2026/1/6
ソーシャルリスク対策
SNSのなりすましの手口や対策方法を徹底解説|被害に遭った時の対処法も紹介
SNSの普及とともに、身分を偽って他人のフリをして、悪質な投稿やときには犯罪行為まで行う「なりすまし」が増加してきました。なりすましの被害に遭うのは個人だけに限らず、企業も無関係ではありません。悪質ななりすましを放置しておくと、企業のブランド価値や顧客からの信頼を損なう恐れもあるでしょう。
本記事では、なりすましの主な手口と事例、法的な問題点、被害に遭った場合の対処法などを解説します。SNSでのなりすまし対策を検討されている方は、ぜひ参考にしてみてください。
- なりすましとは、SNSで身分を偽り、他人のアカウントを不正に作成したり、乗っ取ったりして運用する行為
- なりすましの被害に遭うと、個人情報流出や誤情報の発信、詐欺による金銭的被害、被害者の精神的被害など、さまざまなリスクが生じる
- SNSでのなりすましには、名誉毀損や詐欺罪、不正アクセス禁止法違反、民事での損害賠償などの法的問題に該当する可能性がある
- なりすましの防止には、パスワードの強化や多要素認証、社内教育やガイドラインの策定、ソーシャルリスニングツールの導入などの対策がある
SNSアカウントのなりすましとは?
そもそもSNSのなりすましとは、どのような行為なのでしょうか。SNSにおけるなりすましの詳細やそのリスクを解説します。
SNSのなりすましとは「身分を偽ってSNS上で活動する行為」
SNSにおける「なりすまし」とは、身分を偽って特定の人物や企業のアカウントを不正に作成・運用し、他人や組織になりすましてSNS上で投稿などをする行為です。なりすましの対象になるのは、著名人や企業の公式アカウントから一般ユーザーまで多岐にわたります。
現在の日本では、なりすまし行為自体を規制する法律は存在しておらず、単になりすましをしているだけでは罪に問えません。しかし、なりすましに関連して名誉毀損や詐欺罪などの犯罪行為が成立する場合はあります。
SNSのなりすましによるリスク
SNSでなりすましの被害に遭うと、大きく以下のような4種類のリスクが生じます。
- 個人情報の流出リスク:偽アカウントやフィッシング詐欺を通じて、騙されたユーザーが名前やメールアドレス、電話番号、クレジットカード情報などの個人情報を盗まれる危険性。
- 金銭的被害のリスク:なりすまし広告を通じた投資詐欺などにより、高額な商品購入や投資の勧誘を受け、資金を失ってしまうケース。
- レピュテーションリスク:企業がなりすまし被害に遭った場合、偽アカウントによる不正な情報の発信により、顧客や社会からの信頼を失う恐れ。
- 精神的被害のリスク:自分の名前や顔写真がなりすましによって勝手に使用され、知らない間に悪評が広まると、被害者が強い不安感や恐怖感を感じて孤立や抑うつ状態に陥る可能性。
企業のレピュテーションリスクに関して、さらに詳しく知りたい方は、以下の記事も併せてご覧ください。
「レピュテーションリスクとは?種類・事例・対策方法を解説」
SNSにおけるなりすましの主な手口と事例
SNS上でのなりすましの一般的な手口と手順、なりすましで引き起こされるさまざまな被害の事例を紹介します。
偽アカウントを作成する
SNS上でのなりすましでは、アカウント名で身分を偽って特定の人物や組織を名乗り、ターゲットの個人情報や写真を使用して、あたかも本物そっくりのアカウントを作成するのが最も基本的な手法です。
著名人の名前とプロフィール写真を使ってファンやフォロワーを騙すケース、企業の公式ロゴやブランドイメージを使用した偽の企業アカウントを作成するケースなどがあります。ほかに、友人や家族のアカウントを模倣して本人と親しい関係を装い、信頼関係を悪用するケースも存在します。
既存のアカウントを乗っ取る
なりすましのもう1つの手法にアカウントの乗っ取りがあります。アカウント乗っ取りとは、本人以外の第三者が不正な手段でIDやパスワードを入手し、他人のアカウントに不正ログインして乗っ取ってしまう行為です。
乗っ取られたアカウントは本人になりすまして投稿やメッセージの送信に悪用され、フォロワーや友人に被害が拡大する可能性があります。
