2022/11/11

マーケティングオートメーション(MA)とは?メリデメや選び方などわかりやすく解説

マーケティングオートメーションとは

マーケティングオートメーションは企業のマーケティング活動を効率よくするために手助けをしてくれるツールです。これまで手作業で行っていたメール配信作業や大量のデータ整備、レポートや分析業務などかなり労力と時間を掛けていた部分についてマーケティングオートメーションを使う事によってかなり業務を効率化することが可能です。

マーケティングオートメーションはマーケティング部門だけでなく営業部門にとってもメリットがあります。例えば、資料請求等をした見込み度が高いリードが発生したら、自動的に営業メンバーに対してアラートメールで通知してあげることが出来ます。こちらはメール以外の連携方法もあります。例えば、SalesforceなどのCRMと連携した場合であればCRM側に作成したリストに対してマーケティングオートメーション側から自動的にリストへリードを追加することが可能です。またSlack、Chatworkといったチャットツールなどで通知をする事も出来ますし、そのほか様々な3rd partyツールとの連携が出来るので活用の方法は無限にあります。

近年、このマーケティングオートメーションを導入する企業が増えております。「DX」という言葉が良く聞かれるようになりましたが、マーケティングのデジタル化、そしてDXをさらに推進をするにはマーケティングオートメーションの存在が欠かせなくなってきていると考えられます。

今回は「マーケティングオートメーションについて知りたい方」や「マーケティングオートメーションを導入したいと考えている方」に対してマーケティングオートメーションとはいったいどういうものなのか、どういったメリットデメリットがあるかなどご紹介をしていこうと思います。

なぜマーケティングオートメーションを使うのか、そのメリット

マーケティングオートメーションを使うメリットとは

手作業でも出来ていたマーケティング業務を、なぜわざわざマーケティングオートメーションを使っていく必要があるのか。そこにはいくつかのメリットが存在します。

作業を自動化するため、業務が効率化できる

まずは、マーケティングオートメーションが無かった場合を考えてみましょう。マーケティングオートメーションが無いとデジタルマーケティング業務のほとんど全てが手作業になります。例えば、リードに対して優先順位を付けるためにスコアリングをしようとすると一人一人の情報をExcel等でリスト化してリードの行動ひとつひとつに対して条件に当てはまった場合にのみスコアを加算する作業が必要になります。そしてそれが何百、何千人になるともちろんデータが重くなるのでPC自体も重くなります。そしてスコアリングの種類が多くなると作業が複雑化してミスにも繋がりやすくなります。

マーケティングオートメーションがあるとこうした作業をかなり簡略化出来ます。スコアリングに関しては予め条件設定をしていれば自動的にマーケティングオートメーション側でスコアを付与してもらえるのでここの部分での作業ミスがほとんど無くなります。また条件設定もマーケティングオートメーション内での作業になるので処理としてもExcelよりは軽くなりやすいので作業がスムーズに進行します。あとこれは会社規模にもよりますが、何十万、何百万とリードを管理している企業にとっては一気にデータを処理するという所があるので処理スピードを上げるためにはマーケティングオートメーションが必要になってきます。

顧客情報の管理・分析が出来る

マーケティングオートメーションがある事で顧客情報を一元管理できるようになるという所も特徴になります。マーケティングオートメーションがない環境だと顧客情報を管理しているツールから絞り込みの条件設定をしてリードを抽出し、メール配信ツールに設定してメールを送信するという流れになります。これでも技術的にはマーケティングオートメーションと同じ事をしているのですが、どうしても担当者が別であったり、1回情報をどこかに移動させる形になるのでどうしても作業手順が増えてしまい、それによりメール配信までのスピードが遅くなります。

マーケティングオートメーションであれば「顧客情報を管理すること」と「メール配信」の両方が出来るので、先程の様にツール間でリード情報の移動が無くなります。その為、全てマーケティングオートメーション内で作業を完結させる事が出来ます。その為、作業担当者も場合によっては1人でメール配信までの作業を進めることが可能になります。

商談の成功率が高まり、収益アップが見込める

マーケティングオートメーションは商談の成功率を高めるのにも効果的です。マーケティングオートメーションにはCRMなどと連携してCRM側で管理している商談情報をマーケティングオートメーションで閲覧する事が出来ます。そうすることで例えば過去に商談をスムーズに成功させたリードと類似したリードがいた場合はスムーズに営業連携する事が可能です。更にマーケティングオートメーションでは営業へパスするタイミングや頻度が調整出来るので、営業リソースが限られていて特定の「商材」や「業界」に絞って活動したいという場合にもマーケティングオートメーションであれば条件を絞って営業へアラートを出すことが可能です。もちろんマーケティングオートメーションでは条件設定をして仕組みを動かすのでこれまで起きていた見込み顧客へのアプローチ漏れがなくなり営業へはもれなくアプローチリストを連携する事が出来る様になります。

