2024/08/20

ビジュアルIVR

コールセンターの稼働率の意味とは?適正値や管理方法について解説

コールセンターの稼働率は、部署や個人の業務効率化を目指す上で重要な指標の1つです。稼働率を適切に把握し、適正値を目指すための対策を取り入れることで、人員管理や生産性の向上につながります。

本記事では、コールセンターの稼働率の意味や適正値、稼働率を適正に管理する方法などについて解説します。稼働率の管理に役立つツールも紹介しますので、自社の顧客応対業務を効率化するためにぜひお役立てください。

この記事の内容
  • コールセンターの稼働率とは、オペレーターの総勤務時間のうち、どの程度の時間を顧客対応や関連業務に費やしているかを表す割合のこと
  • コールセンターの稼働率が高すぎるとオペレーターが過剰に稼働しており、低すぎると人員の余剰が考えられるため、状況に合わせた対策が必要
  • 稼働率と応答率、占有率は違いがあるものの、関係性を理解し、適切に組み合わせることでコールセンターの業務改善につながる
  • コールセンターの稼働率を適正に管理するには、ステータスや応対状況を細かくチェックし、人員の調整や非生産時間の削減に取り組むこと
  • 稼働率の適正化に向けて、ビジュアルIVRなどのシステムを導入し、オペレーターの負担軽減や人員調整に取り組む方法も効果的

コールセンターにおける稼働率の意味と計算式

コールセンターにおける稼働率とは、オペレーターの勤務時間のうち、顧客対応にかけている時間の割合を示す指標です。給与支払いの対象となっている労働時間の中で、どのくらいの時間を顧客対応に費やしているかを表します。

顧客対応の時間には、以下のような業務や作業の時間が含まれます。

  • 電話の通話時間
  • メールやオンラインチャットの応対時間
  • 保留時間
  • 通話後の事務作業(後処理)時間
  • 待機時間

稼働率は以下の計算式で算出できます。

  • 稼働率(%) = 顧客応対の時間 ÷ 勤務時間 × 100

例えば、あるオペレーターが1日8時間の勤務中に、6時間の顧客対応を行った場合、稼働率は以下のように算出できます。

  • 稼働率 = 6時間 ÷ 8時間 × 100 = 75%

個人だけでなく、コールセンター全体の稼働率を算出し、一定期間ごとの稼働率を分析することで、課題の把握と改善に役立てることが可能です。

コールセンターにおける稼働率の適正値

コールセンターの稼働率には適正値があります。コンタクトセンターの運営マネジメント規格「COPC CX規格」が定める指標値は、月平均の稼働率が86%です。

また、日本の一般的な適正値として80〜85%を掲げるケースが多く、基準より高すぎても低すぎても問題があることを意味します。ここでは、稼働率の数値が表すコールセンターの状況や問題について解説します。

稼働率が高すぎる場合の問題点

稼働率が85%以上と高すぎる場合、オペレーターが過剰に稼働していることを意味します。稼働率が85〜90%程度の場合は、オペレーター不足によって個人の体力や精神力を消耗しつつある注意ラインで、同じ状況が続くと生産性の低下を招く可能性があります。

稼働率90%を超えた場合、オペレーターに過度の負担が積み重なり、離職率や欠勤率の増加や応対品質の低下などが考えられます。

稼働率が低すぎる場合の問題点

稼働率が80%を下回る場合、着信数に対してオペレーター数が多い状況です。稼働率が70%を切るようなケースでは、人員の余剰により、無駄な人件費が発生している可能性が高いため、人員の配置を見直す必要があります。

また、勤務時間が長すぎる可能性もあり、シフトの組み直しやステータス管理の改善も重要です。閑散期に稼働率が下がっている場合は、応対業務以外の時間を研修やモニタリングなどに充てて、オペレーターの品質向上につなげると良いでしょう。

