2025/01/24

ビジュアルIVR

コンタクトセンターとコールセンターの役割の違いとは?成功させる3つのポイントも解説

ECサイトなどの普及に伴い、顧客と企業が対面でコミュニケーションを取る機会は、かつてに比べ減少しているといえるでしょう。そんななか、製品やサービスの情報収集、予約、アフターサポートといった場面で、コンタクトセンターは顧客との重要な接点となり、果たす役割が大きくなっています。

本記事ではコンタクトセンターの役割やコールセンターとの違い、コンタクトセンターの運用を成功させるポイントなどについて解説します。コンタクトセンターの必要性を検討している企業の担当者様は、ぜひ参考にしてください。

この記事の内容
  • コンタクトセンターには、問い合わせ・クレームへの対応、顧客満足度の向上、付加価値の向上などの目的がある
  • コミュニケーション手段の多様化、顧客体験(CX)の重要性増加、DXの推進などにより、コンタクトセンターが注目されている
  • コンタクトセンターの運用を成功させるためには、自社に適したシステムの導入、役割や対応領域の明確化、社内環境の整備などが必要

コンタクトセンターとは?コールセンターと何が違う?

コンタクトセンターとは、主に消費者からの問い合わせに対応する部署や組織のことです。まずは、コンタクトセンターの役割やコールセンターとの違いについて解説します。

コンタクトセンターの役割とは?

コンタクトセンターでは、さまざまなコミュニケーションツールを用いた消費者からの問い合わせに対応しています。具体的なコミュニケーションツールは以下の通りです。

  • 電話
  • メール
  • SNS
  • FAX
  • チャット
  • アプリ など

コンタクトセンターの目的は、問い合わせやクレームへの対応だけでなく、付加価値の向上や顧客満足度の向上なども含まれます。商品やサービスの品質向上を目的としたマーケティング活動や、購入履歴に基づいた商品の提案なども一例です。コンタクトセンターへ集まる多様な情報を有効活用することで、品質の向上につなげることができます。

コールセンター・カスタマーセンターとの違い

「コールセンター」と「カスタマーセンター」は一般的に同義とされているため、ここでは「コールセンター」に統一して説明します。コールセンターとコンタクトセンターは、使用するツールに違いがあります。コールセンターは主に電話を使用して顧客対応を行うのに対し、コンタクトセンターは先述した多様なツールを活用するのが特徴です。

メールやチャット、SNSなどのコミュニケーションツールが多様化したことにより、従来のコールセンターがコンタクトセンターと呼ばれるようになった背景があります。

コンタクトセンターの業務内容

コンタクトセンターの業務には、インバウンド業務とアウトバウンド業務があります。ここでは、両者について解説します。

インバウンド業務

インバウンド業務とは、顧客からの問い合わせを受ける業務です。商品・サービスに関する問い合わせや注文内容の確認、クレーム対応、テクニカルサポートなども含まれます。インバウンド業務ではどのような問い合わせがあるかわからないため、幅広い商品知識や対応力が求められます。

アウトバウンド業務

アウトバウンド業務とは、企業から顧客へ発信する業務です。たとえば、商品・サービスのセールス、キャンペーンの案内、アンケート調査、督促などもアウトバウンド業務に含まれます。 また、電話やメール、テレビ電話システムなどのツールを使って営業を行う「インサイドセールス」もアウトバウンド業務の一つです。

【関連記事】インバウンド・アウトバウンドとは?コールセンター効率化の方法も紹介

コンタクトセンターが注目される背景

続いて、コンタクトセンターが注目される背景について見ていきましょう。

コミュニケーション手段が多様化している

コンタクトセンターが注目される背景の一つに、コミュニケーション手段の多様化が挙げられます。総務省が発表した「令和6年版 情報通信白書」によると、2023年のインターネット利用率(個人)は86.2%で、端末別の利用率ではスマートフォンが72.9%、パソコンが47.4%となっています。

かつては電話が主な問い合わせツールとして活用されていましたが、近年はスマートフォンやパソコンなどによるメール、アプリ、SNSからの問い合わせへと移行しています。顧客によって好むコミュニケーション手段は異なるため、企業は顧客満足度を高めるためにもコンタクトセンターを設置し、オムニチャネル化する必要性が高まっているのです。

出典:総務省|令和6年版 情報通信白書

顧客体験(CX)の重要性が増している

近年、顧客体験(CX)の重要性が高まっています。顧客体験とは、商品・サービスの認知から購入後のサポートまでの一連の体験を指します。商品広告や接客への印象、店舗の雰囲気、アフターサポートなども顧客体験に含まれる要素です。

