2023/03/17

BtoBコンテンツマーケティングとは?ネット時代の新規顧客開拓の正攻法

ビジネスシーンにおいて、「コンテンツマーケティング」という言葉を見たことや聞いたことがある人は多いかもしれません。

コンテンツマーケティングとは、Web上に読み物や動画などのコンテンツを掲載することによるマーケティング活動のことです。見込み顧客がそのコンテンツに目を通すことで、自社製品・サービスに興味を持ち、見込み顧客から真の顧客へと変えていくマーケティング活動がコンテンツマーケティングとなります。

コンテンツマーケティングは、BtoBビジネスでも注目をされています。BtoBコンテンツマーケティングをスタートし、成果を出すためにはどうすれば良いのでしょうか?本記事で解説します。

BtoBコンテンツマーケティングにはどのようなスタイルがあるのか?

BtoBコンテンツマーケティングを行うためには、コンテンツをどのような形で顧客に提供するのかを決める必要があります。

たとえば読み物コンテンツであれば、自社サイトや自社ブログに掲載する以外にも、独自のWebサイトを構築する「オウンドメディア」や、PDFファイル形式で情報を提供する「ホワイトペーパー」という手法も存在します。このほか、メールマガジンやセミナー(ウェビナー)といった手法も、BtoBコンテンツマーケティングに含まれます。

本記事では(1)自社サイト、(2)オウンドメディア、(3)ホワイトペーパー、(4)メールマガジンの4つの手法について解説します。

(1)自社サイト:ブログを更新するだけでもコンテンツになる

BtoBコンテンツマーケティングを行ううえで、最も基本的な媒体が自社サイトです。自社サイトには、商品・サービスの詳細情報、ブログ、コラム、導入事例、プレスリリース、セミナーの告知情報など、さまざまなコンテンツを集約することができます。

たとえば自社サイト内の社内ブログの記事を更新するというだけでも、BtoBコンテンツマーケティングは行えます。コンテンツを書けば書くほど、情報は蓄積され、見込み顧客がそのコンテンツに目を通し、興味を持つ可能性が高くなります。

(2)オウンドメディア:自由度の高いコンテンツを作るなら

自社サイトではなく、独自のドメインでオリジナルのメディアサイトを立ち上げて、コンテンツを掲載する「オウンドメディア」という手法も存在します。

自社サイトのシステムやブランドガイドラインに制約がある場合には、オウンドメディアを立ち上げることで、自由にコンテンツを掲載することが可能になります。たとえば、一見すると自社の製品やサービスとは関係ないように見えるものの、実は顧客のターゲットと合致しているコンテンツを掲載し、最終的には自社の製品やサービスに関係するコンテンツにいざなう、といったことも可能になります。

オウンドメディアのデメリットとしては、サイトを新規に立ち上げるためのコストと、自社サイトとは別に運用コストが必要になる点があります。最近ではオウンドメディアを別途立ち上げるのではなく、自社サイトのディレクトリの一部にコンテンツを格納する領域を設け、オウンドメディアのように見せるケースもあります。

(より詳しくは、オウンドメディアとは 運営のポイントとこれからの活用テクニック を参照)

(3)ホワイトペーパー:ダウンロードで見込み顧客へアプローチが可能に

ホワイトペーパーとは、直訳すれば「白い紙」ですが、マーケティング業界では「企業がまとめた、顧客に対する有益な資料」のことを指します。基本的にはPDF形式で自社サイトに公開されます。

ホワイトペーパーは基本的には無料でのダウンロードが可能ですが、その際に企業名や役職、メールアドレスなどの個人情報の入力が求められます。この個人情報をもとに、企業側から顧客に対し営業活動を行います。つまり、有益な情報と個人情報を、企業と顧客間でやり取りする、という形になります。

(より詳しくは、なぜBtoBビジネスに「ホワイトペーパー」が必要なのか?マーケティングでの活用事例も紹介 を参照)

ホワイトペーパーは見込み顧客獲得の有効な施策

ホワイトペーパーは見込み顧客獲得の有効な施策

(4)メールマガジン:昔ながらの手法は現代でも有効

企業が顧客に対し一斉にメールを送信し、自社製品やサービスをアピールする手法がメールマガジンです。文面を作成し、リードの宛先に送信するだけなので、コストが安価に済む点が特徴です。さらに、過去のメールマガジンのバックナンバーを自社サイトに掲載することで、Webコンテンツの一部として流用することも可能です。

