2021/09/28

ビジュアルIVR

ビジュアルivrとは?メリットや導入事例を解説!

コールセンターの業務改善で「IVR」というシステムが注目されるようになってきました。そして、IVRの発展形といえるのが「ビジュアルIVR」です。ビジュアルIVRはUX(ユーザー体験)を向上させるために、非常に重要なシステムのひとつです。この記事では、ビジュアルIVRの基本的な意味からメリットやデメリット、導入事例などを解説します。

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応答率を向上させよう!IVRやビジュアルIVRの意味とは

そもそも、コールセンターでは「応答率」という指標が重要視されています。IVRやビジュアルIVRも、応答率のために導入されているシステムです。この段落では、応答率とIVR、ビジュアルIVRの関係について説明します。

応答率の意味とは

これまでも当サイトでは応答率について、下記のようなコラムで解説してきました。
(関連記事:コールセンターの応答率とは?その定義と主な改善策

内容を要約するなら、応答率とはコールセンターにおけるKPI(重要業績評価指標)のひとつです。コールセンターの入電のうち、実際にオペレーターが対応できた割合を意味します。たとえば、1000件の入電があったとして、800件しか対応できなければ応答率は「80%」です。20%のユーザーが何の対応もされないまま電話を切っている状態です。応答率は100%に近づける必要がある指標であり、コールセンターに対するUXの充実度の目安になります。

IVRの意味とは

下記コラムでもIVRについての解説を行ってきました。
(関連記事:IVRとは何か?コールセンターに導入するメリットや導入方法

IVRとは「Interactive Voice Response」の略で、「自動音声応答システム」のことです。従来のコールセンターでは入電に対し、オペレーターが応答してきました。しかし、オペレーターの人手が不足している現場では、応答率を100%にするのは困難です。また、ユーザーのリクエストに対応できるオペレーターが担当できるとは限らず、コールセンターにストレスを抱く人は少なくありませんでした。こうした問題を解決するために導入されたのがIVRです。

IVRならオペレーターの手がふさがっている状態でも、とりあえずは機械が自動音声で対応してくれます。ユーザーはIVRの声にしたがい、プッシュボタンを押して質問に答えていきます。そして、IVRがユーザーのリクエストを聞き出してからオペレーターにつなぐので、担当者のマッチングに失敗しません。さらに、「よくある質問」をシステムにインプットしておくことで、IVRだけで問題解決できるケースも多くなります。

ビジュアルIVRとは何か

IVRを発展させたシステムが「ビジュアルIVR」です。通常のIVRは自動音声だけでユーザーに応答してきました。それに対し、ビジュアルIVRでは視覚的なメニューがサービスに加わっています。スマホやパソコンなどの画面に案内画面が映し出されており、音声でそれらのメニューを説明しながらユーザーに対応していきます。すでにメニューが画面に映し出されているため、ユーザーはガイダンスを最後まで聞く必要がありません。ガイダンスの途中でも、適切なメニューを選んで次の対応へと進んでいけます。

さらに、ユーザーの状況によってはFAQサイトやチャットボットなどにも誘導可能です。これらの画面では、具体的にユーザーへと情報を発信できます。ユーザーはトラブルの解決方法をこれらの画面で探し、自力解決を図れる仕組みです。その間、オペレーターがまったく関与しないことも少なくありません。IVRは顧客満足度向上とオペレーター側の人手不足解消をより高次元で行えるシステムなのです。

ビジュアルIVRはどのような場面で活用されているのか

多くの現場でビジュアルIVRは実用化され、成果を上げつつあります。ここからは、ビジュアルIVRの活用方法を紹介していきます。

顧客とのやり取りが発生するアクセスポイント

企業と顧客の橋渡しになる存在が「アクセスポイント」です。そして、アクセスポイントが機能するかどうかは、顧客満足度を大きく左右してきました。顧客が企業側に問い合わせをしたいのに放置されたままだと、新しく不満が募ってしまうからです。そのため、コールセンターのサービス向上は顧客ロイヤリティを育むうえで、無視できないテーマだといえるでしょう。ビジュアルIVRはコールセンターにおける、重要なアクセスポイントとして注目されています。

