
2024/12/06
ソーシャルリスク対策
SNSによる企業のリスクとは?危険性・事例・対策方法を解説
自社のマーケティングや採用活動に、SNSを積極的に活用している企業が増えています。しかし一方では、投稿の炎上や情報漏えい、アカウントの乗っ取りといったリスクも高まっています。SNSは拡散力が強く、たった一度の誤用で企業の信頼を失いかねないため、運用には注意が必要です。
本記事ではSNSのリスクや対策方法に事例を交えて解説します。SNSのリスクを認識して対策を取りたい企業のご担当者は、ぜひ参考にしてください。
- SNSのリスクには、社会的信用の失墜、ブランドイメージの低下、賠償金の支払いなどがある
- アカウント乗っ取りを予防するためには、安全性の高いパスワード設定、セキュリティ対策ソフトの導入などが必要
- 投稿の炎上対策にはソーシャルリスニングが効果的。ソーシャルリスニングを自動化できるツールを活用するのがおすすめ
SNSは企業のマーケティングに有効だがリスクもある
SNSは企業のマーケティングに有効であり、実際に多くの企業がSNSを活用しています。効果的に活用できれば認知度や売上アップにつながりますが、同時にSNSには多くのリスクが潜んでいるので注意が必要です。SNSのリスクとしては以下が挙げられます。
- 社会的信用の失墜
- ブランドイメージの低下
- 賠償金の支払いなど
企業の悪い評判が拡散されると社会的信用を失い、ブランドイメージも低下します。ブランドイメージによって消費者の購買意欲も左右され、結果、多くの取引先や顧客が離れていく可能性も出てくるでしょう。売上の低下なども起こりやすく、事業の継続自体が困難になることも考えられます。
また、情報漏えいや誤った商品の使い方の発信による事故などが発生した場合には、賠償金の支払いが必要になるケースもあります。一度失った信頼の回復には時間がかかるため、企業にとっては大きなリスクとなります。
SNSによる企業のリスク①|投稿が炎上する
SNSの投稿内容によっては、炎上につながるリスクがあります。例えば、担当者が不適切な内容の投稿をした場合、本人にはそのつもりはなくとも、消費者の受け取り方によって炎上が起こることもあります。感じ方は人それぞれということを理解し、第三者意識を持ち、類似投稿による過去の炎上の有無を確認したうえで投稿することが大切です。
また、企業アカウントと個人アカウントの区別を行わないことで起こる炎上もあります。担当者が個人アカウントを持っている場合、個人アカウントと勘違いして不適切な内容を企業アカウントに投稿し炎上するケースも少なくありません。
誤爆を防ぐためには、アカウントの管理・区別をしっかりと行い、SNSへ投稿する前には複数人でチェックするなどの体制を整えておくとよいでしょう。
炎上事例
ある飲料メーカーがSNS企画を打ち出し、同社4種類の商品にそれぞれ「モデル気取り自尊心高め女子」「ロリもどき自己愛沼女子」「仕切りたがり空回り女子」「ともだち依存系女子」の4枚のイラストを描きました。すると、消費者から「女性蔑視」とする批判が相次ぎ、数日で投稿の削除、謝罪の運びとなりました。
同社の狙いは商品に親しみを持ってもらうことであり、批判が寄せられることは想定外だったようです。同社は広告施策に関する社内ガイドラインに従い、スピードを重視した対応を取りました。
【関連記事】SNSにおける企業の炎上事例9選|炎上の対処法・事前対策を紹介
炎上リスクの対策
続いて、炎上リスクの対策について解説します。
ソーシャルメディアガイドラインを策定する
炎上リスクを回避するためには、ソーシャルメディアガイドラインの策定が有効です。ソーシャルメディアガイドラインとは、企業利益やブランドイメージ、信頼性などを保ちながらSNS運用を行うための行動基準です。ソーシャルメディアガイドラインには、トラブル防止やリスク管理、リスク発生時の対応策などの役割があります。
ソーシャルメディアガイドラインの作成には、まず現状確認と目的の明確化が必要です。社内におけるSNSの利用状況を把握して潜在的なリスクの洗い出しも行い、ガイドラインの内容を具体化しましょう。
続いて、項目の洗い出しを行います。以下は、ガイドラインに含めたい項目例です。
内容 | 項目例 |
---|---|
SNS運用の基本方針 |
|
SNS投稿のルール |
|
投稿時の注意点 |
|
アカウント管理 |
|
他アカウントへの対応 |
|
炎上時の対応 |
|
また、ガイドライン作成後には社内全体で共有することが大切です。
炎上リスクの研修を行う
炎上リスクの研修を行うことで、リスクの正しい認識とSNSへの理解を深められます。以下は、SNS運用担当者向け、一般従業員向けの研修内容の一例です。
