2024/09/24
帳票、書類の電子化
健康診断結果をペーパーレス化する7つのメリット!具体的な方法やポイントを解説
労働安全衛生法により企業は、常時使用する労働者に対して、一年に一回、健康診断を実施しなければなりません。従業員の健康を守るためにも健康診断は重要ですが、健康診断結果の書類を管理するにはコストがかかります。そこで考えたいのが健康診断結果のペーパーレス化です。この記事では、健康診断結果をペーパーレス化するメリットや方法を事例とともに紹介します。
- 2020年に健康診断個人票などへの捺印の必要がなくなり、ペーパーレス化へのハードルが下がった。
- 健康診断個人票をペーパーレス化することでコストや手間が削減できる。
- データ化することで従業員の健康管理もしやすくなる。
- ペーパーレス化のためにシステムを導入する際には、個人情報保護のためにセキュリティを万全にする必要がある。
健康診断結果はペーパーレス化できる?
産業医の捺印が不要になり電子化が容易に
健康診断の実施後には、従業員の健診結果を記載する「健康診断個人票」を作成する必要があります。また、50人以上の労働者を常時使用している事業者の場合は、労働基準監督署に提出する「定期健康診断結果報告書」を作成しなければなりません。
以前、健康診断個人票には医師や歯科医師の捺印が、定期健康診断結果報告書には産業医の捺印が義務付けられていました。そのため、データでまとめてもプリントアウトして捺印しなければならず、ペーパーレス化の障壁となっていました。
しかし、2020年8月に健康診断個人票や定期健康診断結果報告書に関して、医師や歯科医師、産業医の捺印が不要となったのです。
ちなみに、健康診断後に必要に応じて産業医が従業員に対して行う面接も、2020年11月からはオンラインで行うことが認められるようになり、従業員の健康管理を取り巻く環境は大きく変わってきました。
健康診断結果や健診データの電子化についてはこちらでも解説しています。
健康診断結果・健診データを電子化する理由やメリット、注意点や電子化の方法
健康診断結果をペーパーレス化する7つのメリット
健康診断結果のペーパーレス化がもたらすメリットについて7つ紹介します。
1|さまざまなコストを削減できる
ペーパーレス化をすると以下のようなコストの削減ができます。
- 紙にプリントアウトするための紙代、トナー代などの印刷費
- 保管をするためのファイル代
- 保管スペース、保管のための棚
- ファイリングなどにかけていた人件費
ペーパーレス化することで、上記のようなコストを大幅にカットできるようになります。
2|業務効率が向上する
健康診断結果のペーパーレス化は、業務効率の向上をもたらします。たとえば、以下のような業務効率の改善が見込まれるでしょう。
- 手作業で行っていた紙の健康診断書の整理、管理が必要なくなる
- 従業員に配布するためにプリントアウトする必要がなくなる
- 過去の診断結果の検索が容易になる
- 従業員の健康状態を把握するのに、何枚もの紙を持ち寄る必要がなくなる
- 情報が一元化され産業医との情報共有が容易になる
紙ベースで行っていた作業の煩雑さがなくなり、人事担当者はコア業務に集中できます。
3|データ化により健康状態の分析ができる
データ化すると、従業員の健康に関する経年変化が一目瞭然です。毎年の健康診断結果を比べることで、健康状態の変化に容易に気付くことが可能となり、パーソナライズされた予防や健康維持のアドバイスが行えます。
また、個人の経年変化の分析だけではなく、従業員全体や性別、年代別、部署別などカテゴリーごとの分析も可能です。部署、業務ごとの健康に関するデータを分析することで業務負担などが分かり、健康経営に役立ちます。
4|検索性が向上し有所見者の把握がしやすい
健康診断の結果で異常が出た有所見者に対して、会社は産業医や医師などの意見を聞き、業務上の配慮などの適切な対応が求められます。
健康診断結果のデータ化がされていると、基準値を超えた有所見者を素早く確認できます。紙ベースで全ての従業員から有所見者の情報を探し出すのに比べると、大幅に時間短縮が可能です。
データ化することによって、有所見者に迅速な対応ができ、健康状態の悪化を抑制できる可能性が高まるでしょう。
5|テレワークを推進できる
従来は紙の書類を扱わなくてはならないため、総務・人事担当者に関してはテレワークの実現が遅れていました。
しかし、コロナ禍や働き方改革をきっかけに、総務・人事担当者も多様な働き方が求められるようになり、帳票を含むさまざまな書類のペーパーレスが推進されるようになりました。電子化をすれば、どこにいてもデータにアクセスして作業することが可能です。
健康診断に関する書類もペーパーレス化すれば、自宅でも作業ができるようになります。
テレワークのメリットや現状について知りたい方はこちらをご覧ください。
テレワークは今後も続く!電子化が意味する可能性とは?
