導入事例

孤軍奮闘のマーケ部必読、
NTT東日本がBtoBデジマを全社拡大させた“ある手法”

東日本電信電話株式会社様

東日本電信電話株式会社 ビジネスイノベーション本部 マーケティング部 プロモーショングループ (左から)上石 瑞季氏、増井 美里氏、北村 理奈氏

東日本電信電話株式会社 ビジネスイノベーション本部 マーケティング部 プロモーショングループ
(左から)上石 瑞季氏、増井 美里氏、北村 理奈氏

ビジネスのオンライン化が加速し、ウェビナーやオンライン相談会などのマーケティング施策が世に溢れている昨今。「情報を発信さえすれば、見込顧客の目に留まる」という状況ではなくなっています。

東日本電信電話株式会社(NTT東日本)も例外ではありません。2016年からBtoB企業向けのオウンドメディアBiz Driveを運営するビジネスイノベーション本部マーケティング部プロモーショングループでは、「webチャネルによる販売機会の最大化」をテーマに、新たなデジタルマーケティング戦略を、NTTコムオンラインとのパートナーシップにより模索しています。その取り組みについて、ビジネスイノベーション本部マーケティング部の増井氏、上石氏、北村氏(以下、敬称略)に、コンテンツ発信の方針から、その裏側にある背景や手法、今後の展開までお話をうかがいました。

聞き手:NTTコムオンライン デジタルマーティング部 BtoBマーケティング担当

Biz Driveトップページ

Biz Driveとは

ビジネス課題を「ICTによっていかに解決するか」というコンセプトのもと、ビジネストレンドや業界有識者によるDX動向、NTT東日本社員のICT活用のヒントなどをニュースレター形式のメールマガジンで発信。2016年の立ち上げから成長を続け、メールマガジン会員約31万人を抱える。
https://bizdrive.ntt-east.co.jp/

ホットリード数が150%達成でも、不十分!?

― 本日はいつものプロジェクト定例会と違い、実施した施策の振り返りとなりますが、よろしくお願いします。はじめに御社マーケティング部の役割について改めてお話いただけますでしょうか。

増井:私たちが所属するビジネスイノベーション本部は、東日本エリアの法人のお客さまを対象に、ネットワークをはじめとするICTサービスを提供しています。昨今では、AIやRPA、5Gなどの先端技術によるソリューションを展開し、スマートシティや地方創生、医療、農業といった分野でのデジタル活用を支援しています。

マーケティング部プロモーショングループは、BtoB領域におけるデジタルマーケティングの全体戦略を設計し、全社的な実行をハンドリングしていく立場です。そのための実務として、組織を横断したマーケティング施策立案、そのためのコンテンツ企画・制作、MA(マーケティングオートメーション)運用、インサイドセールスや営業部門との連携、効果測定、パートナー企業の統括まで多岐にわたります。

ビジネスイノベーション本部 マーケティング部 プロモーショングループ 増井 美里氏

― Biz Driveの運営に、弊社も2016年の立ち上げから関わらせて頂いていますが、御社のデジタルマーケティング施策において、コンテンツ発信の方針も少しずつ変化しているように思えます。

上石:そうですね。立ち上げから数年前までは、自社の商材にとらわれずビジネスに役立つ情報を発信することで、「顧客との継続的なコミュニケーションをとっていく」ことを主眼に置いていました。WordやPowerPointの操作ハウツーといった幅広いビジネスパーソンに有用なコンテンツも配信することで、メールマガジンの会員を増やすといった集客施策の比重が大きかったです。

そういった中で、マーケティング活動のKPIとしては、「テレワーク」や「情報セキュリティ」といったICTに関わる特定ジャンルについて情報を収集しているユーザーをMAによって発見したら、自社商材へのニーズが見込まれる「ホットリード(MQL)」としてインサイドセールスに送客。メディアとしての集客力とコンテンツのバリエーションを武器に、ホットリード数は毎年、目標値の150%達成を続けてきました。

しかし、ビジネスのオンライン活用が広がり、デジタルマーケティングに注力する企業が増えていく中で、集客・送客だけでなく、商談や受注を生み出していくという役割も期待されるようになっていきました。

ビジネスイノベーション本部 マーケティング部 プロモーショングループ 上石 瑞季氏

― 弊社がご支援をしている企業でも、コーポレートサイトに商材ランディングページ(LP)やダウンロード資料などを拡充して、マーケティング機能を強化するケースが増えています。

