
2025/06/05
ソーシャルリスク対策
海外のSNS・ネット炎上事例9選|リスク回避のポイントも解説
近年、SNSでの炎上がメディアで頻繁に取り上げられていますが、これは日本だけの話ではありません。海外でも、表現を巡る炎上事例は多く、時には企業経営を揺るがすほどの大事件に発展するケースも見られます。
本記事では、特に大きな騒ぎとなった海外SNSの炎上事例を紹介しつつ、炎上事例から学ぶリスク回避のポイントについて解説します。また、炎上対策のポイントも紹介するので、海外向けのSNS運用を検討している方は、ぜひご一読ください。
- 海外でも商品のデザインや広告の表現がきっかけで、SNSの炎上がよく発生している。
- 性差別・特定人物の揶揄・悪質なパロディ・虚偽情報の発信など、炎上事例を引き起こした原因は多岐にわたる。
- 海外SNSでの炎上を避けるためには、文化・習慣・言語の違いや投稿タイミングに注意しつつ、ソーシャルリスニングを行うと有効な対策になる。
海外SNSの炎上事例9選
海外SNSでの炎上を避けるためには、過去に起こった事例をチェックすることも大切です。「何がきっかけでどのように炎上したのか」「炎上後はどのように対応したのか」といった点を学ぶことで、自社でも炎上対策を講じやすくなります。
1|女性を軽視したデザインのTシャツで炎上した事例
某小売チェーンが若い女性向けのTシャツを販売したところ、商品のデザインが原因で炎上してしまった事例です。対象のTシャツには「TROPHY」という文字が大きく描かれていましたが、この一言が「女性を軽視している」と問題視されて、SNSでの炎上に発展しました。
TROPHY(トロフィー)は本来なら「優勝や受賞を称えて贈答される記念品」を意味しますが、人種差別反対団体は「女性は男性が獲得するモノに過ぎないと表現しているのか」と批判しました。その結果、多くのユーザーが同チェーンの姿勢を問うことになった次第です。
同チェーンはきちんと対話に応じ、SNS上で謝罪の意を表明しましたが、炎上原因のTシャツ自体は発売中止になっていません。
2|精神疾患を揶揄したデザインのセーターで炎上した事例
前述の某小売チェーンはTシャツだけではなく、セーターのデザインでも炎上を引き起こしています。問題となったセーターには「OCD」という文字がプリントされていましたが、これを見たユーザーが「強迫性障害を揶揄している」と訴えたことがきっかけです。
強迫性障害とは、過度の不安やこだわりによって日常生活に支障が生じてしまう精神疾患です。例えば、「戸締まりを何度確認しても安心できない」「手洗いを何度も繰り返す」といった症状が挙げられます。
強迫性障害を英語で表記すると「Obsessive Compulsive Disorder」ですが、これを略した「OCD」という言葉がセーターに描かれていたため、炎上につながりました。
Tシャツの炎上事例と同じく同チェーンは謝罪しましたが、同時にセーターの撤去予定はないと回答しています。
3|戦争をモチーフにしたデザインのTシャツで炎上
某アパレルブランドのTシャツのデザインが過去の戦争を想起させるとして、多くのユーザーから批判された事例です。第二次世界大戦の硫黄島の戦いにおいて、海兵隊員が星条旗を掲げる有名な場面をモチーフに、バスケットボール選手がバスケットゴールを立ち上げる場面を描いた結果、炎上に至りました。
悲惨な戦争のワンシーンをパロディ化したデザインは、退役軍人などの関係者から「軍が見下されているように感じる」「愚かな行為」といった批判を集めました。この騒動を受けて同ブランドはTシャツを店頭から撤去したうえで、謝罪と再発防止に努める声明を出しています。
声明に対して否定的なユーザーもいましたが、一方で同ブランドが間違いを認めたことを称賛し、適切な対応に感謝しているユーザーも見受けられます。
4|過激派組織のシンボルが入ったケーキを販売して炎上
アメリカの某小売チェーンがケーキを焼いて販売したところ、過激派組織「ISIS」のシンボルであるロゴが入っていたことから炎上した事例です。ケーキを注文した顧客は当初「南軍旗」のデザインを要望しましたが、店員に拒否されたため、代わりにISISのロゴ入りケーキを注文した次第です。
顧客に喜んでもらえるよう、ケーキ職人は腕によりをかけてケーキを作りましたが、ロゴの意味を知らなかったために、炎上騒ぎへと発展しました。
担当者に悪意はなかったものの、不適切な商品を販売した事実は重く受け止め、同チェーンは「このケーキは作るべきではなかった」と謝罪しています。また、人種差別につながりかねないとして、南軍旗を宣伝する商品はすべて撤去されました。
5|虚偽の広告表現で炎上
某清涼飲料メーカーが販売しているエナジードリンクに関して、商品の広告内容に問題があったことから炎上した事例です。エナジードリンクの効能はコーヒー1杯分と大差ないと研究で明らかにされたにもかかわらず、広告で「集中力や身体的パフォーマンスが向上する」という表現を使用した結果、虚偽広告にあたるとしてカナダで集団訴訟に発展しました。
最終的に同メーカーは訴訟対応の長期化を避けるため、和解に応じる形で85万ドルを支払うことに同意しています。アメリカでも同様の集団訴訟が発生しており、同メーカーが1,300万ドルもの大金を支払う結果に終わりました。
6|ベジタリアン・ビーガンに苦痛を与える広告で炎上
某ファストフードチェーンがイギリスで「音楽に合わせて踊るニワトリ」の動画を発信したところ、SNSで炎上が起こった事例です。この動画は「新鮮な鶏肉だけを使っている」ことをアピールする広告の役割を担っていましたが、制作側の意図と反してベジタリアンやビーガンに苦痛を与える結果となりました。