6|産業医面接・意見聴取がスムーズに行える
産業医による面接や意見聴取のための準備にかかる手間を削減できます。
従来、産業医面接や意見聴取のために、人事担当者は健康診断結果が記された書類を揃えなければなりませんでした。
ところが、診断結果をデータ化し、システムへのアクセス権を産業医にも付与すれば、総務・人事担当者があらためて書類を整える必要がありません。
7|セキュリティ性が向上する
紙ベースで健康診断結果を管理するのに比べると、電子化したほうが情報漏えいや紛失などのセキュリティリスクが下がる傾向にあります。
健康診断書には個人情報が書かれていますが、紙ベースの場合、普段は厳重に管理していても、移動をさせる際などに抜き取られたり紛失したりする可能性がありました。電子化した場合にも不正アクセスのリスクはありますが、アクセス権限の設定をはじめ、各種セキュリティ機能により、安全に管理しやすくなるでしょう。
健康診断結果をペーパーレス化する方法
では実際に、どのようにすれば健康診断結果をペーパーレス化できるのでしょうか。4つの方法を解説します。
健康診断の代行会社に依頼する
健康診断に関する一連の業務を代行会社にアウトソーシングし、結果をデータで受け取る方法があります。労働基準監督署への定期健康診断結果報告は自社で行わなければなりませんが、健康診断自体は外注が可能です。
代行サービスには以下のような作業について依頼できます。
- 検診機関への予約、日程調整
- 受診や結果のデータ納品の管理
- 健診結果の電子化
- 複数の検診機関からのデータの一元化
- 医療機関からの検診費用請求に関する管理
- 労働基準監督署に提出する定期健康診断結果報告書のサポート
ただし、以上の全てを代行してくれるサービスもあれば、一部に特化している業者もあります。自社のニーズにマッチした代行会社を選定することが重要です。
代行サービスを活用することで、健康診断にかかる総務・人事担当者の業務負担が軽減され、他のコア業務に使う時間を大幅に増やすことができるでしょう。
電子化に対応しているクリニックに依頼する
代行サービスを依頼するほどの量でなければ、電子化に対応しているクリニックに検診を依頼し、自社でデータを管理するのも良いでしょう。
現在、厚生労働省でも医療DXを推進しているため、電子化に対応しているクリニックは増えています。とはいえ、クリニックによって電子化への対応が異なるので、事前によく確認してください。
健康診断システムを導入しているクリニックであれば、データ形式で結果を受け取れます。データで受け取ることで、Excelでの加工や自社システムへの取り込みの工数削減が可能です。
紙の健康診断結果を手作業で入力する(Excel・PDF保存など)
クリニックがまだ電子化に対応していない場合には、紙で健康診断書を受け取り、手作業で入力する方法もあります。
システムを導入せずとも、既に業務で使っているExcelに入力したり、紙で受け取った健康診断結果をPDF化することは可能です。使い慣れたアプリを使用するため、無理なくペーパーレス化に取り組め、あらためてシステムを導入するための費用も必要ありません。
ただし、効率化は限定的です。Excelなどに手作業で入力するのは労力を必要とし、むしろ業務の負担は大きくなるかもしれません。
ペーパーレス化できるアプリ・サービスを利用する
近年では、手軽に健康診断結果の電子化ができるアプリ・サービスがあります。機能はさまざまですが、例えば以下のようなアプリ・サービスがあります。
- スマートフォンで簡単に電子化できる、健康診断結果を写真撮影してデータ化するアプリ。
- 健康診断結果の画像を読み取りデータ化するクラウドサービス
- データ化や、健康診断結果を基にした分析機能を備えたクラウドサービス
無料トライアルができるアプリ・サービスもあるので、一度試してみてはいかがでしょうか。
健康診断結果のペーパーレス化を進める際のポイント
ペーパーレス化を進めるには、いくつかのチェックすべきポイントがあります。ポイントを把握したうえでより効果的なペーパーレス化を実現してください。
外部サービスを利用する際は費用対効果を確認する
健康診断にまつわる工数の削減や業務効率化をするのにもっとも効果的なのが外部に委託する方法です。上述のようにクリニックとの時間調整をしてくれる場合もあり、総務・人事担当者の負担が大きく軽減されます。
依頼する際には費用対効果の確認がポイントです。「自社に適したサービスであるのか」「それがコストに見合うものなのか」について確認しておかないと、効率化がさほど実現せずコストだけが増加するケースがあります。外部サービス導入により削減されるであろうコストをシミュレーションしたうえで、代行業者複数社のサービス内容と料金を比べるのをおすすめします。
セキュリティの強固な事業者に依頼する
健康診断結果は従業員の大切な個人情報なので、セキュリティの強固な代行業者に依頼する必要があります。
厚生労働省の「健康診断結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針」においても「健康情報の保護に留意し、その適正な取扱いを確保する必要がある。」としています。
- 健康診断における個人情報保護に関するガイドラインを熟知しているか
- 情報漏えいへの対策ができているのか
- プライバシーマークを取得しているか
以上の点などを確認し、信頼できる代行業者に依頼しましょう。
クリニックによる判定基準の違いを統一する
