2026/09/09
ビジュアルIVR
【2025年度版調査レポート】コールセンターに電話をかける前の顧客行動について
はじめに:受話器を握る前の「サイレントな挑戦」と、選択されるAI
前回のコラムでは、顧客がコールセンターに電話をかける「用件(目的)」にスポットを当て、その実態を紐解きました。顧客がどのようなニーズを持ってコンタクトしてきているのかを把握した上で、次に私たちが目を向けるべきは、顧客が受話器を握る「直前のプロセス」――すなわち、カスタマージャーニーにおける事前行動です。
多くのコールセンターが人材不足や応答率の低下に悩む中、顧客の「自己解決(セルフサービス)」を促すことは最優先のテーマとなっています。顧客もまた、最初から繋がりにくい電話をかけたいわけではありません。事実、彼らの多くは電話をかける前に、まずは自分の力で解決しようとWebサイトを訪れたり、あるいは昨今急速に普及している「AI」に質問したりと、水面下で様々なアプローチを試みています。
しかし、ここで企業が真に理解すべきは、顧客が単に「どのチャネルを訪れたか」という事実だけではありません。「なぜWeb検索を選んだのか」、そして「なぜAIに質問しようと思ったのか」という、行動の裏にある「理由(動機)」です。
顧客がデジタルチャネルに何を期待し、どこで挫折して最終的に「電話」へと至ってしまったのか。この導線上のギャップと顧客心理を掴むことこそが、デジタルチャネルであるビジュアルIVR、FAQやAIチャットボットを「形骸化したツール」に終わらせず、真に機能する自己解決チャネルへと進化させる鍵となります。
現代の顧客は、電話をかける前にどのような行動をとり、なぜその手段を選んでいるのでしょうか。
NTTドコモビジネスXが実施した20代以上の男女を対象とした意識調査から、今回は「コールセンターに電話を掛ける前にとる行動」と、一歩踏み込んで「Web検索やAIによる解決を試みた理由」について分析した結果を報告します。
このレポートはこんな方におすすめです
- 企業のコールセンター部門・CX(顧客体験)推進担当者
- Webサイト(FAQ)やAIチャットボットの利用率・自己解決率を高めたい方
- 顧客がデジタルチャネルに求めている「使いやすさ」や「期待感」の正体を知りたい方
- 電話への入電(呼量)を根本から削減するための動線設計を見直したい方
コールセンターに電話をかける前の顧客行動について
電話の前に9割が動く!データで見る「自己解決」のリアル
コールセンターに「いきなり電話する」人はわずか8.1%。今や9割以上の顧客が、
受話器を持つ前に自力での解決を試みています。

その第一選択肢は「Web検索(61.3%)」が圧倒的ですが、世代によってそのアプローチは様々です。若年層(20〜30代)では「生成AIへの質問」が浸透しつつあり、30代男性では約4割が活用しています。


また、20代女性は検索の手間を省くためか「問い合わせフォーム」でのテキスト完結を好み、60歳以上になると「手元の資料(説明書等)を確認する」が急増するなど、紙への信頼も健在です。
顧客の「今すぐ解決したい」にシームレスに応えるため、若年層にはAIボット、シニアには紙からWebへ繋ぐQRコードなど、ターゲットに合わせた自己解決の導線設計が今後、企業における重要な課題になると考えられます。
「フォーム探し」に隠された、顧客行動の保険心理
興味深いのは、「企業の問い合わせフォームを探す」という行動のギャップです。複数回答では43.8%が選んでいるのに、第一選択肢(単一回答)にすると15.1%に激減します。
ここから見えるのは、顧客の「保険」としての行動かもしれません。「検索やAIで今すぐ解決したいが、ダメだったときのために、一応フォームの場所だけは確認しておく」というリアルな防衛策のような行動なのかもしれません。
Web検索を選ぶ理由
Web検索(全体利用率76.8%)を選ぶ最大の理由は、「Webだと早く問題解決できると思ったから(75.2%)」です。次いで「電話は時間がかかりそう(43.0%)」、「場所と時間を選ばずに問題解決できそうだから(30.4%)」が続きます。顧客にとって、電話は待たされた場合、タイムパフォーマンス(タイパ)の悪い手段となり、深夜でも早朝でも瞬時に調べられるデジタルチャネルが当然のファーストステップになっています。

生成AIを選ぶ理由
一方、ChatGPTやGeminiなどの生成AI(全体利用率20.0%)を頼る理由は、スピードへの期待(57.8%)に次いで、「AIだとオペレーターよりも的確な回答を得られると思ったから(34.1%)」が上位にランクイン。特に40代では男女ともに4割を超えています。

今やAIは単なる「便利な検索窓」の枠を超え、「人間よりも優秀で正しい答えをくれる存在」として一部の顧客から強い信頼を得始めています。
顧客がWeb検索やAIを駆使し、なんとか自己解決しようと奮闘している事前行動が見えてきました。しかし、それでも解決できずに「やむを得ず電話をかける」という選択をした顧客を、次に待ち受けているのはさらなるハードルです。 実は、せっかく意を決して受話器を握った顧客の多くが、オペレーターに「繋がる前」の段階で大きなストレスを感じています。
次回は、「コールセンターへ電話を掛けて繋がるまでの間に、不満を感じることはありますか」について、報告します。
調査概要
- 調査テーマ:性年代別にみるコールセンターへ問い合わせた時の顧客行動
- 調査対象:20代以上の男女
- 調査実施期間:2025年9月22日~23日
- 総回答数:1114サンプル


