2023/01/18

VOCマネジメント

VOCとは?マーケティングに活用する3つのメリットや事例を解説

「顧客のニーズを知り、よりよい製品やサービスを送り出したい」「製品やサービスの改善点を探り、企業の成長を目指したい」というとき、顧客の声(VOC)を集めることが重要です。現在、多くの企業で商品やサービスの開発にVOC分析が用いられています。貴重な顧客の声を効率良く集め、分析するために、VOC分析の概要やポイント、便利なツールについて解説します。

VOCとは顧客の意見や感想のこと

VOCとはVoice of customerの略で、「顧客の声」という意味です。VOCをマーケティングに生かすことによって、顧客の意思、価値観を的確にとらえた製品やサービスの開発、キャンペーン展開などができ、顧客体験の向上につながることから多くの企業が着目しています。

VOCはコンタクトセンターやSNS、顧客アンケートなどで集めることができますが、的確な収集や分析方法を選択することで、企業の業績向上や他社との差別化にもつなげられるようになります。また、ポジティブな声だけではなくネガティブな意見も集めることで、企業が抱える課題への気付きにもつなげられるでしょう。

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VOCをマーケティングに活用する3つのメリット

VOCを有効的に導入するには、まずはメリットを知る必要があります。なぜ、多くの企業でVOCを取り入れているのでしょうか。とくに重要となる3つのメリットについて紹介します。

1|顧客ニーズを捉えた施策を実行できる

多くのユーザーからさまざまな角度の情報を収集することで、トレンドや顧客ニーズを把握できるというメリットがあります。顧客ニーズを理解できていなければ、満足度の高い商品やサービスを生み出すことはできません。

現代は通信環境の進歩やSNSの普及によりVOCを収集しやすい環境が整っています。収集・分析にツールを活用すれば、効率的なVOCの収集、セグメント化や高度な分析により精度の高いマーケティング施策を実行できるため、新規顧客獲得にもつながります。

2|課題が明確になる

VOCに注目すると、自社製品やサービス、キャンペーンの展開方法の課題が見えてきます。顧客が不満を感じている点や、購入に至らない理由なども把握できるようになります。

課題を見つけるためには、ネガティブな意見も重要です。SNSでは商品やサービスを他社と比較しているような意見も散見され、そのような意見を丁寧に拾っていくと、課題が明確になっていきます。

製品やサービスだけではなく、企業そのものやブランドイメージに関する課題も見えてきます。自社についてのネガティブな声に鈍感でいると、いつの間にか不満の声が拡散され、企業イメージを損なったり炎上につながったりすることもあるので、常に課題を見つけ改善する意識を持って、VOCに敏感になっておくことは大切です。

3|顧客ロイヤルティ向上につながる

VOCを活用するとネガティブな要素をいち早く解消できるだけでなく、より満足度の高い商品・サービスを提供でき、顧客ロイヤルティの向上も期待できます。

顧客ロイヤルティとは顧客が自社の商品やサービスに対して寄せる愛着や信頼のことです。顧客ロイヤルティがアップすることで、顧客がリピーターになる可能性が高くなります。ロイヤルティの高い顧客は他社製品に移行することが少なく、商品やサービスを長期にわたって支えてくれるため、経営が安定しやすくなります。

VOCをマーケティングに活用した事例

多くの企業がVOCを商品・サービスの開発・改善に取り入れています。有効的に活用している企業の事例を紹介します。

ライオン株式会社

ライオン株式会社では顧客の全体像をつかむため、SNSを中心に「ソーシャルリスニング」でVOCを収集しています。

以前は電話やメールで顧客の声を受けるのが主流でしたが、最近はSNSで発信する人が多いことから「ソーシャルリスニング」に力を入れています。監視技術としてAIのアルゴリズムなども活用しつつ、目視でも調査を行っています。実際に調査・分析をするのは委託先のNTTコム オンラインですが、日報を確認しながら、社内で共有すべき情報などを精査し、業務に反映しているようです。グローバルに展開している企業であることから海外でのソーシャルリスニングも行っています。ソーシャルリスニングの導入により、世の中や業界全体の動向も俯瞰できるようになったと言います。

導入事例:ソーシャルリスクへのアラートだけでなく、トレンド分析や業界動向、社員の勉強会などにも情報が活かされている:ライオン株式会社 様

株式会社ジェーシービー

クレジットカード会社の「株式会社ジェーシービー」でVOCを主に行っているのがコミュニケーション企画部です。コールセンタ―に寄せられたデータを集め分析する前に、テーマに沿って仮説を立てることを重要視しています。仮説を立てることで分析の方向性が見えてくると言います。データの分析については専用のテキスト解析ツールを使用しているため、これまでコールセンターで行ってきたデータの収集や分析、仮説検証に比べ、大幅に手間を削減できたそうです。そして、クレーム対応だけではなく顧客の「あればいいな」という声にも、速やかに対応しています。

