ダッシュボードとは?
種類と最適化の方法

ダッシュボードは、企業の様々なデータをグラフや図で表示し、ひと目で現状を把握できるツールです。売上や顧客数など、重要な指標をリアルタイムに確認でき、経営判断をサポートします。誰でも簡単に操作でき、Excelなどのデータと連携も可能です。

ダッシュボードとは?

ダッシュボードとは、組織の重要業績評価指標(KPI)をグラフ化したものです。既存のレポートからデータを集めて作成され、企業の運営状況に関するグラフィカルなスナップショットを提供します。ダッシュボードを活用することで、技術的な専門知識がなくとも、組織の誰もが直感的な操作でリアルタイムにデータを分析できるようになります。あらゆる形式の情報をグラフィッカルに表示することで、データを理解し、分析し、そして実行可能なインサイトへと変換可能になります。ダッシュボードは、すべてのビジネスインサイトが一目でわかる包括的で明確なビューが提供できます。Excelのようなデータやデータベース、レポートを作成する他のソフトウェアにリンクして作成することができ、データベースやレポートシステムにデータがアップロードされると、チャートやグラフが自動的に更新されるよう設定することも可能です。ダッシュボードは、ダイナミックなビジネス環境において重要な役割を果たし、企業が目標達成に向けて行動できるようなインサイトをリアルタイムで提供します。

ダッシュボードレポートの例

ダッシュボードとレポートの違い

ダッシュボードとレポートの違いを理解することは重要です。
ダッシュボードは、インタラクティブなデータ探索を可能にする強力なデータ可視化をユーザーに提供します。なぜ現在のプロセスがそのような状況になっているのか、特定の結果が生じた理由を示します。必要に応じて、詳細なデータまでドリルダウンすることもできます。また、POSで処理された売上を数分以内にダッシュボードに反映させるといったタイムリーな状況把握も可能です。
レポートは、画像、グラフ、チャートが含まれていますが、完全に履歴データに基づいており、過去のみに焦点を当てています。これらのレポートは通常、1日、1週間、または1ヶ月に1回生成され、電子メールで配布されるか、共有フォルダまたはプログラムを介して手動でアクセスされます。レポートは、定期的に評価する必要があるKPIの価値を提供しますが、使いやすさ、俊敏性、得られる価値の点でダッシュボードよりも劣ります。

ダッシュボードの利点

あらゆるテクノロジーと同様に、ダッシュボードから得られる利点がいくつかあります。

データから最大限の価値を引き出す

どの企業も大量のデータを生成しています。そのデータの中から有益なインサイトを得ることは簡単ではありません。ここでダッシュボードが役立ちます。ダッシュボードはデータを整理し、分析するためのツールです。実践的なインサイトを提供し、より優れたビジネスの意思決定を促します。企業における最大の課題は、大量のデータを「価値」に変えることです。ダッシュボードはこの課題の解決に貢献します。

データドリブン文化を強化する

データドリブンの組織文化を築くことは簡単ではありません。全ての部門や従業員が業務プロセスの一環としてデータを扱えるようになるには、時間をかけて育成していく必要があります。しかし、ダッシュボードを利用することで、データドリブンな文化を育み、意思決定能力を強化することができます。スキルに関係なく、すべての従業員が一つのプラットフォーム上のデータにアクセスし、データ分析を行い、トレンドを探索し、具体的なインサイトに基づいた行動を取るためのサポートを提供します。これにより、部門を超えた全体的な戦略的な連携が可能となります。

ステークホルダーの賛同

ダッシュボードは、従業員を一つにまとめ、ビジネス変化に適切に対応する環境を作り上げる上で重要な役割を果たします。また、ビジネスに関わる複数の関係者にさまざまなKPIを提示することで、進行中のプロジェクトや組織のパフォーマンスなどを明確に示すことができます。これにより、部門横断型の取り組みが可能となります。

最新のビジネストレンド

マーケティングマネージャーは、市場のトレンドに合わせ、必要に応じて軌道修正することが重要です。ダッシュボードを使用すると、マーケティングを軌道に乗せ、ビジネスの潜在的なリスクや課題を予測し、早い段階から対策を取ることができます。ダッシュボードを活用することで、未来のビジネス成果を予測し、有益なトレンドを最大限に活用し、ビジネスに悪影響を及ぼす事態を避けることもできるでしょう。

効率性の向上

タイムリーな意思決定を行うことは、ビジネスの成功にとって重要な要素です。ダッシュボードは、速度と効率性を高めます。この2つの重要な要素は、レポートでは提供されません。インタラクティブなダッシュボードを数回クリックするだけで、必要なKPIを引き出し、効率的な分析手順を作成できます。

