2024/11/14

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コールセンターのBPOとは?依頼できる業務やメリット・デメリットを解説

企業のコールセンターにおける人員不足や負担の増加といった課題を解消する方法として、業務を外部に委託する「BPO」があります。

BPOコールセンターを活用することで、対応品質の向上やコスト削減といったメリットが期待できます。委託先を選ぶ際には、費用や実績、セキュリティ性などの評価項目を、総合的に比較検討することが重要です。

本記事では、コールセンターのBPOについて、アウトソーシングとの違いやBPOコールセンターのメリット・デメリット、委託できる業務などを解説します。BPOコールセンターの選び方や、コールセンターの課題解消に役立つシステムも紹介しますので、ぜひお役立てください。

この記事の内容
  • コールセンターにおけるBPO(Business Process Outsourcing)とは、顧客の電話応対に関する業務プロセスを外部委託することを意味する
  • コールセンターのBPOにより、利益を生み出す重要業務に人員を集中させられるため生産性の向上やオペレーターの負担軽減などが期待できる
  • BPOコールセンターを導入することで、対応品質の向上やコスト削減、業務効率化といったメリットが期待できる
  • 自社での人材育成が進まず、柔軟なカスタマー応対が難しくなる点や、セキュリティや企業方針とのズレといったデメリットに注意が必要
  • コールセンターにおける人的リソースの確保や業務負担の軽減には、IVRやSMS送信サービスなど顧客応対システムの導入も有用

コールセンターのBPOとは?

BPOとは「Business Process Outsourcing」の頭文字を取った言葉で、特定の部署や部門における業務プロセスを外部へ委託することを意味します。業務の一部または全体を外部の専門業者に任せることで、利益を生み出す重要な業務に人員を集中させられるため、生産性の向上が期待できます。

コールセンターのBPOは、電話応対に関する業務を外部へ委託することです。コールセンターでは、問い合わせ対応以外にも事務作業やデータ収集、アフターフォローなど多くの業務が発生します。

特定の業務プロセスを丸ごと外部へ委託することにより、本来注力すべき業務に人員を充てることが可能になります。また、オペレーターの負担が軽減され、応対品質の向上や企業の業務効率化につながります。

コールセンターのBPOとアウトソーシングの違い

BPOは、外部に業務を委託することを指しますが、同じような言葉に「アウトソーシング」があります。両者の違いは、外部委託する業務の範囲と目的です。

まず、BPOは、業務効率化や生産性の向上など、特定の部署や組織が抱える課題を解決することを目的としています。電話応対以外にも業務戦略の立案や課題改善に向けた施策の遂行も委託できる場合があります。

一方、アウトソーシングは、人員不足を補うために単一的な業務を一時的に委託する手法です。一般的には、自社で決めた業務内容の範囲のみを、外部業者に代行してもらいます。

BPOコールセンターを活用するメリット

BPOコールセンターを活用することで、応対品質やコスト、業務効率性といったさまざまな面でメリットが期待できます。それぞれ詳しく紹介します。

対応品質の向上

BPOの委託業者は、コールセンター業務の経験が豊富です。BPOによりスキルの高いオペレーターに業務を任せられるため、対応品質の向上が期待できます。

また、人員不足に悩む企業ではオペレーター1人あたりの業務負担が大きくなりやすく、品質低下を招く可能性があります。BPOを利用すれば、企業の営業時間外や休日にも顧客対応ができるようになり、顧客満足度の向上にもつながります。

コスト削減

BPOコールセンターは、自社におけるコスト削減にも貢献します。コールセンターの業務では、賃料や設備費、人件費などさまざまなコストが長期的に発生するため、負担が大きくなりがちです。BPOにより外部に業務を委託する場合、体制がすでに整っているため、自社における環境整備の費用を節約できます。

また、業務に必要な知識やスキルを備えたスタッフに依頼できるため、採用や人材育成にかかる費用も削減できます。低コストでの運営が可能となり、コスト面でのメリットも大きくなるでしょう。

業務の効率化

BPOの大きなメリットとして、業務の効率化と生産性の向上を促す点が挙げられます。高いスキルや独自のノウハウを持つスタッフに電話対応業務を丸ごと委託できるため、業務の品質や応対スピードがアップします。

また、社員が利益に直結する業務に注力できるようになり、効率性と生産性の向上に役立ちます。結果的に、競争力の強化や企業全体の利益拡大にも貢献するでしょう。

BPOコールセンターを活用するデメリット

コールセンターでBPOを活用することで多くのメリットが期待できる反面、デメリットもあります。ここでは、BPOコールセンターに業務を委託する際に考えられるデメリットについて解説します。

