この3年間で、変更の回数と速度を毎月約30%増加させ、同時に、お客様に影響を与えるセキュリティや規制に関するインシデントの数を約30%減少させました。
CIO,
Dan Chesterman氏
金融証券取引所は、刻々と変化する情報と何兆円もの資金が絡む複雑な環境であり、毎秒の膨大なデータを処理するために最大限のセキュリティと可用性が要求されます。
オーストラリアの金融市場は、買い手と売り手に安全でレジリエンスのある大量の取引を提供することを使命とする市場運営者兼決済システム促進者であるオーストラリア証券取引所(Australian Securities Exchange)通称"ASX"に依存しています。ニューヨーク証券取引所のように、取引所が5つ以上の組織とビジネスモデルにまたがって市場を展開しているのに対し、ASXは一つ屋根の下ですべての市場(清算機関、デリバティブ、現物株式)を扱っており、そのサービスの全範囲において、システム間の相互運用性と信頼性が不可欠となっています。
業界のリーダーとしての地位を維持し、多くの金融システムを一つ屋根の下に置くことは困難なことでした。同社は、インフラをモダナイズし、レガシーシステムでは提供できない革新的な新サービスを提供する必要がありました。CIOのDan Chesterman氏は、「私たちはテクノロジーのあらゆるレイヤーの置き換えと近代化を実施しています。そして、それが現在と将来のサービスを提供する方法の基本だと考えています」と述べています。
ASXは、レジリエンスのあるビジネスクリティカルなサービスを実行するという目標を達成するために、データアーキテクチャを統合し、コアシステムをモダナイズしました。同社は、マイクロサービス、コンテナ、TIBCOのApache Kafkaメッセージングサポートを使用して、エンドツーエンドの変革を行いました。この通称「プロジェクト・ハッブル」は、共有データ処理基盤、堅牢で将来性のあるテクノロジー・コアを備えた1つのセントラル・プラットフォームを構築しています。
Chesterman氏は、「私たちは今、テクノロジープラットフォームを大幅に刷新している最中です。基盤のインフラの多くを入れ替え、素早いリカバリのために使用する新しいセカンダリデータセンターを導入し、そして新しいバーチャルプラットフォームを導入しました」と述べています。これにより、同社は今後何年にもわたって金融業界の最前線に立ち続けることでしょう。
ASXは、数年前からTIBCO製品を使用してシステムを統合してきましたが、TIBCOのビジュアルアナリティクスプラットフォームは、複雑なビジネス上の意思決定のための情報提供に役立っています。一例として、顧客がより多くの情報に基づいた意思決定を行えるよう支援する新しい製品、DataSphereを発売しました。
ASXは、新しい強力なコア・データ・インフラストラクチャを導入し、そのシステムを流れる膨大な量のデータからより大きな価値を引き出す方法を検討しました。DataSphereは、データサイエンスとビジュアルアナリティクスを内包する堅牢でオープンなプラットフォーム上に、データプロバイダー、専門家、インサイトを求める人々のコミュニティを集約した、革新的なデータ・アズ・ア・サービス(Data-as-a-service)です。
DataSphereは、ASXの新しい収益源を提供します。これは、Webストアで購入できる一連の金融インサイト製品です。顧客はASXのデータを購入することで、市場全体のコンテキストの中で各企業のパフォーマンスを確認することができます。1つのセキュアなプラットフォーム内に、独自のデータセット、強力なアナリティクスツール、業界をリードするデータガバナンス、そして商機が組み合わされているのです。ユーザーは、ASXプラットフォームを通じて、即座にインサイトを獲得したり、モデルをカスタマイズしたり、データを商品化したりすることができます。
DataSphereには、データが意図したとおりに使用されるようにするための対策が内蔵しており、これは優れた倫理的ガバナンスを提供するという同社のミッションと一致しています。ASXの2020年の年次報告書には、「当社および顧客のデータを管理し保護することは、オーストラリアの金融市場に対する信頼と信用を維持し、当社の業務のレジリエンスを強化するために不可欠である」と記されています。
ASXは、近年、同社の「より強固な基盤構築のプログラム」を通じて、業務上のレジリエンスを大幅に向上させてきました。このプログラムにより、顧客に関わるインシデントは2016年のレベルから約78%減少し、5つの主要な市場システムにおける停止は2006年以降で最低のレベルとなっています。
市場運営者は、複数年にわたる技術投資プログラムを継続的に進めており、これにより技術改善が短期間でなされるようになり、2019年時点では平均11年だったのが、2023年までに4年に短縮される予定です。
TIBCOとのパートナーシップを開始して以来、20年以上にわたってTIBCOソリューションは予定外のダウンタイムがない優れたパフォーマンスを発揮しています。さらに、ASXは1日に1億を超えるメッセージを処理しています。
Chesterman氏は、運用上のレジリエンスに対する期待はますます高まっていると言います。「障害発生による影響も大きくなり、規制も厳しくなっていますが、私は不適切なことだとは思いません。過去3年間で、私たちは変更の数と速度を1カ月あたり約30%増加させ、同時に、顧客に影響を与えるセキュリティや規制に関するインシデントの数を約30%減少させました。技術的な問題を完全になくすことはできませんが、ASXはここ数年、その発生リスクを減らすために多くの取り組みを行っており、プラットフォームとプロセスの改善と強化に取り組んでいます。私たちは絶え間ない改善を行い、お客様に影響を与える運用上のインシデントを少なくしています」と同氏は述べています。
ASXは、デジタル化されたサービスには素早い変更と安全性の確保が必要だと考えており、この2つの目標を達成するためにテクノロジーを適用しています。
デジタル化が進む業界において、最新のインフラと収益性のある新たなデータ提供は、ASXが重要なサービスをより速く、より安全に運営するという目標を達成するのに役立っています。同社は、取引所プロセスの摩擦を取り除き、より少ないリスクでより安価に商取引を行うことを可能にします。
Chesterman氏は、「私たちは、組織が新しいデジタル化された経済における成功は、将来の成功に必要不可欠な柔軟性とレジリエンシーを高めるためにインフラの中核をモダナイズする、という難しい課題に取り組むことによって成されると信じています」と述べています。
ASXは、ビジネスデザインと収益性の目標を達成するために、最新のデータインフラを構築しました。これにより、パフォーマンス、安定性、完全性、レジリエンスが向上し、地域をリードし、金融市場に信頼をもたらしました。そして、それはTIBCOによって実現されたのです。