2024/10/18
ソーシャルリスク対策
人事担当者がSNSで炎上する原因とは?事例や対策方法を解説
昨今、企業の人事担当者がSNSで不適切な投稿を発信し炎上する事例が多く見られます。社員一人の誤った発信が企業のイメージを大きく下げ、顧客離れが起きる恐れもあります。特にSNSでは、あっという間に情報が拡散してしまうので注意が必要です。
本記事では人事担当者によるSNS炎上の事例や原因、炎上を防止するための対策などについて解説します。炎上の予防策や対策について知りたい企業のご担当者様は、ぜひ参考にしてください。
- 人事担当者の上から目線や客観性の欠如、ネットリテラシー不足などはSNSの炎上を引き起こす原因となりえる
- SNSの炎上を防止するためには、自社でSNSに関する研修を行う、トラブル対応時のマニュアルを作成する、ソーシャルリスニングツールを活用するなどがおすすめ
- 炎上が起きてしまったら速やかに対策を取ることが大切。情報の公表や謝罪を行い、対策を公表して再発防止に努める必要がある
人事担当者によるSNS炎上の事例
まずは、人事担当者によるSNS炎上の事例を4つ紹介します。
人事業務に対する認識を発信して炎上
2022年、A社の人事担当者が自身のX(旧Twitter)アカウントで「採用は”採ってはいけない人”を見極める仕事だ」と投稿し炎上しました。担当者は会社名を明らかにしており、X(旧Twitter)上では「学生に対して偉そうに選ぶことは良いことなのか」「面接で落とされた就活生が見ているかもしれない」「会社の名前と職種を背負ったアカウントで発言すべき内容ではない」のような批判が殺到しました。
当該投稿は削除されましたが、投稿者からの謝罪は一切ありませんでした。そして、四半期決算直前だったこともあり、A社の株価は暴落しました。
応募者に対する認識を発信して炎上
2022年、B社の人事担当者の「給与や待遇にこだわる人とは働きたくない」という投稿が炎上を起こしました。投稿から4日後には8000件以上リツイートされ、過半数が批判的な引用リツイートとなりました。
投稿の翌日には「価値観はそれぞれ違うので私が正解でもありません」といった投稿を続け、再度炎上する結果になったようです。
面接中の発言で炎上
2020年、C社の新卒採用責任者のインタビュー記事が炎上しました。記事の内容は、新卒採用の面接時に、応募者の自己紹介が自分の言葉ではなく、決まったフレーズを話しているように感じた場合、「ごめん。今日、そのままでいくと落とすよ。」と伝える、といったものです。
この内容に「一歩間違えればハラスメント」「圧迫面接、従属強要」「人事が使ってはいけない言葉」のような批判の声がネット上で相次ぎました。就活生の本質を見ることが目的の発言でしたが、言葉の選び方次第で炎上につながることが分かる事例です。
退職相談への対応で炎上
2022年、D病院の人事部看護師採用チームの公式ツイッターが炎上を起こし、多くの批判を受けました。問題となったのは、退職相談をした看護師に対し「『目標を持ってないから、なにか目標を持て』と言ってやった」というものです。この投稿に対し「上から目線」「公開パワハラ」「病院のツイートとしては不適切」のような批判が殺到し、D病院は謝罪文を掲載してアカウントを削除しました。
相談者がツイートを目にすることを考えれば投稿はされなかったかもしれず、もう少し配慮をすれば炎上は回避できた可能性もあります。今回は多くのフォロワーを持つインフルエンサーが問題の投稿を拡散したことも、炎上の要因となりました。
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人事担当者がSNSで炎上する原因とは?