「独立行政法人情報処理推進機構(IPA)」の統計では、不正ログインの相談件数は、2023年の同時期と比べて2024年は約2倍に増加しています。
出典:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)|「情報セキュリティ安心相談窓口の相談状況[2024年第1四半期(1月~3月)]」
https://www.ipa.go.jp/security/anshin/reports/2024q1outline.html
SNSなどでアカウントを乗っ取るには、主に以下のような手法があります。
フィッシング詐欺を行う
フィッシング詐欺は、銀行や有名企業といった信頼できるソースを装ってメッセージを送り、ユーザーを偽のWebサイトへと誘導して個人情報やログイン情報、クレジットカード情報などを盗む手法です。
メッセージの内容は、セキュリティの確認や支払い情報の不備、プレゼントの当選などさまざまです。騙されていると気づかないケースも多く、本物そっくりの偽サイトに誘導されてIDやパスワードを入力してしまい、アカウントが乗っ取られる被害が発生しています。
ソーシャルエンジニアリングを行う
ソーシャルエンジニアリングは、技術的な攻撃ではなく人間の心理的な隙や信頼関係を悪用してパスワードなどの個人情報・機密情報を入手する手法です。SNSでの投稿内容やプロフィールなどの公開情報から個人情報を収集してパスワードのヒントを推測したり、本人になりすまして問い合わせを行ったりするケースもあります。
ソーシャルエンジニアリングで使われる主な手口は、以下の通りです。
- 知り合いを装ってDMを送る
- 緊急を装った連絡などで油断させ、アカウント情報を聞き出す
- 長期的なやり取りを通じて信頼関係を構築し、個人情報を収集する
著名人や企業になりすまして偽広告を出稿する
SNSでのなりすまし被害の代表的な事例としてあげられるのが偽広告です。近年、著名人や企業の名を騙った偽広告で、ディープフェイク技術を使って有名人が推薦しているように見せかけた投資詐欺広告が増加しています。
ディープフェイクは、AI技術を用いて本物そっくりの偽の動画や音声を作成する技術です。ディープフェイクを利用すれば、あたかも本人が話しているような偽の映像を作れます。
動画だけでなく音声も精巧に再現でき、英語の場合では、3〜4秒の音声データを用意するだけで一致率85%のなりすまし音声を作成可能です。最近では、大手企業の名を騙った偽のキャンペーンや、有名ブランドの偽物商品を販売する広告も横行しています。
SNSのなりすまし広告の相談件数が増加している
国民生活センターによると、2023年度と2024年度のSNSなりすまし広告に関する相談件数は、2023年度が1,629件で、平均契約購入金額は687万円です。2023年度は2022年度と比べて相談件数が約9.6倍へと急増しています。
出典:独立行政法人国民生活センター「SNSをきっかけとして、著名人を名乗る、つながりがあるなどと勧誘される金融商品・サービスの消費者トラブルが急増-いったん振込してしまうと、被害回復が困難です!-」
https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20240529_1.html
また、警察庁によると、2024年1〜3月期に全国で判明したSNS型投資詐欺は計1,700件が確認されており、前年同期の6倍以上で、被害額は計約219億3,000万円に上りました。
出典:日本経済新聞「SNS型投資・ロマンス詐欺が急増 1〜3月4.5倍で279億円」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE166Q70W4A510C2000000/
SNSのなりすましにおける法的な問題点
なりすまし行為自体は罪に問えないものの、SNS上のなりすましには、以下のような法的問題が発生する可能性があります。
- 名誉毀損
- 著作権侵害
- 不正アクセス禁止法違反
- 詐欺罪
- 民事上の責任(損害賠償の請求)
それぞれの法的な問題点を詳しくみていきましょう。
SNS上でのなりすまし被害について、さらに詳しく知りたい方は、以下の記事も併せてご覧ください。
「なりすまし」被害の例や手法とは?企業に有効な対策方法を解説
