2023/07/31

法令遵守(電子帳簿保存法、インボイス制度など)

請求書の電子化(保存)はいつ義務化される?改正電子帳簿保存法の内容を解説

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2024年からは電子取引した国税関係帳簿書類は、電子帳簿保存法により電子保存することが義務付けられます。個人・法人問わず義務化となるので、早めに内容を理解して電子化にシフトしておくことをおすすめします。国税関係帳簿書類には請求書も含まれますが、請求書の電子化は事業にさまざまなメリットをもたらします。とはいえ、電子帳簿保存法についてまだよく分からないという方や、どのように導入したらよいか迷っている方もいるかもしれません。この記事では電子帳簿保存法の概要や改正での変更点、猶予措置、請求書を電子化するメリット、実例などについて紹介します。

記事の要約
  • 電子帳簿保存法が改正され、2024年1月からは電子取引における請求書は電子保存が義務化されることになった
  • 2024年以降も猶予措置がとられ、条件次第では紙での保存ができるが、条件が定かではないため、今から電子保存の準備をしておくことが推奨される
  • 請求書を電子化して保存すると、コストカットや作業効率の向上、セキュリティの強化などのメリットもある
  • 請求書の電子化は専門のツールを導入することで、効果を最大限に享受することが可能
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2024年1月に請求書の電子化(保存)が義務化される?

電子帳簿保存法(正式名称:電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律)の改正「令和4年度税制改正大綱」が2022年に行われました。これにより、2024年1月より電子取引での請求書を含む国税関係帳簿書類は電子保存が義務化されます。

電子メールやオンラインで受け取った請求書のデータを紙に印刷・保存することは禁止となります。

ただし、宥恕(ゆうじょ)措置(猶予期間を設ける経過措置)がとられ、2023年12月31日までは、紙での保存も認められています。また宥恕措置の終了後も、「令和5年度税制改正大綱」で新たな猶予措置が認められ、条件を満たせば2024年1月以降も紙に出力して保存することが認められる予定です。

電子取引におけるデータ保存の新たな猶予措置とは

「令和5年度税制改正大綱」で、紙での保存が猶予される条件とは以下の通りです。

  • 相当の理由があり、所轄税務署が認めた場合
  • 税務署の調査の際に電子データがダウンロードできるようになっている
  • 出力書面が適切に保存され、税務調査で速やかに提示ができるようになっている

猶予措置が取られるものの、改正により要件は緩和されており電子化への対応が求められることには変わりません。また、上述の条件にある「相当の理由」の内容は現状明らかではないため、可能な限り要件を満たした電子保存をしておきましょう。

電子帳簿保存法の概要や改正内容

そもそも電子帳簿保存法とはどういったものでしょうか。電子帳簿保存法の概要や対象となる書類、改正内容などを紹介します。

電子帳簿保存法の詳しい概要を知りたい方はこちらもご覧ください。

電子帳簿保存法とは

電子帳簿保存法とは、国税関係の帳簿・書類を電磁的記録(電子データ)での保存を認める法律です。また、電子データのやり取りをした場合の保存方法などについても定めています。

納税の正確な履行や経理業務の負担軽減、ペーパーレス化、セキュリティの強化、働き方改革への対応などを目的としています。1998年に制定され、2023年までに数回改正されてきました。

3つの保存方法と対象となる書類

一口に電磁的記録による保存といっても、やり方は複数あります。電子帳簿保護法における保存の区分は以下の3種類です。

  • パソコンなどを使って作成した帳簿や書類を、データのまま保存する「電子帳簿保存」
  • 紙で受け取った取引関係書類をスキャンして電子データとして保存する「スキャナ保存」
  • インターネットやメール、クラウドなどを介して授受した取引書類を保存する「電子取引」

また、電子帳簿保存、スキャナ保存、電子取引で扱われる主な書類には以下があります。

対象書類
電子帳簿保存法
  • 国税関係帳簿(仕訳帳、売掛帳など)
  • 決算関係書類(賃借対照表など)
  • 取引関係書類(請求書・納品書・注文書、見積書、領収書、契約書など、発行・受領どちらも)
スキャナ保存 取引関係書類(請求書・納品書・注文書、見積書、領収書、契約書など、発行・受領どちらも)
電子取引
  • メールやEDI、クラウドサービスなどの電子データでやり取りした取引情報(請求書・納品書・注文書、見積書、領収書、契約書など)
表の続き →

