2026/1/6
ソーシャルリスク対策
自治体のSNS炎上事例を紹介|運用メリットや炎上回避のポイントも解説
自治体がSNSを活用することは、住民への情報発信や災害時の緊急連絡、地域の魅力発信など、行政サービスの質を高めるうえで大きな意義があります。一方で近年はSNS投稿に起因した「炎上」が社会問題となっており、自治体が運営する公式アカウントも例外ではありません。むしろ、自治体は公共性の高い立場ゆえに発信の影響力が大きく、炎上した際の社会的ダメージも深刻です。
この記事では、自治体アカウントにおける炎上事例や炎上しやすいポイント、SNS活用のメリット、そして炎上を避けるための実践的な運営方法をまとめています。安全にSNSを運用できるよう実務に落とし込みやすい内容を中心に構成しているので、ぜひ参考にしてください。
- 近年、自治体によるSNS活用が普及するとともに、炎上も生じている
- 炎上事例には性的な内容、ジェンダー上の問題が含まれるものが多い
- 自治体によるSNS運用のメリットは多く成功事例も少なくない
- 炎上によるリスクを回避するためにはあらかじめ対策を講じる必要がある
自治体が運用するSNSはどのような内容で炎上するのか
自治体の炎上事例には、性的な内容が含まれる画像、動画、キャラクターの造形を含む発信が多くあります。より具体的な内容としては、女性蔑視と受け取られるPR動画、性的な連想をさせるアート作品の取り上げ、いわゆる「萌えキャラ」の過度な性的表現などです。また、ジェンダーに関して配慮に欠ける広報資料なども該当します。
自治体が運用するSNSの炎上事例
近年、自治体アカウントが発信した画像や動画、キャラクター、文章表現などが「不適切」「性的」「差別的」と批判され、炎上につながるケースが複数発生しています。以下、具体的な炎上事例を紹介します。
性的な連想をされると炎上した事例
海女文化で知られる三重県志摩市。その観光PRに用いられた海女の萌えキャラクター「碧志摩メグ」のビジュアルが、性的な部分を過剰に強調していて不快、海女のイメージからかけ離れている、海女に対する誤解を招くといった批判を招きました。
制作側にはそのような意図はなくても、公共性の高い発信としては不適切とされ、議論が拡大。公認撤回や使用停止を求める署名運動も広がりました。こうした炎上を受け、キャラクターの生みの親は公認撤回を申し出ました。自治体側は結果的に公認を撤回しました。
セクハラや女性蔑視にあたるとして炎上した事例
ある自治体では、TikTokに投稿したリゾートホテルPR動画の内容(演出)が、セクハラや女性蔑視だという批判がSNS上で噴出し炎上しました。
動画は市長が女性とともにホテルの部屋へ入っていく場面からスタート。「市長が美女とホテルへ」「沖縄のリゾートホテルで若い女性と密会している」「市長は妻子持ち。今回ばかりは本当にまずい」といったテロップが入っていました。
投稿は削除され、PR動画に出演した市長は会見を開き謝罪を行いました。さらに、動画を投稿したアカウントでは、更新を終了することを宣言しました。
性別による役割分担意識を強化するとして炎上した事例
広島県が働く女性を応援するために作成した「働く女性応援よくばりハンドブック」が炎上。仕事と育児・家事の両立を「よくばり」と名づけたことが批判されました。
仕事と育児の両立を目指す女性の心構えとして、周囲の理解を得るためには感謝と配慮が大事であることが書かれていた点も反感を買ったようです。
県知事は釈明を行い、自治体は内容を見直す事態となりました。その後、関連のウェブサイトを更新。サイトの更新について、県はJ-CASTニュースの取材に「広島県の目指す姿を踏まえ、働く女性、働きたい女性を応援する目的で作成していることを追記しました」と回答しました。
児童ポルノを連想させるとして炎上した事例
未成年に見えるキャラクターや設定が「児童ポルノ的である」と判断され、SNSで批判が集中したケースもあります。鹿児島県志布志市がYou Tube上で公開していたPR動画は、ふるさと納税を促すために作成された2分間のショートムービーでした。