<SNS運用担当者向け>
- SNSごとの特性と起こりうるリスク
- コンプライアンス違反、著作権違反に関する内容
- ユーザーとコミュニケーションを取る時の注意点
- 炎上につながりやすい内容
- トラブル発生時の対処フロー
<一般従業員向け>
- 個人アカウントにおける炎上例や注意点
- 顧客情報や業務内容の発信禁止
- 他人を誹謗中傷するリスク
- 拡散や個人特定のリスク
炎上を防ぐためにも定期的に研修を実施し、従業員のSNSリテラシーを高めておくことが大切です。
ソーシャルリスニングを行う
炎上リスク対策の一つに、ソーシャルリスニングの実施があります。ソーシャルリスニングとは、SNSやブログ、掲示板、口コミサイトなどの情報を収集・分析するマーケティング手法のことです。ソーシャルリスニングによってユーザーの率直な意見を把握でき、炎上の火種を察知できるなどのメリットがあります。実際に、炎上対策としてソーシャルリスニングを実施している企業は多くみられます。
ソーシャルリスニングは手作業で検索することもできますが、手間がかかり精度も低いためあまりおすすめできません。ソーシャルリスニングを自動化できるツールを導入すると、効率的に投稿をチェックすることができます。
【関連記事】ソーシャルリスニングとは|意味や分析方法の解説と導入事例を紹介!
SNSによる企業のリスク②|個人情報・機密情報が漏えいする
SNSの投稿内容から個人情報や機密情報が漏えいする恐れがあります。投稿した画像に個人情報や機密情報が映り込んでいたり、認識不足でつい漏えいしてしまったりなども起こりえます。
また、従業員の家族から情報が漏えいするケースや、不満を持つ従業員が機密情報を漏えいするケースもあるので注意が必要です。投稿を保存されると完全に削除することは難しいため、取り返しがつかないリスクがあります。
さらに最悪の場合、行政処分や刑事罰が科されたり、損害賠償を請求されるケースなどの可能性も出てくるでしょう。
個人情報や機密情報が漏えいした事例
市役所の職員が自身のSNSに投稿した画像に機密情報が映り込んでいたとし、問題となりました。投稿者は市役所内で固定資産税の償却資産申告書の事務作業を行っている際に、デスク上の飲料などをスマートフォンで撮影・投稿したところ、投稿画像に企業の社名や資産取得価格の一部などが映り込んでしまいました。
この件は、情報漏えいを指摘する匿名メールが市に届いたことで発覚しています。市は情報を削除し、画像に映り込んでいた企業に謝罪しました。市は「公務員としての自覚が欠けていた」とし、情報管理を徹底するとしています。
【関連記事】SNSによる個人情報流出の事例を紹介|企業のリスクや有効な対策も解説
個人情報や機密情報の漏えいリスクの対策
企業は個人情報や機密情報の漏えいリスク対策を取る必要があります。まずは、SNSのプライバシー対策を行うことが重要です。情報をどこまで公開するか、誰と共有するか、ログイン認証の方法などを適切に設定し、ログイン時のパスワードを定期的に変更するなども有効です。
また、個人情報や情報漏えいのリスクを従業員に認識させることも大切です。例えば、情報漏えいの実際の事例を使って社内研修を開催する、定期的な情報セキュリティ教育を行うなどで、従業員に当事者意識を持ってもらうことができるでしょう。
さらに、自社情報の取り扱いに関する社内規定を策定するのもおすすめです。顧客情報はもちろん、個人の情報が特定できそうな動画や画像なども対象にルールを策定します。策定した規定は全社でしっかりと共有し、更新時も周知を徹底しましょう。
【関連記事】SNSによる企業の情報漏洩の原因とは?事例や5つの対策方法も詳しく解説
SNSによる企業のリスク③|アカウントが乗っ取られる
SNSによるリスクの一つにアカウントの乗っ取りがあります。公式アカウントが第三者に乗っ取られるとアクセスできなくなり、なりすましや詐欺行為、情報の抜き取りなどの被害に遭う可能性が高まるため注意が必要です。
乗っ取りの手口はさまざまですが、不正に取得したメールアドレスやパスワードを使ってログインするケースが多くみられます。メールアドレス・パスワードはフィッシングサイトで流出したり、入力しているところを盗み見られたりなどする危険性があるので注意しましょう。
乗っ取りの事例
2023年11月、A社のInstagram公式アカウントが乗っ取り被害に遭いました。アカウントの管理情報が無効化されたためにアクセス不可となり、アカウント自体も削除されてしまいます。本件は、Instagramからの公式連絡を装ったメールに、A社の担当者が対応したことが原因と考えられています。
