石油・天然ガスの探鉱・開発・生産を担う石油資源開発株式会社(JAPEX)。同社は海外企業と競い合う入札において、油ガス田に関する情報分析のスピード感に課題を抱えていました。そこで導入したのが、ビジュアルデータサイエンスツールSpotfire®(スポットファイア)でした。油ガス田の生産量予測や経済性予測を効率化し、案件獲得に向けた競争力の底上げを実現しています。今回は、同社海外事業本部の角野氏と松野氏に、導入の背景や活用の実態、今後の展望についてお話を伺いました。
Excelで油ガス田の生産量予測を行っていたため、時間と手間がかかっていた
データベースとExcelを行ったり来たりしなければならず、手戻りが多かった
入札で、圧倒的なスピードで分析を行う海外企業に後れを取ることが多かった
Excelに比べ、圧倒的に分析のスピードが速く、精度が高い
商用データベース(SQL server)との接続が容易で、Spotfireだけで分析が完結する
米国や石油開発関連会社での実績が豊富で信頼できる
10日~20日かかっていた分析作業が、数日~1週間でできるようになった
入札において、海外企業と互角または優位に戦えるようになった
油ガス田のデータをマップ上に表示できるようになり、参照ミスが減った
技術部門だけでなく商務部門でも活用。多くの関係者が情報を共有できるようになった
過度なデータ複製や転記ミスなどが減少した
― 貴社の事業概要と、おふたりのご担当業務について教えていただけますか?
角野氏:石油資源開発株式会社(JAPEX)は、石油と天然ガスの探鉱・開発・生産(E&P)を行う企業です。主に、油ガス田を探し出し、開発して、さらに地下から原油や天然ガスを取り出し生産するという、一連の事業に取り組んでいます。加えて、ガス事業や電力事業などのインフラ・ユーティリティ分野、CCS(CO2の回収・貯留)やCCUS(CO2の回収・有効利用・貯留)の事業化実現を目指した取り組みを推進するカーボンニュートラル (CN) 分野も行っています。
我々は海外事業本部に所属しておりまして、ともにE&P部門のエンジニアとして働いております。Spotfireは、新規プロジェクトの獲得や、既存事業における油ガスの生産管理などに活用している状況です。
― Spotfire導入前は、どんな課題を抱えていらっしゃったのですか?
角野氏:我々は、新たに油ガス田へ参入するプロジェクトにおいて、主に、入札で獲得することに取り組んでおります。
入札の際、課題となっていたのが、調査や提案のスピード感です。我々の場合は海外の会社と競い合うことが多いのですが、海外の会社は、とにかくスピードが速いんですよね。油ガスの生産量予測や長期に亘る経済性予測を、実に数日~1週間程度で、確実かつ精緻に出してくる。油ガスの生産量予測というのは、どの坑井が、どのエリアで、どの程度の深度で掘られているかといったデータや、フラクチャリング(岩盤を割るなどして油を染み出しやすくする作業)に関する情報などをかけ合わせて細かく分析する必要があります。さらに、周囲に掘られた既存の坑井から、いつ、どの程度の油や天然ガスが出ていたかがわかるような時系列の生産量実データを加味することも欠かせません。こうしたデータをExcelで分析して算出しようとすると、10日~20日程度はかかっていました。海外の案件となると、どうしてもスピードの部分で劣ってしまう。そこをなんとかしたいと考えていました。
― Spotfire を導入しようと思われたきっかけと、決め手は何だったのでしょうか?
角野氏:JAPEXの海外拠点のひとつであるヒューストンの事業所で、Spotfireで用いられる標準的な分析ファイル形式であるDXP形式のファイルが関係会社から紹介されたんですよね。これをきっかけにして、「DXP形式のファイルが扱えるデータ分析ツールの導入を検討しよう」ということになりました。
加えて、商用データベース(SQL server)との接続が容易なところも魅力的だと感じました。以前は、「将来予測の精度を高めたい」「異なるデータを追加したい」となるたびに、商用データベースに戻って、必要なデータを出力し、Excelへ取り込む……というようなことを繰り返していたのですが、Spotfireを導入すれば、その必要がまったくなくなります。行ったり来たりすることがなくなり、Spotfireで完結するというところにも、大変強く惹かれました。
松野氏:私は米国での実績が豊富なところがいいなと思いました。業界内でもSpotfireを使っている会社が多く、当時の業界カンファレンスでもSpotfireを使った分析結果が多数発表されていたと聞いています。こうしたことから、信頼できるソフトウェアだという印象を持っていました。
― 2019年にヒューストンオフィスでテスト的にSpotfireを導入され、2020年に東京オフィスでの利用を開始したとお聞きしました。導入の際にご苦労されたこと、工夫したことなどをお聞かせください。
角野氏:当時はBIツールという言葉も浸透していなかった時代でしたので、「ExcelでできることをなぜSpotfireでやる必要があるのか」について説明するのに苦労しました。従来ExcelでやっていたことをSpotfireで行って、可視化の事例を見せ、さらにどの程度業務時間が短縮したかを報告したことで、圧倒的にスピードが速いということ、Excelでの分析やグラフとは比較にならないほどアウトプットのクオリティが高いことを理解してもらえました。
― 本格導入をされてから約5年が経過しました。現在の活用状況についてはいかがでしょうか?