動画は真夏のプールでスクール水着姿の少女が「養って」と訴えるシーンから始まり、ウナギを少女に擬人化して飼育するというストーリー。ネット上では「児童ポルノのように見える」「女性差別的な内容ではないか」などの批判が噴出しました。
自治体側が意図していない性的文脈と結びつけられたことで大きく拡散。まもなく公開停止、削除となりました。
妊孕性を過度に強調しているとして炎上した事例
秋田県では自治体がプレコンセプションケアの一環として県内の高校2年生を対象に「将来ママにパパになりたいあなたへ~妊娠~・出産のリミット」という冊子を配布しました。
これに対し、卵子の老化の表現方法などに関して「女性を何だと思っているのか」など批判が集中してSNSで炎上。県にも苦情が寄せられました。
また、冊子では高齢出産の危険性も強調されており、「遅くとも初産を35歳までに」「妊娠・出産にはタイムリミットがあるのです!」などと記載されていました。これが若い年齢で産むことを推奨する表現となっていると受け取られて問題視されました。県は「冊子を選定する過程で配慮が足りない部分があった」と釈明しています。
女性の自己決定権に踏み込んだとして炎上した事例
熊本県では、妊娠前の健康管理を意味するプレコンセプションケアの一環として、県職員で20代の未婚女性を対象に、卵子がどれくらいあるか調べるモデル事業を計画していました。しかし、対象を20歳代の未婚女性のうち希望する者に限定したことが問題視され炎上しました。
県は、モデル事業としての試験的な位置づけであったため年齢や性別を限定した等の説明を行いましたが、結果的には女性の妊孕性評価だけが際立ってしまう形となりました。
プレコンセプションケアの方針には性別を問わないことも含まれています。結果として20歳代の未婚女性に限定した根拠が示せず、「このまま進めるのは適切ではない」として、検査の中止が決定されました。
炎上リスクがあるSNS運用を自治体が取り組む理由
自治体がSNS運用に取り組む背景には、災害時の緊急情報をリアルタイムで住民に届ける必要性の高まりが存在します。
防災無線やラジオ放送だけでは情報の即時性が十分でなく、放送の聞き逃しによって避難の遅れにつながる場合もあります。SNSを活用すれば、プッシュ通知により住民のスマートフォンへ即座に情報を届けられ、被害状況や避難情報をリアルタイムで発信できるのです。
その他にも行政サービスの案内や交通情報など、迅速な周知が求められる場面が増えており、住民の生活に直結する情報を確実に発信する重要性が高まっています。
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自治体がSNSを運用するメリット
ここからは、自治体がSNSを運用するメリットについて具体的に解説します。
幅広いユーザーに情報を発信できる
SNSの最大の強みは、まず情報の拡散力であり、多くの人々に知ってもらえる可能性が高まるという点にあります。生活情報や観光情報を手軽に発信し、広く拡散させることによってこれまで接点の少なかった層、SNSの新規ユーザーの目にも留まるチャンスが増えます。
また、観光客の集客・インバウンド集客、移住を検討する人がSNSを通じて情報収集することも一般化しています。そのため、自治体が魅力的な取り組みを広く発信することで移住を促進するなどの効果も期待できます。
地域の魅力を伝えやすい
SNSは文章だけでなく、画像や動画といった視覚的な情報を効果的に活用できるため、国籍や言語にあまり影響されず、地域の魅力を直感的に伝えることができます。観光地の風景やイベントの動画を投稿すれば、地域の独自性や雰囲気などが臨場感豊かに伝わります。
各SNSごとに好まれる投稿様式が異なるため、発信したい内容に合わせたSNSを選定することが重要です。
住民と双方向のコミュニケーションがとれる
SNSでは一方的に情報発信するだけでなく、投稿へのコメントなどを通じて双方向のコミュニケーションを取ることができます。Webサイトや広報誌のような一方向の情報発信とは異なり、ユーザーからの質問や意見など、即時にリアクションを得られるところがメリットです。
市民の困りごとなどもリアルタイムで把握することが可能になり、施策や行政サービスの改善に役立てることができます。また、窓口や電話よりも問い合わせしやすいツールであるため、住民のニーズを把握するだけではなく、自治体への信頼向上にもつながります。
