2023/06/22

請求書の電子化

請求書のデータ化は業務効率化に有効|メリットや注意点を解説

従来、紙でのやり取りが当たり前だった請求書ですが、昨今は請求書のデータ化に取り組む企業が増えています。これは請求書のデータ化により、業務の効率化やコスト削減が実現するなど多くのメリットがあるためです。また、電子帳簿保存法などにより、国も帳票のデータ化を後押ししています。

この記事では、受領した請求書をデータ化する方法をはじめ、請求書をデータ化するメリットや注意点についても詳しく解説します。

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請求書のデータ化は電子帳簿保存法という法律で認められている

電子帳簿保存法の制定により、請求書をはじめとする国税関係の帳票や書類のデータ化が認められました。従来は紙での保存が原則でしたが、コストや効率面の問題、企業の競争力維持のためにもデータ化が重要になり推進されています。データ化には一定の要件を満たさなければなりませんが、改正を繰り返しながら緩和が図られています。

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インボイス制度の開始により請求書のデータ化はより重要に

インボイス制度とは、取引先から発行された適格請求書を保存し、仕入額控除を受けるためのものです。取引の正確な消費税額と消費税率を把握することが主な目的とされています。2019年の消費税増税により食品などには8%の軽減税率が適用されましたが、仕入・販売に8%と10%の消費税率が混在するケースが発生しました。その対応策として、税率ごとに区分した対価や適用税率・税額などを明記した請求書が必要となったのです。

インボイス制度の開始により、発行する取引先が適格請求書発行事業者なのか確認する、請求書に消費税額など税率ごとに区分して記載してあるか確認する、適用税率の記載があるか確認するなど、経理業務の負担が増加する恐れがあります。企業はデータ化とインボイス制度に対応できるシステムの導入を検討する必要が出てくるでしょう。

受領した請求書をデータ化する方法

ここでは、受領した紙の請求書をデータ化する方法を2つ紹介します。

社内でスキャンしてデータ化する

「まずは社内で対応できる範囲でデータ化に取り組みたい」という場合、書類を社内でスキャンしてデータ化できます。これには、コピー機や複合機でスキャンする方法や、カメラで撮影した後にスキャナーアプリでPDF化する方法などがあります。

ただし、社内でデータ化すれば外部に委託するコストは削減できますが、1枚ずつスキャンして目視で確認し、入力作業を行うのには人的コストが必要です。書類の量によっては、通常業務に支障がでる可能性もあるでしょう。また、電子帳簿保存法の細かな要件を満たすよう、保存形式を策定するのにも苦労する傾向があります。

OCRなどを活用したデータ化サービスを使う

OCR(Optical Character Reader:光学文字認識機能)とは、紙や画像に書かれている文字を、デジタル上で扱える文字データに変換する技術です。紙の領収書や請求書をスキャンし、データ入力までしてくれます。昨今ではAI(人工知能)によるディープラーニングを組み合わせることによりさらに精度が向上しており、識字率の高さから目視による再確認がほとんど必要ないレベルに達しています。

会計ソフトなどの計上に必要な項目もデータ化できるので、データ化によって確認できなくなるリスクは基本的にありません。なかにはオペレーターが目視で確認・入力するサービスもありますが、AI-OCRとオペレーターによる確認を併用しているサービスが主流です。精度が高くデータ化の時間も速いほか、電子帳簿保存法に基づいた形式で保存できるので手間がかからない点も魅力です。

請求書をデータ化することによるメリット

ここからは、請求書をデータ化することによるメリットについて解説します。

請求書関連の業務を効率化できる

OCRなどのサービスで請求書のフォーマットを揃えることで確認作業がしやすくなり、業務の効率化が図れます。例えば、紙の書類や帳簿を保管するには、ファイルを発注する、ラベルをつけるなどのファイリングが欠かせません。しかし、データ化することによって、画面上の操作だけで簡単に保存が完了します。

また、検索性が向上するため、過去のファイルを探す時間を削減できるのもメリットです。破棄する場合も紙の場合は情報が漏れないよう溶融処理などが必要である一方、電子データであれば簡単に削除できます。

請求書の保管スペースを削減できる

データ化することでペーパーレスになるので、保管スペースを削減できます。取引書類や帳簿類は、7年ほどの長期間に渡り保管する必要があります。すべて紙で保管するとなるとまとまったスペースが必要になり、とくに社内で保管する場合は業務に利用するスペースが狭くなってしまうでしょう。

とはいえ、書類保管サービスやトランクルームなどを利用するとコストがかかってしまいます。書類をデータ化すればスペースが有効活用できるため、業務の効率化にもつながります。

発行日に請求書を受け取れる

請求書をデータで受け取る場合は発行当日に内容を確認でき、支払いの処理が迅速に行えます。紙の場合は郵送されてから到着までに時間がかかったり、確認するためにオフィスに出社する必要があったりと、時間や手間がかかってしまいます。また、請求書の内容に間違いがあれば、再発行して再送してもらうのにさらに時間がかかるでしょう。

データであればメールに添付、もしくはダウンロード形式で送られてくるため、発行当日の受領、再発行や修正対応もスムーズに行えます。「郵送では期日に間に合わない」といったケースにも対応可能です。

テレワークの推進につながる

紙の請求書の場合、会社で内容を確認する必要がありますが、データ化している場合はテレワークで確認できるのがメリットです。紙ベースでは役職者や経理担当者が承認・押印のために出社する必要があります。また、担当者が外出や出張などの場合、承認・押印作業が滞ることもあるでしょう。