人材が育たない

BPOコールセンターでは、外部業者に業務を任せられる反面、自社社員の育成に取り組みにくくなる可能性があります。社員はコールセンター業務に関わらないため、業務に必要なスキルや経験を得られなくなります。

また、自社に業務ノウハウが蓄積されないため、社員教育の体制を整えるのに時間がかかり、コールセンター運営に影響を及ぼすことも考えられます。

将来的に自社コールセンターの運用を検討している場合、BPOからの定期レポートやナレッジの共有、業務のマニュアル化などを進めておくと、スムーズな内製化が期待できます。

柔軟な対応が難しい場合がある

BPOコールセンターでは、需要に合わせた柔軟な対応が難しい場合があります。市場の動向や消費者のニーズが急速に変動する現代では、スピーディな対応が求められます。

自社運営のコールセンターでは、柔軟に施策変更や新しい取り組みを導入しやすいですが、外部委託している場合、業者の体制などによっては動きが制限される可能性もあります。

こうした影響を最小限に抑えるためには、BPO業者との情報共有を徹底するとともに、繁忙期に人員や対応時間を変えられるか事前に確認しましょう。

アウトソーシングより高額になる

一般的に、BPOは業務を丸ごと委託する形態であり、一部の業務を委託するアウトソーシングに比べてコストが高くなる傾向にあります。自社のコールセンターで人員を増やすコストと、BPO委託の費用を比較し、長期的なコストパフォーマンスを見極めることが重要です。

また、委託が必要な業務が電話の一次対応や営業電話といった部分的な業務のみであれば、BPOの代わりにアウトソーシングを検討してみても良いでしょう。

情報漏えいリスクがある

BPOで業務を外部に委託する以上、情報漏えいのリスクは避けられません。コールセンターは、顧客情報や自社の機密情報を扱うデリケートな業務です。自社のコンプライアンスやセキュリティが十分であっても、委託先まで完全に網羅することは難しいでしょう。

また、契約時に自社のコンプライアンスを徹底するよう委託先に依頼することも可能ですが、最終的には業者の管理体制に委ねられます。企業の信頼を失わないためにも、BPO業者のセキュリティ対策を精査し、万が一情報が流出してしまった際の対処などを事前に確認しましょう。

企業の方針とずれる可能性がある

BPOによりコールセンター業務が社外へ切り離されるため、自社の経営方針と相違が生じる可能性もあります。また、委託先に任せる業務量が増えることで、企業の戦略が伝わりにくくなることも考えられます。

委託先との間に認識のずれが生じないように、慎重にコミュニケーションを重ねることが重要です。運営状況の定期的な確認や、課題の共有と解消、顧客への対応事例を踏まえた擦り合わせといった対策を取り入れましょう。

BPOコールセンターに依頼できる業務

BPOコールセンターに委託できる業務は、主に以下の5つです。

  • 問い合わせ対応
  • 受注業務・発注業務
  • 受電後の対応
  • テレアポ・営業電話
  • マーケティング調査

それぞれの項目について詳しく解説します。

問い合わせ対応

商品・サービスに関する質問やクレームなどの問い合わせ対応は、BPOコールセンターに委託できます。場合によっては、電話対応だけでなくメールやチャットでのやり取りも依頼可能です。

コールセンターに寄せられるさまざまな問い合わせへの対応業務は、煩雑化しやすく、十分な人員を確保できないとオペレーターが精神的に消耗してしまうでしょう。BPOでコールセンター業務を外部委託すれば、応対品質を維持でき、離職率も抑えられるでしょう。

受注業務・発注業務

BPOコールセンターでは、商品・サービスの受注から発注までの業務を請け負うことが可能です。具体的には、注文の受付や顧客情報、支払い方法の確認、担当部署への発注、商品発送の手配といった仕事が含まれます。

ネット注文が浸透した現在でも、電話注文を利用する顧客は多く存在します。電話注文では情報確認や手続きに時間がかかりやすく、社員の負担が増えやすいでしょう。BPOにより、受注・発注の関連業務を丸ごと外部に委託できれば、社員が他の業務に注力でき、生産性の向上にもつながるでしょう。

受電後の対応

電話を切った後に、追加の対応やサービスの手配が必要な場合にBPOコールセンターが手続きを代行します。営業終了後の時間帯や休日にも応じられるため、顧客の要求を見逃さずに済む上、社員の残業や休日出勤も回避できます。

また、注文後のキャンセルや破損・不備による商品交換など、すみやかな対応が求められる場合もスムーズに手配でき、顧客満足度の向上にも貢献するでしょう。

テレアポ・営業電話

BPOコールセンターには、新規顧客や見込み客へのテレアポ・営業電話の業務を委託できます。売上目標を達成するためには新規顧客の獲得が不可欠ですが、人員不足では1件ずつ電話をかける時間や手間を確保できません。

