2021/07/29

帳票、書類の電子化

2022年度電子帳簿保存法改正について詳しく解説!

ビジネスにおいて、ペーパーレス化は年々進んでいます。昔は書類を紙で保存する必要がありましたが、保管の負担を軽減し業務を効率化していくために、電子帳簿保存法が制定されました。これは書類や帳簿を電子データによって保存することを容認するものです。時代とともに少しずつ見直され、改定も進められています。2022年度にも改正が行われましたが、その内容を詳しく解説します。

書類や帳簿を紙ではなくデータで保存可能にした「電子帳簿保存法」

電子帳簿保存法は、1998年に成立した法律です。それまで紙で保存する必要があった書類や帳簿などを、電子データで保存することを容認するために制定されました。制定の理由は、電子データが存在するにも関わらず印刷して保存する、それらの書類を管理する、そして保存するための物理的なスペースを確保する、といったような手間や負担、コストを軽減し、業務を効率化するためでした。

電子帳簿保存法で認められている保存方法としては、PCで作成した書類をCD、DVD、サーバなどに電磁的な記録として保存する方法、COMという電子計算機出力マイクロフィルムに保存する方法があります。また、紙の書類しかない場合には、スキャンすることでデータに変換して保存することが認められるようになりました。当初はコピー機などのスキャナ機能でスキャンしたデータに電子署名されているもののみが認められていましたが、段階的に法が改正されたことによって電子署名は不要となり、スマートフォンなどの携帯端末のカメラで撮影されたデータも認められるようになっています。

電子保存が認められている書類には、現金出納帳や仕訳帳、経費帳、売掛帳、総勘定元帳、固定資産台帳、売上・仕入帳などの帳簿類、貸借対照表、損益計算書、棚卸表などの決算に関する書類、そして、契約書、請求書、見積書、注文書、レシートや領収書など、その他の証憑類があります。それに対し、手書きで作成して帳簿や補助簿、取引先から受け取った請求書などは電子保存が認められていません。また、スキャンして保存することが認められている書類には、契約書、領収書、請求書、レシート、見積書などの取引先から受け取った証憑類があります。逆にスキャンしての保存が認められていないのは、帳簿や決算関係の書類となっています。

この電子帳簿保存法は、当初の成立後も適用のための案件が多くあり、多くの企業にとって簡単には電子化を進めることができずにいました。そのため、その時々の時代に合わせた形で、法改正がされてきたのです。スキャナ保存やデジタルカメラ・スマートフォンのカメラで撮影した画像が認められたのも、電子署名が不要になったのも、途中の法改正によって要件が緩和された結果となっています。2020年にはキャッシュレス決済での紙の領収書ではなく、電子データの取引明細を保存すれば良いことになりました。まさに、時代の流れとともに行われた法改正だといえるでしょう。2022年度の改正は、さらなる大幅な規制緩和と、適切な電子保存が行われるように見直されることになります。

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2022年施行の改定の内容はどんなもの?

2022年には、要件は大幅に見直されています。これまで多くの企業が電子帳簿保存法に対応することを躊躇したのは、この法を導入するためには企業にとっての負担が大きい部分があったためです。その最大のものとして、開始時の手続きの負担がありました。電子帳簿保存法を導入し、電子データの運用を開始するためには、その3ヵ月前までに所轄の税務署に出向き、手続きをする必要があったのです。必要書類を用意して提出してからさらに3ヵ月もの間、承認待ちの期間もあります。

この事前の承認制度が非常に多くの企業の足枷となっているので、改正後には国の基準を満たし、必要なシステムが整備されていれば、すみやかに電子帳簿保存法に対応していけるようになります。次に、電子データに付与されるタイムスタンプ(デジタルな時刻証明書)の要件が緩和される予定です。従来は、書類をスキャンしたときに受領者が署名したうえ、3営業日以内のタイムスタンプ付与が不可欠でした。改正後には、スキャン後の受領者の署名が不要となり、タイムスタンプの付与期間も最長2ヵ月以内に変更されました。また、電子データを修正したり削除したりしたことがログに残せるシステムならば、タイムスタンプに代わってクラウド保存での対応ができるようになります。

そして、これまでの規定として、不正を防止するために、社内で電子化した文書を定期的に2名以上の人間がチェックしたり確認したりする必要がありました。これを適正事務処理要件といいます。紙の書類をデータ化して保存してあるにも関わらず、チェックや確認のために紙の原本が必要なため、結局紙の書類は破棄することができなかったのです。これも法改正後は、この定期的な検査が廃止され、紙の書類はスキャン後に即時破棄が可能となりました。2名以上での対応も不要になり、1名での対応が可能になったのです。

もう1つの大きな改正点としては、データ化した書類を検索する際の検索条件を簡素化することができるようになりました。これまでの電子帳簿保存法では、データ化した書類の検索や管理を事細かに設定する必要がありました。しかし、細かく検索できるように設定するためには、書類データを追加するたびにその詳細な登録や管理業務が必要となり、業務が煩雑になってしまいます。このこともまた企業の足枷となっていたのです。検索するための要件を年月日・金額・取引先のみに限定する改正によって、業務が非常に簡素化することになりました。

ただし、要件の緩和によって電子帳簿保存法を導入するための敷居が低くなった分、不正に対する罰則は強化されます。特に、適正事務処理要件(書類をスキャンした後の確認作業)が廃止となったため、不正に対する責任が厳しく問われるようになったためです。不正が判明した場合、通常課される重加算税に、10%が加算されることになりました。

電子帳簿保存法のメリットとは?

