2021/10/11

ソーシャルリスク対策

ネット炎上が怖いと感じる本当の理由とは?

ささいな発言や行動が、SNSを中心にネット上で思わぬ批判を浴びてしまうという現象が増えています。いわゆる「ネット炎上」と言われている現象は、実際にはそれほど多くの人が参加しているものではないという調査結果もあります。しかし、ネット炎上の影響で、中には事業に影響を及ぼすケースもあるのは事実です。そこで、ネット炎上とはそもそも何なのか、怖いと感じる真の理由について解説していきます。

ネット炎上が起こっていく仕組みとは?

「ネット炎上」とは、SNSを中心にインターネット上で起こる批判や誹謗中傷など全般を指す言葉です。ただ、批判といっても1件や2件程度の投稿では、ネット炎上と呼ばれるほどにはなりません。動画やSNSなどを中心に拡散され、その事実を知らなかった人にまで批判されている内容が目に留まり、多くの人に認知されて初めて「ネット炎上」と呼ばれるのが一般的です。ところで、実際にはどのように批判が始まり、そして拡散されていくのでしょうか。

誤記や言動など些細なことで始まることが多い

批判の始まりは、些細なことが原因になっていることが多いものです。例えば、記事やコラムでちょっとした表記の間違いや古い情報を書いてしまうことで、必要以上に批判を受けることもあります。または、公の場で発言したことが不適切であったり、一部の人の感情を逆撫でするものだったりすると、そこから批判を浴びることも少なくありません。企業の場合でいえば、商品の広告デザインが不愉快だということで炎上につながったという事例も出ています。通常、誤った情報や不適切な発言などは、気づいた時点で訂正をすればそうそう叩かれることはないでしょう。ところが、たとえ訂正をしても執拗に批判を続ける人がいることでネット炎上は始まっていくのです。

SNSでのコメントやリツイートなどで広まっていく

ネット炎上に発展する経過の中で、拡散の発端になっていくものにSNSのコメントがあげられます。InstagramやX (旧Twitter)、ブログなど、自由にコメントを書き込めるソーシャルメディアは、批判したい人にとって恰好の場所といってもいいでしょう。特に、企業や著名人の場合、これらのメディアのコメント欄はもっとも炎上の原因を作りやすくなります。そして、ユーザーの目に止まった投稿は、リブログやリツイートで拡散されていくというパターンで広まっていくのです。

また、注目度の高い人物や社会的に影響の大きな出来事になると、YouTubeなどの動画で、情報をまとめる形で発信されるケースも出てきます。批判的な内容として紹介された動画は、コメントもネガティブな内容に偏りがちです。動画やコメントを目にしたユーザーに対しても、あまり良い印象としては映らないでしょう。こうして、さまざまなメディアで広まっていくことで、もっとも危険なのは情報にズレが出てくることです。中には、事実をやや歪曲して伝えるユーザーもいます。事実とはかけ離れた部分で思わぬ炎上につながり、大きなリスクを抱えることもあるのです。

実はマスメディアが拡散の原因を作っていることもある

ネット炎上は、SNSが中心となって起こりやすい現象ですが、実際にはマスメディアがそれを広げてしまう傾向が見られます。ネットメディアで取り上げた場合、もっとも注意しておきたいのはタイトルの付け方といってもいいでしょう。ネットユーザーの中には、記事の内容を読まずにタイトルだけで情報を判断するケースもあります。例えば、「〇〇社の代表がパワハラか?SNSで炎上!」などといったタイトルの記事が流れた場合、それだけで「〇〇社の代表がパワハラで炎上している」という認識を持たれやすくなります。実際にはパワハラというほどの内容ではなくても、タイトルの持つ影響力はそれほど大きいのです。

そして、テレビのバラエティー番組などで取り上げることも、拡散の原因を作っているといっていいでしょう。実は、テレビ番組で取り上げることで、それまで炎上について知らなかった人にまで認知されるケースは多いのです。テレビで取り上げれば、実際にはインターネットを使わない人にまで情報が行き渡ることになります。中には、テレビで知ってからX (旧Twitter)やInstagramをチェックする人もいます。しかし、普段SNSをまったく使わない人にまでテレビ番組が拡散してしまうことは否定できません。さらに、テレビのコメンテーターの発言も、影響力が大きいといえます。