従業員が自分でクリニックに予約して健康診断を受ける場合、クリニックによって判定基準が異なることがあります。
診断結果は「異常なし」「軽度異常」「要再検査・生活改善」「要精密検査・治療」「治療中」などと振り分けられますが、検診機関やクリニックによって基準に差異があり、同じような数値であっても、結果が異なることがあります。
判定基準が異なると従業員の混乱を招くことにもなるため、統一させることが必要です。
- 社内で一定の基準を設けておき、検診機関とすり合わせるようにする
- 会社でクリニックを指定する
- 健診結果をアプリやクラウドシステムを使って、基準値を統一させる
以上のような方法で対策するのをおすすめします。
フォーマットやファイル形式を統一する
複数のクリニックを利用する場合、フォーマットやファイル形式にバラつきが出る問題もあります。データのフォーマットやファイル形式にバラつきがあると、データの整形に手間がかかるため、ペーパーレスの恩恵を十分に享受できません。
フォーマットやファイル形式が統一できるクリニックや外部サービスを利用することを検討しましょう。
従業員からペーパーレス化への理解を得ておく
ペーパーレス化を実施するには、従業員に十分な周知を行い、理解を得ておくことが重要です。
新しいシステムへの移行は、従業員にストレスを感じさせることがあります。慣れない作業フローに、総務・人事担当者が負担を感じることもあるでしょう。
受診する従業員にとっても、自分の健康診断結果をデータでやり取りすることにセキュリティ面で不安を感じるかもしれません。
事前に「どのようにセキュリティ対策を行っているか」「ペーパーレス化はどのように健康管理に役立つか」「総務・人事担当者にとってはどのような業務上のメリットがあるのか」について説明し、理解を得ておくことが重要です。
企業にペーパーレスがもたらす効果についてより知りたい方はこちらをご覧ください。
ペーパーレスが進まないのはなぜ?電子化の失敗例や改善方法を解説
健康診断結果以外の書類もペーパーレス化するべき理由
ペーパーレス化は健康診断結果以外でも、コスト削減や業務効率化、セキュリティや検索性の向上、データ活用の推進などの面でメリットがあります。
まだ、会社がペーパーレス化に対応していない場合、健康診断結果でスモールスタートをして、帳票類や各書類へと広げていってはいかがでしょうか。より多くの書類をペーパーレス化することで、コスト削減などの恩恵も大きくなるでしょう。
納品書や請求書、領収書、給与明細などの帳票類を電子化する際には、各種セキュリティやインボイス、電子帳簿保存法などに対応した電子帳票システムを導入するのをおすすめします。
電子帳票について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
電子帳票システムの機能やメリット・注意点を徹底解説
健康診断結果の次は?
帳票類のペーパーレス化をサポートする「ナビエクスプレス」
健康診断結果のペーパーレス化が実現したら、ほかの帳票類についても電子化をお考え下さい。
帳票類の電子化には「ナビエクスプレス」がおすすめです。請求書や給与明細など経理・事務作業における帳票類の電子化をサポートします。
電子化により印刷や発送にかかるコストが削減でき、取引先に届くまでのリードタイムも短縮可能です。人的ミスも削減され、業務効率が向上します。
デザインを変えずに帳票類を作成できるのもポイントです。CSVファイルを送るだけで、PDFの帳票を作成し自動配信します。各種インターフェースを取り揃え、カスタマイズによって社内システムとの連携も可能です。
セキュリティについてはSSLによる暗号化に対応しているほか、帳票ごとにパスワードを設定することができ、セキュアな環境を実現します。作成した帳票類は、24時間いつでも指定した日時に自動配信できるため、送信忘れを防げます。
導入事例|クラレプラスチックス株式会社様
クラレプラスチックスは100年以上の歴史を持つゴム・プラスチック製品メーカーです。「ゴム・化成品事業」「フィルム・シート事業」「コンパウンド事業」という3つの事業を展開し、約300社の代理店や商社と取引しています。毎月約3,000通の納品書と請求書をすべて手作業で発行し送付していました。印刷や封入作業を含め、発行作業に毎月約160時間かかっていたそうです。
そこでナビエクスプレスを導入したところ、納品書と請求書の発行作業が月間約3時間に軽減され、大幅なコスト削減も実現しました。これまで納品書と請求書の発送に追われていた従業員も、本来のコア業務に専念できるようになったそうです。
健康診断結果のペーパーレス化には多くのメリットが!
その他書類も合わせて電子化を推進しよう
健康診断結果のペーパーレス化のメリットは、データの保存がしやすく業務効率がアップし、紙ベースと比べるとコスト削減がしやすい点があります。また、医師や産業医などとの情報共有がしやすくなるのもメリットです。健康診断結果のペーパーレス化に効果を感じた方は、帳票類などの電子化も検討してはいかがでしょうか。
NTTコム オンラインのナビエクスプレスを導入すれば、帳票業務における全プロセスを効率化できます。複数のセキュリティ機能を備えるほか、初期導入支援も行っているので、安心して利用いただけます。ぜひ「ナビエクスプレス」の導入を検討してみてください。
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