2022/10/18

オウンドメディアの作り方、立ち上げまでの検討項目と成果を挙げるコツ

SNSやEC(電子商取引)の普及によって、顧客の購買行動がインターネットを通じて行われることが増えてきています。企業のマーケティング活動も同様に、デジタル領域に重点が移りつつあります。企業がコラム記事やダウンロード資料、動画などを配信して行う「コンテンツマーケティング」において、情報発信のハブとなるのが「オウンドメディア」です。

ここでは、実際に立ち上げ前の検討事項やコンテンツ制作時の注意事項、さらに運用時のポイントなど、「オウンドメディアの作り方」を具体的に解説。さらに、オウンドメディア制作を外部の制作会社に依頼するとき、どのような点をチェックするべきかについても紹介します。

オウンドメディアとは?

オウンドメディアとは、企業がコンテンツマーケティングを実践する上で重要となる「トリプルメディア」の1つです。

トリプルメディアとは、オウンドメディア、ペイドメディア、アーンドメディアの3つです。

オウンドメディア(Owned Media)は、企業が自社で保有する(Own)メディアのことで、多くの場合Webサイトや自社ブログなどが当てはまります。パンフレットや広報誌などの紙媒体もオウンドメディアに分類する場合があります。費用を払って広告掲載をする「ペイドメディア(Paid Media)」、SNSでユーザーがそれぞれ発信する「アーンドメディア(Earned Media)」と合わせて、企業のデジタルマーケティングの核となります。オウンドメディアはほかの2つと比較して、自社が発信したい内容をコントロールしやすい点と、一度制作したコンテンツが資産となって残り、継続的にマーケティングの成果を得ることができる点が異なります。

オウンドメディアを制作する前に決めること

オウンドメディアを制作する目的を決める

オウンドメディアを制作するときにまず決めておきたいのが、「なんのためにオウンドメディアを制作するのか」です。たとえば、「購買プロセスに応じたコンテンツを掲載して商談創出をめざす」「商材に関連する情報を読みやすいコラム記事として発信して、サービスサイトに送客する」「自社の事業領域に関連する専門的なコンテンツを掲載・集積することで、当該分野における自社のブランド力を向上する」などです。

オウンドメディアの制作・運営には、コンテンツの制作以外に、Webサイト構築やアクセス解析、マーケティング目線でのPDCAなど、さまざまな要素が含まれます。要素の多さに伴って関係者の数も増える傾向があるので、制作目的を明確にしておくことは関係者の目線と認識を一致させ、政策と運営をスムーズに進めることにつながります。

オウンドメディアのターゲットを決める

次に重要なのは、オウンドメディアが対象とするターゲットを決めることです。「なるべく多くの人に向けて発信して、なるべく多くの反応・効果を引き出したい」というように、ターゲットを設定せずにオウンドメディアを制作すると、掲載するコンテンツの内容がバラバラになってしまいます。ある程度方向性を定めておかないと、無駄なコンテンツ制作に費用を割くことになり効率的ではありません。

気を付けておかなければならないのは、「すべての人に刺さるコンテンツ」の制作には、経験と予算、さらに制作時間が必要だという点です。担当者がすき間時間を使って出した企画案に対して、広告会社が巨大な予算を背景にリサーチを実施し、著名なクリエイティブディレクターをアサインして出てきた企画案と同じ成果を求めるのはナンセンス以外の何者でもありません。

まず自社商材の顧客はどういう層か、顧客になりそうなのはどういう人たちか、という考察から逆算して、オウンドメディアのターゲットを定めましょう。さらに、競合他社がどのようなターゲットに向けて情報発信を行っているかをリサーチすると、自社のターゲット設定についての客観的な指標として活用できます。

ターゲットがどのような情報に触れて、自社商材に対する態度がどのように変わって商談につながるのかという一連の流れがまとまったら、「カスタマージャーニーマップ」として関係者間で共有しておくとよいでしょう。