各保存方法の詳しい内容はこちらでもご紹介しています。

電子化の必要性やスキャナ保存の詳しい要件について解説しています。

「令和4年度税制改正大綱」の改正内容

数度にわたり改正されている電子帳簿保存法ですが、「令和4年度税制改正大綱」では、主に電子化へのハードルを低くする内容が盛り込まれました。また、電子取引における電子保存が義務化されました。

義務化以外の改正内容は、以下の通りです。

電子帳簿保存 国税関係帳簿を電磁的記録によって保存する場合でも、税務署長の承認が不必要となった
青色申告者が保存しなければならない帳簿について、申告漏れがあっても、優良な電子帳簿の要件や一定の条件を満たしていれば、過少申告加算税が5%に整備された
正規の簿記の原則にのっとっており最低限の要件を満たせば、電子帳簿についても電磁的記録の保存などが可能になった
スキャナ保存 税務署長の事前承認制度が廃止された
タイムスタンプ要件、検索要件などが緩和された
適性事務処理要件(相互けん制、定期的な検査及び再発防止策の社内規程整備など)の廃止された
電磁記録に関連した不正があった場合の重加算税が10%に整備された
電子取引 タイムスタンプの要件が緩和された
売上高が1,000万円以下の事業者については、税務職員の求めに応じて電磁的記録のダウンロードができれば、検索要件のすべてが不要に
電子データで授受した請求書などは電子保存をしなければならない
隠ぺいなどがあった場合、申告漏れなどに課される重加算税が10%に整備された
表の続き →

令和4年度税制改正大綱について詳しく知りたい方はこちらも参考にしてください

「令和5年度税制改正大綱」の改正内容

「令和4年度税制改正大綱」に加え、「令和5年度税制改正大綱」では以下の点が改正されました。大きな改正点としては上述のように、電子取引における宥恕措置の廃止と猶予措置の整備があります。

電子帳簿保存 優良な電子帳簿にかかわる過少申告加算税の軽減措置について、施行前はすべての青色関係帳簿が対象範囲だったが、売上帳や売掛帳などに関するものに、範囲が限定された
スキャナ保存 解像度や階調、大きさに関する情報の保存が不要に
入力者などの情報確認要件が不要に
帳簿との相互関連性の確保が必要な書類は重要書類(契約書、領収書など)に限定
電子取引 検索機能が不要とされる対象者範囲が、基準期間の売上高1,000万円以下から5,000万円以下に拡大。また、電子取引データの出力書面を日付や取引先ごとに整理した状態で提出・提示できる保存義務者に拡大
令和4年度税制改正での宥恕措置は令和5年12月31日で廃止となり、条件が揃えば電子取引データを単に保存しても良い猶予措置が整備された
表の続き →

※令和5年度税制改正大綱の詳しい改正内容は以下の記事を参考にしてください

請求書の電子保存が義務化される電子取引の保存要件

請求書も電子取引をした場合には電子保存が義務となりますが、データ保存は改ざんしやすいという問題があります。そこで求められるのが、「真実性の確保」と「可視性の確保」です。真実性の確保と可視性の確保について解説します。

真実性の確保

真実性の確保とは、データが改ざんされていないことを確認できる状態にするための要件です。以下の4点を確保しなければなりません。

  1. タイムスタンプが付された後、取引情報の授受を行うこと
  2. 取引情報の授受後またはその業務の処理にかかわる通常の期間を経過した後、速やかにタイムスタンプを付すとともに、保存者や監督者の情報を確認できるようにする
  3. 記録事項の訂正や削除を行ったら、これらの事実や内容を確認できるシステム(または記録事項の訂正・削除を行えないシステム)で取引情報の授受や保存を行う
  4. 正当な理由がない訂正・削除の防止に関するルールを定め、規定に沿った運営をする