同社はSNSのダイレクトメッセージを介して接触のあった方へ個別に連絡を行い、同社を名乗る連絡や操作を促すリンクなどを受信した際には、リンク先を開かずに破棄するよう呼びかけるなどの対策を取りました。また、SNS運用方針の検証や個人情報の管理などを徹底するなどの再発防止対策に努めるとしています。
乗っ取りリスクのセキュリティ対策
続いて、乗っ取りを防ぐためのセキュリティ対策について解説します。
メールやリンクを安易に開かない
乗っ取りリスクを防ぐためには、送られてきたメールやリンクを安易に開かないことが大切です。開いてしまうと偽のログインページへ誘導され、ログイン情報を抜き取るフィッシング詐欺の被害に合う恐れがあります。見慣れないメールや不審なURLは開かず、速やかに削除するようにしましょう。
なかには信頼できる送信者を装っている可能性もあるため、安全性を確認することが大切です。
安全性の高いパスワードに設定する
安全性の高いパスワードに設定することでも、アカウントの乗っ取りを予防できます。解読されやすいパスワードとして、以下のようなものが挙げられます。
- 自分や家族の名前
- 生年月日
- 文字数が少ないもの
- IDとパスワードが同じ
- 同じものの繰り返しや123など規則性のある文字列
第三者にパスワードを解読されないためには、以下のような安全性の高いパスワードを設定することが必要です。
- 数字 + 小文字 + 大文字(例:356bxokAWO)
- 大文字 + 特殊文字 + 数字(例:SKUH#%&395)
- 小文字 + 数字 + 特殊文字(例:dkyb938#%&)
また、パスワードを定期的に更新することも、不正アクセスの予防に効果的です。
多要素認証やセキュリティ対策ソフトを導入する
多要素認証を行うことで、セキュリティを強化できます。多要素認証とは、以下の異なる要素を複数組み合わせてログイン認証を行うものです。
- 知識情報:
本人だけが知っている情報を用いた認証要素(パスワードやID、秘密の質問など) - 所持情報:
本人が所有している端末を介する情報を用いた認証要素(タブレットやスマートフォンなどの端末情報、キャッシュカード情報、ワンタイムパスワード、ハードウェアトークンなど) - 生体情報:
利用者本人の身体的な情報を用いた認証要素(指紋、顔、虹彩、声紋など)
加えて、危険なメールやWebサイトをブロックできるセキュリティ対策ソフトの導入も有効です。ウイルスやマルウェアのスキャンを定期的に行うことも意識しましょう。
【関連記事】「なりすまし」被害の例や手法とは?企業に有効な対策方法を解説
SNSのリスク対策にはソーシャルリスニングツールの「Buzz Finder」
Buzz Finderは炎上対策に有効なソーシャルリスニングツールです。X(旧Twitter)公式全量の投稿をほぼリアルタイムで収集して分析・通知する機能に加え、過去の投稿や複数メディアの分析にも対応しています。素早いツイート急増検知やアラートメールの送信により炎上時の迅速な対応が可能となり、顧客やメディアからの問い合わせに対しても、事前対策を取ることができます。
また、顧客の生の声を拾い上げることができるうえ、日報メールによりツールにログインすることなく動きを把握できるのも特徴です。
導入事例|情報通信サービス業
ソーシャルリスニングツールを導入以前、情報通信サービス業様は以下のような課題・希望をお持ちでした。
- ネット炎上時のメディア対応はSNSの反応を踏まえて行いたい
- 炎上・トラブルによる入電の影響を迅速に把握したい
- 自社のサービス改善にSNSのお客様の声を活かしたい
ツールを導入後、以下のような効果を実感されています。
- 素早いリスク通知とレポートにより、迅速なプレスリリースやメディア対応が可能になった
- 全社でSNS上のお客様の声を共有でき、改善意識が高まった
- ソーシャルの反応を日報で把握することで、変化への対応力が向上した
SNSのリスクには適切な対策を講じよう
SNSの活用には、社会的信用の失墜やブランドイメージの低下などのリスクがあります。それらにより顧客離れが進むと、売上の低下や事業の継続自体が難しくなるなども起こりえるでしょう。SNSのリスクを予防するためには、ソーシャルメディアガイドラインの策定、炎上リスク研修の実施、ソーシャルリスニングの実施などが有効です。
ソーシャルリスニングを手作業で行うのには多くの時間と手間を要するため、Buzz Finderなどのソーシャルリスニングツールの活用をおすすめします。NTTコム オンラインでは、ソーシャルリスニング対処事例やレポート、投稿・トレンド分析など各種資料をご用意しています。ぜひダウンロードしてご活用ください。
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