
更新日:2022/10/26(公開日:2021/06/15)
【医療機関向け】オンライン診療の基本知識とツールの選び方
新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けて、オンライン診療の利用が一気に進んでいます。通院の必要がなくなることで、オンライン診療は、病院側・患者側双方にメリットをもたらします。導入を検討しているものの、何から始めるべきか迷うという病院関係者も多いでしょう。
そこで今回は、オンライン診療の導入を検討している病院関係者の方に向けて、オンライン診療のメリットや診察の流れ、必要なもの、オンライン診療に必要不可欠なツールの選び方をご紹介します。
オンライン診療とは
オンライン診療とは、スマートフォン・パソコン・タブレットのビデオ通話を通して、インターネット上で行う診察・治療のことです。患者は通院することなく、居場所を問わずに診察を受けられます。
オンライン診療は、厚生労働省が2018年3月に発表した「オンライン診療の適切な実施に関する指針」において、次のように定義されています。
“遠隔医療のうち、医師-患者間において、情報通信機器を通して、患者の診察及び診断を行い診断結果の伝達や処方等の診療行為を、リアルタイムにより行う行為。”
(出典:厚生労働省「オンライン診療の適切な実施に関する指針 平成 30 年3月 (令和4年1月一部改訂)」)
オンライン診療が注目されている背景
オンライン診療が注目されている背景には、厚生労働省による推進の動きと、新型コロナウイルス感染症拡大による規制緩和があります。
オンライン診療は、もともとは「遠隔診療」の一つとして、離島やへき地など、医療機関が少ない地域で限定的に活用されていました。しかし、2018年3月にはオンライン診療のさらなる普及に向けて、厚生労働省から医療機関向けに、医療の質のさらなる向上と、よりよい医療を得られる機会を増やすためのガイドラインが出されました。
その後、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、厚生労働省は2020年4月13日以降、2回目からの診察に限定されていたオンライン診療を初診でも認める決定をしました。
スマートフォン端末や光回線が普及し、高齢化への対応やデジタル化が求められるなか、今後もオンライン診療は、さらに広がっていくと見られています。
関連記事:オンライン診療と親和性の高いビデオ通話。IT活用で患者にとってより良い医療の提供を
オンライン診療の対象者
新型コロナウイルス感染症の拡大を受けた特別措置によって、以前よりも多くの人が、オンライン診療の対象者となりました。
オンライン診療は、2018年度に保険適用とされましたが、本来、医療保険を利用してオンライン診療を受けられるのは、生活習慣病やがん、難病、認知症などで、定期的に医療機関を受診する人に限定されていました。
しかし、新型コロナウイルス感染症が拡大していることに鑑みた時限的・特例的な対応として、厚生労働省は2020年4月10日にオンライン診療に関する通達を発出しました。この通達によって、対象者を特定の疾患に限定せず、医師の判断で初診も含めた電話やオンラインによる医療相談・受診ができるようになりました。
オンライン診療を始めるメリット

病院がオンライン診療を始めることで得られるメリットには、さまざまなものがあります。
ここでは5つのポイントを紹介します。
患者の通院や治療の継続率が高まる
オンライン診療には、病院側・患者双方に大きなメリットがあります。患者は診療を受けやすくなり、結果として、病院側は通院や治療の継続率が高まります。
たとえば、患者にとって自宅や外出先から診察が受けられる点は大きなメリットです。通院する時間的負担から解放され、待ち時間も削減されます。仕事の休憩時間や、予定と予定との間のすきま時間を有効活用できるため、「忙しいから通えない」という状況を避けやすくなります。
オンライン診療は、距離的な負担もなくすことができます。移動に負担がかかる高齢者や、けがで通院が難しい場合も受診が可能です。転居により通院が難しい場合でも、継続して治療を行えます。
また、新型コロナウイルス感染症が拡大する昨今、院内感染リスクを恐れて通院をためらう人も多いでしょう。特に高齢者や持病を持っている人など、治療の継続が必要な人ほど、通院をリスクに感じることもあります。そんな人でも、オンライン診療なら安心して、自宅にいながら治療を継続してもらうことができます。