ビジネスデータの可視化

従来のデータスプレッドシートを精査しようとすると、重要な情報の見落としや人為的ミスが発生する可能性が高まります。レポートを可視化することで、不要な情報が取り除かれ、ユーザーフレンドリーでわかりやすいプレゼンテーションを作成することができます。ダッシュボードを使用すると、すべてのデータを可視化し、一つのインタラクティブなレポートにまとめることが可能です。アクセスする誰もが、適用する必要のあるデータ分析プロトコルを完全に制御できます。

リアルタイムのパフォーマンス測定

ダッシュボードは、リアルタイムデータに簡単にアクセスできます。さらにインテリジェントなデータアラームを実装することで、このアクセスがさらに簡素化され、膨大な数のファイルを探し出す必要はありません。高品質のダッシュボード作成ツールなら、ボタンをクリックするだけで最新のビジネスインサイトを簡単に手に入れることができます。

IT部門への依存度を低減

従来のレポート作成は非効率的であり、IT部門に大きく依存することが知られています。ダッシュボードの利点は、直感的で使いやすく、技術的な知識を持たないビジネスユーザーにも利用できることです。ビジネスに関わるすべての人がデータを分析し、適切な行動を取ることができ、これ以上、IT部門にとって負荷が高いレポートを待つ必要はありません。

インタラクティブかつビジネスKPIに的を絞る

従来の分析アプローチは静的なレポートには適していますが、対話性の欠如により、リアルタイムのインサイトを得ることができません。どれが適切な指標であるかを判断し、どのデータを追跡する必要があるかを特定することは簡単ではありません。
ビジネス機能にとって理想的なアプローチは、関連するデータポイントを明確に定義することです。これらをKPIとして作成することで、ビジネス目標に合わせてデータとパフォーマンスを追跡するダッシュボードを構築することができます。このデータの可視化は、正しい意思決定に向けて取り組む際に重要になります。ユーザーは考えられるビジネスシナリオのスナップショットを即座に生成し、課題がどこにあるかを見極めることができます。このようなインタラクティブなダッシュボードは、成功、失敗、利益、損失を明確に理解できる使いやすいレポートを提供します。
ダッシュボードの利点をまとめると、競争の激しい現代のビジネス環境において、ビジネスパフォーマンスの最適化には、アジャイルかつダイナミックなビジネスプロセスが重要です。従来の分析アプローチは静的なレポートには適していますが、対話性の欠如がリアルタイムな分析へのアクセスに影響を与えます。この機能は、現代の拡張されたビジネスエコシステムで活動する組織にとって大きな変革をもたらす可能性があります。

ダッシュボードの種類

企業で一般的に見られるダッシュボードには、以下の4つのタイプがあります。

分析ダッシュボード

分析ダッシュボードは、主に組織内のさまざまなビジネスグループをサポートする専門のデータアナリストによって使用されます。これらのダッシュボードには基本的なグラフィック要素があり、詳細な分析を行うための柔軟性を提供します。分析ダッシュボードには3つの主な利点があります。

  • 長期にわたる市場評価の分析を可能にし、意思決定の質と精度を向上させます。
  • すぐに理解できる予測のインサイトを提供し、利用可能なリソースを簡単に計画して割り当てることができるようになります。
  • さまざまなパラメータで競合他社とのデータ比較をいつでも把握可能になります。

戦略的ダッシュボード

ビジネスプロフェッショナルが重要で戦略的なインサイトを得るために、さまざまな期間にわたってKPIを追跡するためのダッシュボードです。戦略的ダッシュボードの主な利点は次の3つです。

  • 企業の幹部が戦略的なKPIや成功要因を簡単に追跡できるようになります。
  • 新たな予測は、ビジネスユーザーが目標達成のために必要な方針修正を行うのに役立ちます。
  • 利用可能なすべてのデータを多角的に分析し、異なる時間軸に広がるトレンドを提供し、組織全体で共有することができます。

オペレーションダッシュボード

ユーザーがリアルタイムで情報を表示し、注意が必要な問題を即座に把握するためのダッシュボードです。オペレーションダッシュボードの主な特長は次の通りです。

  • アクティビティの多いエリアを強調表示するヒートマップにより、ユーザーが必要な情報をすばやく見つけられるようになります。
  • ログの追跡により、チームがリアルタイムで活動レベルを予測できるようになります。
  • さまざまなログの種類は、発生しているインシデントのタイプやそれに備える方法をチームがすばやく理解するのに役立ちます。

