2023/06/29
帳票、書類の電子化
電子化した契約書・領収書に収入印紙がいらない理由とは?電子化の方法も解説
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契約書・領収書を発行する際、紙ではなくPDFなどのデータを用いる電子化を行うと、印紙税がかからず、収入印紙がいらなくなるため経費削減につながります。2024年1月以降は、電子帳簿保存法に基づく電子データの保存が必要になってくるため、今のうちから書類や帳票類の電子化を進めていきましょう。
本記事では、電子化によって収入印紙が不要になる理由や電子化の注意点、電子契約システムの導入方法、電子化のさまざまなメリットなど、書類・帳票類の電子化について解説します。
契約書・領収書を電子化すれば収入印紙は必要ない
契約書・領収書の電子化とは、業務に関する書類を紙ではなく、PDFやシステムなどの電子データを利用した文書で発行する方法です。
たとえ電子データであっても、電子署名やタイムスタンプが付与された契約書には、紙の契約書と同様の法的証拠力が認められます。契約書や領収書には本来、印紙税が課されますが、データにした場合は収入印紙を貼る必要がなくなるのが電子化のメリットです。
ではなぜ、同じ契約書でも電子データなら印紙税がかからないのでしょうか。次項より、その理由を解説していきます。
また、収入印紙に関する詳細は以下の記事をご覧ください。
電子化で収入印紙がいらない理由
契約書や領収書を電子化すれば、これまで必要とされていた収入印紙がいらなくなり、印紙税が課されなくなるのはなぜなのでしょうか。電子化により収入印紙が不要になる理由を法的根拠や事例をもとに解説します。
電子化すれば課税文書の「作成」に該当しない
契約書や領収書に収入印紙の貼り付けが必要とする根拠になっているのが「印紙税法」です。「印紙税法第3条」では、課税文書を「作成」した人に印紙税を納める義務が生じるとされています。
そして、具体的な「作成」の内容について述べているのが国税庁の「印紙税基本通達」です。「印紙税基本通達第44条」に書かれている「作成」の意義の中には、「相手に交付する目的で作成される課税文書を交付したとき」とあり、電子データを「送信」する行為は「交付したとき」に当たりません。
そのため、電子化された契約書・領収書の発行には、印紙税がかからないとされているのです。
参考:印紙税法
参考:国税庁「印紙税基本通達」
コミットメントライン契約に関する判断事例
電子化と印紙税の関係について、金融機関などが行うコミットメントライン契約に基づいて、もう少し詳しく解説します。
コミットメントライン契約とは、銀行などと設定した一定期間・融資枠の範囲内で何度でも資金の借入や返済が行える融資契約です。
国税庁のホームページによると、コミットメント契約においてFAXや電子メールで契約書を送信する場合、実際に文書が交付されないため課税物件が存在せず、印紙税の課税原因が発生しないとはっきり書かれています。国税庁の見解でも、電子化された契約書に印紙税はかからないと認めているのです。
契約書を受け取った貸付人がプリントアウトした場合も、コピーした文書と同じ扱いのため、課税文書にはなりません。ただし、送信後に改めて契約書の現物を発行した場合は、交付となるため課税文書として扱われます。
(参考:国税庁「コミットメントライン契約に関して作成する文書に対する印紙税の取扱い」)
印紙税法の専門書でも不課税と明記されている
これまで電子契約が不課税文書であると明記された文献はなかったのですが、最近では、電子契約の普及を受けて印紙税法の専門書にも不課税と書かれるようになりました。2021年7月に発刊された印紙税法基本通達の解釈を解説する「令和3年7月改訂 印紙税実用便覧」で、電子契約は不課税文書であると記されています。
「印紙税実用便覧」は印紙税基本通達に関する公式文書といってもよい政府刊行物です。文献中には、「電磁的記録で作成・記録された文書は課税の対象にならない」「書面としての文書の作成がない限り、印紙税の課税対象にあたらない」といった旨の記述があります。
収入印紙が不要になる電子化の注意点
契約書や領収書を電子化する際には、電子化できない契約書やデータの保存方法など、いくつか注意点が存在します。収入印紙が不要になる契約書電子化の注意点について解説します。
電子化できない契約書もある
契約書の電子化で注意すべき点として電子化できない契約書の存在があげられます。
電子化できない契約書の一覧は次の通りです。
任意後見契約書 |
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---|---|
事業用定期借地権設定のための契約書 |
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農地の賃貸契約書 |
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公正証書として作成する契約書 |
|
電子帳簿保存法に基づいて保存する
電子取引で電子化された契約書などを保存する場合は、電子帳簿保存法の要件に基づいて保存しなければなりません。2022年1月以降、電子取引で交わされた契約書・領収書・請求書・見積書などは電子データのまま保存する必要があります。
