2023/06/29

納品書の電子化

納品書の電子化は業務効率アップやコスト削減に有効|要件や電子化の方法も解説

働き方改革やDXの推進に伴い、納品書の電子化を検討する企業が増えています。中には、取引先の要望で電子化を進めているものの保存に関する要件が多く、戸惑っている担当者の方もいるかもしれません。

しかし、納品書の電子化は今後DXを推進するためにも対応すべき課題です。今回は、納品書を電子化するメリットや保存する際の要件、電子化の方法などを詳しく解説します。

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電子帳簿保存法により納品書の電子化(ペーパーレス化)が可能になった

従来、納品書は取引の際に商品と一緒に送付され、そのまま紙で保存されるのが一般的でした。電子化を可能にしたのは、1998年に施行された国税関連書類の電子保存を認める「電子帳簿保存法」です。

同法律では電磁的記録による保存が「電子帳簿等保存」「スキャナ保存」「電子取引」という3種類のケースに区分され、それぞれ要件が定められています。そして、改定を重ねるごとに電子保存に関わる要件も徐々に緩和されてきました。そのため、ますます納品書の電子化に取り組みやすくなっています。

電子化に関してはこちらもご覧ください。

電子帳簿保存法の改正により電子データでの保存が義務付けられる

とりわけ電子取引に関しては、2022年1月施行の電子帳簿保存法改正により電子保存が義務付けられました。電子メールやホームページ、クラウドサービスなどを介して電子的に授受、もしくはダウンロードされたすべての納品書が対象です。

ただし、2023年12月31日までは猶予期間として従来通り紙への印刷保存も認められています。電子化の体制を整えるにはそれなりの期間を要するため、余裕を持った準備が重要です。

納品書を電子化するメリット

納品書を電子化する6つの大きなメリットを紹介します。

保管・管理コストの削減 

5年〜10年分もの印刷された納品書を適切に保管するには、それなりのスペースが必要です。整理するための棚やファイル、ラベルなどを用意するケースも多いでしょう。

一方、納品書を電子化すればそのような保管スペースや備品は不要です。場所代や保管にかかるコストに加えて、ファイリングや破棄作業などの管理にかかる人件費も削減できます。紙代や郵送費用など納品書の作成や印刷、送付にかかるコストも削減できるでしょう。

業務効率の向上

そもそも紙の納品書で取引を行うには、入力や確認、印刷や発送などの手間がかかります。取引先や発注件数が多いほど、その作業や確認にかかる時間は増えます。

そのため、納品書の電子化によりそのような作業が減れば、本来の業務により集中できるでしょう。会計や帳票管理システムと自動で連携できれば、他の帳票の作成や情報共有なども容易になり、より業務効率の向上が期待できます。

ヒューマンエラーの防止

納品書を手入力で作成・送付するには、誤入力や漏れ、誤配送などのリスクがつきものです。トラブルによっては、些細なミスも企業の信頼や評判に関わる大問題に発展しかねません。

しかし、納品書を電子化し自動で作成・送付できれば、そのようなヒューマンエラーを防げるでしょう。また、ミスがないかをその都度確認する手間や人件費も削減できます。

リードタイムの減少

納品書を印刷して送付するとリードタイムが発生します。修正や再発行が必要な場合はさらに時間がかかるでしょう。発送や受領のためにわざわざ出社したり事務所と店舗を行き来したりする必要があり、確認に手間取るケースもあるかもしれません。

一方、電子化した納品書なら発行したその日のうちに送付、確認や返信まで可能です。修正や再発行などにもすぐ対応できます。

セキュリティ性の向上

紙の納品書は、紛失や情報漏洩のリスクが高くなりがちです。紙が劣化したり、汚れてしまったりする場合もあるでしょう。書類を入れ替えられてしまったり、盗難や災害に遭ったりするケースも考えられます。

一方、電子データの場合は整理や長期間の管理が容易です。紛失やデータ破損のリスクにも備えられます。また、アクセス制限をかければ決められた人しかデータを閲覧できないため、情報漏洩や改ざんのリスクを減らせます。

検索性の向上

膨大な量の書類の中から必要な納品書をピンポイントで探し出すには、手間や時間がかかるものです。戻し忘れや間違いなどが原因でてこずる場合もあるかもしれません。

しかし納品書が電子データとして保管されていれば、古い情報でもキーワードを入力するだけで簡単に見つけ出せます。保管場所が明確になるため、引き継ぎの負担も少なくなるでしょう。