高度な分析が可能になる

マーケティングオートメーションの中には高度な分析機能を備えたツールも存在します。マーケティングオートメーションが無いとExcel上にデータを集めてピボットテーブルや関数を使ってグラフ化するなどの分析作業が必要になりました。ある程度テンプレート化やマニュアル化が出来てしまえばある程度の業務効率化にはなると思いますが、手作業になるので必ずミスが発生します。マーケティングオートメーションがあればこういったミスを防ぐ事も可能になるというのと、マーケティングオートメーションを提供しているツールベンダーが提供しているレポート機能になるので的外れな分析作業をしてしまうリスクもなくなります。マーケティングは分析の考え方が多様にある中で一番ベーシックな分析レポートがツール内の操作で完結するのはとても大きいメリットだと考えられます。

マーケティングオートメーションを使うデメリットとは

マーケティングオートメーションを使うデメリットとは

マーケティングオートメーションを使用する事でのメリットは沢山あります。しかしこれからお話する内容が気になってしまう場合は、マーケティングオートメーションの使用に向かない可能性があります。自社の状況に合わせてご確認いただければと思います。

マーケティングオートメーションツールの利用料が発生する

マーケティングオートメーションを利用するには当然、利用料が掛かってきます。利用料の支払いの形として多くは「サブスクリプション型」という形でツール自体を購入するのではなく、ツールを利用するという形で利用期間中は毎月や毎年で支払いをする形になります。もちろんサブスクリプションをやめればツールは利用できなくなります。

マーケティングオートメーションツールの利用料は基本的にはツールが高機能になればなるほど高くなりますし逆に機能がそこまでないものであれば安くなる傾向になります。これからマーケティングオートメーションツールを初めて利用する場合は、高機能なものは選ばずにスモールスタートで始めるのが良いと思います。一番の理由は「高度なマーケティングオートメーションツールは使いこなすのが難しい」という点です。使いこなせるまでに1年以上かかるという事もありますのでその間に使えていないツール機能があったとしても利用料は支払わなければなりません。ですので、まず最初にマーケティングオートメーションを使いこなせるかという点と利用料のバランスというのを考えながら検討頂く事をおすすめします。

導入したからといってそれだけで成果が出るわけではない

よく勘違いをされるポイントですが、マーケティングオートメーションを入れたからといってそれだけで成果が出るわけではありません。よくある失敗例としてマーケティングオートメーションを入れたのに従来の方法で戦略を立てたり、業務を運用しており機能が全く使われていない場合や単純なメール配信ツールになっていることが挙げられます。要はマーケティングオートメーションの機能を使いこなせていないという事です。これではマーケティングオートメーションのツールを使っているようでこれまでとやっていることが変わらないので、成果が出るわけありません。マーケティングオートメーションを入れる前にしっかり「マーケティングオートメーションは何が出来るのか」「マーケティングオートメーションを使って何がしたいのか」をしっかり社内で検討してから導入をするという流れで進めると良いと思います。

マーケティングオートメーションツールをつかいこなす、司令塔となる人材が必要になる

デメリットの2つ目とも重なりますが、マーケティングオートメーションをフルに使いこなす為には専任の人材が必要になります。最近ではマーケティングオートメーションツールの資格もありますのでそれぐらいマーケティングオートメーションツールをフルで使うには一定の難易度とハードルがあります。よりスムーズに使いこなす為にはマーケティングオートメーションツールの資格を有する者やマーケティングオートメーションツール利用の経験がある方のサポートというのが必須になってきます。まず、こういった方に参画して頂いてマーケティングオートメーションの導入からその後の運用体制の構築、リスク管理などのアイデアを頂くと良いでしょう。

コンテンツを運営するための体制も必要になる

マーケティングオートメーションを運用していくにはマーケティングオートメーションの各機能を使いこなす人材はもちろん、それ以外にも人材が必要になってきます。例えば、メールマガジンを配信するのであれば、「メールマガジンを作成する方」「マーケティングオートメーションにてメール配信設定をする方」「設定した内容のチェックをする方」が最低必要になってきます。ダウンロード資料やブログや動画なども展開するとなると更に人材が必要になります。それとこれは一番重要なのですが、「マーケティングオートメーションを使いこなす為に新しい機能を取り込み設計構築が出来る人材」の確保があります。ここの人材がいないとそもそもマーケティングオートメーションを入れた意味が無くなってしまいます。その為、特にこの部分の人材確保は確実に行いたい所です。逆に言ってしまえばこの部分のプロフェッショナルが1人いるだけでマーケティングオートメーションを運用する方針というのが決まりやすくなるので失敗するリスクを減らしつつ最適な利用環境を整えて運用していくことが可能になります。