名誉毀損
名誉棄損は、公然と事実を摘示して、他人の名誉を棄損した場合に成立する犯罪行為です。なりすましアカウントを使って、本人の社会的評価を下げる投稿を行ったりすると、名誉毀損に該当する可能性があるでしょう。名誉毀損が認められると、刑法第230条により、3年以下の拘禁刑、または50万円以下の罰金が適用されます。
著作権侵害
著作権侵害とは、文章やイラストなど他人の創作した著作物を無断で利用する行為です。なりすましアカウントが本人や企業の文章や画像などを勝手に利用する行為は著作権侵害にあたる可能性があるでしょう。著作権侵害が認められると、10年以下の拘禁刑または1,000万円以下の罰金などが課せられる可能性があります。
SNSでの著作権侵害について、さらに詳しく知りたい方は、以下の記事も併せてご覧ください。
「SNSで著作権侵害になる事例とは?企業における有効な対策方法も解説」
不正アクセス禁止法違反
正式名称は「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」といい、他人のアカウントへ不正な手段で勝手にログインした場合は違反にあたります。不正に入手した他人のIDやパスワードを使ってアカウントを乗っ取り、なりすます行為は、不正アクセス禁止法違反になる可能性が高いでしょう。禁止行為が認められると、3年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金が適用されます。
詐欺罪
詐欺罪は、人から金品などを騙し取った場合に適用される犯罪行為です。なりすましアカウントを使った偽の投資広告や商品購入などで他人からお金を騙し取る行為は、詐欺罪にあたる可能性が高いでしょう。詐欺罪が認められると10年以下の拘禁刑が適用されます。
民事上の責任(損害賠償の請求)
なりすまし行為では、刑法上の犯罪行為とは別に、民法上でも不法行為に該当するため、損害賠償請求の対象になる可能性があります。なりすまし行為によって経済的な損失を受けたり、勝手な投稿や肖像権の侵害で精神的な苦痛を被ったりした場合には、加害者に対して損害賠償の請求が可能です。
SNSのなりすまし被害を防止するための対策方法
SNSでのなりすまし被害を防止するための主な対策は、以下の通りです。
- 強固なパスワードを設定する
- 多要素認証を設定する
- 適切なプライバシー設定にする
- 不用意に添付ファイルやリンクをクリックしない
- 社内教育やガイドラインの策定を実施する
- ユーザーへの情報共有を実施する
- 企業向けのソーシャルリスニングツールを導入する
それぞれの対策方法を詳しく解説します。
強固なパスワードを設定する
1つ目の対策は、強固なパスワードの設定です。なりすまし被害を防止するには、パスワードを強化するのが有効な対策になります。
強固なパスワードの主な特徴は、以下の通りです。
- 長さは最低12文字以上
- 文字列は大文字、小文字、数字、記号を組み合わせて複雑にする
- 誕生日など個人情報の利用は避ける
設定してからもずっと同じパスワードは使用せず、3か月〜半年程度で定期的に変更するようにしましょう。また、複数サイトでパスワードを使いまわすのも危険です。パスワード管理ツールを使用して、異なるパスワードを使い分けるようにしましょう。
多要素認証を設定する
2つ目の対策は、多要素認証の設定です。多要素認証は、ログイン時にIDとパスワードに加えて追加の認証要素を要求する方式で、万一パスワードが流出した場合でも不正ログインを防止しやすくなる効果的な対策です。
主な多要素認証には、以下のような種類があります。
- SMS認証:ログイン時、登録している携帯電話に送られてくるSMSの認証コードを入力する方法。比較的導入しやすいが、ターゲットの携帯電話を乗っ取るSIMスワッピング攻撃に弱いリスクもある。
- 認証アプリ:「Google Authenticator」などの認証アプリを利用して生成したコードを入力する方法。
- 生体認証(指紋・顔認証):スマートフォンやPCの機能を利用して、本人の指紋や顔を読み取り認証する方法。
- ハードウェアキー:物理的な認証デバイスを使用する方法で、最も安全性の高い認証方法の1つ。