ただ、2023年12月31日までは準備期間として紙媒体での保存も一部認められており、契約書をプリントアウトして税務署に提出・提示できる状態にしていれば問題ありません。2024年1月以降は、以下のルールを守ったうえで電子データとしての保存が必要です。
電子帳簿保存法による契約書等の保存方法
- 改ざん防止措置をとる:タイムスタンプの付与や履歴が残るシステムでの送受信・保存などのほか、改ざん防止の事務処理規定を定める方法も認められる
- 日付・金額・取引先で検索できるようにする:専用システムの導入のほか、索引簿を作成する、規則的なファイル名を設定するなどの方法も可能
※売上5,000万円以下の事業者で税務調査の際、データダウンロードに対応できる場合は検索機能不要 - ディスプレイやプリンタ等を備え付ける
また、紙の文書をスキャンして電子化する場合には、真実性や可視性を確保するためスキャナ保存に必要な要件を満たさなければなりません。
スキャナ保存に関する詳細は、以下の記事をご覧ください。
原本を破棄すると過誤納還付申請ができない
過去に交付された紙の契約書などをスキャンして電子化した場合、原本を破棄してしまうと過誤納還付申請ができなくなるケースがあるため注意が必要です。
基本的に文書を電子化した後の原本は即座に破棄しても構いません。ただ、収入印紙が貼られた文書を破棄してしまうと過誤納が発覚した際、過誤納還付申請ができず、還付金を受け取れなくなるのです。
国税庁のホームページでは、スキャンして確認を行った後であれば原本を破棄しても良いものの、過誤納還付申請には原本が必要になると記されています。原本を破棄する際は、誤りなどがないか内容を再度確かめたうえで、適切な時期に破棄するのが望ましいといえるでしょう。
契約書の電子化により収入印紙を不要にする方法
契約書などの書面を電子化して収入印紙の貼り付けを不要にする方法には、文書ソフトを利用して作成したものをメールで送信する方法や電子契約システムを導入する方法などがあります。
文書ソフトを使用する方法は、導入しやすい点がメリットです。しかし、改ざん防止機能が利用できない、メールのやり取りに手間がかかる、検索性が低いなどの問題もあるため注意しましょう。
一方、電子契約システムであれば、契約書の作成から送信、保存、検索などさまざまな機能がシステムのなかで一括して利用できます。導入時にコストなどがかかるものの、クラウドを利用できるサービスであれば、導入しやすく使用のハードルも低いほか、セキュリティ面でも優れているなどがメリットです。長期的・総合的に見ると、契約書などの電子化には、電子契約システムの導入がおすすめといえるでしょう。
子契約システムを導入するための準備
電子契約システムを導入して契約書を電子化するには、いくつかの準備や注意点が存在します。ここからは、電子契約システム導入までの準備や流れについて解説します。
法務に関する業務状況を確認する
はじめに、自社の契約書などに関する業務状況の確認を行ってください。電子契約システムを導入すると、業務のやり方に一部変更が生じるため、法務担当者との協力は欠かせません。担当者が使いづらいシステムを導入すると業務効率低下にもつながります。
システムを決める際は、締結している契約の種類や現在の業務フローの確認、法務担当者へのヒアリングをしっかりと行ってください。法務部門の現状を把握すれば、自社にとって適切なシステムを選定できるようになるでしょう。
電子契約システムを選定する
現場の状況把握やヒアリングが済んだ後は、導入すべき電子契約システムを選定していきましょう。契約書などのやり取りが行える業務用システムは、無料から有料まで多くの種類があり、それぞれ機能性が異なります。
必要な機能は含まれているか、法務担当者が使いやすい仕様になっているか、予算内での導入・運用が可能かなどを基準に、最も適切なシステムを選んでください。契約書など大切な社内文書を扱うため、特にセキュリティ面の性能は必ずチェックしておく必要があります。
電子契約システムの導入と運用ルールを社内に共有する
次に、社内全員にシステムの導入と書類の電子化によって起きるワークフローの変化、運用ルールなどの情報を共有してください。運用方法やユーザーごとの利用権限などが曖昧だと、業務の停滞やトラブルを招いてしまう恐れがあります。
業務の手順をきちんと整理したうえで、実際の作業を行う担当者には、操作方法やルールの研修などを実施して詳しく説明するのが望ましいでしょう。できれば運用に問題がないか一度テストしておくのがおすすめです。
取引先に通知と説明をする
社内のシステム運用体制が固まってきたら、取引先に対しても契約書の電子化を通知・説明します。取引先によっては電子契約が難しいといわれる可能性も考えておかなければなりません。
電子化に否定的な相手には、電子契約システムの導入は双方にとってメリットがある旨を説明して、対応してもらえるように促すことが大切です。システムを提供している企業に、取引先への説明や導入をサポートしてもらえるように相談してみる手もあります。
領収書の電子化により収入印紙を不要にする方法
電子契約の導入に加え、社内で使用する収入印紙をなくして、さらなるコスト削減や業務の効率化を図るのであれば、領収書の電子化にも取り組むとよいでしょう。領収書の電子化には、PDF形式で作成する方法や紙の領収書をスキャンする方法、電子領収書用のシステムを導入する方法があります。
