金融業界のカスタマーサポートを対象としたNPS®ベンチマーク調査2024の結果を発表。
~チャットボットなどの「ノンボイス」による問い合わせ手段の活用が期待される結果に~

2024年10月23日

 NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:塚本 良江、以下NTTコム オンライン)は、NPSベンチマーク調査2024金融業界カスタマーサポート調査を実施しました。カスタマーサポートは顧客と直接つながる接点として、CX向上の観点からも重要視されています。本調査は生命保険、自動車保険、銀行、クレジットカードの金融4業界を対象に、商品やサービスに関する問い合わせ対応を行うカスタマーサポートの利用体験に焦点を当てたNPSベンチマーク調査となります。
 この結果、最もNPSが高いのはそれぞれ、生命保険ではプルデンシャル生命、自動車保険ではソニー損保、銀行ではPayPay銀行、またクレジットカードではアメリカン・エキスプレス・カードとなりました。

<調査結果のポイント>

1.金融業界におけるカスタマーサポートのNPSは、プルデンシャル生命、ソニー損保、PayPay銀行、アメリカン・エキスプレス・カードがそれぞれ1位に

 カスタマーサポートの体験を受けてのNPSについて、金融業界におけるトップ企業を調査したところ、生命保険ではプルデンシャル生命(-17.9ポイント)、自動車保険ではソニー損保(-8.5ポイント)、銀行ではPayPay銀行(-22.2ポイント)、クレジットカードではアメリカン・エキスプレス・カード(-6.3ポイント)が、それぞれNPS1位となりました。

2.金融業界全体では、問題解決力・提案力、説明のわかりやすさ、回答精度の高さがロイヤルティ醸成要因に

 金融業界におけるカスタマーサポートのロイヤルティを醸成する要因を17の項目で分析したところ、「問題解決力・提案力」や、「説明のわかりやすさ」、「回答精度の高さ・正確さ」がロイヤルティを醸成する項目となりました。また、「問題解決までの総合的なスピード」、「適切な担当者に回してくれる」といったほか、「対応の迅速さ・スムーズさ」、「親身な対応・お客様に寄り添う姿勢」、「専門知識の豊富さ」といった担当者の対応力もロイヤルティを醸成する要因となりました。
 一方で「解決・結論が出るまでの途中経過・進捗の共有」や、「期待を超える応対・情報提供」、「問い合わせ後のフォローアップ」の項目において今後の改善が期待される結果となりました。

図:金融業界全体のロイヤルティ要因分析(ドライバーチャート)
※詳細および各業界別のロイヤルティ要因分析はダウンロード資料をご参照ください:
https://www.nttcoms.com/service/nps/report/finance_cs/inquiry/

 各業界の3位までの上位企業におけるロイヤルティ醸成要因を分析したところ、生命保険業界では「問い合わせ後のフォローアップ」や「説明のわかりやすさ」、「問題解決までの総合的なスピード」、自動車保険業界では、「解決・結論がでるまでの途中経過・進捗の共有」や「回答精度の高さ・正確さ」、銀行では「専門知識の豊富さ」や「対応の迅速さ・スムーズさ」、またクレジットカードでは「カスタマーサポートの受付時間の適切さ」といった項目となりました。

3.短時間でのスムーズな解決がロイヤルティの醸成につながる

 該当の金融機関のカスタマーサポートに問い合わせしたことで、問い合わせ内容が解決したか調査したところ、全体の77.9%が短期間で解決したと回答しました。また、問い合わせをしてから最終的な結論が得られるまでに所要した時間としては、「10分以内」(52.5%)が最も割合が高くなりました。
 上記の解決有無別にNPSを分析したところ、短期間で解決したと回答した利用者のNPSは-21.8ポイントとなり、「時間はかかったが解決した」、「解決しなかった」と回答した利用者のNPSより高くなり、問い合わせ内容に対し、時間をかけずにスムーズな解決や結論を得ることの重要性がみられました。