X(旧Twitter)、Facebook、Instagram、TikTokなどの主要SNSでは、設定から多要素認証を導入できます。
適切なプライバシー設定にする
3つ目の対策は、プライバシー設定を適切にする方法です。SNSでは適切なプライバシー設定を行っておくと、なりすまし犯に個人情報を利用されるのを防止できます。
特に、なりすまし対策では、プロフィール写真や個人情報の公開範囲を友人のみに限定して、不特定多数に公開しないのが重要です。個人情報や写真を誰でも使える状態にしておくと、なりすまし犯に悪用される危険性があります。
また、位置情報の共有は無効にして、投稿する写真や動画からも個人を特定できる情報が漏れないよう注意しましょう。
不用意に添付ファイルやリンクをクリックしない
4つ目の対策として、添付ファイルやリンクなどを不用意にクリックするのは控えましょう。フィッシング詐欺を防ぐためには、不審なメールやSNSのメッセージに含まれる添付ファイル、リンクなどを安易にクリックしないよう注意するのが重要です。
安易にクリックすると、フィッシングサイトに飛ばされたり、マルウェアに感染してしまったりする恐れがあります。クリックする前に、送信元が本物かどうかを確認して、少しでも疑わしい場合は公式サイトから直接アクセスするか、送信元に直接確認してください。
また、短縮URLは元のURLが隠されているため、信頼できない送信元の場合はクリックしないようにしましょう。
社内教育やガイドラインの策定を実施する
5つ目の対策は、社内教育の徹底やガイドラインの策定です。企業アカウントのなりすましを防ぐには、従業員に対してSNSのなりすまし被害やセキュリティリスクに関する教育を定期的に実施するのが重要になります。
社内でSNSの利用ガイドラインを策定するとともに、アカウント管理のルールや情報発信時の注意点、なりすまし発見時の報告手順などを明文化しておきましょう。疑わしい動画や音声を発見した場合の連絡先や外部からの問い合わせへの対応方法など、実務レベルの手順を整備するのも効果的です。
ユーザーへの情報共有を実施する
6つ目の対策は、ユーザーへの情報共有です。企業アカウントのなりすまし防止には、企業から顧客やフォロワーに対して、自社の公式アカウントと偽アカウントの見分け方などを定期的に発信するのも重要です。
万一、なりすましアカウントが発見された場合は、ユーザーが間違ってフォローしたりしないよう、速やかに公式サイトやSNSで注意喚起を行い、被害の拡大を防ぎましょう。認証バッジ(青いチェックマーク)の有無を確認するよう呼びかけると、ユーザーが本物のアカウントを見分けやすくなります。
企業向けのソーシャルリスニングツールを導入する
7つ目の対策は、企業向けソーシャルリスニングツールの導入です。SNSをモニタリングする行為をソーシャルリスニングと呼びます。ソーシャルリスニングを導入すると、SNS上になりすましアカウントが出現した場合も早期発見・対応が可能です。
ただ、SNSの膨大な情報を手動でチェックしていると、手間がかかり、精度も低下してしまいます。ソーシャルリスニングを導入する場合は、ツールの活用がおすすめです。
SNSモニタリングツールを利用すると、自社名や商標、役員名などをキーワードに設定して、なりすましアカウントや偽広告などを早期発見できます。ソーシャルリスニングツールを導入して、SNSプラットフォームやニュースサイトの定期的な監視を行い、自社や役員に関連するなりすましや偽コンテンツを迅速に発見できる体制を構築しましょう。
ソーシャルリスニングツールやSNS監視について、さらに詳しく知りたい方は、以下の記事も併せてご覧ください。
「ソーシャルリスニングツールの選び方とは?比較のポイントを詳しく解説」
「SNS監視の重要性と具体的な4つの方法・炎上対策や対処法も解説」
なりすまし対策の今後
将来的には、現在よりもさらに進んだ、以下のようななりすまし対策が実用化されると考えられます。
- AIによる検出システムの高精度化
- ブロックチェーン技術による本人確認の活用
- 国際的な法整備の推進
なりすまし対策の今後を詳しくみていきましょう。
AIによる検出システムの高精度化