ネット炎上の原因をテレビが作っているケースも

著名人や企業がインターネット上で自由に発信できる現代では、以前に比べるとテレビで見るだけの印象で取られることは少なくなっています。しかし、中にはテレビの演出が発端となってX (旧Twitter)などのコメント欄に誹謗中傷が書き込まれ、炎上するケースも見られます。こうしたケースは、演出と事実の見極めができないユーザーによって起こされることが多いものの、過剰な演出や印象操作が発端であることは事実です。

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炎上に参加しているのは少数派にすぎない

ネット炎上はSNSを中心に起こり、マスメディアによってより多くの人に拡散されることはすでに説明しました。ネット炎上が起こると、たくさんの人が否定的な意見を持っているという印象を持つかもしれません。もしも、自社の製品や社員の行動がネット炎上につながった場合、社会全体から自分たちが否定されてしまったと感じるでしょう。ところが、実際に炎上に参加している人はごく少数であり、ほんの一握りの人によって引き起こされているのです。一体、どのようなことなのか、総務省が公開している数字をもとに説明していきます。

否定的な意見を書くユーザーは1%程度

総務省が公開している「令和元年 情報通信白書 第4節 デジタル経済の中でのコミュニケーションとメディア」では、ネット炎上の実態について取り上げています。それによると、政治・社会系ニュースへのコメントを分析した結果、否定的で過激な投稿をしているユーザーはわずか1%程度だというのです。その1%ほどのユーザーが発信した2割程のコメントが目立っているという報告があげられています。そして、残りの99%ほどのユーザーについては、8割という高い割合で否定的なコメントは見られないという指摘が書かれています。つまり、炎上といっても、実際に批判や否定的な意見を投稿しているユーザーは100人当たり1人しかいないということです。

同じユーザーが繰り返し投稿している

また白書によれば、ネット炎上に参加したユーザーのうち、過半数を超える割合で繰り返し投稿しているという報告がされています。ただし、7割ほどのユーザーは1件につき3回以下の投稿にとどまるものの、51回を超えて投稿するユーザーは3%程度という少ない結果となっています。この報告からいえることは、ネット炎上を作り出しているのは、インターネットユーザーの中のほんの一握りに過ぎないという事実です。

悪質で攻撃的な意見が多いように見えても、実際には一部のユーザーが投稿しているケースがほとんであると考えていいでしょう。もしも、企業に対して批判的なコメントが寄せられた場合でも、落ち着いて分析してみると実はごく少数のユーザーしか意見を述べていないかもしれません。こうした調査から、1件に対して複数回攻撃的なコメントを行う予備軍は、インターネット利用者のわずか0.5%であるという推定もされています。

炎上を知ってから便乗するケースも

ネット炎上に参加する人は、そもそもその内容にまったく無関係だった場合もあります。例えば、テレビ番組やネットニュースなどで「〇〇が炎上!」という形で取り上げられたことをきっかけにSNSを閲覧し、便乗するケースです。こうした形で炎上に参加する人は、内容について冷静に判断する傾向はほぼ見られません。何らかの形でマウントを取りたい、または自分のストレスを発散したいといった自分本意な理由で炎上に参加しているためです。このような参加者もネット炎上を広げてしまう要因になるというだけで、本当に批判をしているユーザーはごく少ない人数であると考えることができます。

ネット炎上が起こったらどうすればいいのか?