請求書のデータ化によりネット上でのやりとりが完結するため、テレワークの推進にもつながります。

電子帳簿保存法に対応できる

電子帳簿保存法に適した請求書のデータ化サービスを利用すれば、手間をかけずに要件を満たして保存することができます。2022年に改正された電子帳簿保存法では、電子取引による請求書の電子保存が原則義務化されました。移行期間があるものの、2024年以降はすべての電子取引の請求書を電子保存する必要があります。

電子署名やタイムスタンプなどの対応も求められるため、猶予期間内にデータ化を実施することで電子帳簿保存法にスムーズに対応できるでしょう。電子帳簿保存法に違反すると罰則が科せられるためリスクヘッジにもなります。

請求書のデータ化における注意点

ここからは、請求書のデータ化における注意点を見ていきましょう。

セキュリティ面の強化を図る

書類のデータ化にあたり、セキュリティ面を心配する方もいるでしょう。データを容易に改ざんすることもできるため、タイムスタンプを利用する、訂正・削除を行った場合に履歴を確認できるなどのセキュリティ対策が必要です。または、訂正・削除ができないクラウドサービスを利用するなどの手もあります。

とはいえ、紙の書類や帳簿は基本的に誰でも閲覧できること、破損・紛失してしまう可能性があることなどから、データ化によりかえってセキュリティは強化されるでしょう。決められた従業員のみアクセスできるようロックをかけたり、バックアップを取ったりなどの対策を取ることで重要なデータを守ることができます。

電子帳簿保存法を遵守する

データ化した請求書の保存については、電子帳簿保存法の要件を守らなければなりません。国税庁のサイトでは、電子取引で受け取った請求書の保存要件として、以下のいずれかを満たす必要があると述べています。

  • タイムスタンプが付与されたデータを受領
  • 受領後遅滞なくタイムスタンプを付与
  • データの訂正削除を行った場合にその記録が残るシステム又は訂正削除ができないシステムを利用
  • 訂正削除の防止に関する事務処理規程を策定、運用、備付け(2022年1月1日以降は不要)

引用:国税庁|Ⅱ適用要件【基本的事項】

また加えて、事後確認できるよう検索できる状態で保存すること、ディスプレイなどの備付けも必要です。

続く「令和5年度税制改正大綱」においても、適用要件・保存要件が緩和される流れとなっています。「優良電子帳簿の範囲の明確化」「スキャナ保存要件のさらなる緩和」「電子取引の保存要件の見直し」「電子取引のデータ保存義務の恒久的猶予措置」の4つが主な変更点です。

検索要件を不要とする対象者が拡大されたことに加え、電子取引データの保存に関して猶予措置が設けられています。特定の条件を満たす事業者は、法律が定める要件通りでなくても、自身の電子取引データの保存方法が認められるようになりました。

目的に合ったシステムを導入する

自社にある紙の請求書のデータ化や送付される請求書の受領・スキャンなどを代行してくれるシステムや、請求書のデータを取引先が直接入力できるシステムなど、さまざまな種類があります。データ化のメリットである「手間の削減」「業務の効率化」を図るためにも、より手間のかからない専用システムを導入するのがおすすめです。

請求書のデータ化や受領に関してどこまで効率化を図るか検討し、目的に合うものを導入する必要があります。また、あまりにも安価なサービスでは期待する効果が得られない可能性もあるため、データ化によって削減できるコストとも比較し、費用対効果からも最適なシステムを検討しましょう。

規定の保存期間を守る

法人の場合、請求書の保存期間は確定申告提出期限の翌日から7年間です。これは、紙媒体の保存でも同様です。ただし、繰越金の欠損控除を利用する場合は10年間になります。保存していない場合、青色申告の取り消しや推計課税、仕入税額控除がされないなどの罰則があるので注意しましょう。

長期間書類や帳簿を保管するとなると保存場所の問題が出てきますが、上述したとおり、データ化により保管スペースを削減することができます。

業務効率化には請求書発行を自動化できるシステムも効果的

ここまで、受領した請求書のデータ化や受領に関する効率化について解説しましたが、請求書発行のデジタル化・効率化も重要です。従来の紙ベースの帳票業務ではエクセルなどをもとに書類を作成し、印刷・発送などの手間がかかりました。取引先が少数であれば対応できるかもしれませんが、取引先が増えるにつれて膨大な作業量になります。

電子帳票システムを導入することで、作成や送信などの自動化ができ、業務効率化やコスト削減が可能です。クラウド型のシステムであれば、場所や時間を気にせず作業を行えるのもメリットです。また、電子化により、紙の帳票の不正持ち出しや紛失を予防することもできます。セキュリティの向上や人的ミスの防止など、さまざまな効果が期待できるでしょう。

請求書のデータ化には「ナビエクスプレス」

「ナビエクスプレス」は請求書を含む帳票類の自動配信サービスです。既存の請求書フォーマットのデザインを変えることなく、情報をCSVデータでインポートするだけで、PDF化された請求書を大量の宛先へ安全に届けることができます。データはすべて人の手を介さず自動的に配信されるので人的ミスを防止でき、24時間いつでも配信可能です。

また、SSLによる暗号化と各種セキュリティ対策、パスワード付与などにより、安全にデータを送信できます。管理画面から送信状況や開封状況などをリアルタイムにトラッキングできるのも便利です。

請求書のデータ化は業務の効率化やコスト削減に効果的

昨今普及しつつある請求書のデータ化に焦点を当て、そのメリットや注意点について解説しました。請求書のデータ化は、業務の効率化やコスト削減をはじめ、テレワークなどの柔軟な働き方を取り入れるためにも有効です。

また、請求書発行業務の効率化を図るためにはシステムの導入がおすすめです。数千通の請求書を1営業日で発行・送信できる「ナビエクスプレス」の利用をぜひご検討ください。

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