ただし、メールのため顧客に対して一方通行で送付するスタイルとなるため、顧客側がそのメールをクリックしない限り、読まれることはありません。読者にメール開封を促すためには、メールのタイトルを工夫する必要があります。

さらに、企業規模、業界、職種といった企業の特性、および購買プロセスの段階などでセグメント(条件を絞り込んでグループ化)し、そのリードごとに内容を変更して送付することが重要です。これを「セグメント配信」と呼びます。一般的には、一斉配信よりもセグメント配信の方が、開封率やクリック率は高まります。

メルマガは開封率やクリック率が測定できる点も特徴です。有償のメール配信システムやマーケティングオートメーション(MA)ツールを導入すれば、顧客の属性に応じたメールの出し分けも可能になります。

BtoBコンテンツマーケティングで成果を出すために気を付けるべきこととは?

BtoBコンテンツマーケティングで成果を出すためには、いくつか留意すべき点があります。以下に3点に分けて紹介します。

(1)ターゲットは誰なのか? 誰に興味を持ってほしいのか?

BtoBコンテンツマーケティングで最も重要なのが、誰にコンテンツを見てほしいのか、誰に製品やサービスについて興味を持ってもらいたいのか、理想の顧客像を想定したうえで、コンテンツを制作するというものです。

マーケティングの世界では、理想の顧客や典型的なユーザー像のことを「ペルソナ」と呼びます。ペルソナを定義する要素は、年齢や性別、収入や役職といったことから、家族構成や趣味、休日の過ごし方まで多岐に渡ります。

ただし、BtoBでペルソナを設定する場合、家族構成や趣味、休日の過ごし方といったパーソナルな情報はそこまで重要ではありません。注力すべきは、自社の商品やサービスが検討、導入される際に、どのような部門や組織が主導し、どのような流れで意思決定がされていくかについての情報をあぶりだしていくことです。

(より詳しくは、BtoBマーケティングでは「ペルソナ」をどう設定すればよいのか?ポイントを解説 を参照)

(2)「興味を持つ」→「顧客になる」の流れを意識しよう

冒頭で触れたように、BtoBコンテンツマーケティングは、コンテンツに興味を持った人を「見込み顧客」とし、最終的には真の顧客へと変えていく作業です。そのため、コンテンツに興味を持った人を、どのように顧客に変えていくのか、その流れを想定したうえでコンテンツを制作すべきです。

見込み顧客が真の顧客に変わっていく流れは、「マーケティングファネル」というもので段階的に図式化できます。マーケティングファルルとは、企業がマーケティング施策を打つために、顧客や消費者の一連の行動および分類を、逆三角形の漏斗(ファネル)に見立てて整理したものです。

マーケティングファネルにはいくつかの種類があります。たとえば、「認知」→「興味・関心」→「比較・検討」→「購入・申込」という4つのステップで表現されることもあれば、「TOFU(Topof Funnel)/認知~興味関心」→「MOFU(Middle of Funnel)/興味関心~比較検討」→「BOFU(Bottom ofFunnel)/比較検討~購買」という3つのステップで表現されることもあります。

図:BtoBの購買活動における「マーケティングファネル」

図:BtoBの購買活動における「マーケティングファネル」

(3)BtoBではコンテンツマーケティングで成果が出るまでには時間が掛かる

BtoBコンテンツマーケティングの特徴のひとつに「成果が出るまでに時間がかかる」という点が挙げられます。

良質なコンテンツを作りアップロードしたとしても、数日で売り上げがアップすることはありません。コツコツとコンテンツを配信し続け、興味を持った読者の意識が徐々に変容していくことで、ようやく売り上げにつながります。長期的な視座を持ったうえでスタートすべきでしょう。

コンテンツ作りで失敗しない方法

BtoBコンテンツマーケティングで成果を出すためには、当然ながらコンテンツが必要になります。良質なコンテンツを用意することが、コンテンツマーケティングで成果を出すためのキーポイントとなります。

しかし、BtoBコンテンツマーケティングにおける「良質なコンテンツ」とは、いったいどのようなものなのでしょうか?ここからは、コンテンツを制作する際に必ず意識すべきポイントを列挙します。

コンテンツは「企業目線」ではなく「顧客目線」に!