ディープフェイクへの対策として、今後、AIを利用した検出システムの高精度化が期待できます。現在、ディープフェイク検知ツールの技術開発が進んでおり、AI技術を用いてディープラーニングや画像の不自然さを検知し、偽の動画や音声を自動的に検出するシステムの精度が向上しています。
アメリカでは、GoogleやMeta、OpenAIなどの大手IT企業がAI技術の安全性・透明性確保のため、AIによる生成を識別するための技術開発を推進しており、将来的には日本でも導入される可能性が高いでしょう。
ブロックチェーン技術による本人確認の活用
ブロックチェーン技術を活用した本人確認の仕組みが開発されており、今後は改ざんが不可能な分散型台帳による確実な身元証明が実現できる可能性があります。ブロックチェーンとは、ブロックと呼ばれる単位でデータを連結して管理するシステムです。ブロックチェーンでデータを変更するには、関連する複数のデータを変える必要があるため、データ改ざんやなりすましに強い技術とされています。
ブロックチェーンを利用したデジタルアイデンティティ(データの同一性)の確立により、SNSアカウントの信頼性を証明できる仕組みの導入が期待できるでしょう。ただ、現時点では、主要なSNSへの導入について正式な発表は行われていません。
国際的な法整備の推進
ディープフェイクなどAIの不正利用に対する国際的な法整備の推進も、今後期待できるなりすまし対策です。すでに米国の一部の州(カリフォルニア・テキサス・イリノイ・ニューヨークを含む9州)では、ディープフェイクを用いた悪質な動画などの配布を刑事犯罪に規定しています。
また、欧州連合(EU)では、規模の大きなオンラインプラットフォームに対してサービスのリスク軽減などを義務づけた「デジタルサービス法」が2022年に発効しました。
日本でも生成AIやディープフェイクの悪用に対する法規制の議論が進んでおり、今後は諸外国のようにより具体的な規制が行われる可能性があります。
SNSアカウントのなりすまし被害に遭った際の対処法
SNSアカウントでなりすまし被害に遭った場合の対処法を以下の5つに分けて解説します。
- 初期対応
- SNSプラットフォームへの削除申請
- 法的手続き
- 被害者への回復支援
- セキュリティ対策
初期対応を行う
なりすましの被害に遭った場合には、以下のような初期対応が必要です。
- 証拠を保全する
- 関係者に注意喚起する
- ユーザーへのサポート体制を強化する
なりすましの初期対応を詳しく解説します。
証拠を保全する
はじめに、なりすましの証拠を保全します。なりすましの被害に遭った際には、なりすましアカウントや投稿のスクリーンショットを撮影して、URLや投稿日時、内容などを記録するのが重要です。加害者が投稿を削除してしまう可能性があるため、後からでも被害の事実や内容などを証明できるよう、消される前に早急に証拠を保全しなければなりません。
なりすましの証拠は、法的措置や削除申請の際に必要です。投稿だけでなく、コメントやDMのやり取り、取引記録など、なりすましに関するメッセージはすべて証拠として保存しておくことをおすすめします。
関係者に注意喚起する
続いて、関係者への注意喚起を行ってください。なりすまし被害が発覚したら、知り合いなどが騙されて被害に遭わないよう、速やかにフォロワーや取引先、友人などの関係者に偽アカウントの存在を知らせるのが大切です。
ファンや一般のフォロワーに対しては、公式サイトやSNS、メール配信などで注意喚起を行い、偽アカウントからのメッセージや金銭要求に応じないよう呼びかけます。被害の拡大を防ぐため、なりすましの事実が確認できたら、できるだけ早い段階で広く周知すると効果的です。
ユーザーへのサポート体制を強化する
なりすましで被害に遭う人も想定されるため、ユーザーサポート体制の強化も重要です。なりすまし被害で混乱しているユーザーからの問い合わせが多く寄せられると想定されるため、対応できるよう専用の相談窓口を設置しましょう。
また、公式サイトにFAQページを作成して、偽アカウントの見分け方や被害に遭った場合の対処法を分かりやすく案内するのも大切です。二次被害を防いで、なりすましの悪影響を最小限に抑えるため、ユーザーが不安を感じた際、すぐに相談できるサポート体制を迅速に整備する必要があります。
SNSプラットフォームに削除申請を行う