オウンドメディアの種類を決める

オウンドメディアというと、社外向け広報誌をWebサイトに置き換えたような体裁を想像する人が多いかもしれませんが、この限りではありません。ブログだったり、SNSだったり、メールマガジンだったり、種類はさまざまです。このなかで、自社のマーケティング目的に合致したオウンドメディアの種類を考慮する必要があります。もちろんどれかひとつに限定する必要はありません。コラム記事をWebサイトに掲載し、その内容をメールマガジンで告知して、ダウンロード資料やウェビナーに誘導する、というように、複数のメディアを組み合わせることが効率的な場合もあります。かつては「コラム記事発信による集客サイト」という位置づけで捉えられることが多かったオウンドメディアですが、最近は「企業のデジタルマーケティングに用いるコンテンツを集積する情報プラットフォーム」として活用する例も増えています。

オウンドメディアの作り方(Webサイトの場合)

サーバー・ドメインを用意する

自社のオウンドメディアをWebサイトで公開する場合は、サーバーやドメインなどの準備が必要です。

サーバーは、Webサイトの情報を収納する場所です。すでに自社サイト用に契約しているサーバーがあれば、流用することも可能です。ただし、オウンドメディアを収納する容量が足りているか、今後必要な容量を確保できるかといった点は要確認です。

ドメインは「○○○.jp」のように、わかりやすいURLで自社の情報を発信する、いわばインターネットの住所のようなものです。

すでに自社サイトのドメインで情報発信を行っている場合は、その中の1ディレクトリをオウンドメディア用に割り当てることも可能です。もしオウンドメディアのために自社サイトとは別のドメインを用意する場合は、ドメインを取得しなければなりません。

ドメインの取得は基本的に「早い者勝ち」です。また、ドメインの名称や人気度、トップレベルドメイン(ドメインの最後の「.com」や「.jp」など)によって、ドメイン取得代行業者への支払価格が変わってきます。

Webサイトを制作する

オウンドメディアをWebサイト上で実現する場合、どのような業務フローで更新していくかを考える必要があります。発信するべき情報が出てきた時点で更新すればよい自社公式サイトと異なり、オウンドメディアは定期的・継続的に情報を発信する必要があるからです。

公式サイトより更新頻度が高くなる点を考慮した場合に候補に挙がるのが、CMSの導入です。CMSとは「Contents Management System」の略で、よく知られているCMSとしてはWordPressが挙げられます。WordPressはもともとブログのためのCMSツールですが、拡張性の高さが評価されて、いまではブログ以外のさまざまなWebコンテンツを発信できるシステムとして幅広く活用されています。

メールマガジンで情報発信を行う場合は、MAツールの導入も検討したいところです。MAとはマーケティング・オートメーションの略で、デジタルマーケティングに必要な情報発信を自動化できるツールです。「ページAを閲覧した人に、メールBを送る」というようなシナリオを設定することで、情報発信の手間を省いて効率的に情報を発信することが可能になります。

オウンドメディアに掲載するコンテンツの作り方

企画案の作成

オウンドメディアを通じて情報を発信する仕組み作りと同じく重要なのが、発信するコンテンツの企画です。オウンドメディアにどのような内容のコンテンツを掲載するのか、オウンドメディアの目的に合致し、かつターゲットの関心を引く内容になるようはどんなものか、複数のチャネルで情報発信を行う場合は、どのタイミングにどの内容を掲載するかといったことも検討しなければなりません。

企画案に必要なのは、「どんな情報」を「どんな切り口」でコンテンツ化するのかという点と、「そのコンテンツに触れたユーザーにどうしてほしいのか」という点です。

このどちらが欠けていても、オウンドメディアに掲載するコンテンツとしては適切ではありません。とくに企画の切り口や面白さを重視すると、「ユーザーにどうしてほしいのか」という点が考慮されなくなる傾向があります。オウンドメディアのそもそもの目的がなんなのか、コンテンツの企画がその目的に合ったものなのかは、意識的に振り返るようにするとよいでしょう。