可視性の確保

可視性の確保とは、データをすぐに確認できる状態で保存するための要件です。以下の要件を確保しなければいけません。

  • 保存場所に、パソコンなどの電子計算機、プログラム、ディスプレイ、プリンタおよび操作マニュアルを備え付け、画面や書面に整然とした形式および明瞭な状態で速やかに出力できるようにしておくこと
  • 電子計算機処理システムに関する概要書を備え付けておく
  • 検索機能を確保すること
    ・検索要件①:取引年月日、勘定科目、取引金額、そのほか帳簿の種類に応じた記録項目を検索できること
    ・検索要件②:日付または金額の範囲指定により検索できること
    ・検索要件③:二つ以上の任意の記録項目を組み合わせた条件により、検索できるようにしておくこと

請求書の電子化におけるメリット

請求書は送る側と受け取る側がありますが、どちらにとっても請求書を電子化するとさまざまなメリットがあります。メリットを理解したうえで電子化を検討してください。

コスト削減につながる

請求書の電子化はコスト削減にもつながります。

たとえば、紙の請求書で必要だった紙やインクの費用、郵送に必要な費用がかかりません。受け取る側にとっても紙の請求書を保管するための場所を確保する必要がないため、オフィスをスリム化させることが可能です。紙を整理するためのファイル代も必要なくなります。

少量のみではたいしたコストカットにならなくても、多く扱う事業者であれば大きな経費削減につながります。

作業効率が向上する

すべての作業をパソコン上で行えるため、請求書の作成・送付・修正・管理など一連の作業を効率化できます。

請求書の作成ができる会計ソフトなどもあり、事前に請求書先情報などを登録しておけば、請求すべき取引が発生した際に必要事項のみを記入するだけで、請求書をオンライン上で送付や確認ができます。電子保存であれば、後から情報を確認する際にも検索が簡単です。

また、電子帳票システムを導入すれば、請求書や納品書、領収書など多くの帳票類の作成や送付を自動化でき、さらなる効率化が期待できます。

セキュリティが向上する

紙による請求書の送付や管理に比べ、電子化したほうがセキュリティの向上が期待できます。

紙での保存では第三者に見られたり、紛失をしたりなどの心配がありました。一方、電子帳簿保存法に対応したシステムの多くは、セキュリティを強化したものが多く安心感があります。

ただし、電子取引中でのメールの誤送信や、第三者に会社のシステムに侵入される恐れはあります。パスワードの設定や暗号化、アクセス権限の設定など、ルールを徹底するようにしましょう。

リードタイムが短縮できる

作業がオンライン上で完結するため、請求書作成から支払いを受けるまでのリードタイムの短縮が図れます。

郵送のための時間を省略できるだけではなく、請求書の修正に関する時間も短縮できます。請求書を発行してから間違いに気付いたり、発送後に取引先から記入事項に関する要望が出たりした場合にも、手書きのように最初から作り直すのではなく、数字などの修正点や変更点のみを簡単に直せば良いので、業務がとても楽になります。

リモートワークに対応しやすくなる

電子化をすれば、請求書発行における一連の作業や承認作業をどこでもできるため、リモートワークに対応しやすくなります。

紙の請求書の場合、家で作成したとしても、上司をはじめ複数名で内容を確認してもらい、ハンコを押すためには出社が必要でした。請求書を受け取る側も、郵送されたものを出社して受け取らなければなりません。

そのためリモートワークを実現することが困難でしたが、電子化をすれば全ての作業がオンライン上でできるため、出社の必要がなくリモートワークが可能です。

請求書の電子化はシステムの導入で効果を最大化できる

請求書を含む書類の電子化の効果を最大化させるには、既存のシステムやリソースだけで対応せずに、一元的に管理できるシステムの導入をしたいところです。

企業が取り扱っている各種帳票を統合して作成・管理する「電子帳票システム」であれば、請求書などの電子発行を効率的に行えます。フォーマットに必要事項だけを入力すれば良いのでミスも発生しにくくなり、クラウド上で作業をすれば、上司や同僚によるチェックも簡単です。