現代では顧客とのタッチポイントが増加し、多様な接点を持つようになりました。その結果、商品・サービスの質に加え、各タッチポイントでの顧客体験の重要性が高まっています。コンタクトセンターを設置することで、各タッチポイントにおける顧客体験の最適化が期待されています。

たとえば、企業への問い合わせの際、顧客が電話での待ち時間のストレスを解消するため、チャットボット(自動会話プログラム)を取り入れるといった方法が有効です。さらに、チャットボットを導入すれば、24時間いつでも問い合わせが可能になります。

また、顧客体験の改善がロイヤルティに寄与することで、リピート率の向上も期待できます。

競争力の維持・向上が難しくなっている

近年、顧客のニーズは多様化しており、変化のスピードも速くなっています。市場では類似した商品やサービスが多く提供されており、品質による競争力の維持・向上が難しくなっているのが現状です。

そんななか、競争力に大きな差が出るのはデータやツールの使い方であり、有効な手法の一つとしてコンタクトセンターが注目されています。データ基盤を構築したうえでコンタクトセンターを運用することで、よりパーソナライズされた顧客サポートやマーケティング施策を実施することが可能になります。

DX(デジタルトランスフォーメーション)が推進されている

システムやデジタルツールを活用してコンタクトセンターを構築することで、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進につながります。DXとは、デジタル技術を駆使してビジネスモデルや日々の業務を変革し、企業価値を高めていこうとする取り組みです。

コンタクトセンターの設置はデータの収集・管理・分析を促進し、結果としてDXが推進されます。DXの促進は業務の効率化につながり、生産性の向上や人材不足の解消にも期待できます。

コンタクトセンターの設置が特に有効な企業とは?

コンタクトセンターは、必ずしもすべての企業が設置すべき部門ではありません。コンタクトセンターの業務内容や注目される背景を総合的に考えると、設置が有効な企業の特徴が見えてきます。以下のような企業は、コンタクトセンターを設置することが有効です。

  • 顧客の声を広く活用したい企業
  • 顧客対応の業務を効率化させたい企業
  • 顧客や見込み客の層が広い企業
  • 販売促進を目指す企業

一方、すでに優れた顧客対応を提供していたり、コンタクトセンターの設置目的が明確でなかったりする企業は不要といえます。

コンタクトセンターの構築に有効なシステム・機能

顧客満足度にもつながるコンタクトセンターの対応においては、品質の向上に寄与するシステムや機能が必要です。ここからは、コンタクトセンターの構築に有効なシステム・機能について解説します。

CTI(Computer Telephony Integration)

CTI(Computer Telephony Integration)とは、コンピューターや電話、モデム、FAXなどの装置をつなぎ、コンタクトセンターの機能を効率化するシステムです。CTIの活用により、以下のようなことが可能になります。

  • 顧客データや取引内容、電話番号を紐づけてデータベースに保存
  • 受信と同時に顧客情報を表示
  • オペレーターの通話時間や受付件数の管理
  • オペレーターごとに対応時間に差が出ないよう受信の振り分け

このように、CTIを導入することでスムーズな対応が可能となり、顧客満足度向上にも期待できます。

CRM(Customer Relationship Management)

CRM(Customer Relationship Management)とは、顧客に関する情報を一元管理できるシステムです。CRMを活用することで、顧客情報に迅速にアクセスでき、それぞれの顧客に最適なタイミングで商品やサービスを提供することができます。

コンタクトセンターでは、オペレーターが顧客との対応履歴の入力や閲覧などができ、対応品質の向上にもつながります。

CRMは顧客管理を効率化し、CTIは電話での対応業務を効率化するシステムです。両者を連携させることで、より優れた顧客対応を実現できるでしょう。

ACD(Automatic Call Distribution)

ACD(Automatic Call Distribution)とは、あらかじめ設定した条件に基づいて、顧客からの電話を適切なオペレーターにつなぐシステムです。コンタクトセンターにおけるACDの有用性には以下のようなものがあります。

  • 待機時間やコール数、スキルなどの条件を設定することで、最適な担当者や部門に誘導できる
  • 待ち時間の長い入電をオペレーターに優先的に接続させる
  • オペレーターをグループ化し、空いているオペレーターに着信させる
  • 混雑回避のためのかけ直し、Webでの手続き案内などに誘導できる
  • オペレーターへの入電回数の偏りがなくなる

このように顧客の不満を軽減することで、顧客満足度の向上にも寄与できます。

IVR(Interactive Voice Response)