なりすましアカウントや投稿を発見した場合、各SNSプラットフォームが用意している報告・削除申請フォームから削除要請が可能です。ただ、削除されるまでには数日から数週間ほど時間のかかる場合があるため、並行して他の対策も進める必要があります。各SNSプラットフォームでの削除申請の方法を詳しくみていきましょう。
X(旧Twitter)の申請方法
X(旧Twitter)では、ヘルプセンターの専用フォームからなりすましの報告や投稿の削除申請が可能です。ヘルプセンターの項目のなかから「Xにおける信頼性」を選択してください。「どのような問題がありますか?」の質問に「X上でのなりすましに関する報告があります」を選択して、被害者やなりすましを行っているアカウントなど詳細な情報を入力していきます。
申請時には、本人確認のため、免許証やパスポートなど公的機関発行の身分証明書が必要です。通常は、申請後、24〜72時間以内で審査結果が通知されます。
X(旧Twitter)「ヘルプセンター」
https://help.x.com/ja/forms
Facebookの申請方法
Facebookでは、なりすましアカウントのプロフィールまたは専用フォームから報告が可能です。なりすましアカウントのページまたはプロフィールで「…」(オプション)から「サポートを依頼」または「プロフィールの報告」を選択してください。画面の指示に従い、必要な情報を入力します。
ただ、ページやプロフィールからの報告にはFacebookのアカウントが必要です。アカウントをもっていない場合は、専用フォームからでも削除申請が行えます。
Facebook「なりすましアカウントを報告」
https://www.facebook.com/help/contact/295309487309948/
Instagramの申請方法
Instagramでは、アプリの場合、なりすましアカウントのユーザー名の横にある「オプションから「報告」を選び、「このアカウント全体」→「他の人になりすましている」を選択し、手続きを進めてください。
Instagramのアカウントをもっていない場合は、専用フォームからでも報告が可能です。
申請時には、本人確認のため身分証明書が必要で、さらに、なりすましアカウントとの比較画像の提出を求められるケースもあります。
Instagram「Report an Impersonation Account on Instagram or Threads」
https://help.instagram.com/contact/636276399721841
TikTokの申請方法
TikTokでは、「共有(シェア)」ボタンから「報告する」を選び、「アカウントを報告する」のなかから「偽装・なりすまし」を選択して削除申請を行います。なりすましアカウントのプロフィールページからでも同じように申請が可能です。
TikTokでは、国や地域によって対応基準や報告のルートなどが異なるケースがあるため、申請の際は注意してください。報告内容によって手続きの方法が変わるので、公式のヘルプセンターで調べてから行動すると良いでしょう。
TikTok「なりすましアカウントを報告する」
https://support.tiktok.com/ja/safety-hc/report-a-problem/report-an-impersonation-account
法的措置の手続きを進める
SNSでのなりすまし被害に対しては、刑事と民事の両方から法的手続きが可能です。刑事告訴・民事訴訟それぞれの法的手続きの進め方を解説します。
発信者開示請求で犯人を特定する
法的手続きを行うには、はじめになりすましの犯人を特定する必要があります。「プロバイダ責任制限法」では、違法な投稿などの被害を受けた場合、「発信者情報開示請求」により、プロバイダに対して投稿を行ったユーザーの個人情報(住所・氏名など)開示を請求可能です。法的手続きは、基本的に匿名の相手には行えません。開示請求が認められるとなりすまし犯を特定できるため、刑事告訴や損害賠償請求が可能になります。
ただ、プロバイダでのユーザー投稿のログは保存期間が限られているため、法的手続きをとる際には、できるだけ早く開示請求をしましょう。開示請求には複雑な手続きが必要になるため、弁護士に相談して進めていくのが一般的です。