SEOキーワードの選定

メールマガジンでの告知や、ディスプレイ広告の出稿など、オウンドメディアへ集客する方法はいくつかあります。そのなかでもコンテンツ作りに大きく関係しているのが、Googleをはじめとする検索エンジンからの流入(自然検索流入)です。

検索順位が上位に表示されるほど多くクリックが得られるので、自然検索流入数は多くなります。上位表示によって自然検索流入数を増やしたい(SEO、Search Engine Optimization)場合は、上位表示を狙う検索キーワードの選定や、ターゲットとなるユーザーが検索しそうなキーワードを調べてコンテンツに盛り込むことなどが必要になります。

ただし、選定したキーワードを盛り込んだ記事を作ったからと言って必ず上位表示されるわけではありませんし、多くの人が検索するビッグワード(ダイエット、自動車保険など)は競合が多く、後発のWebサイトが上位表示を狙うのは簡単ではありません。また月間検索数(キーワードが1カ月間に検索された回数)より多くの流入を得ることもできません。自社の事業やオウンドメディアの目的、他のチャネルからの流入とのバランスも考えて計画するようにしましょう。

コンテンツ制作

オウンドメディアの目的や方向性が固まり、サーバーやドメインなどの問題が解決できたら、いよいよコンテンツ制作です。オウンドメディアのコンテンツは、用意しておいた企画案や上位表示を狙うキーワードをもとに記事を制作します。外部の制作会社やスタッフにコンテンツ制作を依頼する場合や、社内でも複数人でコンテンツを制作する場合は、用字用語の統一、文体や使用するイラストなどのトーン&マナーを事前に決定し、共有しておくと制作後の確認作業がスムーズになります。制作したコンテンツは、CMSなどで公開する前に、可能な限り制作者以外にも内容をチェックしてもらうようにしましょう。

効果検証

オウンドメディアでコンテンツを公開した後には、Google Analyticsなどのアクセス解析ツールなどを活用して、どのコンテンツがどの程度閲覧されているかなどの効果検証を行う必要があります。

閲覧数が多かったコンテンツ、自然検索が多かったコンテンツ、自社サイトへの回遊が多かったコンテンツについては内容を分析し、得られた仮説や知見を次回制作するコンテンツに活かします。

逆に、閲覧数が低かったり、流入が伸びなかったなど、想定と異なる結果を得たコンテンツについても、何の影響でそのような結果になったのか原因を探り、必要に応じてコンテンツの改修を行います。

オウンドメディアの制作は内製? 外注?

オウンドメディアを立ち上げる際の重要な検討ポイントが、「内製するか、外注するか」という点です。社内にオウンドメディア制作のノウハウがあれば、一般的に内製のほうがコストは抑えられます。ただしノウハウがあったとしても、オウンドメディア制作に社内リソースを確保しなければ、自社の本来業務に影響を与えます。

社内にオウンドメディア制作のノウハウがない場合や、あってもリソースを割り当てられない場合は、外部に制作を依頼することになります。外部へ依頼することによって費用は発生しますが、制作会社のノウハウを生かした高いクオリティのコンテンツが社内リソースを消費することなく得られることは大きなメリットです。もちろん、外注する場合は費用だけでなく、その制作会社にどの程度オウンドメディア運営の実績があるか、コンテンツ制作のキャパシティはどの程度かなどを確認しておきましょう。

オウンドメディア制作の分野では、NTTコムオンラインには長年の実績があります。立ち上げのコンセプトや方向性の策定から、企画の提案、制作、分析、改善提案まで一気通貫でサポートすることが可能です。

まとめ

オウンドメディアの作り方のポイントは、サーバーやドメインなどの環境構築と、「どんなコンテンツを作って」「誰に伝えて、どうしてほしいか」というコンセプト策定のふたつに分けられます。それぞれ社内にノウハウやリソースがある場合は内製で、ない場合は外注することを検討しましょう。どちらの場合も、掲載するコンテンツの結果を分析してPDCAを回し、改善を繰り返していけば、自社のマーケティング目的達成に近づくことができるはずです。

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