2020/11/27

給与明細の電子化

給与明細電子化のメリットと導入のポイント

紙媒体からデータへの移行、すなわちペーパーレス化の流れは、さまざまな業界で急速に進められています。それは、これまで手渡しが主流であった給与明細においても例外ではありません。給与明細の電子化にはメリットがある一方、法律的な問題やセキュリティ面など、導入に際しては解決すべき課題も多くあります。そこで今回は、給与明細の電子化に関して、そのメリットやデメリット、導入のポイントなどを紹介します。

ペーパーレスで業務改善!給与明細の電子化とは

給与明細は会社に勤務する従業員にとって非常に重要な書類です。そこには、月々の給与額はもちろん、社会保険料や労働保険、さらには住所や家族構成といったさまざまな個人情報や重要事項が記載されています。従来、給与明細は紙の書類に記載され、各従業員に手渡しで交付されるというのが主流でした。

もちろん、給与明細という重要な個人情報の扱いは、紙媒体のほうが情報漏洩の危険性も少なく、確実に交付できるという側面はあるかもしれません。しかし、紙媒体で給与明細を発行する作業は、データを印刷したり、書類を封入したりする手間がかかるうえ、紙そのものの代金や印刷費用といった経費も多く発生します。

加えて、紙の給与明細は従業員が紛失する可能性もあり、書類の管理にもかなりの手間とコストがかかります。こうした紙媒体の給与明細に伴うさまざまなデメリットを解決する手段として、各業界で急速に進められているのが給与明細の電子化、すなわちWeb給与明細の導入です。Web給与明細とは、電子メールなどを使って交付された給与明細のことをいいます。

また、クラウド方式で従業員が閲覧する形式や、MOやCD-ROMといった磁気媒体に保存して交付する方式も、Web給与明細のひとつです。こうした給与明細の電子化は、業務の効率化やコストカットができるという点で、企業と従業員双方にメリットのある取り組みです。また、Web給与明細はペーパーレスの一種であり、大切な資源である紙の消費を削減する環境対策でもあります。

このように、コストカットや環境への配慮など、給与明細の電子化はこれからの企業活動において重要な意味を持つ取り組みです。ただ、システムの導入には手間や初期コストなどもかかるため、しっかりした準備が欠かせません。特に気を付けたいのが、法律的な問題です。そもそも、給与明細の電子化は法律的に問題ないのでしょうか。

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電子化自体に法律的な問題はない

そもそも、給与明細の交付方法に法律的な縛りはありません。そのため、必ずしも紙媒体で給与明細を発行する必要はなく、どのような形式で交付・発行しても良いということになっています。ただし、給与明細の電子化に関しては、それまで特定の法律が存在しなかったため、2006年度に法改正が行われ、給与明細の電子化に関する指針が示されました。その指針として、上記に挙げた電子メールやクラウド方式などの「電磁的方法」による給与明細交付の方式が示されたのです。つまり、この法改正によって、給与明細の電子化は法律的にも問題ないということが公式に確認されたということです。

ただ、交付方法には問題がなくても、電子化に際しては従業員の同意が必要である点には注意しなければなりません。所得税法では、給与明細を電子化する場合、従業員の同意が必要だと定めています。そのため、従業員の同意が得られない場合、拒否した従業員に対しては紙媒体で給与明細を交付しなければなりません。このように、従業員の意向を無視した給与明細の電子化は法律で認められていないため、システムの導入に際しては従業員の理解を取り付けることが先決となります。

給与明細の電子化には従業員にも管理者にも利点がある

給与明細の電子化には、従業員はもちろんのこと、給与明細の管理担当にもたくさんのメリットがあります。たとえば、従業員側でいえば、明細の管理が格段にやりやすくなりますし、管理担当側であれば、電子化を導入することで無駄な業務を削減でき、業務全体を広く効率化することができます。もちろん、給与明細の電子化メリットはこれだけではありません。それでは、どのようなメリットがあるのか、従業員側と管理担当側とで分けて考えてみましょう。

従業員側のメリット

従業員側のメリットには、主にデータ管理の簡便化、紛失のリスク削減、そして明細確認の利便性向上という3つのメリットがあります。それぞれのメリットについて詳しく見ていきます。