左図:問い合わせした内容の解決度合い
右図:問い合わせした内容の解決度合い別NPS

上図:問い合わせした内容の解決度合い
下図:問い合わせした内容の解決度合い別NPS

4.若年層においては、コールセンターよりもノンボイスでの問い合わせ希望が高い傾向に

 インターネットやスマートフォンの浸透また利用者のライフスタイルの変化などに伴い、カスタマーサポートの問い合わせ対応においても電話以外のメールや問い合わせフォーム、チャットといった音声以外のチャネル、いわゆる「ノンボイス化」が進んでいます。
 該当の金融機関への問い合わせで利用した手段について「コールセンター」と「ノンボイス」別に調査したところ、「コールセンター」の利用率は70.7%、「ノンボイス」の利用率は32.5%となりました。
 年代別に分析したところ、「コールセンター」は30代以下(65.0%)よりも40-50代(70.1%)や60代以上(74.0%)において利用率が高くなりました。一方で、「コールセンター」以外の「ノンボイス」では30代以下で47.8%と他年代に比べて利用率が高くなり、若年層においては「ノンボイス」での問い合わせが多い傾向となりました。

図:利用した問い合わせ手段(年代別)

 また、今後利用したい問い合わせ手段として、「コールセンター」を選んだ利用者は76.8%と、現状の利用状況と比べて6.1%程度上回ったのに対し、「ノンボイス」においては今後利用したい問い合わせ手段として選択した利用者は46.1%と、現状の利用状況と比べて13.6%の差分となり、現状の利用状況と今後の利用意向のギャップが大きくなりました。今後コールセンターだけでなく、有人チャットやAIチャット・チャットボットといったノンボイスによる問い合わせ手段についても期待される傾向となりました。

図:利用した問い合わせ手段と今後利用したい問い合わせ手段

5.特定の担当者とカスタマーサポートの連携がロイヤルティ醸成につながる

 保険のライフプランナーや自動車保険の営業といった特定の担当者の有無と、カスタマーサポートに連絡する前に担当者に連絡をしたか調査をしたところ、全体のうち「特定の担当者がいてカスタマーサポートに問い合わせする前に相談した」と回答した利用者は18.9%、また「特定の担当者はいるが、カスタマーサポートに問い合わせをする前に相談をしなかった」と回答した利用者は16.3%となりました。

図:カスタマーサポートへの問い合わせ前での担当者への相談の有無

 「特定の担当者はいるが、カスタマーサポートに問い合わせをする前に相談をしなかった」と回答した利用者に対し、その理由を調査したところ、「担当者の担当する範囲のことではなかったため」が32.7%と最も多く、次いで「担当者に連絡することを思いつかなかった」(23.6%)、「担当者と連絡が取りづらかったため」(22.0%)、「担当者に聞きづらい内容であったため」(15.5%)が続きました。

図:特定の担当者に連絡をしなかった理由

 特定の担当者がいる利用者に対し、問い合わせ内容の引継ぎや連絡するタイミングのよさなど担当者とカスタマーサポートが連携できていると感じるか調査したところ、「とてもそう感じる」または「ややそう感じる」と回答した利用者は58.8%となりました。またこれらの担当者とカスタマーサポートの連携に対する印象別にNPSも分析したところ、「とてもそう感じる」と回答した利用者のNPSは33.0ポイント、「ややそう感じる」と回答した利用者のNPSも-21.2ポイントとなり、カスタマーサポートと担当者が連携できていると感じている利用者のNPSは高い傾向となりました。特定の担当者がいる場合において、カスタマーサポートと連携ができていることの重要性が示唆される結果となりました。

左図:担当者とカスタマーサポートの連携に対する評価
右図:担当者とカスタマーサポートの連携に対する評価別NPS

上図:担当者とカスタマーサポートの連携に対する評価
下図:担当者とカスタマーサポートの連携に対する評価別NPS

6.推奨度(友人や同僚におすすめできるか)が高いほど、継続利用意向も高くなる

 対象の金融機関におけるカスタマーサポートの体験を受けての今後の継続利用意向を0~10の11段階でたずねたところ、「推奨者」(推奨度が「9」~「10」の回答者)は平均9.5ポイント、「中立者」(推奨度が「7」~「8」の回答者)は平均8.0ポイント、「批判者」(推奨度が「0」~「6」の回答者)は平均5.8ポイントとなり、推奨度が高いほど継続利用意向も高くなりました。

図:推奨セグメント別継続利用意向

お問い合わせ先

NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社
マーケティング・アナリティクス部

nps-solution@nttcoms.com

https://www.nttcoms.com/service/nps/