北村:弊社でもそういった動きは活発になっています。具体的には、コンテンツ配信を通じたナーチャリングの精度を高め、ニーズが顕在化している見込顧客をタイムリーに把握することで、インサイドセールスがよりお客さまと会話をしやすい状態をつくることです。それによって、デジタルチャネルを起点とした案件化の拡大を目指しています。

そのためには、マーケティング、インサイドセールス、営業と、組織を一気通貫した情報連携や目標設定が必要となります。弊社では各組織の規模が大きいこともあり、これまでそういった取り組みをしきれないケースも多かったため、2021年に部署を横断してデジタルマーケティングを推進する「バーチャルチーム」というプロジェクトを立ち上げ、取り組みを強化しました。

ビジネスイノベーション本部 マーケティング部 プロモーショングループ 北村 理奈氏

どんな企業にも当てはまる情報は、どんな企業も興味を持ってくれない

― そういった中で、昨年度は製造・建設・小売・自治体という御社の注力分野に対して、MAによって特定ターゲットにメールを出し分ける「業種別シナリオメール施策」をご提案しました。採用を頂いたポイントはどのあたりにあったのでしょうか?

増井:もともと、メールマガジンの会員は業種別にセグメント分けされていますが、それぞれのセグメントに最適化した内容のコンテンツを定常的には配信できていませんでした。

しかし、コロナ禍をきっかけとして、多くの企業がウェビナーやオンライン相談会といったデジタルマーケティングに注力しはじめたことで、どの分野や業種、企業規模にも当てはまるような情報を発信しても、埋もれてしまうことを懸念するようになりました。仮に、反応頂いたとしても、商談や受注につながるような顧客固有の「課題感」や「ニーズ」を把握するには情報が足りません。

コムオンラインからの「業種別シナリオ施策」の提案は、ユーザー属性に合わせたコンテンツの作り分けとMAによるメール配信の手法がパッケージ化されており、実績も豊富だったことが採用のポイントになりました。

業種別シナリオメールの概要

業種別シナリオメールの概要

  • 業種特有の課題や解決策を提示するコンテンツをセグメントされた業種ごとにメール配信
  • 未反応層には、切り口の異なるテーマでメールを再配信しクリックを促進
  • ニーズ顕在層がアクションしやすいようメールにはライトコンバージョンとしてダウンロード資料への導線も設置。メールアクションから顧客のニーズ度合いを検知できる仕組みを採用

― 業界別のシナリオコンテンツ制作にあたり、カスタマージャーニーマップ作成→複数切り口のコンテンツ企画提示→原稿執筆、という流れで実施しました。単発でのコンテンツ制作よりも工程が増え、確認の手間もあったかと思います。このあたりの進め方についてはいかがでしたでしょうか。

上石:カスタマージャーニーを最初に作成したことで、「想定ターゲットがどのようなフェーズを経て、商材を認知し、検討し、導入するのか」を可視化して、関係者間で共有することができたのは良いポイントでした。

これまでのように単発でコンテンツを作成するのに比べて手間は増えましたが、「どの切り口が刺さりそうか」という優先順位をつけながら、異なった切り口によるコンテンツを制作するやり方は、シナリオの精度を高めるという意味では納得感がありました。

― メール配信では、MAで自動配信プログラムを組みました。配信シナリオの全体設計や個別の設定についても幾度か協議をさせて頂きましたが、このあたりの弊社のコンサルティングについてはいかがだったでしょうか?

北村:コンテンツの出し分け自体は一見シンプルでしたが、「Aメールに反応したら●日後にBメールを自動送信する」「Aメールを読まなかったら●日後にCメールを配信する」「休日は除外する」など、その裏側のMAでのプログラム設定は複雑で、関係者間の意思疎通に苦労した部分がありました。そういった状況でもコムオンラインから専門的な内容をかみ砕いた説明でサポートをいただいたことで、施策を円滑に実施できたのはありがたかったです。

メール配信から1カ月で受注した例も

― 今回の施策では、1商材につき約2週間で終了するシナリオを配信しました。結果も踏まえて振り返っていただけますでしょうか。

増井:今回、配信するメールや誘導先LPに資料ダウンロードできるコンバージョンポイントを設け、資料ダウンロードいただいたユーザーをインサイドセールスにトスするというレギュレーションを弊社内で組みました。