株式会社 良品計画

「無印良品」ブランドを展開する株式会社 良品計画は、顧客の声を聞くためのオンラインコミュニティ「IDEA PARK」を運営しています。以前より顧客の声を聞くための手段は持っていましたが、IDEA PARKに情報を一元化し、商品へのリクエストを手軽に投稿できるような工夫を行っています。通勤途中や家での休息時間などで気軽に投稿できるようにしたことで、意外なニーズの発掘が行えています。2015年には4,500件以上の声が集まり、約100点の商品に反映したそうです。

VOCをマーケティングに活用するための収集方法

マーケティングのためにVOCを収集するためにはいくつかの経路(チャネル)がありますが、それぞれの特性を知って活用をしなければ、効果的なデータの収集ができません。収集方法ごとの特徴を見ていきましょう。

コールセンター・電話で収集

顧客の声を集める手段として、以前より活用されてきたのがコールセンターで直接話を聞く方法です。顧客からリアルタイムでヒアリングができるため、情報量が多く本音を聞き出しやすいというメリットがあります。表面的な言葉だけではなく、話し方や声のトーンなどから顧客の感情を読み取り、潜在的なニーズを推測することもできます。

ただし、コールセンターの営業時間内でしか対応できないことや、オペレーターのスキル次第ではうまくVOCを引き出せない可能性があるところが難点です。

またコールセンタースタッフへの研修を実施したり、電話、パソコンなどの器材を大量に用意したりしなければならず、経費がかかるという面も考えなくてはいけません。

メール・問い合わせフォームで収集

コーポレートサイトやECサイトに設置されているメール・問い合わせフォームを通じて声を収集する方法には、顧客が気軽に意見を伝えやすいというメリットがあります。

テキストでまとめられるので、VOCの分類がしやすく、即座に顧客が抱える問題が把握できるのも大きな利点です。

ただし、電話とは異なり対話形式ではないため、顧客の心情を測りにくく、詳しく話を聞きたい点があっても深堀りするのは困難です。

顧客をメールや問い合わせフォームがあるページへと誘導するための施策についても考えなければなりません。質問内容を絞り込むなど、顧客が気軽に意見を書き込めるようにする工夫も必要でしょう。

インタビュー・アンケートで収集

顧客に直接話を聞くインタビューや、企業側が用意した質問に答えてもらうアンケートも、VOCの収集における重要なチャネルです。

インタビュー・アンケートには企業側から積極的にアプローチし、知りたいと思うテーマに対してダイレクトな質問を投げかけられるという利点があります。

とくにインタビューは時間を取ってしっかりと話しを聞けるため、濃度の高いVOCを収集できます。ただし、顧客1人ずつにかける時間が必要なので、多くのVOCは集められません。

アンケートは郵送、Webでのアンケートや、自動会話プログラムのチャットボットなどの方法があります。質問内容を工夫することで目的とするVOCを収集できますが、回答率は低くなりがちです。

SNSで収集

X (旧Twitter)、Instagram、LINE、FacebookなどのSNSを通じて声を拾うのは、現代では重要なVOCの収集方法です。

自社の公式アカウントに対するコメントや、商品・サービスに言及した口コミをVOCとして活用できます。

本音の情報を得やすい反面、匿名性が高いため情報の信ぴょう性は低いという面があります。また、ネット上には膨大な情報が発信されているので、効率よくVOCを収集・分析するためにソーシャルリスニングツールなどを活用すると良いでしょう。

マーケティングに活用するにはVOC分析が必要

インターネットが発達し人々が声を発する場が広がったため、VOCもビッグデータ化しています。過去のように人が精査していくことは難しいので、データ収集、分析に使うツールの活用が欠かせません。VOCの分析に使うツールには大きく分けて、音声認識ツールやテキストマイニングツール、ソーシャルリスニングツールがあります。

それぞれの特徴は以下のとおりです。

音声認識ツール テキストマイニングツール ソーシャルリスニングツール
概要・特徴 音声をコンピューターに取り込んで解析し、テキストに変換する AIが文章を解析し、膨大な文書データから、目的にあった情報を収集する SNS上で顧客が発信したデータを収集、分析する
使用が向いているシーン
  • インタビュー
  • コールセンターでの問合せ
  • アンケートの集計
  • SNSからの情報収集
  • 既にある文書データの分析
  • SNS、ブログ、掲示板での情報収集
導入のメリット
  • 膨大な音声データを短時間でテキスト化できる
  • 手作業で行うよりも文書化の正確性が高い
  • 膨大なデータから素早く必要なものを抽出できる
  • ノウハウの属人化を防ぎ、誰もが同様の情報収集ができる
  • SNS上にある顧客の生の声を収集できる
  • 他社製品と比較した声も集められる
  • 企業への批判的な声も見つけられ、炎上への対策にも役立てられる
表の続き →