「屠殺場に向かうニワトリを連想させる」「無礼で不快だ」など、視聴者から多数の苦情が上がりました。しかし、広告基準局(ASA)は「英国の広告規約に違反していない」と判断し、苦情を却下しています。
7|女性の体型に関する広告で炎上
イギリスでプロテインサプリメントを扱う企業がダイエット食品を宣伝するため、ポスター広告にビキニ姿の女性モデルを起用したところ、炎上に至った事例です。ポスターには「ビーチに行く体はできている?」という旨のキャッチが掲載されていますが、これに対して「モデルのように痩せていない人はビーチに行けないのか」と批判が集まりました。
結果的にポスターへの落書き行為が発生したり、ポスターの写真とともに皮肉な言葉がSNSへ投稿されたりするなど、さまざまな問題が起こっています。また、ロンドン市長も「若い女性が自分の体型に対する自信を失いかねない」と批判するなど、行政を巻き込む事態に発展しました。
8|労働環境やインフルエンサーマーケティングが原因で炎上
中国の某アパレルブランドはインフルエンサーマーケティングに取り組んでいますが、その過程で大きな炎上騒ぎが起こりました。あるインフルエンサーを現地の工場に招待したことがきっかけで、以前から報じられていた劣悪な労働環境に注目が集まった次第です。
招待されたインフルエンサーは工場見学や社員インタビューを動画収録しつつ、労働環境に対して肯定的な意見を述べました。しかし、動画を見た視聴者からは「誰も信じない」「嘘をついてお金をもらっている」という批判が集まり、最終的にインフルエンサーがライブ配信で釈明する事態に発展しています。
また、同ブランドの代表者は「インフルエンサーの視点や体験談を尊重したい」とコメントしています。
9|不適切なアートワークで炎上
世界的に有名な某動画配信サービスが映画の宣伝にアートワークを使用したところ、その内容が不適切だったことから炎上した事例です。映画は少女たちのダンスをテーマにした作品ですが、官能的な振り付けのダンスに合わせて作成したアートワークが「未成年の少女を性的に描いている」として、多くのユーザーから非難を浴びました。
アートワークの制作に携わっていない監督や演者まで誹謗中傷されたうえ、映画の削除を求めるオンライン署名や抗議活動も行われたので、鎮火のために同サービスの運営元が謝罪しています。
また、アートワークやあらすじを差し替えるとともに、映画自体は削除せず検索結果に表示されにくくなるよう、アルゴリズムの調整も実施されました。
関連記事:SNSにおける企業の炎上事例9選|炎上の対処法・事前対策を紹介
海外SNSの炎上事例から学ぶリスク回避のポイント
海外SNSでの炎上リスクを回避するためには、以下のようなポイントを押さえておく必要があります。
ポイント | 概要 |
---|---|
文化や習慣の違いを理解する |
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言語の違いによる誤解に注意する |
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投稿タイミングに注意する |
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ソーシャルリスニングツールを導入する |
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また、海外には日本での認知度が低い多様なSNSがあるため、運用したいSNSの特徴を理解することも大切です。海外のSNSに関する記事は、「海外SNSを運用する企業の炎上対策とは?炎上事例や対処方法も解説」をご覧ください。
関連記事:炎上対策とは?企業における主な炎上原因と対策
関連記事:ソーシャルリスニングとは|意味や分析方法の解説と導入事例を紹介!
海外SNSでの炎上回避に役立つNTTコム オンラインの「ソーシャルリスク対策ソリューション」
NTTコム オンラインでは、低コストでSNS投稿分析を実現できるソーシャルリスニングツールから、24時間365日に対応したSNSの監視代行を行っています。
ソーシャルリスニングツール「BuzzFinder」では、X(旧Twitter)の公式投稿をほぼリアルタイムで収集・分析し、急激なツイート数の増加を検出し、アラートメールで迅速に通知するため、炎上時には即座に対応できます。
投稿監視サービスは、海外で使用されているプラットフォーム・多言語での投稿監視にも柔軟に対応可能。
複数国家のモニタリングも行えますので、グローバルマーケティングの強化に伴うリスク対策もご支援いたします。
導入事例|情報通信サービス業 様
情報通信サービス業を営む某企業様は、各部門で以下のような課題を抱えていました。
- [広報部門]ネット炎上時、SNSの反応に合わせてメディア対応を進めたい
- [顧客サービス部門]SNS上の顧客の声をサービス改善に活かしたい
- [お客様センター]炎上による入電影響を事前に把握したい
Buzz Finderを導入した結果、広報部門はスムーズなメディア対応やプレスリリースを実現できたとのことです。また、顧客サービス部門は全体的な改善意識が、お客様センターは変化への対応力が向上したと報告されています。
海外SNS運用のリスク回避は炎上事例から学ぼう
海外SNSを運用する場合、文化の違いや言葉の壁がある分、日本でSNSを運用するより炎上リスクは高いといえます。実際に起こった炎上事例をチェックし、原因や対応を学ぶことが炎上リスクを避ける近道です。
また、炎上対策の一環としてソーシャルリスニングツール「Buzz Finder」の導入もご検討ください。
NTTコムオンラインでは、炎上対策に関する資料・レポートも提供しています。
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