自治体におけるSNS活用の成功例
自治体におけるSNS活用の実際の成功例を紹介します。成功要因や取り組み内容などを具体的に解説します。
高知県の成功例
高知県ではX(旧Twitter)やInstagramを活用した地域情報の発信が成功し、観光客誘致に成功しました。
アカウントの運用開始から約半年後、SNSでつながることによるフォロワーの態度変容の調査を目的としてフォロワー、非フォロワーを対象にオンラインアンケートを実施。アンケートはX(旧Twitter)、Instagramの投稿で呼びかけました。
その結果、フォローの目的がSNSキャンペーンに応募するためであったことや、フォロワーの3割程度が実際に高知へ観光に訪れたことが判明。実際の行動にも影響し、経済効果が期待できることがわかりました。
沖縄県の成功例
沖縄県の渡名喜島では、Facebookを活用した写真と文章による情報発信によって地域の魅力が広く伝わり、地域活性化につながりました。投稿内容は、島民の普段の生活の様子や海・山の景色、島の行事や特産品など。
Facebookを始めたのは2012年。五つの離島村が集まって地域活性化を図る「おくなわプロジェクト推進協議会」の取り組みとして開設しました。2014年に地域おこし協力隊のメンバーが精力的に取り組んだことでフォロワー数が増加。一時はフォロワー数が日本経済新聞調べの人口比ランキング(2021年5月末時点)で全国1位になるなど、運用に携わる観光協会の職員も驚くほどだったそうです。
山梨県甲府市の成功例
山梨県の甲府市では、従来のSNS運用が十分に機能していないという課題があったことから新しい施策を実施しました。
20代の女性の方にアプローチするべく、メディアでも一般観光客でもないインフルエンサー視点での発信を開始。また、「観光に来訪する人にとって価値のある情報」を重視し、観光スポットや風景だけではなく地元の飲食店など個人店の紹介なども含めた情報を発信しました。
こうした施策により、多くのリーチやブックマークが確認されました。 また、施策実施から1年近く経った後でも人気の投稿が検索上位に残るなど、継続的な効果が得られました。
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炎上を回避しながら自治体がSNSを運用するポイント
ここからは、炎上回避対策について解説します。運用方針やガイドラインの策定、ジェンダー配慮、投稿前のチェック体制など、重要なポイントを押さえた上で効果的にSNSを運用しましょう。
運用方針やガイドラインを決める
まず、SNS運用を開始する前に運用目的を明確化しておくことが重要です。「観光客を○%増加させる」「移住相談を○件増やす」など具体的な目的と目標値を決めることで、意義のあるSNS運用につながります。
また、「何を発信するべきか」だけでなく「誰が担当するか」といった役割分担、関連部署との連携についても明確にしておく必要があります。
さらに、ガイドラインを策定して職員・担当者へ周知を行うことで、投稿内容の一貫性が保たれ、トラブルを防ぐことができます。ガイドラインが曖昧な場合は不適切な投稿が生じやすく、行政への信頼が低下するリスクも高まってしまいます。
ジェンダーに配慮して発信する
この記事で紹介したように、自治体のSNS発信ではジェンダーに関する炎上事例が複数発生しています。性別による役割分担を前提とし、それを強化する恐れがあるような表現や、セクハラと受け取られかねない内容の発信は避けることが重要です。
キャラクターを起用する場合も、差別や搾取のイメージにつながる表現を避けましょう。誤解されないように適切な内容を検討して慎重に発信を行う必要があります。
不適切なコンテンツは回避する
一般的に不適切と見なされるコンテンツを事前に把握しておくことで炎上を回避できます。例えば、児童ポルノや性的なことを想起させるような内容は不適切です。
公的機関の情報発信では、高い公共性や倫理性、中立性が求められることをよく理解しておく必要があります。投稿した文章について意図しない受け取り方をされる可能性は常にあるので、投稿前のチェック体制を徹底することも重要です。