新たな患者獲得ができる
オンライン診療によって、新たな患者を獲得できるメリットもあります。
通院してもらう場合、距離的な制約から患者は近隣の居住者や勤務者に限定されがちです。しかしオンライン診療なら、遠くて通院できなかった患者の診療もできます。
また、センシティブな悩みを持った患者は、人目を気にして通院しづらい場合もあります。オンライン診療は、そういった患者の背中を押すきっかけにもなります。
スムーズな診療を行える
オンライン診療には、診察データを活用することによって、スムーズに診察を行えるというメリットもあります。
たとえば、患者に通院してもらう場合には、診察と問診は同日に行うのが一般的です。しかし、オンライン診療なら、問診だけを事前に行っておき、そのデータをもとに診察までに診療方針を立てることも可能です。
また、オンライン上に保管された前回の診察データを見ながら診察することもできます。
院内感染のリスクにさらされない
院内感染のリスクにさらされない点も、大きなメリットです。オンライン診療を行うことで、患者だけでなく医療従事者も感染のリスクが抑えられます。
2020年4月、オンライン診療に関する規制の一部が時限的・特例的に撤廃された背景には、オンライン診療の活用が、患者のみならず、医師・看護師を院内感染リスクから守るためにも重要との見解がありました。
万が一院内感染が起きた場合、診療の停止や縮小は避けられません。院内感染のリスク対策としても、オンライン診療は有効です。
事務の負担が軽減される
受付や会計を担当する事務スタッフの負担が軽減される点も、オンライン診療のメリットの一つです。オンライン診療では、受付や会計、次回の予約などの業務はオンラインですべて完結するため、スタッフがその場で対応する必要がありません。
事務処理の作業は、スタッフが空いている時間に対応することができるため、業務負荷の分散や、人件費の削減にもつながります。
ビデオトーク > 活用シーン > 医療・介護業界:オンライン診療 / オンライン面会
オンライン診療の流れ

実際にオンライン診療を導入した際の基本的な流れを説明します。
1. 予約を受ける
まずは、予約をオンラインシステムまたは電話で受け付けます。オンライン診療に必要なものがあれば、患者側に準備してもらうよう伝えます。
ただし症状によってはオンラインによる診療で診断や処方とはならず、対面診療や受診勧奨が必要となる場合もあります。
2. オンライン診察をする
予約された日時にビデオ通話などを用い、オンライン診察を行います。患者の端末に、医師の側から接続して行います。医師免許証などを提示し、自身が医師本人であることを証明します。保険診療の場合、患者側には被保険者証を提示させ、受給資格を確認してから診察を開始します。
3. 請求する
領収書と明細書を、電子メール、または郵送かFAXで患者に交付します。クレジットカード決済や銀行振込、その他の電子決済などにより、支払いを受けます。
4. 薬を処方する
必要があれば、薬を処方します。処方には3つの方法があります。
1つ目は、患者に病院まで取りに来てもらう方法です。
次に、患者が薬の配送を希望する場合には、処方箋を薬局に送付し、薬を郵送で患者宅へ送ってもらう方法があります。患者が希望する薬局宛に、処方箋情報をFAXなどで送付します。処方箋原本は、可能な時期に郵送などで薬局に送付します。
最後の方法は、処方箋を患者へ送る方法です。患者は自分で薬局へ行き、薬を受け取ります。
オンライン診療を始めるのに必要なもの

医療機関がオンライン診療を始めるためにはオンライン診療用のツールやネットワーク環境の整備が必要です。オンライン診療を始めるのに必要なものと注意点を説明します。
オンライン診療ツール
まず必要なのが、ビデオ通話ができるアプリやツールです。
ツールによって、利用できる機能や使いやすさが異なります。ツールはオンライン診療を快適に行えるかどうかに大きく関わるため、慎重に選びましょう。オンライン診療ツールの選び方については、このあとくわしく解説します。
通信機器とネットワーク環境
次に、スマートフォンやパソコン・タブレットなどの通信機器が必要です。通信機器は、インターネットに繋がる必要があります。OS、ブラウザは、使用するツールの推奨環境を確認しておくと良いでしょう。