刑事告訴の手続きを行う
なりすまし行為により、名誉毀損、詐欺、不正アクセス禁止法違反といった刑法などに定められた犯罪行為が成立する場合には、警察に被害届や告訴状を提出して刑事告訴が可能です。
告訴が受理されると警察による捜査が開始され、犯人の逮捕や刑事処罰につながる可能性があります。刑事告訴の手続きを進める場合は、証拠資料を整理したうえで、弁護士と相談しながら告訴状を作成します。
民事訴訟による損害賠償請求を行う
なりすまし被害により受けた精神的苦痛や経済的損失に対しては、民事訴訟を提起して損害賠償を請求できます。法的手続きでは、刑事と民事は別に扱われるため、刑事告訴と同時に民事訴訟も可能です。
請求できる慰謝料の額は被害の内容や規模によって異なり、名誉毀損やプライバシー侵害などの不法行為が認められれば裁判所から賠償が命じられます。なりすましによる慰謝料は、被害者が個人と企業のケースで異なり、個人では10~50万円、企業なら50〜100万円程度が相場です。ただ、経済的な損失や被害の内容によっては、より高額な賠償が認められるケースもあります。
被害者の回復支援を実施する
SNSでのなりすまし被害は精神的なダメージが大きいため、被害者の心のケアや相談先を知っておくのが重要です。なりすましにより、個人情報が晒されたり、悪評が広まったりすると、被害者に深刻な心理的悪影響をおよぼす場合もあるため、積極的なサポートが必要になります。
被害者支援にあたっては、公的機関や専門機関のサポートを利用するのも有効です。国民生活センターや各都道府県の消費生活センターでは、なりすまし被害に関する相談を受け付けています。心理的なサポートについては、SNS被害専門のカウンセリングサービスなども利用可能です。また、法的対応に関しても日本弁護士連合会や弁護士に相談すれば、専門的なアドバイスを受けられます。
原因の分析とセキュリティ強化を実施する
なりすまし被害への対応とともに、今後同様の被害が起きないよう、原因の分析とセキュリティ強化を実施しましょう。なりすましによって発生した被害の内容や被害の規模、発生原因や対応などを分析・評価して改善策や再発防止対策を考えていきます。セキュリティの強化には、パスワードの強化や多要素認証の導入、プライバシー設定の見直しなど、具体的な対策を講じることが大切です。
また、実施後は、定期的にリスク評価や施策の見直しを行い、改善点がないかを検討すると、継続的にセキュリティの安全性を確保できるでしょう。ほかに、怪しいメッセージやリンクはクリックしないなど、組織全体のセキュリティ意識を高めるのも効果的です。
SNSのなりすまし対策をサポートするNTT コムオンラインの「ソーシャルリスニングサービス」
「ソーシャルリスニングサービス」とは、X (旧Twitter)などのSNSやブログ、掲示板、レビューサイトなどの投稿を収集・分析してマーケティングやブランディングに活用するサービスです。ソーシャルリスニングを利用すれば、SNS上の投稿を監視して問題を早期に発見できるようになるため、リスク対策にも役立ちます。
SNSの投稿は短時間で拡散するため、なりすましに遭った場合も被害が拡大しやすいのが特徴です。しかし、ソーシャルリスニングサービスなら、日本だけでなく海外も含め、X(旧Twitter)の膨大な投稿を全量データで監視できるため、トラブルが起きた場合にも瞬時に検知できます。
万一、なりすまし被害が起こっても、早期に発見・対処が可能です。被害や周囲への影響を最小限に抑え、企業をソーシャルリスクから守ります。
導入事例|情報通信サービス業 様
ある情報通信サービス業の会社様では、ネット上やSNSでのトラブルの早期発見・把握や炎上時などにおけるSNS上での反応を踏まえたメディア対応を目的として、ソーシャルリスニングサービスの導入を決めました。
導入後は、平時からSNSの投稿・反応を日報で把握するようになり、お客様センターの対応力が向上。さらに、リスク通知とレポートにより、的確なメディア対応やプレスリリースが可能になりました。
導入事例:情報通信サービス業 様
SNSのなりすましに関するFAQ
SNSのなりすましに関する以下の質問に回答していきます。
- SNSのなりすましは犯罪になりますか?