そもそもIVRは顧客の入電をただ受けるだけでなく、こちらから質問し、リクエストを絞り込んでいけるサービスです。顧客には放置されている感覚が生まれにくく、オペレーターにつながれた後の対応も充実させられます。そのうえで、ビジュアルIVRであればより具体的なやり取りで顧客のリクエストに応じられます。IVRだけでは「分かりづらい」「面倒」「音声ガイダンスが長すぎる」と感じる顧客の不満も解消できるでしょう。

IVRからの入電振分

これまで時間外の入電では、IVRで「おかけ直しください」と案内するのが普通でした。オペレーターがコールセンターにいないので、有人対応をユーザーから求められても不可能だったからです。しかし、IVRからビジュアルIVRに振り分けるという、新しい選択肢がコールセンターで生まれつつあります。ユーザーが時間外であっても詳細な対応を求めているとき、SMS経由で公式ホームページや特設サイトへと案内します。その後はビジュアルIVRが画面を説明しながら、ユーザーのリクエストに対応する流れです。

もちろん、ビジュアルIVRにインプットされていない種類のトラブル、質問には完璧に対応しきれないでしょう。それでも、時間外の応答率をゼロから引き上げられるので、多くの企業に活用されている方式だといえます。

毎月請求確認などのサポート画面

複雑な説明をともなう電話対応で、ビジュアルIVRはサポートの役割を果たします。その代表例が毎月の請求確認です。月々の請求額をユーザーに説明するとき、情報量が多すぎて音声だけでは聞き取れないことも珍しくありません。「何月に発生した」「いくらの料金を」「いつまでに支払うべきか」といった項目が正しく伝わっていないと、後々のトラブルを招きかねないでしょう。

ビジュアルIVRで適切に請求明細ページへ誘導することで、ユーザーはビジュアルで請求額を確認できるため、金額や支払日の勘違いが起こりにくいのです。また、支払方法についても画面で見られるのは魅力です。オペレーターの時間を割かれやすい業務をビジュアルIVRに委ねて、現場の回転率を上げられるのもポイントのひとつでしょう。

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ビジュアルIVR導入のメリットとデメリット!普通のIVRの違いも説明

さまざまな業種でビジュアルIVRが導入されたのは、現場で多くのメリットを得られるからです。ここからは、ビジュアルIVRのメリットについて解説します。

顧客とのやり取りをパーソナライズ

顧客をいくつかの属性に分類し、それぞれに合ったサービスを用意することが「パーソナライズ」です。そして、ビジュアルIVRではパーソナライズ作業の精度を高め、個人のリクエストにより深く応答できるのがメリットです。顧客は自分の嗜好に合った情報をビジュアルで確認できるので、問題解決までの時間がスムーズになります。

セルフサービスオプションの頻度を高める

ユーザーによっては、オペレーターを待たずに自分で問題を解決したいと思う人も多いでしょう。ビジュアルIVRはいわゆる「セルフサービス」に対して、充実したオプションを提供します。音声だけでなく、画面で視覚情報を確認することにより、ユーザーは適切な解決方法を自力で導き出せるでしょう。また、セルフサービスの頻度が増えればコールセンター側の負担は軽減されていきます。

オムニチャネルへの変換

企業と顧客の接点を「チャネル」と呼びます。そして「オムニチャネル」とは、複数のチャネルがある状態です。ビジュアルIVRはオムニチャネルへの変換に役立ちます。もしもユーザーがコールセンターだけでは解決しづらいリクエストを発信してきた場合、ビジュアルIVRなら画面上で別のチャネルへと誘導できます。ユーザーに提示できる解決方法のバリエーションが増えるため、顧客満足度も向上するでしょう。

セキュリティ向上

安全にサービスを使用したいと願うユーザーからも、ビジュアルIVRは支持されてきました。なぜならビジュアルIVRは情報を自分から開示せず、スピーディーに問題解決を図れる仕組みだからです。ユーザーの中には音声情報を知られたくなかったり、うっかり自分の情報をオペレーターに話してしまうことを恐れていたりする人もいます。また、個人情報を知られないためには、できるだけ早くコールセンターとのやり取りを終わらせたい場合もあるでしょう。これらの要望に応えられる手段として、ビジュアルIVRはぴったりです。