電子帳簿保存法に対応することで企業には多くのメリットがあります。書類の管理や収納スペースの問題ばかりではなく、書類を電子化することの最大のメリットとは、データ検索の効率が良くなることです。大量の書類の中から必要なものを探し出す非効率さとは無縁になります。このような文書の検索やテキストの流用、ネットワーク上での承認作業など、文書のデジタル化によって業務の効率化が大幅に上がることが大きなメリットなのです。特にテレワークが進む時代の中では、デジタルデータのみで業務を進め、完了することができれば、インターネットを利用しての業務を効率的にこなすことが可能となります。

また、これまでは文書を印刷することで紙やインクを消耗していましたが、それらのコストを削減することができます。紙はどうしても経年劣化しますし、火災が起これば一瞬にして消失するリスクもあるでしょう。さらに、書類が多ければ多いほど、わかりやすく保管するためのファイルやラベルシールなどを購入して活用することも多いはずです。このように、印刷した大量の書類を管理し保管するためのコストも、各企業にとって決して小さなものではありません。このコストから解放されることも、企業にとっては大きなメリットでしょう。

電子帳簿保存法のデメリットとは?

電子帳簿保存法に対応して書類を電子化しペーパーレス化を進めていけば、メリットばかりのように思えるかもしれません。しかし、書類をすべてデジタルデータ化し、業務上のあらゆるフローに活用していくためには、システムを構築する必要があります。まずは1枚1枚の紙の書類をスキャンしてサーバやクラウド上に保存し、検索システムですぐに見つけることができるように整備するためには、人件費よりも高くつく初期投資が必要になるのです。

また、電子化されたシステム特有のデメリットとして、システム障害や、脆弱なセキュリティによる情報漏洩のリスクがあります。停電などの電力が使えない状況や、何らかの障害によってシステムが機能しない場合には、専門家の手がない限りは手も足も出せなくなってしまうのです。また、物理的に不審者が入ってきて盗難などが起こらなくても、ネットワークを攻撃されたときにセキュリティシステムが機能しなければ、内部情報が外部に漏洩してしまう恐れがあります。そのようなリスクにもしっかりと対応していくためには、それに見合ったコストをかけて、何かしらの対抗策を講じる必要があるでしょう。

電子帳簿保存法を適用するための要件

では、2022年度の法改正によって要件が緩和されるならば、電子帳簿保存法を導入してみようということになった場合、どのような要件や手続きが必要になるかについて解説しましょう。まず、これまでは事前承認制度がありましたが廃止されたため、承認申請も不要となりました。ただし、書類の電子保存を簡単に導入できるようになった分、それぞれの企業の持つ責任は重くなります。国が求める基準を満たし、電子帳簿保存法に対応しているスキャナや会計システムを、責任持って準備する必要があります。逆にいえば、それだけの準備ができればすぐに電子化に取り組むことができるということです。

ただし、まだ電子化のできる書類と難しい書類があり、特に他者から受け取る紙の書類は電子化が難しいままです。スキャンして即破棄して良い文書と、紙のまま保存しておく必要がある書類とがあり、厳密に区別をしなければなりません。書類を細分化し、どの書類なら電子化を進め、どの書類ならどのような対処が必要かということを、しっかりと分類して徹底できるようにしておきましょう。

また、電子化した書類をどのようにシステムに導入するかについては慎重に検討しましょう。改正によって、社内の全社員が使用するシステムにデータを電子保存できるようになりました。社内で誰もが使えるシステムを導入する場合には、そのための費用だけでなく、社員への教育や業務の進め方などについても見直しが必要となるため、そのためのコストを考慮しなければなりません。誰もが利用できるシステムが万能なわけではありませんし、社内にシステムが必要な部署はごく限られているかもしれないのです。

それに、書類の電子データ化する際に1名でも作業でき、法改正によって簡素化されているとはいっても、不正を防止するためのチェック体制も徹底しておく必要があるでしょう。作業は1名でも、チェック体制は1人の人間だけに任せることなく何重もの体制を取り、定期的に人員を入れ替えたり、普段はチェックしないシステムのログまでを確認したりするようにします。単に罰則が重くなったからというだけではなく、企業としての信頼性を損ねた場合にそれを取り返すのは非常に困難なことになってしまうからです。

それでも、できる限りシステム導入の範囲を広くしておいたほうが、結局のところ電子化のメリットは大きく、業務を効率化できて企業を成功に導いてくれるでしょう。しかしながら、システムさえ導入すればなんとかなるという考えではうまくいきません。理想的なシステムの導入を行うためには、担当する人間だけで考えるだけでなく、客観的な視点を持っている相談者の存在が不可欠です。経理システムの導入となることが多いでしょうから、適切なアドバイスをくれる相談者としては、まず顧問税理士が挙げられるでしょう。

もっと広い範囲でのシステム導入を考えてみるなら、システム会社やコンサル会社に依頼するのもおすすめです。どちらにしても、経理システムに強い会社を探して、選定することをおすすめします。一時的に大きなコストはかかるかもしれませんが、専門家に相談して誰にでもわかりやすいシステムを構築してしまえれば、長い目で見ると会社にとって大きなプラスとなる機会となるはずです。

書類の電子化を進め、業務の効率や柔軟性を高めよう!

法改正によって、電子帳簿保存法を導入することのハードルは低くなりました。コスト削減が期待されますし、特に経理担当者の負担軽減、テレワークの推進に役立つなど、導入はメリットが大きいでしょう。ただし、要件が緩和されても、どんなシステムが必要なのか、不正防止にどんな対策をするかなど押さえるべき要点はあります。要点は押さえつつ、今後の社会に対応していくためにもこの機会に導入してみてはいかがでしょうか。

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