2024/09/24

請求書の電子化

請求書の電子化に伴う案内文の内容・書き方は?例文・重要ポイント・注意点を紹介

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毎月、取引先とやり取りしている請求書を電子化すれば、印刷や発送にかかる手間が減り、業務効率化や大幅なコスト削減が実現できます。しかし、請求書の電子化を取引先に納得してもらえるか不安に思う方もいるかもしれません。請求書を電子化する際の案内文は、単に電子化移行を伝えるだけでなく、具体的な理由や電子化のメリットなど、適切な情報を伝えることが大切です。

この記事では、請求書の電子化に伴う案内文に記載すべき内容や注意点、実際の例文などを解説します。自社における請求書の電子化を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

この記事の内容
  • 請求書を電子化する際の案内文では、電子化の決定を明確にするとともに、開始時期や電子化の理由、メリットなどを伝える
  • 請求書を電子化すると、業務効率化やコスト・リードタイムの削減、人的ミスの防止などのメリットがある
  • 請求書の電子化を実施する際は、問い合わせへの対応、電子押印の導入、お互いにとって使いやすいシステムの選定などに注意する
  • 請求書の電子化には、移行期間を設けるとともに、どうしても対応できない取引先に対しては、従来通り、紙での請求書発行を続けながら、段階的に電子化をお願いする。
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請求書の電子化(ペーパーレス化)に伴う取引先への案内文を作成する際のポイント

請求書の電子化(ペーパーレス化)を実施するにあたって、取引先への案内文を作成する際に注意すべきポイントは、以下の通りです。

  • 電子化を開始する時期を伝える
  • 請求書の電子化が決定したことを明確に伝える
  • 請求書を電子化する理由を伝える
  • 請求書を電子化するメリットを伝える

それぞれのポイントについて詳しく解説します。

電子化を開始する時期を伝える

請求書の電子化に関する案内文には、電子化の開始時期を明確に記載しましょう。請求書など社内文書を電子化するには、取引先でも準備が必要です。なるべく早く届けられるように、案内文は電子化が決定した時点で送付するのが望ましいでしょう。

案内文の送付から電子化の開始までには、3ヶ月程度の期間を設けると取引先も余裕をもった対応がしやすくなります。また、案内文を送付する段階で、社内における電子化への移行スケジュールも決めておくと良いでしょう。

請求書の電子化が決定したことを明確に伝える

案内文では、請求書の電子化を提案するのではなく、取引先に自社で電子化が決定したと明確に伝えるのが大切です。提案などの曖昧な書き方をすると、電子化するかどうかが相手にはっきり伝わりません。取引先に不安を感じさせたり、手間やコストを嫌がって電子化を断られてしまったりする恐れもあります。

案内文では、今後、自社の取引に関する請求書は電子化するとはっきりわかる書き方をしてください。また、取引先から問い合わせが来ることも考慮して、電子帳簿保存法の規制緩和やインボイス制度の施行などの背景を考慮のうえで決定した旨なども一緒に伝えると良いでしょう。

請求書の電子化に関する電子帳簿保存法改正やインボイス制度については、以下の記事も合わせてご覧ください。
請求書の電子化(保存)はいつ義務化される?改正電子帳簿保存法の内容を解説
インボイス制度とは?電子インボイスのメリットや従来の請求書からの変更点

請求書を電子化する理由を伝える(電子帳簿保存法・インボイス制度など)

案内分では、請求書の電子化を伝えるだけでなく、なぜ電子化を決めたのかも一緒に伝えましょう。合理的な理由が書かれていれば、取引先も電子化に納得しやすくなります。逆に、電子化を進める理由がよくわからなければ、不安感や反発などを招いてしまうかもしれません。請求書を電子化する理由として一般的なのは、電子帳簿保存法やインボイス制度などです。