BtoBコンテンツマーケティングでは、成果を出したいがために、自社の商品・サービスの優れている点や、他社には無い機能をアピールするコンテンツを訴求しがちです。しかし、あまりアピールが過ぎると、コンテンツが「企業目線」となり、顧客から見ると魅力的なコンテンツとは思われず、避けられる恐れがあります。興味・関心のレベルの顧客には、まずは顧客自身が興味を持つようなコンテンツを提供すべきでしょう。

ちなみに、商品をアピールするコンテンツは、比較~検討まで進んでいる見込み顧客には有効です。つまり、先述したマーケティングファネルの段階ごとに合わせたコンテンツを用意する必要があるといえます。

コンテンツを外注する際は、担当者と意識を合わせる

コンテンツは自社で製作することも可能ですが、社内のリソースが不足している場合や、コンテンツをどうやって制作すれば良いのかわからない場合は、コンテンツ制作会社に外注します。記事の制作に長けた会社もあれば、動画コンテンツの制作に長けた会社もあります。中にはコンテンツ全般を包括的に制作・提供している会社もあります。

しかし、こうした制作会社は、コンテンツの制作のプロフェッショナルではあるものの、自社の商品・サービスのプロフェッショナルというわけではありません。そのため、商品・サービスに関するコンテンツの制作を丸投げすると、本来の目的とは異なったコンテンツが納品される恐れがあります。

コンテンツ制作を外注する際は、その制作会社の担当者とどのような内容にするのか、あらかじめ意識を共有しておくことが重要です。

アクセスを解析し、改善策を考える

コンテンツのアップロード後は、どのページにどれくらいアクセスがあったか、滞在時間やクリック率などのデータを解析します。解析を行うことで、どのコンテンツに需要があったのか、逆にどのコンテンツに需要が無いのかが理解でき、コンテンツを改善していくことが可能になります。Googleの「GoogleAnalytics」「Google Search Console」であれば、無償でサイトの分析が可能です。

BtoBコンテンツマーケティングは「MAツール」でもっと便利になる!

BtoBコンテンツマーケティングを実行する際には、MAツール(マーケティングオートメーションツール)を導入することで、より便利に、より高度なマーケティングが可能になります。

MAツールは、マーケティング活動を自動化、効率化するためのツールとなります。見込み顧客の管理の効率化や、見込み顧客に対するアプローチが自動化できるようになります。

先にも触れたように、BtoBコンテンツマーケティングは見込み顧客の段階ごとに適したコンテンツを用意し、アプローチすることが重要です。しかし、見込み顧客の状態がどの段階にあるのか、手動で管理するのは現実的ではありません。

しかし、MAツールを導入すれば、顧客の段階に合わせたコンテンツを提供することができ、見込み顧客を真の顧客に変えていく「リードナーチャリング」がスムーズに実行できます。

MAツールの代表的な機能が、見込み顧客の行動や属性を点数化する「スコアリング機能」です。この機能を用いることで、見込み顧客がいまマーケティングファネルのどの段階にいるのかを、自動で判定します。

スコアリング機能は、顧客のウェブ上における行動を、あらかじめ設定した数値で点数化(スコアリング)します。たとえば「メールマガジンを開封」や「ホワイトペーパーのダウンロード」なども、加点の対象となります。行動以外にも、企業規模やエリア、役職といった属性もスコア化されます。

MAツールはこのスコアを元に、見込み顧客を自動で段階に分けます。もし顧客の検討レベルが高ければ、「○点以上に達した見込み顧客に、電話でヒアリングする」といったアプローチが可能になります。

MAツールは、メルマガを利用する際にも役立ちます。たとえば「このメールを開封した人には次にメールマガジンAを送付、開封しなかった人にはメルマガBを送付」というように、見込み顧客が取った行動に応じて、アプローチの方法を自動で調整します。そのため、マーケティング担当者が手作業でメールを設定する手間が省けます。

(より詳しくは、マーケティングオートメーション(MA)の役割と導入効果 を参照)

図:MAツールのシナリオ例

図:MAツールのシナリオ例

【まとめ】BtoBコンテンツマーケティングは、ネット時代の新規顧客開拓の正攻法

インターネット上にコンテンツを公開することで、見込み顧客を真の顧客に変えていくコンテンツマーケティングは、BtoB企業にも有効です。インターネットが普及し、誰でもネット上で商品が選べる時代となった現代においては、新規顧客開拓の正攻法ともいえるでしょう。

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