注目されるための悪ふざけが高じてしまったり、インパクトを狙い過ぎて過激な煽り表現になったりしないよう注意が必要です。
委託する場合は運用方法・責任を明文化する
自治体のSNS運用を外部に委託する場合は、運用方法や責任の所在を明文化・明確化しておくことが重要です。委託先との間で投稿内容の承認フローや緊急時の対応方法について事前に取り決めておきましょう。
委託先に対してガイドラインを遵守させるためのチェックや指導を行うことや、個人情報や著作権に関する適切な取扱いを求める努力も不可欠です。さらに、運用担当者が変更になった場合も念頭に置き、ルールが継続されるよう標準化しておくと安心です。
炎上時の対応フローを明確化しておく
炎上は自治体や地域のイメージダウンにつながります。そのため、予防策だけでなく万が一炎上が発生した際の対応フローをあらかじめ検討し決めておくことが重要です。炎上を検知した際の報告ルート、事実確認から初期対応までの流れを明確にしておきましょう。
迅速に対応できるよう、意思決定者や広報担当者への連絡体制もきちんと整備しておく必要があります。緊急時に備えて平時から炎上事例を収集し、社内で共有しておくことも有効です。
そして炎上がおさまった後には原因と今後の対策方法を整理し、公表することが求められます。
ソーシャルリスニングを実行する
ソーシャルリスニングとは、SNSに投稿された消費者の声を収集・分析し、ビジネスやマーケティング戦略に活かす手法です。
自治体名や地域に関するネガティブな発言を注視することで、炎上の兆候を早期に発見することが可能になり、効率的なリスク対策につながります。
また、地域住民の潜在的な要望などの声を精査することで、今後の施策展開や行政サービス改善にも活用できます。ソーシャルリスニングの専用ツールを使用すれば、膨大な情報から意味のある声を効率的に抽出することができます。
ソーシャルリスニングツールの選び方とは?比較のポイントを詳しく解説
炎上対策とは?企業における主な炎上原因と対策
自治体のSNS炎上対策に有効なNTTコム オンライン「ソーシャルリスニングサービス」
ソーシャルリスニングの特徴は、ソーシャルメディア(FacebookやX(旧Twitter) 、Instagram)などのSNS上の情報を継続的に収集し、炎上リスクの早期発見につなげられる点にあります。
ソーシャルリスニングの専用ツールであるNTTコム オンラインの「ソーシャルリスニングサービス」は、キャンペーンに対する反響調査などプロモーション活動の効果測定を行い、膨大な情報から意味のあるデータを効率よく抽出します。
行政で活用すると、住民の声を分析し、施策改善に役立てることが可能です。また、特定の投稿に対して批判が殺到する炎上のリスクを早期に検知し、先回りして対処することもできます。
導入事例|情報通信サービス業 様
ある情報通信サービス業の企業では「ネット炎上時にメディア対応に備えたい」「炎上やトラブルの入電影響を先回りして把握したい」という課題や要望がありました。そこで、NTTコムオンラインの「ソーシャルリスニングサービス」を導入。その結果、平時からソーシャルの反応を日報で定点把握することで変化への対応力が向上。素早いリスク通知とレポートによって的確なメディア対応や迅速なプレスリリースが可能となりました。
導入事例:情報通信サービス業 様
自治体のSNS炎上回避には多方面への配慮が求められる
炎上はSNSを運用する自治体にとって大きなリスクであり、炎上を回避しながら、いかにSNSを上手く運用するかが課題となっています。ぜひ、本記事で紹介したSNSの炎上事例や回避するためのポイントを参照して、リスクのある発信を回避し、効果的なSNS運用を実施してみてください。
専用ツール、ソーシャルリスニングサービスの活用は、多方面に配慮した適切なSNS運用の実現をサポートします。
NTTコムオンラインの提供する「ソーシャルリスニングサービス」の事例レポートは、下記サイトからダウンロードできます。
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