案内文では、コストカットや業務効率化につながる点など、自社の動機やメリットを伝えるより、電子帳簿保存法の改正やインボイス制度の施行で電子化が求められている点などを記載した方が良いでしょう。電子化は社会の潮流であることを伝えるほうが、取引先も納得しやすくなるからです。

請求書を電子化するメリットを伝える

案内文には、請求書の電子化が取引先に与えるメリットを記載するのも大切です。請求書を電子化するメリットを伝えれば、取引先も前向きに取り組めるようになるでしょう。案内文に盛り込むべき、請求書を電子化した場合の主なメリットは、次の通りです。

請求業務を効率化できる

電子化によって社内で請求業務の効率化が可能です。電子化が実現すればデータのやり取りのみで請求書の受け渡しが完了するため、請求書の印刷や封入、郵送などの手間がかからず、開封やデータ入力、ファイリング、整理・保管などの作業も必要なくなります。請求書の電子化は自社と取引先の双方にメリットがある点を伝えましょう。

コストを削減できる

請求書に必要なコストを削減できるのも電子化するメリットの1つです。紙の請求書を使ってやり取りする際には、用紙代や印刷代、郵送費などの費用がかかります。また、印刷して送付したり、受け取った側で開封やファイリングを行ったりといった作業に対する人件費も必要です。電子化によってこれらのコストを削減できれば、従来請求業務にかかっていた費用や人手をほかで有効活用できます。

リードタイムを短縮できる

請求書の電子化は、請求業務のリードタイム短縮にも大きく貢献します。印刷した請求書の場合、郵送してもすぐに取引先には届きません。特に、郵便は2021年10月から土日に配達休止日ができたため、以前より届くまで時間を要するようになりました。請求書に修正や再発行があれば、さらに時間がかかります。電子請求書なら、決められた時間に送付され、すぐ取引先に届くため、リードタイムを大きく短縮可能です。

人的ミスの減少につながる

請求書の電子化は、手作業によるミスの防止にもつながります。従来の紙による請求書では、誤送付や請求漏れ、転記間違いなどの人的ミスがつきものでした。請求業務の間違いは、企業の信用にもかかわる重大な問題です。請求業務には慎重な作業が求められ、ダブルチェックも行われますが、ミスを根絶するのは難しいでしょう。電子化された請求書なら、誤送付や請求漏れなどの人的ミスを抑制できます。

請求書で起こりやすい人的ミスとリスクや対策については、以下の記事もご覧ください。
請求書の誤送信のリスクとは?原因や対策も徹底解説
請求漏れはどう防ぐ?リスク・原因・対策方法やお詫びメールの文例を紹介

テレワークを導入できる

請求書の電子化は、テレワークの推進にも大きく貢献します。請求書を紙で発行する場合、いくらテレワークの制度を導入しても、出社しなければ請求業務ができません。発行側では印刷や投函、受領側では開封やデータ入力などが必要です。また、過去の請求書が必要になった場合も、ファイルのなかから探さなければなりません。電子化された請求書なら、すべての作業が社外でも行えるため、請求業務のテレワーク化が可能になります。

請求業務のテレワークについて、さらに詳しく知りたい方は、以下の記事も合わせてごらんください。
テレワークの請求業務フローや実現に必要な要素とは?

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請求書の電子化(郵送廃止)を社外に伝える案内文の例

請求書の電子化および郵送廃止を社外や取引先に伝えるための案内文の書き方について、発行者側と受領者側、それぞれの告知を例文とともに解説します。

請求書の発行者が告知する際の例

請求書の発行者が取引先に電子化を告知する際の案内文の例は、以下の通りです。

文例

請求書電子化のご案内


拝啓

貴社ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。

平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。


近年の社会における電子帳簿保存法改正や生産性向上の推進を受け、この度、弊社でも、ペーパーレス化や効率化の推進を目的として、これまで郵送にて送付しておりました請求書の発行を電子請求書へと切り替えさせていただくこととなりました。