データ管理の簡便化

紙媒体の給与明細の場合、明細書の管理は従業員本人が行わなければなりません。給与明細は1枚ならかさばることもありませんが、何枚もの明細書を管理するとなるとかなりの物理的なスペースを必要とします。過去の古い明細書を参照したいという場合も、数多い明細書の中から該当の書類を探すのは簡単ではなく、見つけるだけでも相当な時間がかかってしまうでしょう。

一方、明細書を電子化して、データで管理できるようになれば、そうした手間を大幅に削減できるようになります。まず、明細書を管理する物理的なスペースは必要ありません。データとして保管しておくので、書類でかさばることなく簡単に管理できるのです。また、過去の明細書を参照したいときも、電子化してあれば照会することですぐに該当の明細を見つけることができます。このように、明細管理を簡便化できるのは、電子化の大きなメリットのひとつです。

紛失リスクの削減

紙媒体での給与明細の管理には、誤って書類を紛失してしまうというリスクがあります。給与明細は給与額だけではなく、氏名や住所、扶養家族に関する情報など、自分だけではなく家族の個人情報が記載された重要書類です。そのため、万が一給与明細を紛失してしまったら、個人だけではなく家族の情報も流出することになるため、犯罪被害にもつながりかねない非常に危険な事態となります。

その点、電子化して管理していれば、情報を紛失することはほとんど考えられません。個人の給与明細には必ずパスワードが設定され、第三者が勝手に閲覧できないようになっています。つまり、明細書の電子化は書類の紛失リスクがほとんどなく、個人情報保護の観点から見ても大きなメリットのある対策なのです。

明細確認の利便性が向上する

電子化された給与明細は、ネットワークを通じていつどこにいても確認することができます。たとえば、国内の出張先や海外の出先であっても、モバイル端末や自分のPCなどから明細メールを開いたり、システムにログインしたりすればいつでも閲覧することが可能です。このように、給与明細を電子化すれば、紙媒体に比べて、明細確認の利便性も大幅に向上します。

管理担当側のメリット

給与明細を電子化すれば、明細管理の負担が軽減されるので、管理担当者にとっても大きなメリットがあります。特にコストの削減と業務の効率化は、明細の管理や業務を運営する側にとって見逃せない恩恵です。以下、この2つのメリットについて詳しく見ていきましょう。

コストカットができる

給与明細の電子化は、さまざまなコストカットにつながります。まず、紙や印刷費用の削減です。明細書の電子化はペーパーレスの一環ですから、システムを導入すれば、紙の代金や紙を印刷する費用は必要なくなります。加えて、企業によっては給与明細を配達で各従業員に交付しているという場合もあります。その場合、明細書の交付には、用紙代や印刷代のほか、配達費用までかかることになるでしょう。

もちろん、用紙や印刷にかかる費用は、月単位で見ればそれほど大きな金額ではないかもしれません。しかし、年換算では、単なる用紙代が実は大きな費用となって経費を圧迫することもあります。また、配達の場合は、配送スタッフなどの人件費も計上しなければなりません。このように、用紙関連の費用と配送費用を合わせると、紙媒体での給与明細のやり取りには莫大な経費が発生していることがわかるはずです。

給与明細をペーパーレス化すれば、用紙関連の費用を削減できると同時に、配達に関する費用も大幅にカットすることができます。つまり、給与明細の電子化は、コストカットの波及効果が用紙や人件費までさまざまな分野に及び、その分だけ大きなコストカットが実現できる対策なのです。

業務効率化にもつながる

給与明細は重大な個人情報であるだけに、その作成や管理、交付のための業務はかなりデリケートな作業といえます。たとえば、明細書の作成は、個人情報の漏洩や流出を防ぐため、なるべく従業員の目に触れない場所や時間帯で作業するなど、細心の注意を払わなければなりません。その結果、管理担当者は場所の確保や時間帯の調整など、余計な業務に煩わされることが多々あります。また、上司から部下に手渡ししている会社もまだあります。従業員一人一人に手渡ししていれば、その分時間も手間も余分にかかってしまうでしょう。このような神経をすり減らす余計な作業も、Web給与明細を導入してしまえばする必要はありません。

明細書を電子化してしまえば、すべての作業をPC内で完了することができます。もちろん、従業員の目を気にして作業する必要もなく、場所の確保や時間帯の調整といった余計な業務は削減されます。また、配布先を誤ってしまうといった人的ミスもWeb給与明細なら起こり得ません。印刷の手間や配送のための諸作業もWeb給与明細にはないので、明細書の電子化を導入すれば、業務を大幅に効率化できるのです。