角野氏:冒頭でお話した通り、新規プロジェクトの獲得のための生産量予測や経済性予測に活用しています。
松野氏:ほかに、獲得したプロジェクトの予実管理や、経営層の報告にも活用しています。経営層や投資について取りまとめを行う部署から、急に、例えば「プロジェクト全体ではなく坑井ごとのデータがほしい」といった異なる粒度のリクエストをされることも多いのですが、そういうときに、サッと求められているデータを提出できるようになりました。これによって、意思決定や投資判断のスピードが上がっていると感じています。
― 実際の使ってみての、率直なご感想や効果ついてお聞かせください。
角野氏:使ってみて非常に便利だと感じたのが、マップ上にデータをプロットして表示する機能です。導入前はExcelで数字だけを追っていたので、誤って遠くにある別の坑井データを参照してしまったり、分析に使ってしまうということがありました。一つのエリアにある坑井の数は数百本~数千本。これを数字だけを見て間違いなく参照するのは、意外と骨の折れる作業です。Spotfireを導入したことにより、ビジュアルと数字でデータを確認することができるようになり、ミスが減っただけでなく、確認のストレスも軽減しました。
なにより、10日~20日かかっていた生産量予測や経済性予測が、数日~1週間程度でできるようになった点が有難いなと感じています。Spotfireの導入と活用によって、やっと海外企業と同じ土俵で戦えるようになりました。同等のスピード感、正確性、緻密さで勝負ができるようになり、新規プロジェクトにおける競争力が確実にアップしたと実感しています。実際に入札で勝つこともできており、これは確実にSpotfireのおかげだと思っています。
松野氏:私は、既存プロジェクトの予実管理で、便利さや効果を実感しています。予実管理の際は、油やガスの生産量やコストの予測と実績を比較する作業を行います。予測は参入時、四半期見直し……とタイミングごとに増えていきますが、Spotfireでデータを蓄積しておけば、必要な比較を容易に表示できるんですよね。データが増えすぎて管理が煩雑になることもありませんし、Excelで手戻りを重ねながらデータを集める必要もなく、助かっています。
角野氏:Spotfireは業務を進める上でのプラットフォームになっています。複数人で作業をするときや関係者が離れた場所にいるときでも、Spotfireを開けば同じデータを見ることが可能です。お互いの作業結果をSpotfireで把握できるようになって、情報共有がよりスムーズになり、過度なデータ複製や転記ミスなどが減って、より効率よく、確実に、データ分析ができています。
松野氏:最近では、技術部門だけでなく、商務部門でもSpotfireを使い始めました。Excelで分析を行っていたときは、例えばお金の流れや全体的なプロジェクトの姿が、「すべての分析が終わってから」でないと見えづらいという状況だったのですが、Spotfireを使って簡単にデータが可視化できるようになって、商務部門を含む関係スタッフとプロジェクト途中で共有できるようになりました。全体把握のタイミングが早くなり、共通に認識が持てるようになって、より活発な議論ができるようになっていると感じています。
― Spotfireに関する教育や研修はどのように進めているのでしょうか?
角野氏:Spotfireの使い方は、会社で契約しているオンライン学習プラットフォームの動画教材や、NTTコム オンラインからの情報、Spotfireの開発元の公式Tipsなどで学んでいきました。また、社内プラットフォームにSpotfireのTipsをためるようなページを作っていて、そこで事例やナレッジを共有するという取り組みもしています。
― なるほど。そこからまた新たな活用法が広がっていきそうですね。最後に、今後の展望についてお聞かせください。
松野氏:今後も、商務系部署や技術基盤系部署など他部署に向けてSpotfireを広めていきたいと思っています。利用者が増えればそれだけ分析の引き出しが広がりますし、有意義な結果が出てくることも増えるのではないかと思うのです。また、Spotfireによって、データ分析にかかる業務時間を削減できれば、それによって生まれた時間で、より価値の高い業務を行うことが可能です。これからも、会社の業務品質を全体的に底上げするソリューションとして大いに活用したいと思っています。
角野氏:Spotfireは、使うことで便利さがわかり、使えば使うほどに、新たな活用法が見えてくるツールです。導入を迷われている方がいらしたら、トライアルでいいので、ぜひ一度使ってほしいなと思います。
― 「Spotfireを導入したことで、海外企業と互角に戦えるようになった」というコメントが強く印象に残りました。探鉱や案件獲得だけでなく、予実管理、投資判断など幅広いシーンでSpotfireをご活用いただいているとのこと。これからも石油資源開発様の業務を、幅広く支えてまいりたいと思っています。本日は、ありがとうございました。
データシート
Spotfireはデータ分析、インサイトの共有、アクションのためのビジュアル分析ツールです。
本資料はSpotfireの概要・機能について説明しています。