アウトバウンドコールで商材へのニーズや課題についてヒアリングできた見込顧客については、フィールド営業にパスした結果、複数の商談につながりました。シナリオによって傾向の違いはあるものの、総じて商材へのニーズ顕在層が多く、メール配信から1カ月足らずで受注にいたったケースもあります。

上石:配信結果の振り返りもしやすかったです。たとえば、メールAでは「業務効率化」、Bでは「人材不足」など複数の切り口で計画的にコンテンツを配信したので、最終的に受注にいたらなくても「●●業でいま、人材不足の切り口の方が、反応率がいい」など、次につながる分析ができました。

さらに、コラムだけでなく資料ダウンロードへの導線も設けたため、「コラムを閲覧して資料ダウンロードした人は、システム部門のユーザーが多い」「いきなり資料ダウンロードをした人は経営層など決裁者が多い」など、アクセスログからもう1歩踏み込んだ顧客像の考察をすることができました。そういった情報をインサイトセールスとも連携できたことが、短期間で商談や受注につながった理由の一つと考えています。

シナリオメールの成果が、組織をこえたデジマの活性化につながっている

― 2022年度は、製造、建設、小売に特化した新たなLP制作もお手伝いをさせていただいています。御社がテーマとされていた「組織横断でのデジタルマーケティング」が広がっているように思えます。

増井:そうですね。業種ごとでニーズを切り分けたメッセージの発信によって、資料ダウンロードなどのコンバージョンや商談、受注にいたったというファクトを得られたのは、社内でデジタルマーケティング施策を連携するうえで大きな一歩となりました。

これまでLPをつくるときはサイトを立ち上げること自体が目的になることが多かったのですが、今回はコムオンラインのサポートにより、企業目線からの営業提案資料の情報を、顧客目線のカスタマージャーニーに置き換えて、LPに反映することができています。

上石:他組織と施策を検討するときにも「シナリオ施策のこんな方法で成果が出たよ」と話をすることで「自分たちもやってみよう」と前向きに話が進むケースも増えました。マーケティング部門と事業部門の連携が強化され、「デジマで一緒に成果を生み出そう」という機運が高まったと思います。

― 最後に、今後コムオンラインに期待すること、ご要望があればお聞かせください。

北村:LP制作では、私たちプロモーショングループと他部署との打ち合わせにも積極的に参加いただいていますが、顧客の目線に立って「情報をどう整理したらよいか」という意見を発信してくれるので、マーケティングと営業現場の意図が上手く調和した内容になったと感じます。コンオンラインは、弊社のほかにもさまざまな業種の企業を支援しているので、私たちだけでは気が付かない視点からのアドバイスを今後も期待しています。

増井:2022年度は、Biz Driveとコーポレートサイトとの連携強化をより進めていきます。オウンドメディアとコーポレートサイトを横断した施策やレポーティングの手法についても実績をお持ちなので、そういった提案も期待しています。

上石:BtoBデジタルマーケティングは業種などユーザーのニーズで、これからますます細分化していくと考えています。そういった中でいかにリピーターを増やすか、Webサイトにとどまらずコミュニティ運営なども含めたメディアやコンテンツの在り方についても議論していければと思います。

― ご期待に沿えるようがんばります。本日はありがとうございました!

NTT東日本会社ロゴを背景にするプロモーショングループの3人

本施策におけるNTTコムオンラインの支援範囲

全体戦略
  • 業種ごとでの商材分析
  • カスタマージャーニーマップ作成
  • タッチポイント設計(メール、CV、SEO
  • 業種別デプス調査、Webアンケート
コンテンツ制作
  • 業種別コラム作成
  • 導入事例ホワイトペーパー
  • 業種別コンテンツSEO
MAコンサルティング
  • 業種別ターゲットリスト作成
  • MAメール配信シナリオ設計、実装
サイト改善
  • UI設計(CVバナー設置、表示タイミング調整)
  • アクセス解析設計(GA×MAによるデータ取得、タグ管理)
効果測定
  • レポーティング(メール反応、ABテスト、ユーザー分析、SEO自然流入傾向等)
  • PDCA(施策結果とデプス調査、webアンケートから業種別LPワイヤーフレーム、課題別シナリオ、コンテンツSEOの提案等)

お客様プロフィール

東日本電信電話株式会社

https://business.ntt-east.co.jp/

※ 記載内容は2022年11月現在のものとなります。

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