インターネット環境は、患者とスムーズな通信が行えるよう、光回線など高速で安定したインターネット回線が望ましいです。
使用する通信機器やツールによっては、ビデオ通話用のウェブカメラやマイクを用意しておく必要があります。
オンライン診療ツールを選ぶ4つのポイント
オンライン診療を行うのに必要不可欠なのが、オンライン診療ツールです。導入するツールを検討する際の4つの比較ポイントを紹介します。
コスト
一つ目の比較ポイントは、コストです。イニシャルコストとしては、ツール導入の初期費用とPCなどの機材費がかかります。ランニングコストとしては、定額の月額料金のほか、システムによっては、決済額に応じた利用料(手数料)が発生する場合もあります。
機能
オンライン診療ツールの機能はさまざまです。代表的な機能に、予約・問診・診察・決済の4つの機能があります。機能が多い方が良いというわけではなく、目的に応じて必要な機能を決めることが大切です。
患者/病院側双方の使いやすさ
ツールの使いやすさは、病院側だけでなく患者側の視点も重要です。アプリのダウンロードや事前の使用説明が必要なツールもあれば、それらの必要がなく、接続手順がシンプルなツールもあります。高齢者でも困難なく使用できるツールなら、より多くの患者にオンライン診療を活用してもらえます。
サポートの充実さ
サポート体制が充実しているかどうかも重要です。オンライン診療は、導入を検討している病院のほとんどが、はじめての経験なのではないでしょうか。オンライン診療の導入・運営をスムーズに行うため、疑問や困りごとを、すぐに相談できると安心です。
オンライン診療ツールを活用した事例
オンライン診療を導入することは、患者だけでなく医療機関にとってもさまざまなメリットがあります。ここからは、オンライン診療ツールを活用したオンライン診療の事例を2つ紹介します。
Dクリニック東京(医療法人社団ウェルエイジング)様の事例
Dクリニックは、東京、大阪、福岡、名古屋でAGA(男性型脱毛症)の外来治療を中心に手掛けている自由診療のクリニックです。
Dクリニックは、専門クリニックのため、遠方からご来院される患者様も多く、月1回の通院でも負担になるケースがありました。
通院の負担を軽減するために導入されたのが、NTTコム オンラインが提供するビデオ通話サービス「ビデオトーク」を使ったオンライン診察です。オンライン診察により、通いやすくなったことで、来院しづらい患者様の背中を押すきっかけになっています。
また、オンライン診察の導入により自宅で治療を受けられるようになったため、新型コロナウイルス拡大による外出の不安の軽減にもつながっています。
ビデオトーク > 導入事例 > Dクリニック東京(医療法人社団ウェルエイジング)様
一般社団法人レインボークリニック様の事例
PrEP療法(HIV感染を予防するための内服療法)とED治療の専門クリニックである一般社団法人レインボークリニックでは、「ビデオトーク」でのオンライン診療を導入しました。
立地条件やプライバシーといったハードルを超え、より多くの人に必要な医療を届けたい、という強い思いからオンライン診察を始められました。
悩みの性質上、オープンに診察を受けること自体に抵抗があり、クリニックに通うことが難しいケースもあるため、プライバシーを保てるという点でもオンライン診察は適しています。
専用アプリのインストールや、アカウント登録などの事前準備が必要なく、診療を受ける方の負担が少ないという点がポイントとなり、「ビデオトーク」を活用されています。
ビデオトーク > 導入事例 > 一般社団法人レインボークリニック様
「ビデオトーク」ならアプリのダウンロード不要でオンライン診療が可能
オンライン診療に必要なビデオ通話サービスならNTTコム オンラインが提供する「ビデオトーク」がおすすめです。
ビデオトークなら、患者はアプリインストールやアカウント作成などの面倒な事前作業は不要です。医師側から患者の携帯電話番号宛にビデオ通話用URLをSMS送信します。患者側は、届いたSMSに記載されたURLをタップするだけです。
また、ビデオトークは複数回線を使えるため、同時に複数のオンライン診療が可能です。
患者の通院・来院への負荷を軽減し、より良い医療を提供するオンライン診療を、ビデオトークではじめてみませんか。ぜひ、くわしい資料をご請求ください。