マーケティングオートメーションの主な機能

マーケティングオートメーションの主な機能とは

マーケティングオートメーションには様々な機能がありますが、これから代表的な機能について4つ紹介をさせていただきます。

顧客管理

顧客管理はマーケティングオートメーションツールの基本的な機能です。見込み顧客であるリードの企業名、役職名、業界、業種といった情報はもちろん、リードがフォームで入力した情報やスコアリング等によりリードの興味分野やHOT度合というのもまとめて管理して確認する事が出来ます。それからマーケティングオートメーション内でデータを書き換えた履歴なども分かります。それによってフィールド毎のデータの値がどうしてその値になったかという事も遡っていくことも出来ます。さらに過去リードに対してどういったメールを送ったのかという履歴やどのメールを送った時に行動をしたのかという事も記録して残しておくことが出来ます。これは分析にも生かすことが出来ます。マーケティングオートメーションを導入後にこの顧客管理の為の設計が出来ていないと情報が複雑かつ煩雑になってしまいますのでこの辺りは初期段階の設計が重要です。

メール配信/分析

マーケティングオートメーションにはメール配信機能が備わっています。顧客全体に配信する機能はもちろん、特定のユーザに絞って送信する設定をする事も可能です。このほかにも、ABテストを実施したりメールの開封率やクリック率を測定したりする事も出来ます。さらにメールを開封した方のリストやメールをクリックした方のリストを作成することも可能ですしこのリストを自動的にアラートメールとしてマーケティングオートメーションツールから送付する事も可能です。予めレポートするものを決めておけばメール配信から分析業務をある程度自動化することも可能です。またマーケティングオートメーションを使えばABテストの結果に応じてその後のメール配信を自動的に切り替えるという事も可能です。もちろんリードを抽出する機能やレポート機能があるのでどういった効果が出たのか等、分析を多様に行う事が出来ます。

Webサイトのアクセス分析

マーケティングオートメーションではリードの行動をアクティビティログとして蓄積することが可能です。それによりリードがWebサイトの記事をいつ見ていて、どういう順番でサイトを回遊していたのかが分かる様になります。そしてこのアクティビティログというのはWebサイトの行動だけではなくメールを送信した履歴や様々なデータ変更履歴も一緒に蓄積されます。リードはメールがきっかけでサイトに来たのか、それとも広告をクリックしてWebサイトに訪問したのかといった所が分かる様になります。それによってどこからの流入が多いかが分かるのでより力を入れていくべき施策というのも同時に分かる様になります。またマーケティングオートメーションツールによっては他ツールの機能を連携させたり、プログラムを組み込むことによってWebサイトをどこまで見ているのかを把握することが出来ます。ページをスクロールしてコンテンツをよく読んでくれたリードが誰だったのかといった情報を見ることが出来ます。それによってWebサイトの分析やコンテンツ配置など制作面も高度なPDCAを実施できます。

スコアリング機能

スコアリングとはリードの行動や属性に対して点数付けを行い、リードの見込み度を測るための手段です。例えば、行動に対してのスコアリングであれば「Webサイトを○回訪問した」だったり「メールを開封した」、「メール内URLをクリックした」という行動に対して点数付けをしていきます。属性に対してのスコアリングは、「部長であれば+5点」「社長であれば+20」というようにリードが持っている属性に対して点数を付けていきます。そしてしきい値を設けて例えば、50点を超えたら営業へアラートメールを送信してアプローチをして頂くという流れになります。これは一般的なスコアリングの使い方ですが、これをメール配信のシナリオに活用するという事も出来ます。リードの興味分野に対してスコアリングを行い、メールは興味分野に応じて送信していくという事が出来ます。そしてリードの興味分野が変わったらそれに応じてメール配信シナリオを切り替えていくという事も可能になります。

マーケティングオートメーションツールの選び方

マーケティングオートメーションツールはどのように選ぶべきか

マーケティングオートメーションツールは、世の中に数多く存在します。それらの中から自社にはどういったマーケティングオートメーションツールが合うのか、そしてどの様に選定していくのが良いのか等、その方法をご紹介します。

BtoBに強いツールか?BtoCに強いツールか?

