2019年にNTTコム オンラインのデジタルマーケティング支援サービスを導入した西日本電信電話株式会社(NTT西日本)。NTTコムオンラインが、戦略の策定コンサルティング、マーケティングオートメーションシステムの導入や環境整備、記事制作、施策の改善運用など幅広い領域でサポートを行い、同社に伴走し支援するかたちで、オウンドメディアなどを活用した効果的なマーケティング施策を行っています。開始から約3年で当初の約30倍のWeb行動スコアリングに基づくMQL(※)を獲得することに成功したという本プロジェクト。その詳細について、同社スマートビジネス営業部 カスタマーリレーション担当 デジタルマーケティンググループ 課長 小林健次氏にお聞きしました。
※MQL:Marketing Qualified Lead。マーケティング活動で得た見込み客のこと
― まずは御社の特徴や目指すところについてお聞かせください。
小林氏:当社では、個人のお客さま向けのインターネットサービスや電話サービスのほかに、幅広い法人向けサービスを提供しています。ビジネスフォン、ICT機器、セキュリティ対策サービス、クラウドソリューションなど……。こうした商品を、一般企業だけでなく、自治体、学校、医療機関など、多岐に渡るお客さまに提供しているところが特徴です。
また、各府県、各エリアに保守、営業の担当者がおり、地域密着型の細やかな活動ができるというところも当社ならではの強みですね。こうした強みを活かしつつ、スマートな地域社会の実現を後押しする「ソーシャルICTパイオニア」となることを目指しています。
― 小林様の所属部署、本プロジェクトにおける役割についてお教えください。
小林氏:私はスマートビジネス営業部 デジタルマーケティンググループでマネージャーをしております。いまから3年ほど前のグループ立ち上げのタイミングで着任し、NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション(以下、NTTコムオンライン)さんと一緒に、当社のデジタルマーケティング施策を推し進めてまいりました。
― どのような課題があり、デジタルマーケティンググループを立ち上げることになったのでしょうか?
小林氏:当社が扱う商材や取引先は非常に多く、しかも時代の流れに合わせてニーズがどんどん多様化する傾向にありました。そのような背景があり、商材と顧客ニーズをうまくマッチングさせるのが次第に難しい状況になってきてしまったのです。
以前は、営業がお客さまのところを回ってヒアリングをしていたのですが、それだけでは追いつけませんし、限界があります。また、どうしても関わりに濃淡ができてしまいます。そこで、もっと効率的に、適切なタイミングで、お客さまのニーズを捉えた効果的なアプローチがしたいと、本格的にデジタルマーケティング施策を推し進めることになりました。
― 御社のデジタルマーケティング施策とは具体的にどのようなものなのでしょうか。全体像をお教えいただけますでしょうか。
小林氏:当社のデジタルマーケティングは、オウンドメディア「Biz Clip」、公式HP、ウェビナーの3つのメディアを軸にして展開しています。これらの媒体に、メールマガジン、Web広告、SEO対策などの手法で集客を行い、どの顧客がどのページをどの程度閲覧したかなどのデータを細かく取って点数化しています。例えば、お客さまがより詳細な商品情報の記載のあるページを見たり、資料のダウンロードをしたりと、ハードルが高いと推測される行動を取った場合は高い点数をつけるなど工夫してつけており、その点数によってMQLを割り出すようにしています。
MQLが判明したら、その情報をコールセンターに渡し、あとは電話でフォローしています。データ分析によって、お客さまのニーズ、課題、興味のある商材がわかっていますので、よりピンポイントで効果的なアプローチをすることが可能です。かなり効率よく案件の掘り起こしにつなげられていると感じています。
― こうした施策に、NTTコムオンラインはどのように関わっているのでしょうか?