IVR(Interactive Voice Response)とは、自動音声応答システムを指します。コールセンターなどに入電した際に、「〇〇の場合は1を、□□の場合は2をプッシュしてください」といったメッセージが流れ、問い合わせの振り分けを行なうのもIVRの機能の一つです。

IVRを活用することで、問い合わせ時の待ち時間を短縮したり、自動音声案内によって適切な部門に誘導したりすることが可能になります。また、折り返し予約の自動受付、アウトバウンドコールの自動化といった機能により、業務の効率化も可能です。

近年では、Webページやアプリでより分かりやすく自動対応する「ビジュアルIVR」も提供されています。

【関連記事】IVRとは何か?コールセンターに導入するメリットや導入方法

チャットボット

チャットボットとは「チャット」と「ボット(ロボット)」を組み合わせた造語で、自動会話プログラムのことです。顧客からの問い合わせにチャットボットが自動で返答するため、コンタクトセンターの業務を効率化することができます。

顧客が電話やメールで問い合わせをする際、待ち時間が長いとストレスを感じてしまいますが、チャットボットであればすぐに回答を得られるため顧客満足度が高まります。

また、有人対応の場合は対応できる時間に制限がありますが、チャットボットであれば24時間365日対応できるのも魅力です。さらに、チャットボットを活用することで対応のクオリティに差が出にくく、安定した回答を提供することができます。

【関連記事】チャットボットを導入するメリットと失敗しない選び方

通話の録音機能

通話録音機能は、顧客とオペレーターの通話内容を記録として録音するシステムです。通話録音機能は聞き逃し防止やトラブル対応、クレーマー対策などに役立ちます。なかには、AIを使った通話内容の自動要約などができるものもあります。

電話対応では会話のスピードや相手のイントネーションなどにより、オペレーターがうまく聞き取れないケースもあるでしょう。聞き間違いによりトラブルが発生する恐れもあるため、第三者にも正しい状況が把握できるよう記録に残しておくことが重要です。

また、自動アナウンスで通話を録音していることをあらかじめ顧客に伝えることで、悪質なクレームを抑止する材料ともなります。

メッセージ機能(メール・SMSなど)

メールやSMSを配信するメッセージ機能もコンタクトセンターの構築に有効です。メールやSMSでの問い合わせ対応に加え、メルマガや重要なお知らせの配信、クーポンの提供など多様な用途に活用できます。

特にSMSは到達率・開封率の高いコミュニケーションツールなので、コンタクトセンターの運用に有用な機能です。たとえば、SMSを利用して、電話が混み合っている際に「◯分後に折り返しお電話いたします」といったメッセージを送信する、FAQへ誘導する、アンケート調査を送付するなども可能です。

メールやSMSなどを活用するメッセージ機能はCRMに搭載されていることもあります。

【関連記事】【2022年度版】SMSの開封率とSMSが便利だと感じた使い方とは

アンケート機能

アンケート機能とは、SMSなどを使ってWebアンケートを実施する機能です。アンケートの作成は自社でも対応できますが、専用の機能があるとアンケートの精度や運用効率が向上します。回答結果の集計も容易になるうえ、CRMなどと連携することでより詳細な分析ができ、マーケティング施策に有効活用できるでしょう。

コンタクトセンターの品質を改善するには顧客からのフィードバックが必要になるため、アンケート機能は重要な機能の一つです。

【関連記事】お客様アンケートの方法とは?例文や回答率を上げるポイントを紹介

コンタクトセンターとコールセンターの構築手順に違いはある?

基本的に、コンタクトセンターとコールセンターの構築手順は同じです。

1. 目的とゴールを設定する

  • コンタクトセンターを立ち上げる目的や自社の課題に合わせた具体的なゴールを設定する

2. 現状調査とKPI設定を行う

  • 現状のコールセンターの運用ルールやマネジメント体制、システム環境などを調査し、課題を洗い出す
  • 目的達成や課題改善のためのKPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)を設定する

3. 業務プロセスを設計する

  • マネジメント方法や指揮命令系統、災害時・緊急時の運用方法などのプロセスを設計する

4. 設備・システムを選定する

  • パソコンやインカム、CTI、CRMなど必要なものをリストアップして選定する

5. 人材や就業形態、制度を整備する

  • 業務プロセスに応じた適切なポジション配置、研修講師の選定、シフトなどのルールを整備する

6. 作業マニュアルを整備する

  • 製品・サービスに関する資料やトークスクリプト、クレーム対応マニュアルなどを整備する

企業の方向性に沿った目標や運営方針のないコンタクトセンターの対応は、顧客満足度の低下を引き起こす可能性があります。長く運用できるコンタクトセンターを目指し、しっかりと準備しましょう。