続いて、人事担当者がSNSで炎上する要因について解説します。
上から目線になりやすい
人事担当者は応募者に対し上から目線になりやすく、ちょっとした発言が炎上を引き起こすことがあります。人事担当者は経営者目線で採用を検討する必要があり、特権意識を持ちやすいといえます。また、採用者を選択する立場であること、会社の機密情報を扱っていることなども、特権意識を持つ一因となるでしょう。
客観性が欠如している
人事担当者は採用に対する権限を持っているため、上の立場という認識を持たれやすい傾向にあります。そのため、ささいな発言が、想定外のネガティブな発言に受け取られることもあるでしょう。人事担当者は自身がそのような立場にあることを客観的に認識したうえで、SNSへの投稿をする必要があります。「ツイートを見た人が企業に対してどのようなイメージを持つか」という視点を常に持っておくことが大切です。
SNSに対するリテラシーが不足している
SNSに対するリテラシーが足りないことも炎上の要因となります。SNSは全世界のユーザーが自由に閲覧し、反応できることを、いまひとつ認識できていない人も多くみられます。インターネットを介することで、企業の代表として不特定多数の人の前で発信しているという意識を持ちづらいのかもしれません。
会社名を明らかにして不適切な投稿をするなど、ビジネスとプライベートの線引きができていない例も多くあります。また、SNS炎上のリスクを正しく認識できていないことも原因の一つです。SNS上には多様な価値観を持った人が存在するため、投稿者本人が意図していない内容が伝わり、広まってしまう可能性があります。
偏った情報だけを閲覧している
SNSは「エコーチェーンバー」や「フィルターバブル」など、情報が偏りやすい環境にあります。エコーチェンバーとは、自分と似た考え方や価値観の人をフォローすることで、似たような情報ばかりが行き交う閉じた環境のことです。一方、フィルターバブルは、ユーザーの好みを学習したアルゴリズムにより、ユーザーの求める情報ばかりが集まる環境を指します。
このように思考が極端化しやすい環境では、人事担当者としての自分の考えが一般的で間違いのないものと思い込みやすいため注意が必要です。実際は、SNSは多様な人が利用しており、普段関わらない多くの人が自分の発信を閲覧する可能性があることを理解しておきましょう。
人事担当者のSNSでの炎上を防止するための対策
人事担当者のSNSで炎上を防止するためには、SNSのリスクや運用方法に関する研修を定期的に行うことが有効です。一度SNS上に上がった投稿は拡散されやすく、半永久的に残ることになります。また、発信の方向性や投稿前のチェック体制など、運用方法の策定も重要です。このように、リスクや運用方法に関する研修を定期的に実施し、人事担当者の意識向上に取り組むとよいでしょう。
さらに、応募者への電話のかけ方やメールの出し方、トラブル時の対応方法などをマニュアル化しておくのもおすすめです。さらに、炎上の原因となる投稿をいち早く見つけるためには、ソーシャルリスニングでSNSを監視することが役立ちます。ソーシャルリスニングとは、SNSをはじめとするソーシャルメディアの投稿を監視・分析することを指します。ソーシャルリスニングによってネガティブな投稿を発見し、謝罪や改善策などを提示することで、企業イメージの悪化を防ぐことができるでしょう。
SNSには膨大な量の投稿があるため、手作業で収集・分析するのは時間と手間がかかります。効率的にソーシャルリスニングを実施したい方は、専用のソーシャルリスニングツールを導入するとよいでしょう。
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人事担当者の発信でSNSで炎上したときの対処法
人事担当者の発信でSNSが炎上した際には、速やかに対応を行いましょう。まずは、問題となった投稿内容をスクリーンショットなどで保存しておきます。これは、投稿が加工されて事実と異なる情報が拡散されることを防ぐためです。続いて、投稿者に投稿の経緯を尋ね、事実確認を行いましょう。
投稿に批判の声が多く寄せられている場合は、会社の公式サイトや公式SNSなどで公表・謝罪を行うなどの迅速かつ誠実な対応が求められます。謝罪後には、再発防止の対策を策定・公表しましょう。問題投稿をした本人へはもちろん、全社員にSNSリテラシー教育を行い、再発防止に取り組む姿勢が重要です。
人事担当者の炎上対策に役立つソーシャルリスニングツール
「Buzz Finder」
「Buzz Finder」は企業のリスク・炎上対策やVOC(Voice Of Customer:顧客の声)分析に活用できるソーシャルリスニングツールです。Buzz Finderには以下のような特長があります。
- X(旧Twitter)の公式全量データから直近の投稿をほぼリアイルタイムで収集・分析
- 日報やアラート自動通知により炎上への迅速な対応が可能
- X(旧Twitter)に加えInstagramやFacebook、掲示板など多様なメディア分析
- ポジネガ分析やイベント・プロモーション効果の把握など充実した機能
炎上などによりツイートが急上した際にはアラートメールがすぐに届くため、炎上へ迅速な対応ができます。また、急増時のツイート本文一覧を表示して正確な状況分析が可能となり、顧客やメディアの問い合わせに対し事前に対策を練ることも可能です。多くの企業様が、自社の炎上対策にもなる「Buzz Finder」を活用されています。以下の導入事例も合わせてご覧ください。
導入事例|情報通信サービス業 様
情報サービス業様は、以下のような課題・要望をお持ちでした。
- ネット炎上時にSNSの反応を踏まえたメディア対応に備えたい
- SNS上の顧客の声を自社のサービス改善に活かしたい
- お客様センターで炎上・トラブルの入電影響を先回りして把握したい
Buzz Finderを導入後、以下のような成果を実感されています。
- 素早い通知・レポートにより、迅速なプレスリリースや的確なメディア対応が可能になった
- SNS上のお客様の声を全社で共有でき、改善意識が高まった
- 日報でソーシャルの反応を定点把握でき、変化へ対応しやすくなった
人事担当者の炎上は企業の大きなリスク
SNSで炎上が起きてしまうと、多くの人からバッシングを受けたり、自社のイメージ・評価が下がったりなどのリスクがあります。人事担当者がSNSで発信する際には、SNSのリスクや運用方法についての研修を行うことが大切です。加えて、ソーシャルリスニングツールを活用してSNSを監視することで、炎上防止や炎上が起きた際の被害軽減も可能になります。
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