待ち時間対策

IVR系のシステムのメリットとして、待ち時間が解消されることは大きいでしょう。そのうえで、ビジュアルIVRは自動音声を聞いている時間まで省略できます。すべての案内を聞かなくても、画面に映っているメニューを参照できるからです。自動音声にありがちなストレスがなくなり、速やかに問題解決できるのがビジュアルIVRの強みです。

ビジュアルIVRにデメリットはある?IVRとの併用も検討

いざビジュアルIVRを導入する際は、決して完璧なシステムではないという前提を踏まえましょう。わずかながら問題点を抱えており、それは人間のオペレーターで解決するしかありません。ここからは、ビジュアルIVRのデメリットについて解説します。

電話対応を好んでいる顧客もいる

忘れてはならないのが、ビジュアルよりも会話で対応してほしいと願っているユーザーの存在です。たとえば、視力が悪くて画面を見づらいユーザーの場合、ビジュアルIVRを不便に感じるでしょう。こうしたユーザー対策として、ビジュアルIVRとIVRを併用して相互補完することは必須です。また、ユーザーとの関係性を深く構築しにくいのもデメリットです。ビジュアルIVRではどうしても、冷たい印象を抱いてしまうユーザーがいます。ビジュアルIVRがあるからといって人間のオペレーターが不要になるわけではありません。オペレーターにつなぐ場合のマニュアルも用意しておきましょう。

使い分けの参考に!IVRとビジュアルIVRの違いや関係性

もっとも大きな違いは、「音声」と「画面」です。IVRは自動音声だけでユーザーに応答します。それに対し、ビジュアルIVRは画面情報でユーザーに応答します。さらに、ビジュアルIVRで特設サイトやチャットボットに誘導し、ユーザーの自力解決を促すことも独自のポイントだといえるでしょう。一見、ビジュアルIVRはIVRよりも便利なシステムに思えます。ただ、視覚情報を収集することが苦手な人にとっては、IVRのほうがより親しみやすいサービスです。ビジュアルIVRの導入でIVRを切り捨てるのではなく、両者の併用がコールセンターには求められます。

大企業でも使われている!ビジュアルIVRの導入事例

有名企業の現場でも、ビジュアルIVRは実用化されています。この段落では、ビジュアルIVRの導入事例を紹介します。

ANA Xでの事例

マイレージクラブの企画運営で知られるANA X株式会社では、SMS送信とビジュアルIVRを組み合わせたサービスが導入されました。
(関連記事:導入事例 ANA X株式会社様

このサービスでは、SMSによって画面へと誘導し、ユーザーに具体的なイメージを持ってもらいながら問い合わせに応答しています。資格情報をともなった「旅情感」により、顧客の満足度は向上しました。もともと、ANA XがビジュアルIVRに興味を持ったきっかけは、GoToトラベルの問い合わせでコンタクトセンターが激務になったことです。オペレーターの負担を減らしつつ、応答率を高めるための施策としてビジュアルIVRは成功しました。

少額短期保険ハウスガードでの事例

大東建託グループの少額短期保険ハウスガード株式会社はその名の通り、少額短期保険の事業を展開しています。少額短期保険ハウスガードでは顧客とのオンライン契約を推進してきました。そこでまず、NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社による「空電プッシュ」が選ばれました。それに引き続き、同社が提供しているモバイルウェブのビジュアルIVRも導入したのです。
(関連記事:導入事例 少額短期保険ハウスガード株式会社様
少額短期保険ハウスガードがビジュアルIVRを必要としたのは、災害時にコールセンターがひっ迫することへの対策でした。ビジュアルIVRならSMS送信で特設ページにユーザーを誘導できます。そこで事故対応受付やFAQを自力で確認できるため、コールセンターの業務効率が改善されたのでした。

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顧客接点を大切に!IVRとビジュアルIVRでUX向上を

コールセンターは顧客と企業との大切な接点です。IVRやビジュアルIVRによってUXを向上させれば、顧客との関係性は深まっていきます。コールセンターへの不満がなくなり、顧客が抱えている問題も早期解決されます。その結果として、顧客の「囲い込み」が促進されるでしょう。また、さまざまな顧客に対応するにはIVRとビジュアルIVRの併用が肝心です。