PDFで領収書を作成する方法は、手間がかかるうえに管理も煩雑になるのがデメリットです。また、紙をスキャンする方法も最終的にはPDFファイルを利用するため同様の欠点があります。
電子領収書発行システムや電子帳票システムなどを導入すれば、作成や送付、確認などの作業が効率化できるため、契約書の電子化と同様、専用のシステム導入を検討するとよいでしょう。
電子帳票システムの導入でその他帳票類の電子化も検討する
電子帳票システムなら、企業が取り扱う各種の帳票を電子化でき、領収書のほか、請求書や納品書、支払通知書など、さまざまな帳票類の作成・管理が可能です。その分、業務効率化やコスト削減へのインパクトも大きくなります。
自社のシステムからCSV形式などで必要なデータを抽出できるうえ、作成する帳票は、レイアウトや内容の自由度が高く、PDFからExcel、HTMLなど幅広いファイル形式での出力にも対応しています。
前述した通り、2024年1月からは、電子取引に使用した領収書や請求書、契約書、見積書などは保存要件に従って、電子データのまま保存しなければなりません。遅くとも2023年内には電子化に対応できる社内体制を整える必要があり、帳票類の電子化を検討すべき時期といえます。
電子帳簿システムの機能や導入時の注意点などをさらに詳しく知りたい方は以下の記事もご覧ください。
収入印紙が不要になる以外の電子化によるメリット
ここまで、契約書や領収書を電子化するメリットに関して、主に収入印紙が不要になり、印紙税がかからなくなる点を中心に説明してきました。しかし電子化には、他にもさまざまなメリットがあります。ここからは、収入印紙が不要になる以外の電子化のメリットを解説します。
業務効率化につながる
契約書・領収書の電子化は、社内における業務効率化にもつながります。全ての作業がパソコン上で行えるため、作成した書類をいちいち印刷しなくてもよくなり、送付もメール1つで済むので、発送の手間やわざわざ相手先を訪問して契約を結ぶ必要もありません。
また、過去の領収書を探したい場合にも、検索機能を使えば簡単に見つけられるため、時間をかけて膨大な書類をチェックする手間もなくなります。
コスト削減につながる
パソコンさえあれば必要な作業が全てできるようになるため、大きなコスト削減につながるのも社内の書類や帳票を電子化する大きなメリットです。契約書や領収書、請求書を発行・送付するための事務作業にかかる人件費や印刷のインク代、郵送費などが不要になります。
また、紙の書類と違って保管にも場所をとらないため、事務所が小規模で済む、倉庫を借りなくてもよくなるなど、管理コストも今までよりはるかに抑えられるでしょう。
リードタイムが短縮される
契約書や領収書を電子化すると、対面や郵送でのやり取りが必要なくなり、オンラインで全て完結するため、リードタイムが短縮されて業務がスピーディに行えます。
従来の紙を使った方法だと、書類を送付するためにポストや郵便局へ行ったり、相手先まで訪問して契約を締結したりといった時間のロスが生じていました。電子化により、契約の早期締結や請求書・領収書の迅速な受け渡しが可能になれば、計上ミスや納期遅れなどのリスクも減少させられます。
リモートワークに対応できる
各種書類の電子化は、リモートワークへの対応にも最適です。わざわざ会社に行って押印や内容確認などを行わずに済むため、自宅にいながら契約や請求などの大切な業務も可能になります。
リモートワークを導入すれば、多様な働き方が実現できるだけでなく、通勤などのストレス削減と業務の効率化、社員満足度の向上、幅広い人材の確保など、会社にとってもさまざまなメリットが得られるでしょう。
改ざんや紛失のリスクが減る
紙の文書よりも、改ざんや紛失のリスクを低減できるのも電子化された書類がもつメリットです。変更が容易に思える電子データですが、電子署名やタイムスタンプなどを利用すれば改ざんリスクを回避できます。
また、紙媒体と異なり、保管や閲覧の際になくしてしまう恐れもありません。バックアップも簡単に用意できるため、紙と比較して紛失の可能性も低いといえるでしょう。重要な書類を安全に長期間保管できるのも電子化のメリットといえます。
契約書・領収書などの電子化がもつメリットについてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
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収入印紙が不要になる電子化で経費削減を
契約書や領収書など、会社で必要な書類・帳票を電子化すると、印紙税がかからず、収入印紙の貼り付けが不要となるため経費削減につながります。2024年1月以降、電子取引に伴うデータは電子帳簿保存法に基づき保存しなければなりません。今後多くの企業にとって契約者や領収書などの電子化は必須になってくるでしょう。
書類の電子化には、業務効率の改善やコスト削減、リモートワークへの対応など、幅広いメリットもあるため、この機会にぜひ進めていきたいところです。そのためには、専用システムの導入が大切になってきます。
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