コンタクトセンターの運用を成功させる3つのポイント

続いて、コンタクトセンターの運用を成功させる3つのポイントについて解説します。

1|自社に適したシステムを導入する

まずは、自社の業務に適したシステムを選定・導入することが大切です。システム選定の際には以下のような項目をチェックしましょう。

  • 機能面の要件を満たしているか
  • 実際の業務フローでの操作性は良いか
  • 利用中のシステムとの連携はできるか

操作性も重要な要素なので、導入前にオペレーターによる動作確認や使用感などを確認する期間を設けることをおすすめします。また、オムニチャネル化を促進するためにも、他システムとの連携も十分考慮する必要があります。

2|役割や対応領域を明確化する

コンタクトセンターは多くの部門やスタッフが関わるため、役割や対応領域を明確化しておかないとトラブルの元になりかねません。顧客対応や設備の準備、システムの構築、人材の配置やマニュアルの整備など、各領域の担当者とその役割、具体的なタスクを明確にしておきましょう。

スムーズに進めるには、各領域でリーダーシップを取れる人材を選定することも大切です。コンタクトセンター構築の進捗を管理する際は、WBS(Work Breakdown Structure)が有効です。WBSはプロジェクト全体を細かな作業に分解した構成図のことで、やるべき作業を洗い出すなど、全体の進捗管理に活用できます。課題や問題点を可視化でき、優先順位づけや対応漏れ防止に役立ちます。

3|社内環境を整備する

コンタクトセンターの機能を充実させるためには、以下のような社内環境の整備も欠かせません。

  • 円滑なコミュニケーションが取れる環境(コンテストの開催、コミュニケーションツールの活用など)
  • 適切な人事評価制度
  • リフレッシュスペースの確保

オペレーターが意欲を持って仕事に取り組めるよう、インセンティブ制度や季節ごとのイベント、社員同士が感謝を伝え合うコミュニケーションツールなどを活用する企業もあります。特に人材不足になりやすいオペレーターの離職対策としても、働きやすい環境を整えることは重要です。

コンタクトセンターの構築をサポートするNTTコム オンラインの「モバイルウェブ」

NTTコム オンラインが提供する「モバイルウェブ」は、顧客接点の効果やコンタクトセンターの効率化をサポートするWebマーケティングツールです。顧客データを一元管理できるデータベース機能を備えており、データベースと各種機能を連携させ、幅広いマーケティング施策に活用できます。また、API連携にも対応しており、外部システムとの連携も可能です。

コンタクトセンターの運用に役立つ機能として、以下が挙げられます。

  • ビジュアルIVR
  • アンケート機能
  • メール送信・SMS送信機能

また、高品質なデータベースでの顧客管理や多様な用途のフォーム作成が可能なフォーム機能、1時間に100万通の大量高速メール配信・テレコール、Push配信SMS配信、プッシュ通知など、コールセンターの業務を効率化する機能が揃っています。

導入事例|ANA X株式会社 様

ANA X株式会社様は、ANAグループの顧客関連事業を担う企業です。航空販促や旅行事業、EC事業、保険、ANA Payなどの金融・決済事業など幅広く展開しています。

旅行事業に特化したコンタクトセンターには約150名のコミュニケーターが在籍し、月に4万件ほどの問い合わせがある状況でした。同社は顧客へ新たな価値を提供したいと、NTTコム オンラインのモバイルウェブ(ビジュアルIVR)を導入されます。

同社は以前、以下のような課題をお持ちでした。

  • 電話やメールなどの従来型の仕組みに限界を感じていた
  • GoToトラベルに伴い入電が増加し、コンタクトセンターが逼迫。電話対応以外のサポート手段が必要になった

モバイルウェブを導入後は、以下のような効果を実感されています

  • 窓口の時間外対応として有効活用できる
  • SMS送信とビジュアルIVRを組み合わせることで、顧客に必要な情報に最短ルートで誘導できる
  • “旅情感”のある顧客体験を実現できる

加えて、短納期や費用面、一元サポートなども導入の決め手になったようです。

コンタクトセンターとコールセンターの違いを理解してビジネスに活用しよう

顧客が使用する問い合わせツールの多様化に伴い、コンタクトセンターの役割はますます重要になるでしょう。IVRやチャットボットなどのツールを活用することでコンタクトセンターの作業効率が改善され、顧客満足度の向上にもつなげることができます。

モバイルウェブのビジュアルIVRやCRM、アンケートシステムなどは、コンタクトセンターの運用効率化に役立ちます。NTTコム オンラインでは、コンタクトセンターの運用に役立つ各資料をご用意していますので、ダウンロードしてぜひご活用ください。

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