変更によりお手数をおかけしますが、どうぞご理解を賜りますようよろしくお願いいたします。


敬具


  • 開始日
    • ○年○月請求分より電子請求書での発行を予定しております。

  • 概要
    • インターネット上のサービスを利用し、請求書を確認およびダウンロードいただけます。
    • これまでの郵送と比べて、より早く確実に請求書のご案内が可能になります。
    • 郵送での受け取りやファイリング等の手間がなくなり、請求業務の効率化が図れる可能性が高まります。

本件につきまして、ご質問やご不明な点がある場合は、弊社担当者までご連絡をお願いいたします。


何卒、よろしくお願いいたします。


問い合わせ先

TEL:00-000-00

Mail:○○@○○.jp

株式会社○○ ○○部 担当○○

案内文では、電子化導入の理由を述べるとともに、開始日や電子化の方法、取引先へのメリットなどを記載しましょう。箇条書きなども利用すると見やすくなります。

請求書の受領者が告知する際の例

請求書の受領者が取引先に請求書の電子化を告知する際の案内文の例は、以下の通りです。

文例

拝啓

時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。

平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。


この度、弊社では、電子帳簿保存法の改正やインボイス制度の導入等、昨今の社会におけるペーパーレス化や生産性向上の推進といった流れの高まりを受け、請求書等の電子化を導入させていただくこととなりました。


つきましては、貴社へのお支払いについても、インターネット上のサービスを介して行わせていただきたいと考えております。

お手数をおかけして恐縮ですが、社会的な要請に応えるものとして、ご理解とご協力をいただけますようよろしくお願いいたします。


敬具


  • 開始日
    • ○年○月請求分より電子請求書システムの運用開始を予定しております。
      お手数ですが、別途お送りさせていただきます手順書にしたがって、事前にシステムへの登録をお願いいたします。

  • 概要
    • インターネット上のサービスを利用し、請求書を発行および送付していただけます。
    • これまでの郵送と比べて、より早く確実に請求書の送付が可能となります。
    • 請求書の印刷や封入、郵送等の手間がなくなり、請求業務の効率化とコスト削減を図れる可能性が高まります。

本件につきまして、ご質問やご不明な点がある場合は、弊社担当者までご連絡をお願いいたします。


何卒、よろしくお願いいたします。


問い合わせ先

TEL:00-000-00

Mail:○○@○○.jp

株式会社○○ ○○部 担当○○

開始日や概要を伝えるのはもちろん、自社が利用する電子化サービスに登録が必要な場合などは、事前に案内するのも大切です。

請求書の電子化を伝える案内文を送付する際の注意点

請求書の電子化を伝える案内文を送付する際の注意点は、主に以下の通りです。

  • 取引先の対応状況に応じて移行期間を設ける
  • 問い合わせに対応できるように準備しておく
  • 押印形式を確認する
  • 取引先が電子化に対応できない場合は紙で送付する
  • 自社・取引先どちらも使いやすいシステムを選択する

それぞれの注意点について詳しく解説します。

取引先の対応状況に応じて移行期間を設ける

請求書の電子化にあたっては、すべての取引先がすぐ対応できるとは限らないため、必要に応じた移行期間を設定しましょう。電子化を進めるには、導入するシステムに合わせて社内体制の整備が必要です。なかには、自社が希望した日程で電子化に切り替えられないケースも考えられるでしょう。

電子化を進めるうえでは、取引先の希望なども考慮しつつ、打ち合わせを行ってスケジュールを調整するのが重要です。取引先が電子帳簿保存法などへ対応する期間も考えて、案内文にはあらかじめ余裕をもたせた日付を記載する必要があります。

問い合わせに対応できるように準備しておく

請求書の電子化を案内した後は、取引先からの問い合わせを想定して対応の準備をしておく必要があります。従来は紙で請求業務を行っていた取引先にとって、電子化はさまざまな疑問や不安を伴う変化です。導入システムに関する不明点やフォーマットの変更、請求書の保管・管理方法、税務監視時の対応など、考えられる内容に対して丁寧に返答できる準備を整えておく必要があります。