また、販売管理システムや会計システムと連携し、受領作業や会計システムへの入力作業を効率化できる請求書受領サービスもあります。

高度なセキュリティ機能を搭載しているものが多いので情報流出が避けられ、クラウドを活用したものであれば災害などによるデータ紛失などのリスクを回避しやすくなります。

電子帳票システムの導入をお考えならばこちらをご覧ください。

請求書電子化の義務化までに行うべきこと

請求書を電子化するには、さまざまな準備が必要です。やるべきことについて見ていきます。

電子保存する書類を決める

一度に全ての書類を電子保存することが難しい場合、自社で電子化を優先的に進める帳簿・書類を選定し、段階的に電子化を進めます。

どの書類を優先的に電子化するかについては、経理にかかわる帳簿や書類、契約書類などのなかで重要度の高いものから進めるのをおすすめします。一度、電子化に取り組み改善点を認識しておけば、次に電子化をする際に効率よく進められるでしょう。

導入するシステムを選定する

請求書や領収書などを発行するには帳票管理システム、受領する請求書の管理には請求書受領システムを導入する必要があります。どちらも保存要件を満たせる書類を作成するものを選ぶようにしましょう。

電子化したい書類や業務フローを基に、適切なシステムを比較検討してください。システム連携や自動化機能、拡張性に優れたシステムが長期的な効率化・コスト削減に有効なのでおすすめです。

業務フロー・ルールを整備する

システム導入を前提に、請求書に関する業務フローの見直しやルールの整備を行い、担当者間で周知します。

業務フローやルールが曖昧だと、無駄な業務やトラブルが増えたり、従業員満足度の低下につながったりするため注意が必要です。マニュアルを作成し、社内セミナーの実施などを行いましょう。

取引先に了承を得る

すべての取引先が、請求書の電子化へ対応できるとは限りません。電子請求書を発行する前に、事前に案内を送り了承を得ておくようにしましょう。

取引先のメリットを強調し、できるだけ電子化に同意してもらえるよう工夫することも大切です。しかし、電子化への対応が困難な取引先もある場合を想定し、紙の請求書と併用して運用する方法も定めておくのをおすすめします。

請求書電子化の作成・配信する「ナビエクスプレス」

「ナビエクスプレス」は請求書、納品書、支払案内書などの各種帳票を電子化、配信するシステムです。具体的には、データから請求書など帳票の作成や送付の自動化、人的ミスの削減や修正作業の短縮などに効果を発揮します。

また、現在使用している請求書や領収書、給与明細などのデザインを変える必要もありません。高いセキュリティと万全のサポート体制で多くの企業から信頼を受けています。

導入事例1|TOHATSU 様

船外機や可搬消防ポンプの開発を手掛けるTOHATSU 様は、年間3万件前後の納品書や請求書を発行していました。担当者の業務改善やコスト削減を目指し、2018年にナビエクスプレスを導入しました。帳票の電子化を実現し、現在は650社の取引先のうち500社以上と電子帳票を使ったやり取りを行っています。

以前は納品書や請求書の発行、発送業務に2人がかりで月160間以上かかっていたものが、1人70時間程度に短縮できたそうです。

導入事例2|NTTロジスコ 様

総合ロジスティック企業のNTTロジスコでは月4,000通ほどの請求書発行業務があり、コストや業務にかかる時間などの効率化を考えていました。

そこでナビエクスプレスを導入したところ、請求書業務については封筒、印刷、郵送などに必要な費用や、それに伴う担当者の稼働時間の全てが削減でき、年間で700万円ほどが圧縮できました。また、強固なセキュリティ環境やサポート体制が整っている点でも安心できているそうです。

義務化される請求書電子化(保存)への対応は急務

今までは宥恕措置もあり、電子取引の請求書でも紙での保存ができましたが、2024年1月からは電子化保存が義務となります。請求書の電子化には経費の削減や業務負担軽減など、メリットも多いのですが、必要なシステムの選定や電子保存に関するセキュリティなど、悩む方は多いかと思います。そこで、電子帳簿保存法に対応出来るシステムの導入がおすすめです。

ナビエクスプレス」はすでに多くの企業様に導入いただいています。セキュリティ機能で各種データを安全に保護し、請求書だけではなく領収書や給与明細など、さまざまな電子帳票の作成に役立ちます。スムーズな電子化への移行のためにも、ぜひご検討ください。

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