- SNSのなりすましを見分けるコツはありますか?
- なりすましアカウントの削除はすぐにできますか?
- なりすましが発覚した場合は警察に相談した方が良いですか?
- 企業のなりすましアカウントを見つけた時はどうすれば良いですか?
- なりすまし被害の慰謝料の目安はどのくらいですか?
SNSのなりすましは犯罪になりますか?
SNSでのなりすまし自体を犯罪とする法律はありません。ただ、なりすましアカウントで誹謗中傷を行ったり、他者のアカウントに無断でアクセスしたりした場合は、名誉毀損罪や不正アクセス禁止法違反などの犯罪行為にあたる可能性があります。
SNSのなりすましを見分けるコツはありますか?
なりすましかどうかを見分けるには、認証バッジの有無を確認すると良いでしょう。また、最近作成されたアカウントにも注意する必要があります。ほかにも、投稿数やフォロワー数が不自然に少ないなど、長く使われてきた形跡のないアカウントはなりすましの可能性が高いといえるでしょう。
なりすましアカウントの削除はすぐにできますか?
SNSプラットフォームに削除申請を行っても、審査に数日から数週間かかる場合があります。通報してすぐ削除されるケースは少ないでしょう。ただ、権利侵害が明白な場合は対応が速い傾向にあります。
なりすましが発覚した場合は警察に相談した方が良いですか?
詐欺や脅迫などの犯罪行為が伴う場合は警察への相談が推奨されます。スクリーンショットなどで証拠を保全したうえで、最寄りの警察署やサイバー犯罪相談窓口などに相談してください。
企業のなりすましアカウントを見つけた時はどうすれば良いですか?
該当企業の公式窓口に通報するとともに、SNSプラットフォームにも報告を行ってください。なりすましアカウントの投稿はスクリーンショットにして証拠を保存しておきましょう。また、ほかのユーザーが被害に遭わないよう、周囲に偽アカウントの存在を周知するのも推奨されます。
なりすまし被害の慰謝料の目安はどのくらいですか?
なりすましに対する慰謝料の金額は、被害の内容や規模によって大きく異なるため、一概にはいくらとはいえません。法的手続きを通じて、名誉毀損やプライバシー侵害の程度、被害の継続期間、社会的影響の大きさなどが考慮のうえで決められます。
SNSのなりすまし防止対策を実行しよう
SNSでほかのユーザーの身分を偽るなりすましは、個人情報の流出や誤情報の拡散だけでなく、金銭的な被害が生じる場合もあります。名誉毀損や詐欺罪などにあたるケースもある大きなリスクです。悪質ななりすましを放置しておくと、企業のブランド価値やユーザーからの信頼を低下させる恐れもあります。なりすまし被害を防止するためにパスワードの強化や多要素認証の設定などと共に、ソーシャルリスニングサービスを利用した対策を実行しましょう。
NTTコムオンラインのソーシャルリスニングサービスは、X(旧Twitter)の全量データを収集・分析でき、ソーシャルリスク対策に有効です。なりすまし対策をお考えの方は、ぜひ導入をご検討ください。
以下のリンクから問い合わせ・見積もりが可能です。
https://www.nttcoms.com/service/social/
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