稼働率と他の指標との違い

稼働率の他にも、コールセンター全体のマネジメントに使われる指標は多数あります。中でも、電話のつながりやすさを表す「応答率」や、人員配置の適正度を示す「占有率」は、稼働率と密接な関係のある数値です。

これらを組み合わせて分析することで、コールセンターの稼働状況を的確に判断し、必要な改善策の考案につなげることができます。ここでは、稼働率と応答率、占有率それぞれの違いについて解説します。

応答率との違い

応答率とは、コールセンターに寄せられる着信数のうち、オペレーターが対応した割合のことです。コールセンターにおける電話のつながりやすさを表す指標であり、以下の計算式で算出できます。

  • 応答率(%) = オペレーターの応対件数 ÷ 総着信数 × 100

応答率が高いほど、電話がつながりやすいことを意味します。一般的には、顧客側が電話がつながりやすいと感じ、オペレーター側も対応できていると感じる応答率は90%以上と言われます。

稼働率と応答率共に高い場合は、オペレーターが休む間もなく稼働している状態です。また、稼働率が高く、応答率が低い場合は、オペレーターが対応できる以上の着信が入ってきていることを表します。

一方、稼働率が低く、応答率が高い場合、人員の余剰が出ている可能性があります。稼働率と応答率が共に低い場合は、コールセンター全体における効率性が悪いと言えるでしょう。

関連記事:コールセンターの応答率とは?計算方法と改善策を紹介

占有率との違い

占有率とは、オペレーターの稼働時間のうち、顧客対応に費やした時間の割合を示す指標です。以下の計算式で算出できます。

  • 占有率(%) = 対応時間 ÷ (待機時間 + 対応時間) × 100

稼働率は、休憩時間を含むオペレーターの勤務時間の中で、顧客対応の時間を意味します。一方、占有率はオペレーターの顧客対応時間と待機時間の合計のうち、顧客対応業務にどの程度の時間を費やしているかを表します。

占有率の適正値は、76〜87%前後が目安です。高すぎると顧客対応の負担が多くなり、低過ぎると待機時間が長いと判断できます。

応答率や占有率などコールセンターで活用すべきKPIについては、以下の記事もご覧ください。

関連記事:コールセンターのKPIとは?KPIの重要性と種類をご紹介

稼働率を適正に管理する5つの方法

コールセンターの稼働率は、80〜85%が適正値とされており、高すぎるあるいは低すぎる場合には調整が必要です。ここでは、稼働率を適正に保つために有効な対策を5つ紹介します。現場の状況や課題に応じた改善策を取り入れるために、ぜひお役立てください。

小まめにステータスを管理する

効率的なコールセンター運営を実現するために、厳密な稼働率を割り出す必要があります。そこで、オペレーターのステータスを小まめに把握する方法が有用です。

一般的なステータスには、以下のようなものがあります。

  • 通話中
  • 待機中
  • 後処理作業中
  • 離席中
  • 休憩中
  • 未稼働

各オペレーターのステータスデータを分析することで、顧客応対にかかる時間や業務の偏りを把握でき、業務体制の改善やオペレーターごとの最適な指導につながります。

ただ、ステータスが細かすぎるとオペレーターの手間が増える上、正確さを損なう可能性があるため注意が必要です。業務管理システムのレポート機能などを用いることで、オペレーターの負担を軽減しつつ、ステータス管理の効率化を促すことができます。

状況にあわせた人員調整を行う

稼働率を適正値にするために、人員配置の見直しと調整は欠かせません。オペレーター数が多いほど応対力が増強され、稼働率と応答率は高まりますが、人員が多すぎる、または少なすぎる場合、稼働率が適正値から外れてしまうでしょう。

稼働率が高すぎる場合、オペレーター数を増やして個人の業務負担を減らす必要があります。人手不足であれば新規採用も必要でしょう。また、1人あたりの業務量が多すぎる場合は、自動化システムなどを導入することでも改善を図れます。