小林氏:もう、「すべて」ですね。すべてに関わっていただいています。プロジェクトの立ち上げ当初は、全体戦略の立案、施策の運用設計、KPIの設定の支援などに携わっていただきました。いまでも忘れられないのが、プロジェクトマネージャーの松本さんと一緒に膝を突き合わせてKPIマップを作成したこと。お客さま連絡先の獲得・Webサイトへの流入経路から受注に至るまでの100項目程度の主要なKPIを洗い出し、各項目の関連性を明確にする方程式を作りました。その方程式を、ふたりで眺めながら「どうしたらより大規模にデジマを成功させることができるんだろう」「よりスピーディに求める結果につなげられるんだろう」と考え尽くしました。
また、マーケティングオートメーションシステムや名刺管理システムなどの導入、社外のデータベースとの連携基盤の構築など、あらゆる環境整備もやっていただきました。
実際にプロジェクトが走り始めたあとは、2週間に1回の定例ミーティングで、どのページが読まれたか、その後にお客さまがどのような行動を取ったかなど、詳細なデータがまとめられたレポートを共有してもらっています。また月に一度、あらゆる視点で分析されたデータを50~60枚という報告書に詰め込んでいただいており、この精度が素晴らしく高い。これをもとに、一緒に次の打ち手を考え、新しい記事やメールを制作したり、メールの送信先を調整したり、配信のタイミングや運用フローを変更したりしつつPDCAを回しています。
― 約3年、NTTコムオンラインと施策を行ってきて、特にどのような点がよいと感じていらっしゃいますか?
小林氏:技術力が高く、知識が豊富で、かつフットワークが軽いところですね。過去のことから未来のことまで、聞けばすべて答えてくれる。私にとって“コムオンさん”は先生のような存在です。また、私たちに知識がついてきてやりたいことやアイデアが思い浮かぶようになってくると、そのアイデアをどうすればより高いレベルで実現できるか考え、アドバイスをしてくださることも多くなりました。「それならこうするともっとよくなる」という+αの具体策や視点をくださり、とても参考になっています。
なにより、求める結果から逆引きして、いまやるべきことを提案してくれるところが素晴らしいなと感じています。私たちが取り組んでいるデジタルマーケティング施策は、やりながら改善していくような正解のない施策です。ですから、やっているうちにスコープがズレてきたり、方針を変えなければならないことも多々あります。
そんなとき柔軟に対応してくださり、常に、いま・現在の目標を見据えて、データやファクトに基づいた説得力のある打ち手を考えてくださるのです。データオリエンテッドなディスカッションができるところ、ファクトベースの対策が打てるところも、デジタルマーケティングに強いNTTコムオンラインさんならではの強みだと思います。
― 効果についてはいかがでしょう? なにか目立った実績があればお教えください。
小林氏:Web行動スコアリングに基づくMQLの獲得数が3年前に比べ30倍になりました。この数字には私も驚いています。3倍や5倍でも十分すごいと思うのですが、なにしろ30倍ですから。また、受注額は、昨年に比べ3倍になっています。予測を大きく上回る効果が継続して出ている状況です。
― これほどまでの効果が出ている理由は、どのようなところにあるとお考えでしょうか?
小林氏:NTTコムオンラインさんと、愚直に努力を積み重ねてきたからでしょうね。2週間に1回の定例会、細かなデータ分析、データに基づいた改善施策の立案とアクションを、この3年間、1回も休まずに続けてきました。あわせて、社内の各部署や支店に対して、地道にデジタルマーケティングに対する啓発活動を行ってきたことも奏功しているように思います。説明会や対話会を行ったり、社内向けのメディアに情報を掲載したりしながら、「私たちがやろうとしていること」に対して理解を深めてもらうような活動をしてきました。
プロジェクト開始当初に行なった環境整備、高速PDCAを回しつつ運用してきたさまざまなデジタルマーケティング施策、そして社内に対する啓発活動、これらが噛み合って、大きな成果につながっているのだと思います。
今後は、インサイド・アウトサイドセールスなどさまざまなデータを組み合わせて、より精度の高い分析と運用をしていきたいと考えています。引き続き、NTTコムオンラインさんと、結果にこだわり挑戦を続けていく構えです。
西日本、甲信地方を除く中日本地域に向けてインフラサービスを提供する大手通信事業者。BtoCサービスのほか、BtoBサービスも幅広く展開。電話、インターネットなどに関するソリューションや機器を販売提供している。
※ 記事の内容は2022/10/25時点のものです。