マーケティングオートメーションツールはBtoBに強いツールや逆にBtoCに強いツールというのがあります。ここで言う「強い」というのはツールの使いやすさになりますが、ツール自体の使いやすさ以外にもツールの特徴というのがあらわれます。例えば、「短期育成目的」もしくは「長期育成目的」によってもツールが変わってきます。短期育成であれば「○○メールを開封した or クリックした」という行動をした方としていない方で、その次のメールの内容を変えるといったメール配信シナリオになる事が多いです。逆に長期育成目的であれば、顧客行動に対して出し分けることもありますが、基本的にはリードの属性毎にメール配信シナリオを組み立てて数か月から1年以上を掛けて行う事が多いです。車や家の購入を考えるとイメージしやすいと思います。この分野は属性が絞られるのと検討期間も長期化しやすいことからマーケティング施策も長期目線のものが多いです。長期目線でマーケティングを行うそのような高価な商材や、BtoB商材ではCRMツールとの連携がしやすいというのも特徴となります。長期育成となるとCRMツールを使って顧客との関係を維持し管理することが求められるからです。

これ以外にも違いはありますが、自社のビジネスモデルとツールとの相性も検討して頂くと良いと思います。

セキュリティ対策は充実しているか?

マーケティングオートメーションツールは顧客情報を管理するのでセキュリティ対策というのが必須になってきます。もしなんらかの間違いで顧客情報が流出してしまうとビジネスとして大きな痛手となりますのでこれだけは絶対に避けたい所です。

マーケティングオートメーションツールのセキュリティ対策がしっかりされているかはいくつかの点から判断していくことになります。

まず、そもそもマーケティングオートメーションツールの利用サーバーは国内なのか海外なのかという点です。国が変わると環境も法律も変わってきます。それによって情報流出などのリスクというのも変わってきますのでどこにサーバーが設けられているかは一つのチェックポイントとなります。

次に、利用ユーザの権限の設定です。権限設定をしさえすればマーケティングオートメーションツールを利用するユーザの方が顧客情報をエクスポートする事や、逆にインポートをして情報を書き換える事を出来ない様にする事が可能です。これはマーケティングオートメーションを利用する内部のメンバーのヒューマンエラーをどれだけ防ぐことが出来るかという点に置いてツール側がどれだけヒューマンエラーをしないための機能を備えているかという所になります。それ以外にもマーケティングオートメーションにはAPI連携をする機能がありますので、その視点でも専門の方のアドバイスが必要になってきます。

大きくはこの3点をまず見て吟味して頂けると良いと思います。

既存システムとの連携は出来るか?

マーケティングオートメーションを導入する前に、既に営業では営業管理ツールを入れていたり、サイト運営でCMSを入れている場合もあるかと思います。まずマーケティングオートメーションを入れる前にそういったツールの連携が必要なのか不要なのか、また必要であればどういった形で連携するのかを事前に調べて想定しておく必要があります。特にBtoBで使用する場合は営業との連携が多くなるので特に注意して調査が必要です。また、マーケティングオートメーションツールを入れる事によって他ツールの利用をやめる等があればデータ移行がスムーズに出来るかといった点も調べておく必要があります。ツール間の連携は相性が良いものや悪いものがあるのでツールベンダーの方やコンサルタントの方に話を聞いてみると良いと思います。

サポート体制が充実しているか

マーケティングオートメーションツールを利用していると設定がわからなく無くなってしまう事やツールが意図した動きをしてくれない事というのがあります。また、ツールのアップデートにより機能が変わってしまった時にどの様に対応したらよいかが分からないという事があると思いますが、そういった時にサポートしてくれる方がいるととても心強いです。最近のツールはアップデートスピードがとても速いので技術進歩についていくためにもこういったサポート体制が充実しているかという点も確認しておくと良いと思います。

まとめ

マーケティングオートメーションツールの導入にあたっては、根本の課題の整理とツールを使って何をやりたいのかという目的の整理が一番重要です。それを解決するために必要なツールを選定しましょう。必ずしも高機能が必要なわけではなく、自社が運用できる範囲に沿ったツールで良いと思います。また最初の運用はスモールスタートで実施するのも一つです。自社に必要な知見がない場合は、初期だけでも他社のリソースや知見を借りるのも長い目でみると得策といえます。弊社でもマーケティングオートメーションならびにデジタルマーケティングに関する様々なお悩みを解決するソリューションのご提供が可能ですので、ぜひお気軽にご相談ください。

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