デジタル化のメリットに関してはこちらもご覧ください

納品書を電子データで保存するための要件

国税庁により定められている優良な電子帳簿の代表的な要件を紹介します。

変更履歴が残るシステムの利用

納品書の電子保存には、追加や訂正、削除などの変更履歴を追跡できる、もしくは内容を一切変更できないシステムを利用しなければなりません。通常の処理期間を経過後に行われた入力も確認できる必要があります。隠ぺいや改ざんに加え、うっかり上書きしてしまったなどのミスを防ぎ、納品書の真実性を担保するためです。

システム関係書類の備付

税務調査が行われる際など、担当者以外の人物がシステムを操作する場合があります。そのため、導入した帳票管理システムのマニュアルやシステム概要書、仕様書などを備え付けておかなければなりません。なお、操作説明書が組み込まれており速やかに出力できるなら、オンラインマニュアルやヘルプ機能なども活用できます。

データの記録に必要な機器の準備

納品書を電子データで保存するには、いつでも速やかに情報を画面や紙面に出力できるようにし、見読可能性を確保しておく必要もあります。そのため、保存場所にはパソコンやディスプレイ、プリンタや各マニュアルを準備するよう求められています。それらの機器はいつでもスムーズに使えるように整えておきましょう。

検索機能の確保

電子納品書は、取引年月日や取引金額、取引先などで検索できるようにしておかなければなりません。また、日付や金額の範囲を指定したり、2つ以上の項目を組み合わせたりして検索できるようにしておく必要があります。税務職員から電子データのダウンロードを求められた際に応じられるようにしておきましょう。

要件の詳細は国税庁のホームページをご覧ください
電子帳簿保存時の要件

納品書をスキャナで電子化する際の要件

印刷された納品書をスキャナで電子化して保存する際の主な要件を解説します。

期間内の入力

納品書のスキャナ保存は、書類の作成もしくは受領後速やかに行うように定められています。紙段階での改ざんや紛失等の可能性を低くするためです。企業の業務処理サイクルにもよりますが、最長でも「翌々月の7日」以内にはスキャナ保存しましょう。

条件を満たすシステムの利用

スキャナ保存後の改ざんや隠ぺいを防止するために、タイムスタンプ付与や変更履歴追跡、ヴァージョン管理などが可能なシステムを利用しましょう。もしくは、まったく変更ができないシステムでもかまいません。

見読可能性の確保

スキャナ保存したデータは、いつでも画面や書面に速やかに出力できるように準備しておかなければなりません。14インチ以上のカラーディスプレイや4ポイントの文字が認識できる機器の設置が必要です。

検索機能の確保

スキャナ保存した納品書は、金額や日付、取引先などで検索できるようにしておきましょう。税務職員にダウンロードを求められた際に応じられるなら、範囲指定や複数項目による検索の機能がなくてもかまいません。

納品書をスキャナで電子化する方法

納品書をスキャナで電子化する方法を3つのポイントに分けて具体的に解説します。

要件をもとにデータの保管方法を決める

まず、法律で定められている要件に基づいて、データを保存する際のルールを定めましょう。

例えば、ファイル名やフォルダ名、保管場所やアクセス権限などを決めます。ファイル形式や解像度、書類サイズなどは要件を満たしたうえで、見やすさとデータ容量のバランスを考えるのがポイントです。保管先は自社サーバーやデータセンター、オンラインストレージなど、さまざまな選択肢から自社の条件や目的に合った場所を選びましょう。

納品書をスキャンしてPDF化する

設定したファイル形式や保管方法に合わせてスキャンを行います。要件を満たしていれば、スキャナだけでなく、スマートフォンやデジタルカメラも使用できます。自社でスキャンしてもよいですし、書類量が多く社内での対応が難しければ外部への委託も可能です。

スキャン後は速やかにデータを確認し、必要ならタイムスタンプを付与します。電子データの真実性を客観的に証明できるように保存しましょう。

PDFをOCRで読み込めばより管理しやすくなる

PDFデータや画像ファイルはOCR(Optical Character Reader:光学文字認識機能)で読み込むと、より管理しやすくなります。OCRは、画像データの文字を自動でテキストデータに変換する技術です。