そこで、BPOコールセンターにテレアポ業務を委託することで、営業活動が円滑に遂行され、売上機会を逃す心配がなくなるでしょう。

マーケティング調査や分析

マーケティング調査や分析といった業務も、BPOコールセンターに依頼できます。マーケティング調査は専門知識を要する作業であり、正確な調査結果やデータ分析が行えず、集客や新規顧客の獲得につながらない可能性があります。

BPOコールセンターでは、専門的な知識や経験が豊富なスタッフが業務を代行するため、新規顧客の集客や利益率アップといった効果が期待できます。

コールセンターをBPOする際の選定ポイント

数あるBPO業者の中から最適な委託先を選ぶためには、信頼できる質の高い業者を比較検討して決めることが重要です。ここでは、BPOの選定におけるポイントを紹介します。

対応できる業務

自社のコールセンターで委託したい業務と、BPO業者が代行できる業務がマッチしていることが重要です。BPO業者ごとに対応可能な業務の範囲や分野は異なります。外部委託したい業務を依頼できなければ効果は期待できないため、契約前に対応業務を確認しましょう。

応対品質

スキルや経験値の高いBPO業者に依頼することで応対品質がアップし、業績や顧客満足度の向上につながります。委託を検討している業者が、業務を一任できる技術があるか重点的に確認する必要があります。

主なチェックポイントは、SV(スーパーバイザー)やスタッフの人数、オペレーターへの教育体制、外部専門機関からの評価などです。ホームページで確認するか、記載がない場合は担当者に問い合わせてみましょう。

費用

BPOコールセンターの利用料金は、業者やサービス内容によって異なります。多くの場合、導入時の初期費用と、月額もしくは年額での運用コストがかかるため、費用対効果を考慮した上で選ぶことが大切です。

料金が安くても、応対品質やカバーできる業務範囲、サポート内容が物足りなく感じられる可能性もあります。委託先の候補として複数社を選び、見積もりを取得して業務と費用のバランスを比較検討しましょう。

セキュリティ

セキュリティ対策とリスクマネジメント体制も確認すべきポイントです。コールセンターでは、顧客の個人情報や社外秘の機密情報を取り扱うため、セキュリティが脆弱だと情報漏えいの恐れがあります。

万が一情報漏えいが発生すれば、社会的信頼を損なうだけでなく、損害賠償を請求される可能性も出てきます。委託先のセキュリティシステムやスタッフに対する定期的な教育など、関連する取り組みについて確認しておきましょう。

実績

過去の実績や経験は、業務ノウハウや応対品質への信頼性に直結します。業者のホームページなどで実績を確認し、安心して依頼できるところを選びましょう。特に、委託したい業務や自社の業界に近い実績を持つ業者がおすすめです。

コールセンターの効率化にはモバイルウェブもおすすめ

コールセンターにおける業務効率化には、専用システムの導入もおすすめです。NTTコム オンラインが提供する「モバイルウェブ」は、コールセンター業務や顧客管理を支援するWebマーケティングシステムです。

電話でのお問合せをWebに誘導するビジュアルIVR機能をはじめ、オペレーター顧客とのやり取りを効率化する機能を多数搭載しています。また、Webアンケートやメッセージの一括配信機能を活用することで、オペレーターの業務負担を軽減しつつ、集客や販促を効果的に支援できるでしょう。

クラウド型CRMの高品質なデータベースで、大規模な顧客データを一元管理できます。外部システムとのAPIデータ連携にも対応しており、シームレスな運用による業務効率化を促します。

BPOのメリット・デメリットを踏まえて自社にあった選択を

コールセンターのBPOとは、電話応対や受注の一時応対といった業務を丸ごと外部業者に委託することです。BPOコールセンターを活用することで、さまざまな業務を実績豊富なスタッフに依頼でき、業務効率化や全社的な生産性の向上といった効果が期待できます。

また、自社の社員が本来集中すべき業務に注力できるようになり、人材育成の促進にもつながります。自社に最適なBPOを選ぶためには、委託したい業務に関する実績が豊富な業者から見積もりを取り、セキュリティ性を含めて比較検討しましょう。

コールセンターの効率化や業務負担の軽減には、システムの導入も役立ちます。NTTコム オンラインが提供する「モバイルウェブ」では、ビジュアルIVRやSMS、Webアンケートなど多彩な機能と顧客情報管理の組み合わせにより、コールセンター業務の効率化を促します。

コールセンター業務の効率化をご検討の方は、お気軽にお問い合わせください。