戦術的ダッシュボード

目標の進捗状況を追跡するのに最適なダッシュボードです。以下のような方法で組織を支援します。

  • 特定のデータポイントに関するトレンドや最新情報を提供します。
  • データへの簡単なドリルダウンが可能であり、より深いインサイトを得ることができます。
  • 未解決の問題を強調表示し、その原因を簡単に把握することができます。
  • 日々の活動の概要を提供します。

ダッシュボードを最適化する8つの方法

ダッシュボードの恩恵を得るために、企業が実践すべき8つのベストプラクティスがあります。

1. データの関連性を確保する

常にデータの関連性が保たれていることを確認してください。これには、ダッシュボードへのアクセス権限を持つ人物とその目的を把握することが含まれます。表示される指標は、ユーザーに合わせてカスタマイズされ、具体的な要素に絞られる必要があります。ダッシュボードが、ユーザーや特定のチーム、あるいはテーマに基づいて分類される場合、関連する指標のみを提供するようにしてください。
組織はユーザーに対して、ダッシュボードに実際に表示してほしい情報と実際の業務で使用する内容を確認する必要があります。不要なものは削除してください。

2. 戦略的指標のみを採用する

ビジネス戦略とより適切に整合するために、指標の量よりも質を重視することが重要です。ビジネスの意思決定にポジティブな影響を与える説得力のあるデータを探して使用します。例えば、さまざまなクライアントと取引をしているマネージドサービスプロバイダーは、顧客へのサービス向上のために関連するサービスレベル契約(SLA)のKPIに関するレポートを必要とするでしょう。チームにとっては、組織の目標と進捗に関するレポートが最も適切かもしれません。

3. 測定可能な指標を選択する

測定可能で、現実的に達成可能で、適切でタイムリーな目標を設定してください。このような目標を設定することで、目標の達成状況を確認するために設定した基準に対するパフォーマンスをグラフ化することができます。

4. きれいなダッシュボードを維持する

ダッシュボードはきれいに整理しておくことが重要です。乱雑なダッシュボードは、企業の生産性に悪影響を与える可能性があります。もしダッシュボードがわかりにくい場合は、他のユーザーからも同様のフィードバックが寄せられている可能性があります。常に、現在のタスクにとって最も重要な指標を使用し、簡単にアクセスできるようにしましょう。ダッシュボードには十分な余白を使用し、理解しやすい形で設定する必要があります。明るい色をバランス良く使用し、ユーザーを引きつけ、重要な情報を強調するために、色分けなどの使用を検討してください。

5. 実用的なデータを追跡する

データは、短命に終わることもあります。データをどのように使うかによって、その有用性や応用性が決まります。既存の業務に最も大きな変化をもたらし、ビジネスの意思決定に影響を与えることができるデータを優先し、プロセス、採用の意思決定、サービスレベルなど、年間目標に影響を与える可能性のあるデータに焦点を当てます。追跡する価値があるかどうか、すべてのデータの価値を評価しましょう。ビジネスは、より良い意思決定を行うために、データの量よりも質を重視する必要があります。

6. 評価運用を行う

特定のダッシュボードのテンプレートが設定されたら、必要なすべての指標に簡単にアクセスでき、関連性があり、理解しやすいかどうかを客観的に確認します。データの可視化ツールが効果的であり、適切な情報が迅速かつ正確に提供されているかを評価してください。要件を満たすためにテンプレートを定期的に見直すことも重要です。

7. メトリックスを整理する

多くの指標を扱う場合、それらをすべてグリッド状に整理することをお勧めします。そうすることで、手元のデータをより整然と評価することが可能になります。いくつかのダッシュボードでは、必要に応じて指標のグループを調整して、よりカスタマイズされた関連性のあるダッシュボードを作成することができます。類似した指標や関連する指標をグループ化すると、ダッシュボードの作成が簡単になります。

8. モビリティ

ダッシュボードは、ノートパソコンやデスクトップだけでなく、スマートフォンでも使用できるように設計する必要があります。自宅で働いたり、外出先で顧客を訪問したり、昼休みに情報を管理したりする場合があります。企業は、柔軟な働き方に対応する必要があります。

ダッシュボードの未来

ダッシュボードは、あらゆるビジネス機能のパフォーマンスを向上させることができます。ダッシュボードを使用することで、KPIを可視化し、それぞれのパフォーマンスを評価できるようになります。また、技術的な知識がなくとも、ビジネスに携わるユーザーがダッシュボードのデータを直接操作し、トレンドを分析することができます。
ダッシュボードは、企業がより良く機能し、市場でより効果的に競争できるよう支援します。ダッシュボードの未来は、さまざまなデータの種類や使用方法の拡大とともに急速に進化しています。しかし、定期的な見直しと更新を行わない限り、その価値はすぐに失われます。データは迅速に変化するため、ダッシュボードは常にその変化に対応しなければなりません。

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