注意点も!Web給与明細を導入するポイント

Web給与明細にはさまざまなメリットがある一方、従業員の同意がなければ運用できないなど、デメリットや注意点もいくつかあります。セキュリティ体制を万全にしておかなければ、データの改ざんや情報漏洩といった危険性もはらむだけに、システムの導入にはしっかりした準備が不可欠です。まずは、明細書の電子化にどのようなデメリットがあるのか確認し、そのうえで注意するべきポイントをきちんと理解してから導入を進めたいところです。

Web給与明細のデメリット

それまで紙媒体での発行が基本だった企業が、Webによる給与明細システムを導入すれば、今までとはまったく異なる業務フローや社内システムが形成されることになります。従業員の中には、そうした変革を拒む人もいないわけではありません。また、新しいシステムの導入には、時間も手間もかかります。新システムの構築には、それに対応した人材の育成や発掘も必要となるでしょう。Web給与明細を導入するなら、こうしたデメリットをひとつひとつ解決していかなければなりません。

従業員の同意が必要

給与明細の交付は企業に課せられている義務のひとつです。しかし、給与明細を受け取るのは従業員であり、従業員の意に沿わない給与明細の交付方法は法律的に認められません。もし、社内全体で給与明細のペーパーレス化が進んでいても、一人の従業員が電子化された給与明細の受け取りを拒否した場合、その従業員に対しては別個に紙媒体での給与明細の交付をしなければなりません。そうなれば、データと紙媒体が混在した状態で明細を管理しなければならず、明細の管理担当者にとってはかえって業務が増えてしまうこともあります。

セキュリティ面の懸念

Web給与明細の利点は、いつどこからでもWebにアクセスして、自分の給与明細を確認できる点にあります。しかし、社内デバイス以外からでもアクセスして明細を閲覧できる仕組みは、一方で情報漏洩のリスクもはらみます。社員の個人デバイスがコンピュータウイルスに感染しており、そのデバイスで会社のデータにアクセスした結果、社内のさまざまなデータが盗まれてしまうという恐れもないとはいえません。Web給与明細システムの導入には、会社側でセキュリティ対策を徹底しておくだけでは不足があります。従業員ひとりひとりのセキュリティ意識を高め、モバイルツールなどから情報漏洩しない仕組み作りが必須となるのです。

電子化をスムーズに導入するためのポイント

Web給与明細システムをスムーズに導入するためには、まず従業員の同意やセキュリティ対策といった電子化に関するデメリットをひとつひとつ解決していくことが大切です。まず、給与明細の電子化を始めるにあたっては、従業員の同意が前提となります。なるべく全員から同意を得られるよう、Web給与明細の利点やメリットをしっかり説明して同意を得ましょう。もし、同意を得られない従業員がいた場合は、その従業員だけ手渡しにするなど、臨機応変に対応していく必要があります。

従業員の同意を確認できたら、自社にとって最適な給与明細電子化ツールを選びます。給与明細電子化ツールは、自動で明細書を各従業員にメール送付できたり、従来のフォーマットに合わせた給与明細の作成ができたりなど、給与明細の電子化が簡単に導入できるツールです。もちろん、電子化ツールを選ぶ際は、セキュリティ面が充実したシステムを選ぶことも大切です。セキュリティ対策が万全の電子化ツールなら、自社でセキュリティシステムを構築しなくても、十分な環境のもとでWeb給与明細を利用できます。

電子化ツールで社内のセキュリティ対策を万全にしておくとともに、従業員ひとりひとりのセキュリティ意識を高めておくことも欠かせません。電子化にあたって従業員自身が気を付けるべき点など、事前に社内全体で情報を共有しておきましょう。実際に運用が始まってから社内教育しても遅いので、従業員の同意を取り付ける際などに、セキュリティ面の意識改革もしっかり進めておくことがポイントです。

ペーパーレス化は時代の流れ!円滑な導入のための準備をしよう

ネットワークを通じた情報のやり取りは、これからの時代に欠かせない情報プロセスです。給与明細のペーパーレス化も、そうした時代の流れといえるでしょう。もちろん、明細書の電子化には、セキュリティ関連のデメリットもあります。ただ、作成や管理のしやすさなど、見逃せないメリットが多いことも事実です。まだ導入が進んでいないのであれば、問題点をしっかり把握して、円滑なシステム導入ができるように準備を進めましょう。

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