規定を十分に理解していない委託先は、セキュリティのリスクがあります。万一、情報が流出すれば、企業として大きな問題です。
判断の目安としては、個人情報保護法の遵守を示すプライバシーマーク(Pマーク)や、一定の情報セキュリティを確保していることを示すISMS(ISO27001)を取得しているかを確認してください。
フォーマットや基準値を適切に統一できるか
検診結果のフォーマットや判定基準を適切に統一できるかどうかの確認も必要です。健診クリニックによって、検査結果が記されるフォーマットや検査項目の判定基準値が異なります。
異なるフォーマットや健診結果の基準をそのままデータ化すると、産業医による就業判定や保健指導が適切に行えません。そのため、適切にフォーマットや基準値を統一してくれる委託先か確認が必要です。
機能性や利便性は高いか
外部委託しても機能性や利便性が低く、担当者の業務負担が軽減できなければ効率化できないので、機能性や利便性を確認する必要があります。確認の際は、以下の点をチェックしましょう。
- データの一元管理や分析に対応しているか
- 未受診者や再受診者へ自動的にリマインドメールが送られるか
- 報告書の作成機能があるか
- 複数の担当者が使いやすいシステム構造、わかりやすいUIになっているか
上記に加え、システムの使い方や不明点に即時対応してくれるかなど、サポート面の確認も重要です。
検査結果の納品スピードが早いか
検査結果データの納期スケジュールがスピーディーか、きちんと期限が守られるかについても確認が必要です。検査結果の納品スピードが遅い場合、就業判定や保健指導に支障があり電子化のメリットを活かしきれません。
帳票数により異なりますが、1〜3カ月以内にシステムに反映される委託先を選定するとよいでしょう。帳票数を把握したうえで、いくつかのサービスに問い合わせてみることをおすすめします。
健康診断結果・健診データを電子化して健康管理に役立てよう
健診データを電子化すると、企業・病院・健康保険組合・自治体にとっては業務の効率化やデータの活用がしやすくなるというメリットがあります。また、利用者にとっても、受診がしやすくなったり、検査の過程が短くなったりと良い面を持ち合わせています。双方にとって良い環境にするためにも、健診データの電子化を検討してみてはいかがでしょうか。健診データを電子化して、ぜひ健康管理に役立てましょう。
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