問い合わせがあった場合に、誠実な対応を行えば、電子化へのスムーズな移行が可能になるのに加えて、取引先との信頼関係の醸成にもつながるでしょう。

押印形式を確認する

請求書の電子化では、電子請求書の押印形式を決めておくのも重要です。多くの企業では請求書に印鑑が押されています。押印のない請求書でも法的・機能的には問題ないものの、慣習として正式な請求書と認められないケースもあります。

請求書を電子化する場合は、デジタル文書に直接印影データを押せる電子押印を利用しましょう。押印作業の効率化やコスト削減、取り引きの迅速化など、さまざまなメリットがあるほか、押印の日時や本人確認を行える電子証明書が付いた電子印鑑なら、法的効力も認められます。

電子印鑑が使えない場合は、紙で印刷した請求書に押印し、PDFで取り込み送付する必要があり非効率です。取引先にも、電子印鑑の安全性やメリットを伝えて、できるだけ使用を承諾してもらえるように働きかけましょう。

取引先が電子化に対応できない場合は紙で送付する

すべての取引先が電子化に対応できるとは限らないため、移行できない場合には、紙での送付も行えるようにしておきます。取引先のなかには、丁寧に説明しても、さまざまな理由から電子化を断れられてしまうケースもあるでしょう。強引に電子化へ移行させようとすれば、今後の取り引きに悪影響をおよぼす恐れもあります。

どうしても無理な場合は、従来通りに紙で請求書をやり取りしながら、段階的に電子化できないか時間をかけて承諾を得られるよう話し合いを進めると良いでしょう。

請求書の電子化を拒否された場合の対応については、以下の記事も合わせてご覧ください。
請求書の電子化を拒否された時の対処法とは?取引先が拒否する理由も解説

自社・取引先どちらも使いやすいシステムを選択する

請求書を電子化する際には、請求書や納品書などの帳票類を電子化できる電子帳票システムの導入が必要になります。請求書の電子化を進める際には、自社と取引先のどちらにも使いやすいシステムを選定するのが大切です。

例えば、以下のような機能を備えたシステムなら、請求業務の利便性が高まります。

  • 取引先ごとに異なるフォーマットで送付できる
  • 会計ソフトと連携して請求情報を一元管理できる
  • 電子帳簿保存法に対応している

自社と取引先の負担が少なく、電子化の恩恵を多く享受できるシステムを選定するのが望ましいでしょう。クラウド型のシステムは、導入が容易かつ低コストで利用できるため、取引先の同意も得やすくおすすめです。

電子帳票システムの主な機能や導入時の注意点などは、以下の記事も合わせてご覧ください。
電子帳票システムの機能やメリット・注意点を徹底解説

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穀物等の食品素材を製造販売している昭和産業株式会社様では、インボイス制度に向けた請求業務見直しの一環として「ナビエクスプレス」を導入しています。従来は、帳票類を全て毎月郵送していたため、印刷・封入・発送作業の手間がかかり、リモートワークへの対応も難しい状態でした。

導入後は、請求書や支払明細書、出荷報告書など、17種類の帳票類を電子化。取引先の8割で電子化に同意してもらえ、請求書等の発送にかかる手間とコストを大幅な削減を実現しました。

請求書の電子化に伴う案内文は取引先に配慮した内容にしよう

毎月の請求書を電子化すると、印刷や発送・管理にかかる手間やコスト、人的ミスの削減など、さまざまなメリットがあります。しかし、従来のやり方を変えるのは難しいと考える取引先もいるため、移行の際にはしっかりした準備が必要です。

請求書電子化の案内文には、開始日や電子化の方法、取引先へのメリットなどをきちんと記載しましょう。また、双方にとって使いやすい電子化システムを導入するのも大切になります。

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