ネット炎上へと発展した場合、対応によっては商品価値に影響が出ることは十分あり得ます。では、実際に炎上が起こったらどのようにしたらいいのか解説していきます。

問題があったら訂正と謝罪をする

実際にこちら側に問題があった場合は、速やかに訂正と謝罪をすることが一番です。企業の場合でいえば、自社製品に何らかの不具合が出た場合などは、気づいた時点で真摯に対応することを疎かにしてはいけません。また、実際に問題が起こっているのに、話題をすり替えようとしたり誤魔化したりすれば、さらに炎上は加速することになります。特に、顧客情報の漏洩のような多くの被害者が想定される問題が起こったときは迅速で適切な対処が求められます。間違っても責任逃れをしてはいけません。対応次第では、企業の存続につながります。

慌てず冷静に全体を見て判断する

実際に問題のある言動があったわけでもなく、批判されるような落ち度がない場合は、とにかく遠目から全体を見るようにしましょう。説明したように、炎上を作り出しているのはごく僅かな一部のユーザーです。メディアで取り上げるなど拡散されているというだけで、実際に否定的な意見を投稿しているのは、少数のユーザーでしかありません。アカウントやIPアドレスなどを確認し、冷静に分析してみると、実際に批判している人数を出すことができます。さらに、どのような批判なのか内容についても精査してみることも重要です。中には、便乗で投稿しているユーザーも紛れているかもしれません。

炎上が落ち着くまで静観する

ネットで炎上が起こったら、必要以上の対処をしないことも大切です。反論するようなメッセージは控えた方が得策といえます。炎上に参加する人の中には、ストレスを発散したいだけの人も紛れています。反論は、そのような人をさらに刺激する可能性が高いため、決してよい方法とはいえません。また、反論することによって、それまで関心を持っていなかった人にまで批判を受けることもあります。つまり、ネット炎上の拡大を招いてしまう危険性があるということです。炎上したときは、落ち着くまで静観しましょう。X (旧Twitter)などの投稿は、様子を見ながら控えることも必要な判断です。一時的に攻撃したいだけの人は、時間とともに新たなターゲットを見つけ、次第に忘れていきます。

ネット炎上をさせない工夫や予防も必要

ネット炎上の傾向を見ていると、特に落ち度がない場合でも批判されるケースもあります。現代社会では、些細なことでも過敏に反応する人もいます。そして、正義をふりかざして過剰に叩く「正義マン」や「マナー警察」と呼ばれる人がいることも確かです。このような人達に、ネット炎上の原因を作られないための工夫や予防について紹介していきます。

不快と感じられるような発言や発信を控える

たとえ多くの人にとっては何でもない内容でも、一部の人にとっては不快に感じられる表現もあります。ネットで批判が始まり、執拗に繰り返されて炎上に発展するのはこのようなケースが多いのは事実です。しかし、実際にはどういった内容で不快に感じるのか、批判の対象になるのかを推測するのは難しいといえます。対策としては、これまでネット炎上が起こった事例を参考にしてみるといいでしょう。自社の業務内容や製品にに近い企業で起こった炎上を参考にしてみると、どのような点に注意しておくべきか見えてきます。

また、普段から社員のネットリテラシーについて教育を行っておくことも大切です。企業自体に問題はなくても、社員がSNSで発信したことが思わぬ炎上へと発展するケースも少なくありません。個人だけが叩かれて終わることもありますが、内容によっては勤務先まで暴かれることも多いのがインターネットの怖い部分です。社員一人のために、企業全体の評判を下げるという事態も十分起こり得ます。

法的な対処ができるよう準備を整えておく

ネットでの炎上は、状況によっては企業イメージを落とす可能性も出てきます。製品が売れないなどの被害が及ぶこともあるかもしれません。場合によっては株価にも影響が出るでしょう。その原因が悪質な投稿が発端だった場合、法的な対処を考えることも必要な手段です。炎上が起こったときのことを考えて普段から法的手段の準備をしておけば、いざ問題が起こっても慌てずに済みます。投稿した人物については、アカウントなどから特定することは十分可能です。SNSの投稿だけではありません。誤解を招くような記事や炎上を助長するような報道についても、法的な対処をすることは企業を守るうえで重要なことです。

ネット炎上が起こったら静観する姿勢も大切

何が発端で批判の的になるか予測が難しい現代社会では、いつ炎上の対象になるかはわかりません。どのような企業でも、ネット炎上が起こる可能性はゼロではないと考えておいた方がいいでしょう。普段から対策をしておくことも大切ですが、もっと重要なのは炎上しても慌てずに冷静に事態を見極めることです。自社にとって落ち度が認められる部分は適切な対処を取り、そのうえで鎮静するまで静観する姿勢も大切といえます。

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