反対に、稼働率が低すぎる場合は、余剰人員を減らすためにシフトの調整や短時間勤務の導入といった対策が有用です。1時間・1日・1週間といったさまざまな単位の稼働率を測定することで、時間帯ごとの状況に合った対策を導入できます。

待機時間・非生産時間の活用

コールセンターの生産性を高めるためには、待機時間や非生産時間の使い方も重要です。コールセンターでは、着信が多い時間帯と少ない時間帯があります。また、繁忙期と閑散期とでは業務量に差が出ることも珍しくありません。

稼働率が高く、占有率が低い場合は生産効率が低下している可能性があります。稼働率の適正化のためには人員配置の調整も必要ですが、待機時間を有効活用してスキルアップやモチベーションの向上を促せば、生産性や顧客満足度の向上につながります。

具体的には、以下のような時間の使い方が挙げられます。

  • 研修や教育・学習
  • 面談
  • スタッフ交流
  • 周知事項の連絡や報告

オペレーターへの適切なケアを行う

稼働率を適正に維持する上で、オペレーターのケアも重要です。コールセンターでは、顧客のクレームや無理難題にも冷静に対処しなければならず、強いストレスを感じる場面もあるでしょう。稼働率が高い状態が続くと、心身の負担が蓄積して離職や欠勤が増える可能性があります。

稼働時間のバランスを見直して、稼働率を上げすぎないよう工夫しましょう。極端に稼働率が異なるスタッフがいる場合や、コールセンター全体の稼働率が適正基準の80〜85%を超えている場合には、早急な対策が必要です。

オペレーターのケアにおけるポイントとして、「全員の観察」「日頃のコミュニケーション」「必要時のマンツーマン面談」が挙げられます。勤務中は適度に休憩を取り、スタッフ同士のコミュニケーションを確保するといった配慮が大切です。また、変化を感じたタイミングでマンツーマン面談を実施し、状況を把握しておくことも重要です。

システムの導入

オペレーターの業務状況やコールセンター全体の生産性を把握するために、システムの活用がおすすめです。コールセンターにおける業務改善に役立つシステムは多数あり、主に以下のようなものが用いられています。

  • PBX(構内交換機):問い合わせ電話を受信する
  • CTI:入電を制御する
  • CRM(顧客関係管理):顧客の問い合わせ履歴や購買情報を記録、管理する
  • SFA(営業支援システム):営業活動の生産性や効率化を支援する
  • FAQ(よくある質問):FAQを集約し、問い合わせ時に質問を検索する

上記システムは、組み合わせによってさらなる効果が見込まれます。例えば、CRMをCTIと連携し、電話先の顧客情報を自動表示すれば、よりスムーズな応対が実現します。

他にも、IVR(自動応答システム)の活用により、オペレーターの負担軽減が期待できます。IVRは、顧客のプッシュ操作に応じて自動音声で案内し、有人対応が必要な問い合わせの振り分けを効率的に行います。また、営業時間外でも電話応対が可能で、平日夜や休日の入電集中を回避できるため、顧客の待ち時間の削減にもつながります。

コールセンターの稼働率を適正に管理しよう

コールセンターにおける稼働率は、生産性を的確に把握する上で重要な指標です。適正値は80〜85%と言われ、基準より高すぎても低すぎても問題があると考えられます。

稼働率は、応答率と占有率と組み合わせて分析することで、安定的なコールセンター運営につながります。稼働率を適正に管理するためには、オペレーターのステータスの把握や人員調整、待機時間の有効活用など必要な対策を講じて、業務体制を整えることが重要です。また、システムを導入することで業務負担の軽減や効率化が実現します。

NTTコム オンラインが提供する「ビジュアルIVR」は、電話での問い合わせをSMS経由で最適なデジタルチャネルへと誘導し、自己解決を促すことで顧客とオペレーター双方の負担軽減につながるコールセンター向けサービスです。コールセンターの業務改善に向けて、この機会にぜひ導入をご検討ください。