2026/10/22
ビジュアルIVR
【2025年度版調査レポート】電話が繋がらない時、顧客は何を選ぶ?
はじめに:デジタルチャネル一辺倒ではない、最適な「第2の選択肢」とは
前回のコラムでは、電話が繋がらない際に案内される代替手段の実態について深掘りしました。デジタルチャネルへの誘導が進む一方で、約4割の顧客が代替手段を案内されていない「導線なき放置」の実態や、案内されても「使わずに離脱する顧客」が約3割に上り、特にシニア層においてデジタル解決の壁が極めて高いことが判明しました。
この結果から見えてくるのは、単に問い合わせフォームやチャットボットへ誘導するだけでは、すべての顧客を救うことは難しいという状況です。
デジタル窓口で諦めた顧客や、はじめからオペレーターとの対話を望む顧客は、電話が繋がらないというストレスに直面した時、次にどのような手段を求め、どのような理由でそれを選ぶのでしょうか。真の顧客体験(CX)向上を実現するためには、単にデジタルチャネルへ振り分けるだけでなく、顧客の世代やITリテラシー、その時の心理状態に寄り添った「最適な選択肢」を整備することが不可欠です。
果たして顧客は何を選び、何を期待しているのでしょうか。今回は顧客が「電話不通時に選ぶ代替手段」と「その手段を選ぶ心理的理由」を性年代別に分析します。シニア層をはじめとする顧客が真に求めている解決策や、チャネルごとの期待値の違いから見える、コールセンターの新たな導線設計のヒントを探ります。
このレポートはこんな方におすすめです
- 電話以外のチャネル(マルチチャネル化)の導入・拡充を検討している方
- シニア層への適切なサポート手段(コールバック予約など)を模索している方
- 顧客が各チャネル(AI、有人チャット、LINEなど)に何を求めているかを知りたい方
- 顧客の「解決への優先順位」に合わせた導線設計を行いたい方
電話不通時の救世主? シニア層が求める「折り返し」の重要性
コールセンターが繋がらない場合、次に使ってみたい手段(複数回答)のトップは「問い合わせフォーム(42.7%)」でした。しかし、ここで注目すべきは世代で分かれる「第2の選択肢」です。



30代男性(34.6%)は「チャットボット」への利用意向が高い傾向にあります。一方で、60歳以上の女性では「折り返し電話受付フォーム(36.6%)」が、トップの「問い合わせフォーム(38.4%)」に肉薄する高い支持を集めました。
さらに全体の約3割(29.5%)が「オペレーターと会話したいので他の手段は不要」と回答しており、この割合は60歳以上女性では40.2%に達します。これは単なる電話への固執ではなく、「文字入力が難しい」「自分の複雑な状況は、直接人でなければ伝わらない」という切実な不安の表れだと考えられます。シニア層を無理にデジタルチャネルへ誘導するのではなく、待ち時間を回避しつつ、確実な音声サポートを予約できる仕組み(折り返し予約/コールバック)を提示することこそが、現実的かつ有力な解決策と言えるでしょう。
なぜその手段が選ばれるのか? 自由回答から紐解くチャネルごとの「顧客心理」
コールセンターに電話が繋がらないストレスに直面した時、顧客が次に選ぶサポート手段には、それぞれの期待や心理的理由が隠れています。実際の自由回答データからは、ユーザーが抱える課題感と、チャネルごとに求める価値の違いが明確に見えてきました。
- 問い合わせフォーム【確実性とマイペース】
「文章で落ち着いて入力できる」「時間帯を気にせずいつでも送れる」といった理由が目立ちます。複雑な状況を整理して伝えたい時や、電話での会話(拘束時間)を避けたい層に選ばれています。 - 折り返し電話受付フォーム【確実な人対人と、待ち時間の解消】
「AIではなく確実に人で解決したい」「AIの回答精度では不安」「希望時間帯を指定して折り返してほしい」といった切実な声が見られます。無駄な保留音を聴く時間を避けつつ、最終的には人の対応で確実にトラブルを解消したい層の強い受け皿となっています。 - 有人チャット【正確性と手軽さのハイブリッド】
「正確性と手軽さを両立したい」「FAQではケースが限定されるが、有人なら正確」「電話より気楽」という回答が象徴的です。自動応答の限界を補いつつ、電話ほど拘束されない「ちょうどいい対話」が評価されています。 - AIチャットボット【即時性と高度な回答への期待】
「入力内容を汲み取ってベストな回答を出してくれそう」「待ち時間がかからない」といった期待が集まります。従来のシナリオ(選択肢)型チャットでは対応しきれない、自分の状況に特化した即時回答を求めるニーズに合致しています。 - LINE公式アカウント【心理的ハードルの低さと日常の延長】
「使い慣れた画面で操作できる」「対面や電話のように緊張しない」という声が多く見られます。特に若い世代を中心に、普段使いの延長で気軽に問い合わせできる手軽さが選好の決め手となっています。 - ボイスボット【文字入力の回避と手軽さ】
「文字入力の手間を省きたい」「文章にしづらい質問を口頭で伝えたい」という理由から選ばれています。話すほうが速いと感じ、テキストコミュニケーション特有の手間を避けたいユーザー向けの選択肢です。
チャネル選択は顧客の優先順位で決まる
代替手段の選択を左右するのは、単なる機能の違いではなく、「手軽さ」「即時性」「正確性」「入力の手間軽減」のうち、その時の自分がどれを最優先したいかという優先順位の違いです。画一的に一つのデジタルチャネルへ誘導するのではなく、多様なニーズに応じた選択肢(急ぐ人にはAIチャットボット、確実性を求める人には折り返し予約や有人チャットなど)を適切に提示する導線作りが、サポート体験の向上につながります。
次回は、年代別データで読み解く「電話問い合わせ」のリアルについて報告します。
調査概要
- 調査テーマ:性年代別にみるコールセンターへ問い合わせた時の顧客行動
- 調査対象:20代以上の男女
- 調査実施期間:2025年9月22日~23日
- 総回答数:1,114サンプル
- 調査方法:インターネット調査
- 調査機関:NTTドコモビジネスX株式会社