文字データを手入力する時間や労力を削減できるため業務の効率化が期待でき、誤入力のリスクも防げるでしょう。また、文字データはPDFに比べ容量が少ないため保存しやすく、キーワードでの検索ができるため検索力が向上します。

ただし、原本の状態によって精度に問題が出る場合があるため、文字の補正や解像度を上げるなどの対策が必要です。

納品書を電子データで運用する方法

納品書を電子データで運用する際に使われる一般的な方法を2つ紹介します。

WordやExcelで運用する

帳票管理に特別なシステムを導入できない場合には、WordやExcelを使って運用するのが一般的です。もともと業務でMicrosoft Officeを使用していれば、基本的には無料で納品書が作成できます。また、インターネット上で多数提供されているテンプレートも活用可能です。

ただし、データの手入力など納品書の作成や管理に手間がかかります。そのため、管理システムの導入に比べ業務効率化やコスト削減などへのインパクトは少ないでしょう。

帳票管理システムで運用する

帳票管理システムは、請求書や納品書などの作成や送付を自動化するためのシステムです。既存システムとの連携やクラウドでの利用が可能な場合もあります。

取引先の情報を入力しておけば、条件に沿って納品書を自動で作成、配信してくれるため、大幅な業務効率の向上やコスト削減が期待できます。記入漏れや誤入力、誤配送などのトラブルも防げるでしょう。

書類の改ざん防止や、セキュリティ対策の強化をしやすいのもメリットです。また、電子帳簿保存法に対応しているシステムを選べば、安心して納品書の電子化に取り組みやすいでしょう。

納品書を電子化する際の注意点

実際に納品書を電子化する際に注意したい3つの点を解説します。

取引先に事前確認が必要

納品書のやり取りには取引先が関係しています。自社が電子化をしても取引先の企業が対応していなければ、従来通り紙の納品書を使用する必要があるかもしれません。電子データでの取引に同意が得られても紙の納品書も欲しいと言われたり、承認には納品書の同封や押印が必須だったりするケースもあるでしょう。

そのため、取引先に事前に確認し、許可を得たうえで電子化を進めることが重要です。

運用フローの整備が必要

納品書の電子化に伴い、作業内容や手順が変わります。なかには、電子機器の操作に不安を感じる従業員がいるかもしれません。また、急な変更は混乱を招く可能性もあるため、事前に運用マニュアルを用意して社内で共有しておきましょう。

特に、帳票管理システムの導入時は、丁寧な説明や研修を実施するなどの準備をしておくことが大切です。帳票類の電子化を進める目的やメリットを周知すると、理解や協力を得やすい場合もあります。

システム障害や情報漏洩の対策が必要

システム障害が起きると、突然データにアクセスできなくなる可能性があります。バックアップデータの保存や、システムと切り離した場所にもデータを保管しておくなどの対策が必要です。

また、データの盗難を防ぐためには、セキュリティ機能を要したシステムの導入、もしくは別途セキュリティツールの導入が欠かせません。データの持ち出しやUSBの紛失などのリスクには、アクセス権限の設定やアクセスログが残るシステムの導入といった対策が有効です。

電子化した納品書の運用には「ナビエクスプレス」

納品書の電子化を検討している企業さまは、「ナビエクスプレス」の導入がおすすめです。電子帳簿保存法に対応した高セキュリティのシステムで、安心して運用できます。

納品書は既存のデザインを変えずに、簡単に作成・送付が可能です。また、領収書や請求書、給与明細、支払通知書などの管理にも利用できます。

例えば、納品書の発行や発送に係わるコストに関して課題を抱えていたある企業では、システムの導入により70%以上のコスト削減に成功。顧客の要望に沿った形式の納品書を作成できるようになり、顧客満足度もアップしました。

納品書の電子化はメリットが多く迅速に対応するべき課題

コストや手間の削減、業務効率の向上など多くのメリットがある納品書の電子化は、迅速に対応するべき課題の1つと言えるでしょう。納品書の電子化・保存にはさまざまな要件を満たす必要がありますが、電子帳簿保存法に対応したシステムを導入すれば簡単です。

まずは、「ナビエクスプレス」の導入によりどのようなことが実現できるのか、確認してみてはいかがでしょうか。

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