目的に合ったツールを選ぶことで、VOCの分析は効率良く進むようになります。

VOCをマーケティングに活用するまでの3STEP

VOCのマーケティングでは以下のステップを踏んでいくことが大切です。

  • STEP1│目的・調査項目を設定する
  • STEP2│データを収集する
  • STEP3│データを分析・活用する

各項目について詳しく見ていきましょう。

STEP1|目的・調査項目を設定する

調査を開始する前に、まずは目的や調査項目を設定します。調査の目的としては以下のようなものが考えられます。

  • 製品の課題を見つけるため
  • 強化するポイントを見つけるため
  • 他社と差別化を図り、自社の強みを知るため

目的が定まったら、目的に合わせた調査方法や調査項目を考えていきます。製品を改善したいのであれば、顧客満足度とその理由が分かるような質問を投げかけ、他社との差別化を図りたい場合は、複数の製品を比較するような声を拾うと良いでしょう。

VOCは膨大にあるため、できるだけ目的を絞ったほうが無駄のない調査が可能です。

STEP2|データを収集する

データ収集では目的に適したチャネルを設定します。製品やサービスへの感想をより深堀りして聞きたければ電話やインタビュー形式が向いています。数多くの意見から顧客の傾向を知りたい場合にはチャット・問い合わせフォーム、アンケートなどが適しています。他社との比較や、顧客の本音を知りたい場合にはSNSを活用すると良いでしょう。

VOCのチャネルは一つに絞る必要はなく、欲しい情報に合わせ複数活用するのもおすすめです。ただし、収集したデータは分析しやすいように一元化しておくようにしましょう。

STEP3|データを分析・活用する

データを収集したら、最初に設定していた目的に沿って分析方法を選択します。分析方法には、顧客満足度分析や、シンプルなデータ集計などがありますが、効率性と客観性を求めるのであれば、専門の分析ツールを導入するのも手です。分析結果を視覚的に分かりやすく表示できるツールを導入すれば、各部署でデータの共有が容易になります。

分析結果は各部署で商品・サービスの改善や、品質の向上による他社との差別化などに役立てます。調査・分析は一度だけで終わらせるのではなく、施策の実行後は恒常的にVOCを行って効果測定を行い、さらなる改善につなげていくことが重要です。

VOCをマーケティングに取り入れる際の注意点

VOCをマーケティングに取り入れる際はいくつかのポイントがあります。VOC活用の効果を高めるために、押さえておきたい注意点を紹介します。

複数チャネルからデータを収集する

チャネルごとに集められるデータには特性があります。多種多様なVOCを漏らさずに収集するには、複数のチャネルを使いデータを収集するのが効果的です。

上述したように、SNSやアンケートは幅広いVOCを集めるのには向いていますが、深堀りをするには適していません。言葉の奥にある感情を拾うにはインタビューやコールセンターが向いています。一方、調査対象の人数に限りがあるインタビューだけではVOCを取りこぼすことになるため、SNSやアンケート、メール・問い合わせフォームで意見を集めることが必要になります。

また、調査対象によっても向いているチャネルが異なります。忙しいビジネスパーソンはインタビューには応じてもらえない場合があります。また、高齢になればSNSやメールよりも電話のほうが良いと考える人が多くなるかもしれません。

複数のチャネルを併用することで、幅広い層からのVOCを収集できます。

適切なツールを導入する

VOCの収集・分析には専用のツールを使うと効率的です。導入によってスタッフの労力と人件費の削減ができ、分析の正確性も高められます。

収集・分析のツールには、コールセンターの記録やアンケート結果を分析できるツールやソーシャルメディアの口コミを収集できるツールなどがあるので、採用するチャネルによって選択するようにしましょう。

SNSに対して使いたいのであれば、オンライン上のVOCを収集・分析できる機能を備えたソーシャルリスニングツールが便利です。複数のSNSから多様なVOCを収集でき、マーケティングの精度をより高められます。

VOCのマーケティング活用には「Buzz Finder」

「Buzz Finder」は、SNSやブログ、掲示板など、ネット上のVOCを収集し、顧客の動向をリアルタイムに把握し、改善につなげることができるツールです。

トレンドを分析できるほか、自社の製品やキャンペーンに対するポジティブツイート、ネガティブツイートの両方を収集・分析でき、製品やサービス、キャンペーンなどに関する課題や改善点の発見に役立ちます。時間をかけずに日々の動向を把握できる「デイリートピックメール」や、ツイート数の急増を知らせる「アラート通知」の機能があり、効率的なVOCの収集やリスク回避に有用なツールです。

VOCはマーケティングの精度を高める重要な要素

商品やサービスの開発、企業の成長のためには、VOC分析が欠かせないものとなっています。コールセンターやSNSなどのチャネルを目的に合わせて選択し、分析のためのツールを活用することで、精度の高いマーケティングが可能となります。

「Buzz Finder」はソーシャルリスニングに10年以上の実績を持ちます。使いやすい操作性でリアルタイムにVOCを把握できる費用対効果の高いツールです。ソーシャルメディアでのVOC収集に注力したい企業の担当者さまは、「公式サイト」で詳細をご確認ください。

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